クリュセの守護神   作:ランブルダンプ

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旅路の終わり、そして

夢をみた。

 

 

 

俺は門拓真月(もんたくしんげつ)

 

俺はどこにでもいるような高校生だった。

 

背丈は同年代でも平均的、体格もガチムチ過ぎずガリガリ過ぎず中庸。

 

アニメは多少見るし運動もそこそこ出来る。

 

趣味は釣りや盆栽と少し趣味が爺臭いとも言われる事もあったがどうでもいい。

 

 

昔の……人間だった俺が過ごしていた何気ない日常、それはゴジラが現れた事で終わりを告げる。

 

 

俺が住んでいた日本は混乱の中心になった。

 

当時の政府は何とかしようと奔走していたらしいが、結果として国連軍がゴジラに対して核攻撃を行うのを止める事は出来なかった。

 

世界の予想を越えてゴジラは核爆弾を輸送していた飛行機を迎撃し、世界に核の汚染が広まった。

 

それと同時にゴジラにはもう核などは通じない事が明らかになった。

 

 

世界はそこで漸く手を取り合った。

 

 

日本の矢口という人が船頭を取り、血液凝固剤によるゴジラ凍結作戦が開始される。

 

当然問題となったのはどうやってゴジラの体内へ投与するのか……である。

 

一度アメリカがありったけの無人戦闘機を投入しゴジラの体内のエネルギーを放出させ再び休止状態へさせようとした事があったが、ゴジラはアメリカの無人戦闘機を全て撃墜してみせた、結果としてその作戦はゴジラがエネルギー効率を大幅に上げている事を明らかにしただけだった。

 

そこで生まれたのがゴジラの体内の新元素を分析した結果得られたエイハブ粒子、それを利用して造られたエイハブリアクター。

 

そのエイハブリアクターを動力源とするモビルアーマー。

 

そしてそれの専用武器たるダインスレイヴ。

 

ダインスレイヴはゴジラの体内へどうやって血液凝固剤を投与するのか、という課題に対する人類の答えだった。

 

つまり、レベルを上げて物理で殴る。

 

そのニュースを知って、脳筋過ぎるだろ……と思ったのは俺だけでは無いハズだ。

 

 

そして、全世界の残った力で作り上げたダインスレイヴを装備したモビルアーマー部隊。

 

それとゴジラが激突した。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

結果としてゴジラは50機ものモビルアーマーと激戦を繰り広げた挙げ句、血液凝固剤によって凍結された。

 

俺はといえば復興のゴタゴタの最中上手いこと研究所に就職出来て、そこでゴジラの細胞やエイハブ粒子の研究に没頭出来た。

 

そこで俺はゴジラの細胞が異常な計算処理能力を持っている事にマウス実験を通して気付き、

 

 

 

試しに自分の身体にゴジラの細胞を打ち込んでみた。

 

 

 

結果は、予想を遥かに上回る計算処理能力の向上、そして副次的に空間把握能力の増大。

 

そして何より機械と直接(・・)繋がる事が出来る。

 

その頃研究所の仲間は俺をマッドサイエンティスト、ミスターゴジラ等と好き勝手呼ぶようになってきたが、俺は気にせず、それを世界に発表すべく資料を作成し始めた。

 

その間にモビルアーマーの暴走事故があったと知ったが、俺は気にも止めず研究所を進めた。

 

 

 

しかし、俺は拉致された。

 

……連れて行かれた場所は火星(・・)だった。

 

 

その場所で俺は■■■■■から無数に分裂した■■■■

■■をエイハブリアクターで動かし ■■■のバエル■■■■■■■■阿頼耶識■■■■■■■■■■襲撃■■■■■死すら■■■■■■■■克服■■■■アグニカ■■■■■■■気を失■■■■■地面へ■■■■■眠■■■■■

 

 

 

ゴジラとなった俺は意識を回復する事無く、火星の大地で眠り続けた。

 

無論ただ寝ていた訳ではない。阿頼耶識を開発した時から分かっていたがゴジラの情報処理能力はとてつもない。

 

その能力は全世界のどのスーパーコンピューターをも凌駕する。

 

活動にエネルギーを割いていない今ならば、世界そのもの(・・・・・・)をシミュレートする事が可能な位に。

 

俺は無意識下でこの世界の行き着く先を見続けた。

 

 

それを何十年、何百年と繰り返し……

 

 

ある昔、マルバ・アーケイがCGSを開業した。

 

そして連れて来られた阿頼耶識を付けた子供達、

 

自身と近しい者の未来を俺は何度も計算し続けた。

 

何度も試行を繰り返していくと、段々とある一本の道へと絞られていく。

 

俺はそれを何度も何度も観測した。

 

 

それを原作(・・)と思う程に。

 

 

 

その頃の俺は意識が覚醒しているとも覚醒していないともどちらとも言えず、ただ漠然と【孤児たち(オルフェンズ)】とラベル付けされたその未来を見続けた。

 

そのままではただ悲劇を思考の出来ない頭で眺めるだけだっただろう。

 

しかし、転機が訪れた。

 

ギャラルホルンによるCGS襲撃。その時の少年達の激情が俺の体を貫き、300年のまどろみから(ゴジラ)を解き放ったのである。

 

そしてシンゴジラは現れた。鉄華団の守護神として。

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

結果として、蒔苗はアーブラウの選挙に勝利した。

 

そしてイズナリオ・ファリドとアンリ・フリュウ議員の癒着が発覚し、ギャラルホルンの権威は揺らいだ。

 

 

オルガは今回の仕事の報酬として、蒔苗にシンと整備長が満足するだけの資材、工作機械を用意させた。

 

そして、蒔苗は鉄華団をアーブラウの軍事顧問に任命し、鉄華団の名はそれまでの業績と共に世界に広く知られるようになった。

 

 

マスドライバーで打ち上げられて行く鉄華団のメンバーを乗せたシャトル。

 

それをシンと昌弘は眺めていた。

 

「なぁ、シンさん……良かったのか?俺達について火星に戻らず地球へ留まるだなんて」

 

『三日月さん達のモビルスーツの改造もやり終えたし、それに整備長だっているから俺が居なくても安心だよ。……何より俺を狙って団長達が殺されるのが心配だったからね』

 

「こんだけやられてまだ仕掛けてくると?」

 

『あぁ。人間は執念深く、そして一度決めたら決して曲げない意思を持つ』

 

そう言ってゴジラは鉄華団地球支部の方へ身を翻した。

 

『だがそれは此方も同じだ。何をして来ようと俺は負けないし、仲間は絶対に見捨てない』

 

 

 

『俺はゴジラだからな』

 




一期終了。

映画『シン・ゴジラ』でヤシオリ作戦が行われなかった世界から繋がっているのが、この作品の鉄血世界です。

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