逞し過ぎる……
シンが郊外へ移動している間、三日月達は既に戦闘を開始していたが……
『よし……終わった』
『こっちもだ』
遠くの敵はグシオン・ディアボルスの
結果として相手は撤退を許される事なく操縦者は一人残らず絶命する事となった。
弾丸を撃ち尽くしたグシオンは筋肉砲を捨て
バルバトスは手に持った【繊月】を背部にマウントしておいたメイスに持ちかえた。
因みにバルバトスはマクギリスからの手土産のレンチメイスも背負っている。
その上で先程の機動である。改めて頭のおかしい移動性能としか言いようがない。
その武器を持ちかえた数秒後に状況を認識した阿頼耶識グレイズ三機が襲い掛かってきた。
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『三日月!』
『分かって……る!』
オルガの予想通りに此方が敵を殲滅し終えたタイミングで襲い掛かってきたグレイズ達。
バルバトスがメイスを振り回して突撃し、三機を分断させる。
そしてグレイズツヴァイは三日月、ドライは昭弘、フィーアは昌弘とラフタとアジーが請け負い、戦闘を開始した。
真っ先にぶつかり合ったバルバトスとグレイズツヴァイ。
バルバトスのメイスの連打をグレイズツヴァイは全て腕で受け止めた。
『へぇ……頑丈だな』
グレイズツヴァイが一瞬にしてバルバトスの背後に回り脚に備え付けられたパイルバンカーを打ち込もうとする。
それに合わせてバルバトスは柄をひょいと回し、メイス内蔵のパイルバンカーで相討ちさせた。
メイスは壊れたが引き換えに相手の右足を破壊する。
膝を着いた相手が逃げる前にすぐさまレンチメイスで左足を掴む。
チェーンソーを起動しつつ振り回して相手の脚をねじ切った。
両足を失い吹き飛ぶグレイズツヴァイ。
機動力を失った機体で反撃するべくダインスレイヴを起動する。
しかし、発射する前にレンチメイスによって向きを変えさせられ、【繊月】で根元から斬り落とされる。
続けて残った腕を斬り落とそうとするバルバトス。
そこに新たな影が襲い掛かった。
『見つけた……!罪深き子供達!!クランクニ尉の慈悲を受け取らず殺した火星ネズミ共!!あぁああああ見ていて下さいクランクニ尉……!私はあなたの正義を全うします!!』
グレイズアインである。
『角付きいいいい!!!』
『チッ、変なのが来た』
襲い掛かるグレイズアインの両手の斧を【繊月】の腹で受け止める。
『お前がぁ!!クランクニ尉を!!』
間髪入れずグレイズアインが蹴りを入れた。
『ぐっ!』
押さえ付けられていた状況で避けられず、バルバトスは蹴りを受ける。
しかし、その受ける直前にレンチメイスを地面に突き立ていた事でその勢いを利用し、それ軸に一回転し蹴り返した。
お互いに吹き飛ぶ両機体。
バルバトスは左手に【繊月】右手にレンチメイスを持って突撃した。
迎え打つグレイズアインはそれを見てバルバトスに斧を投擲する。
レンチメイスで防ぐもよろけた相手にグレイズアインは踵落としを決めた。
地面に叩き付けられるバルバトス。
舞い上がる土埃。
その中から【繊月】が飛び出して来てグレイズアインの左腕に突き刺さった。
『外した……!』
『このネズミがぁ……!』
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昭弘は敵機の素早い動きに対応するべく【
既に何度も打ち合っている。
(動きにはついていけるが……こっちの攻撃が当たらねぇ……)
お互い決定打を与えられないままずるずると時間が過ぎていく。
(三日月は二機目を相手してるってのに……!)
二機目の手合いは先程までと違うようで三日月も苦戦している。
手助けに行きたいが、此方の相手がそうさせてくれない。
見れば昌弘とラフタとアジーさんも三機で撹乱しているものの苦戦していた。
その時グシオン【
見れば先程三日月が墜とした敵機体が残る片腕のダインスレイヴを起動し昌弘達に狙いをつけていた。
『っ!ラフタァ!!避けろおおお!!!』
『えっ!?きゃああああ!!!』
とっさに機体を捻った漏影だが、直撃は避けたものの左脚を吹き飛ばされる。
それを見た瞬間俺の中の何かがキレた。
気を失ったのか漏影の動きが止まる。
その機を逃さず止めを刺そうと近づくグレイズフィーア。
昌弘とアジーさんが射撃をするも全て避けられる。
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『ラフタさん!!くそっ!コイツ速い!!』
『ラフタ!!返事しな!!ラフタァ!!』
漏影と筋肉号グレートの二機がかりで斬り掛かるも受け止められ、吹き飛ばされる。
『ぐっ!!』
此方が機体を立て直している内に相手はラフタの元へたどり着いてしまった。
敵が右手の装置を展開し何かを発射しようとする。
『ラフタ!!起きろ!!避けて!!』
もうダメだ。そう思った瞬間、
『させるかあああああああ!!!!!』
ハルバードがグレイズフィーアの腕を千切り飛ばす。
そのままハルバードは飛んで行き数キロ先の地面にクレーターを作り漸く停止した。
突如喪失した腕を不思議そうに眺めてグレイズフィーアはそれが飛んで来た方向へカメラアイを向けた。
そのカメラアイに地面を割って突進してきたグシオンの拳が突き刺さる。
よろめくグレイズフィーア、グシオンはその一発だけで終わらせず、機体を阿修羅ユニットで押さえつけ両手のラッシュを叩き込む。
一瞬にして相手はスクラップと化した。
コックピットに最後の一撃を叩き込み、グシオンはボロ雑巾となったグレイズフィーアを投げ捨てる。
そこで漸くアジーはグシオンの様子が通常とは違う事に気が付いた。
装甲の隙間から
その形態をシンは想定していなかった。
しかし、【ゴジラ】を素体としているのならば存在して然るべき形態。
グシオン・ディアボルス【
覚醒した