クリュセの守護神   作:ランブルダンプ

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主人公の心の中

三日月さーん!!たーすーけーてー!!


君の名前は

『オルガ、そいつはどうする?』

 

バルバトスに乗ったミカがスピーカーを通して尋ねてくる。

 

「ああ、今までの行動を見るに敵では無さそうだからな、こっち来て尻尾に刺さってるヤツ抜いてやってくれ」

 

『わかった』

 

そう言うとミカのバルバトスがブースターを吹かし此方へ移動し始める。

 

「おい、オルガいいのかよ?偶々俺達を守ったように見えるだけじゃねぇのか?」

 

ユージンがそう訊いてくるが、

 

「いや、俺達を認識していねぇならわざわざ尻尾使って怪我してまで俺達を庇う必要はない。少なくともコイツは俺達の事を認識している、庇ったのはどういう意図なのかは解らねぇがな」

 

「それと俺達の言葉は認識できるみたいだな」

 

その昭弘の言葉に周りのメンバーが化け物の方を向くと、

 

 

『いい?抜くよ』

 

とのミカの言葉にコクコクと首を縦に振って、いいよの合図を送っている化け物の姿があった。

 

 

 

「意外と可愛らしいですね」

 

「フミタン!?」

 

「どういう感性してんだアンタ……」

 

遠くではその姿に早速愛嬌を感じている者が一名いる様だった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

バルバトスから三日月が降りていく。

 

(ありがとう三日月さん一生ついてくわ)

 

三日月さんがオルガ達と合流し、話し合いが始まったようだ。

 

(まぁ俺の高性能ボディを持ってすれば小声で話していても聞き取れるんだなコレが!という訳で聴くか)

 

耳を傾けようとしてふと重大な事実に気が付いた。

 

(……俺、耳無いハズなのにどうやって聞いてるんだ?)

 

つくづく謎の多いシンゴジラの体であった。

 

 

 

「で、オルガこいつどうする?飼うの」

「飼うって……何食うのかわかんねぇぞ」

「なら……アトラに言って夕飯の残り持ってきて貰おうか」

「おい待てお前ら!何で飼う前提で話進めてんだ!ライドもあんまり近づくんじゃねぇ危険だろうが!」

「お前は心配し過ぎなんだよ、見ろよあの目。俺達の仲間になりたそうな目をしてるじゃねぇか」

「それはお前の目がおかしいだけだシノ!」

「いや、皆見てみろ」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「おーい、お前鉄華団に入りたいのか!?」

 

ライドが近付いてきて何かと思ったら、思わぬ言葉が。

 

驚きで固まっていると前方でユージンが戻ってこいと怒鳴り始める。

 

(……ハッ、このチャンス逃す訳には!)

 

 

全力で首を縦に振る。

 

(イエース!水と空気があれば生きていけるので食費も掛かりませんぜ!)

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

見るからに肯定の意を示している化け物。

 

これにはユージンも目の前の化け物はコミュニケーションが取れる相手だと認めた。

 

「マジかよ……」

 

「ほら見たかよユージン!アイツ俺達の仲間になりたいってよ!」

 

「分かったからそのドヤ顔止めろ!」

 

シノが早速ユージンをからかう。

 

 

そんな雰囲気の中、

 

 

「やらかしてくれたなぁ!三日月よお!」

 

トドが登場した。

 

「ギャラルホルンを完全に敵に回しちまってどうする気だぁ?資金もマトモに調達出来ないってのに」

 

「それについては何とかなります」

 

クーデリアが前に進み出る。

 

「私の護衛任務を続けてください」

 

「はい?」

 

「そうすれば当面の活動資金はなんとかなるのでは?」

 

「お嬢様、それは」

 

フミタンがクーデリアに耳うちするが、クーデリアはお父様の許可は必要ありません。と遮る。

 

「資金を出してくれる人物には当てがあります。独立運動のスポンサーとして私を支えてくれていた人物、ノブリス・ゴルドン」

 

その名を聞き、皆が誰?となる中トドだけは、

 

「ノブリスっていやあ、確かすんげぇ大金持ちだって話だが」

 

と呟いた。

 

「だったら資金的には一息つける」

 

安堵のため息を吐くビスケット、それを聞いてタカキが

 

「そうですよ!それに俺らには三日月さんとモビルスーツがある!それにあのデカイ奴もいる!ギャラルホルンなんて怖くないですよ!」

 

「だな!」

 

と気炎を上げ、シノもそれに同意する。

 

ユージンとトドだけはそんな楽観的なと考えているようだが、大多数の団員はイケるんじゃないか?という希望を持ち始めていた。

 

 

そんな団員達の雰囲気の中

 

「引き続きのご利用ありがとうございます。俺達鉄華団は必ずあなたを無事地球まで送り届けてみせましょう」

 

オルガがクーデリアに対して言葉を述べる。

 

「ちょ、待てよオル「鉄華団ってなんすか?」」

 

ユージンの突っ掛かりがタカキの質問に遮られる。

 

「俺達の新しい名前だ、さっき決めた」

 

「うわカッケぇ!」

 

「待てよ、何勝手に決め「団長~!こいつの名前は~!」」

 

今度はライドに遮られる。

 

「そうだな……俺達新しくなった鉄華団の新団員だからな、シンってのはどうだ?」

 

「はぁ何だよそのダッセえ名前は……」

 

「良いじゃねぇか!俺の名前と似てて!」

 

シノは自分の名前に似ているので気に入った様だ。

 

「大体そんな名前じゃアイツも気に入らねぇだろ……」

 

「いや、喜んでるように見えるな」

 

昭弘が呟く。

 

「はぁ?」

 

ユージンがシンの方を向くと、ライドにシンと呼ばれる度に、我が意を得たりとでも言わんばかりに首を振るシンの姿があった。

 

「……ッ!だったら鉄華団ってのは!」

 

 

「鉄華団にシンかぁ……いいですよね!三日月さん!」

 

タカキが三日月に話しかける。

 

「うん、いいね」

 

その言葉を聞いて三日月がそう言ったのならもう何言っても変わらないとユージンは思ったが、

 

(もっとこう……あるだろうがよ!ジャスティスとか……ダークナイトとか……!)

 

 

もし仮に誰かに聞かせたら「団長の方が100倍良い!」と言うこと間違いなしのモノばかりであった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「大体飼うにしてもこんなデカイのどう飼うってんだ?」

 

飼うことについては一応受け入れたユージンが早速問題になりそうな事柄に疑問を発する。

 

「アトラに言って何か持ってきて貰うよ」

 

「何食うにしても、辞めてった一軍共の食料全部回しても足りるのか?」

 

「おいライド!ソイツに何食べるのか聞いてみてくれるか!」

 

まずは聞いてみようと、オルガが一番近くにいるライドに指示を送る。

 

「はい!団長!……あー、聞こえてたかもしれないけど、お前何食べるんだ?……って聞いても答えられないか」

 

ライドは少し悩み、

 

「よし!じゃあ俺がどんどん言ってくから食べれるものがあったら頷いてくれよ!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

(そう言われても、俺何も食べないんですけど……)

 

取り敢えずライドが食料の候補に言う度に首を横に振っていく。

 

(どうしたら伝わるか……いや、この見た目で「霞食って生きていける完全生物です」なんて信じれるわけないよなぁ……)

 

(あ、そうだ俺が常識の外に居るって解って貰えればいいんじゃないか?)

 

手っ取り早い方法と言ったら……

 

(形態変化!!!)

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

先程からライドがシンに思い付く食材、料理を言っていくがその中の一つもシンが首を縦に振るものはなかった。

 

「おいオルガ、アイツマジで何食べるんだ?」

 

シノが疑問を呈する。

 

「俺らが用意出来る餌、ライドが言ってるのでもう殆ど網羅してんぞ?」

 

ユージンも同じ疑問を持った様である。

 

その瞬間急にシンが身を翻しライドから距離を取るように移動し始めた。

 

「何だ、何する気だ?」

 

「ライド!一旦戻ってこい!」

 

オルガの指示でライドが皆の元へ戻ってくる。

 

 

それを確認するやいなや、シンは急に体を赤く発光させ始めた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

(二回目の形態変化だー!)

 

体を赤く光らせ、体のエネルギーを体構造の変化に全て回す。

 

(エイハブリアクターは全て切る。デカさがネックなら全身の残ったエネルギーを消費しつつ形態変化すれば丁度サイズダウン出来てしかも第三形態に成れるハズだ)

 

映画で見た第三形態を思い起こす。

 

(映画の描写では第三形態に進化した時に放熱が追いつかなくなって慌てて第二形態に戻って東京湾に出ていた。つまり進化するのにはかなりのエネルギーが必要になりかつ熱エネルギーも発生する、しかし第三→第二へと退化するのにはエネルギーも殆ど要らず、熱の発生も少ない。現に砂漠で第三形態に成り掛けて慌てて第二形態に戻った時に放出された熱が少なかった事がこの考えの裏付けになる)

 

手順としては体に残ったエネルギーを消費して進化し、体を縮めつつ放出熱で熱くなった冷却液、つまり血を放出して体温も一定に保つ!

 

(普通だったら冷却液が足りなくなって熱がヤバいことに成りそうだけど、体の方も縮めてるから必要な冷却液も少なくて大丈夫!)

 

凄い効率の悪いダイエットみたいなものだ!

 

問題は大出血起こしてるように見えることですよ。

 

(まービジュアル面ではひじょーに宜しくないので、蒸気で隠させて貰いますね)

 

 




という訳で《シン》と成りました。

安直だって言わないで!

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