翌日の朝早く、夜明け前にオルガが皆に召集をかけた。
船の甲板に集まる面々。
「……急に集まって貰って悪ぃな、だが聞いてくれ」
全員の顔を見渡した後、オルガは話始めた。
「お前ら!今まで良く頑張ってきた!!」
「今まで俺達は奇跡的に一人も死なずにここまで来れた。ブルワーズの時やドルトコロニー、地球降下作戦、昨日の敵襲、冷静に考えてみりゃどこかで誰か犠牲者が出てもおかしくない戦いばかりだった」
「だが誰一人として死んじゃいねぇ」
そしてオルガは三日月の隣に浮かぶシンを見つめた。
「シンがいたのもデカいな。お前が色々してくれなかったら俺達は大人達にいいように使われていたかもしれねぇ、ありがとう」
いえいえ、と尻尾でジェスチャーするシンにオルガはニヤリと微笑み「まぁたまに何かやらかすのは玉に傷だけどな」と付け加えた。
そして、シンから視線を外して全員を見渡す。
「だが何より!お前らが火星から皆で協力してこなけりゃ今のこの結果はきっと無かったハズだ」
そこでオルガは一旦話を止めて区切りをつける。
そして、再び息を吸い込み語りだした。
「これから俺達は蒔苗のじーさんをアーブラウの議会に送り届ける」
「道中ギャラルホルンの妨害もあるだろう」
「モビルスーツが出て来りゃ生き残れる保証なんか誰にも出来ない」
「だがな!俺達は怯まない!」
「これは俺達が引き受けた仕事だからだ!」
「鉄華団は一度引き受けた依頼は必ず完遂する」
「ここから先はテイワズに任せて俺らは火星に帰る、なんて恥知らずな真似は出来ねぇしな!」
その時丁度夜が明けてオルガを暁の光が後ろから差し始めた。
その光を背負いオルガは声を張り上げる。
「俺はお前らに命令する!」
「団長命令だ。いいか?……絶対に生き残れ、何としてもだ!」
「もし死んだら俺があの世で会った時に団長命令違反でもっぺん殺すからな!」
「もう一度言うぞ、生き延びろ!何としてもだ!それこそ死んでも生き延びろ!!」
「んで、火星でまた皆で馬鹿やろうぜ!」
「死んだら美味ぇ飯もお菓子も酒もジュースも食えないんだからな!」
「お前ら!分かったか!!」
「全員生きて火星に戻るぞ!!」
その言葉を皮切りに話を聞いていた全ての団員から莫大な声量の歓声が上がった。
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「お疲れ様です。お茶でも飲みますか?」
「あぁ……済まねぇなフミタン」
「……お嬢様には及びませんが、中々でしたよ」
「何だよ、誉めてんのか?それ」
?「おいしいものを食べてこその人生なのです!」