クリュセの守護神   作:ランブルダンプ

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色々謎が出て来ます。


疑問

「あんたが火星独立運動家のお嬢さんか。時の人と会えて光栄だ」

 

マクマードがクーデリアと話し始める。

護衛に三日月さんが残る事なったのだが、何故か俺もマクマードさんの指名で居残っている。

 

(何でか分からないけど、一応大人しくしときますか)

 

話によればクーデリアが地球で話し合う予定の蒔苗さんって人はクーデリアの案に賛成しているらしい。

 

それを聞いて喜ぶクーデリア。しかしマクマードはその利権絡みで戦争が起きる、と現実をつきつける。

 

「テイワズを指名してくれないか?お嬢さんがじきじきに指名した業者って大義名分を得られれば当座の問題に関しちゃこっちでなんとかやれる。まぁ避けようもねぇ事もあるかもしれねぇが……」

 

その申し出に戸惑うクーデリア。咄嗟に三日月さんの方を向くが、

 

「これはあんたが決める事だよ。どっちにしろこれからも人は死ぬんだ。それは火星で分かっただろ?」

 

三日月さんがクーデリアを諭す。

 

「これは俺が初めて人を殺した時と同じ、あんたのこれからを全て決めるような決断だ。」

 

一端間を置き、

 

「だからこれはクーデリアが自分で決めないといけないんだ」

 

言い切った三日月さん。カッコいいなぁ……と思いふとマクマードの方を見ると、感心した目付きで三日月さんを眺めていた。

 

そして、マクマードが吸っていた葉巻を灰皿に押し付け火を消す。

 

「成る程。確かにそいつは一大事だな。……いいだろう。しかし俺はもう老いぼれだ」

 

マクマードが言外に決断を急げ、とクーデリアに伝える。

 

「ありがとうございます。では今日はこれで」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

クーデリアが部屋を出ていく。それに続いて俺達も出ようとすると、マクマードから声が掛かる。

 

「あぁそこの若い衆とシンとやら少し俺と話さないか?」

 

(へ?)

 

「は?」

 

突然の事に俺と三日月さんもびっくりする。

 

「お嬢さんを送り届けた後でいい。何もタダでとは言わん、そこの若い衆はモビルスーツ乗りだったな?」

 

「そうだけど」

 

「ならウチの職人に見せてやろう。腕は確かだ」

 

たかが会話一つに随分と豪華なものである。

 

(……何か企んでんのか?)

 

俺は訝しむが三日月さんはあっさりと「分かった」と承諾した。

 

 

 

通路に出て三日月さんに鳴き掛ける。

 

(いいんですか?三日月さん?)

 

「別に、シンが手伝えば安心でしょ?」

 

(あぁ、確かに)

 

三日月さんの即決は俺が整備を手伝えば下手な事は出来ないと踏んでの様である。

 

(変な事したらとっちめておきますね。)

 

「うん、頼んだよ」

 

 

 

そして、クーデリアに追い付き団長達の元へ送り届けると俺達は再びマクマードの元へと戻ってきた。

 

一体、何の話をされるのかと思っていたらマクマードから予想外の単語が飛び出して来た。

 

「さて、まず聞いておきたい。【ゴジラ】という言葉に聞き覚えはあるか?」

 

(え……?【ゴジラ】……?)

 

何故その名前を?と一瞬思考が止まる。

 

「俺は知らないけど、シンは?」

 

三日月さんが何か言っているが全て音声感知をすり抜ける。

 

(待てよ、確かに最初からおかしい事が沢山あった。何故俺は火星にいた?何で形態変化がああもスムーズに行く?何で阿頼耶識を付けている人達は俺の言葉が分かるんだ?エイハブリアクターがこんなにも俺の体に馴染んでいるのは何でだ?……【ゴジラ】?確か俺は最初自分の事を【シンゴジラ】って……俺は【ゴジラ】だ。【シン】?何処から出て来たんだ?団長が付け……いや、順序がおかしい。それに何で俺はバルバトスの整備方法を知っていたんだ?それに……原作?……未来予測……case116788……?鉄血のオルフェンズ?確か記憶用に……俺は……俺は、【何】だ?)

 

「■■?……■ン……シン!」

 

(ハッ!?)

 

急に我に返り辺りを見渡すと三日月さんが心配そうに俺の目を覗き込んでいた。

 

「大丈夫?」

 

(あぁハイ大丈夫です。ちょっと予想外の名前が出て来て)

 

「その反応……やはり、か」

 

俺達のやりとりをじっと見ていたマクマードから声が掛かる。

 

「ゴジラって何?」

 

三日月さんが素直に聞き返す。

 

「【ゴジラ】ってのは、300年前地球に現れた最凶の化物の事だ」

 

(……)

 

「300年前?……確かおやっさんが厄祭戦がどうとか」

 

「その通りだ若いの。300年前の厄祭戦はゴジラが切欠だったとも言われている」

 

そして俺を見て、言った。

 

「なぁ?全てのガンダムフレームの産みの親よ」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

(ガンダムフレームの産みの親?……俺が?)

 

何の事だかさっぱり分からない、が何故かマクマードの言っている事は正しいと何処かで理解している自分がいた。

 

「シンがバルバトス作ったの?」

 

「いや、産みの親ってのは言葉の綾だ。作ったのは人類だがその原型を生み出したのがゴジラだ」

 

マクマードが三日月さんの方を向き、

 

「若い衆、ガンダムフレームが72機しか開発されなかったのは知っているな?」

 

「知らない」

 

「……おう、えー……72機しか開発されなかったんだ」

 

(この流れで知らないって言えるなんて流石過ぎますよ三日月さん!)

 

少しペースを乱されたマクマードが気を取り直して続ける。

 

「厄祭戦では72機も有れば十分だったんだが、じゃあ何故それ以降も作らなかったのか……分かるか?若いの」

 

「さぁ?材料が無くなったとか?」

 

「!?……正解だ。……若いの、名前は?」

 

「三日月・オーガス」

 

(……流石三日月さん。こういう時妙に勘が働きますね?)

 

「ガンダムフレームはゴジラの尻尾から分離して来た人型を機械で制御しようと開発されたモノだ」

 

(尻尾から?……俺が覚えているのは第四形態までだが……第五形態?)

 

「シンの尻尾から?それだと小さくない?」

 

(あぁ三日月さん、俺昔大分デカかったんですよ)

 

「今は随分と小さいが300年前は120メートル位あったらしいからな。その尻尾に生えてきた人型を元にしてガンダムフレームは出来ている。故に材料は限られた。『ガンダムフレームを72機作った』んじゃねぇ『72機しか作れなかった(・・・・・・・・・・・)』てのが正解だ」

 

後期のガンダムフレームは一部だけゴジラの部品を使っていたりしたらしい。とマクマードが追加で説明をしている所で三日月さんが、

 

「へー、120メートルってどの位なの?」

 

と、唐突にぶっ込んだ。

 

「……大体縦にモビルスーツ7機分だ」

 

「ふ~ん」

 

先程から三日月さんのマイペースにマクマードが翻弄されているのが見ていて本当に面白い。

 

 

 

その後もマクマード話と三日月さんのちょっとズレた質問が続き、

 

「……で厄祭戦が終わってその辺りの情報は全て規制された、と。……まぁこれが俺の知ってる情報の大まかな所だ。シンに三日月、どうだ?」

 

(何でアンタはそんな事まで知っているんだ?)

 

「何故そこまで知ってる?って」

 

「ほぅ、三日月はコイツの言う事が完璧に解るのか」

 

感心したように頷き三日月さんに、阿頼耶識の手術を何回受けたのか尋ねて来る。

 

(質問に答えろよ)

 

「質問に答えろって」

 

マクマードに軽く殺気を飛ばす。

 

「分かった分かった、そう怒るな。厄祭戦後、人類を救ったガンダムフレームが人類を滅ぼしかけたゴジラから産み出された、何て民間人に知られたら大事だ。だからギャラルホルンは地球でのゴジラに関する情報統制を徹底した」

 

そこでマクマードはニヤリと笑い、

 

「だが、テイワズは圏外圏で成長した企業だ。そういうのを逃れつつ、初代から厄祭戦の情報を集めてきた。だから詳しいのさ」





【挿絵表示】


ユージンに運ばれてるシンの大きさはこれ位です。
実際は布にくるまれていましたが。

元社長なのは……趣味だ!

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