『待てアイン!……くそっ聞こえてないか』
俺はラスタル公から指示が有るまで動くなと言われていたがアインは鉄華団と交戦が始まった事を知るや否やゲートを突き破り出撃して行った。
飛び出していったアインを追い掛けるべく俺は地上用にセッティングされたキマリストルーパーに乗り込み、阿頼耶識研究所のモビルスーツ格納庫から先程アインが開けた穴をくぐり抜けて外へ出る。
次の瞬間背後から襲い掛かってきた爆風に機体を吹き飛ばされた。
近くの木々を薙ぎ倒し漸く停止する。
『ぐ……あ……一体……何が?』
揺れる意識を何とか保ち辺りを見渡す。
『!研究所が……!』
見れば地球阿頼耶識研究所、表向きは新型医薬品の開発研究所であるそれが爆発で僅かな面影を残すのみとなり全て吹き飛んでいた。
『こんな事……一体誰が?』
『私だよ』
……!?
その声……聞き間違えるハズが無い。
機体を声のした方へ振り向かせる。
『マクギリス……!』
『久しぶりだな、ガエリオ』
静かに佇む真紅の機体、そいつからマクギリスの声がする。
『何故お前がここにいる?それに先程の言葉はどういう意味だ!!』
徐々に目眩がおさまってきた。それと同時に疑問が沸き上がる。
『言った通りさ、そこの違法な阿頼耶識研究所を爆破したのは私だ』
『何を言っている!?お前がそんな事をする理由は無いだろう!?』
『理由なら有るさ、私は鉄華団と手を組んでいるのだからな』
?ナニヲイッテイル?
『出鱈目を言うな!お前が火星ネズミ共と……』
『その火星ネズミという侮辱を今すぐ止めろ!!』
『なっ……』
マクギリスの剣幕に気を飲まれかける。
『彼らは火星で生まれ阿頼耶識手術を受けただけのただの子供達だ。地球で生まれた
阿頼耶識……。
『……お前はもう知っているのだろう?ギャラルホルンの創設者アグニカ・カイエルは阿頼耶識をつけていた事を』
確かにそれは知っている。だからといって!
『何故お前が鉄華団に肩入れする!?』
一番疑問に思ったのはそこだ。
『……最初は小さな火種だった』
マクギリスが語りだす。
『しかし、彼らを見ていく内に……私は彼らならば今のギャラルホルンの支配体制を覆す存在になると確信した』
『革命の火種は消させない、最も
……理解はした。しかし納得出来ない。
『お前は……アインの誇りを……』
『君は彼の事を誇り高い戦士だと思っている様だが、子供を火星ネズミ扱いし、正々堂々とした誇り高い決闘の結果をいつまでも引きずり続け、今正に私怨を撒き散らしている彼は本当にそう言えるのか?』
『っ!ならカルタは!』
『カルタを唆したのはラスタルだ。ゴジラの戦力を測る為の当て馬としてな』
『なっ!?……なら!ラスタル公がアインに阿頼耶識の手術を勧めてきたのは!』
『都合の良い手駒にする為だ。アレを見ろ』
マクギリスが指した方向には通常のモビルスーツの二倍の体躯をし、四枚の羽を備えた異形の機械が街の中から飛び出してくる光景があった。
『あれは……!?』
『
『そんな……。まさか……!俺の父はそれを知った上で!?』
『当然だ。ギャラルホルンの会議はセブンスターズの党首が話し合うのだからな』
『あ、あぁああ……嘘だ!嘘だぁぁぁあ!』
ガエリオが慟哭を上げる。
『認めろ、ガエリオ。間違っていたのは我々ギャラルホルンだ』
そして少し間を置いた後、
マクギリスはガエリオに悪魔の取り引きを持ち掛けた。
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元研究所があった森林地帯を二機のモビルスーツが蹂躙していく。
『マクギリスゥゥゥゥゥ!!!!』
『フッ!!』
キマリストルーパーのランスとグリムゲルデのヴァルキュリアブレードが交差する。
『そら!どうした!私への憎しみはそんなモノか!』
『ちいっ!』
継ぎ目の無いグリムゲルデの二刀剣撃をサブアームに構えさせた盾から引き抜いたブレードとランスで凌ぐ。
しかし、操縦技術の差で徐々にキマリストルーパーは追い詰められてゆき、そして……
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翌日、ボードウィン家の元へガエリオ・ボードウィンの訃報が届けられた。
……。