Fate/erosion   作:ロリトラ

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6日目/交渉と約束

「共闘の……相談よ。」

「ふふふ……ふふ、喜んで話を聞かせてもおうじゃないか、麗しきリトルレデぐはっ!」

「なーに疑いもせず乗せられとるのじゃ、このド阿呆ますたぁ!」

「い、いやね、幼女の言う言葉を信じない訳ないでしょ?仕方ないでしょ?ね?」

「んー?もう1発言っとくか?今度は更に抉り込む様に打つぞ?ん?」

「い、いや……ごめんなさい……」

 

流石に生身であれをもう1発喰らうと昏倒しかねない。俺の周りに可愛い幼女(ロリ)が2人もいるのに意識を失うなんてそんな勿体ないことは許されてはいけないので慌てて謝罪をする。

 

「………サキ、俺から提案しておいてなんだが、考え直した方がいいか……?」

「ほーれあんなこと言っておるし向こうもお主と本気で組むかは怪しいぞ、ますたぁ。」

「い、いやいや今のはセイバーが殴るからであって……」

「……本当にどうする?サキ。もし俺の意思を尊重しての決断ならーー」

 

鎖姫ちゃんはそう言いかけたランサーを片手で静止し、ピシャリと言い放つ。

 

「思い上がらないで、ランサー。例えあなたがした提案であっても、それを斟酌した上で判断を下したのは私よ。ならば全ての責任も、結果も、それは私自身について回るもの。あなたが気を回すことじゃないわ。」

「サキ……そうだな、出過ぎた真似をした。俺の意思で俺がその身を預けたマスターだ、その判断を信じぬ様な振る舞い、詫びさせてもらおう。」

「分かればいいのよ。ーーさて、それじゃあそっちも落ち着いたかしら?改めて話をさせてもらいたいのだけれど。」

「ふん、お主と話すことなんぞーー」

「セイバー、落ち着いて。」

 

またも喧嘩腰になり始めたセイバーを制しつつ、こちらも言葉を交わす。

 

「わかった、こちらも話を聞こう。」

「話が通じてくれて助かるわ。まず、私から貴方達に同盟を申し込むわ。目的は1つ、ライダーの打破よ。期間もそれに同じ。同盟の内容としてはライダーに対する情報の共有、及び対ライダーでの共闘よ。具体的には波状攻撃でのマスターの疲弊、及び隙をついてのマスター狙いを考えているわ。」

「お、おおう。」

 

既にここまで具体的に詰めてきているとは。最近の小学生は俺の思っていた以上に進んでいたらしい。

 

「何か質問は?」

「あ、あぁ。ならいくつか。目的と期間には依存はない。今の手合わせと先日の件で分かったがライダーは俺たちとしても手強い難敵だ。期間もそれで構わない。」

 

本当はその後も敵対したくはないが、今ここでそれを主張しても聞いてくれないだろうしなぁ……殺し文句というのはやはり使いどころが重要だし。

 

「目的と期間には……なら内容に疑問点が?」

「あぁ、情報の共有にも共闘にも納得するが、なぜ波状攻撃だ?同時に攻めかかった方が差を埋めることが出来るんじゃないのか?」

 

そう疑問点をぶつけると鎖姫ちゃんは指を3本たてて解説する。

 

「理由は3つ。1つ目は、ライダーはあの水を利用した魔術で範囲攻撃も行える為に単純な数の優位は小さくなるわ。2つ目は私達や、サーヴァント達には連携の経験もないし、アサシン共のようにそれな適したスキルもない。つまり足を引っ張り合う可能性も大きいという事よ。それに、互いに他の陣営がいる前に切り札は切れないでしょう?」

「なるほど……理にはかなっているか。」

 

確かに宝具を晒すのを此方が遠慮しなくとも、鎖姫ちゃん達が躊躇してしまえばそれだけ不利が生まれる。

 

「じゃあ、3つ目は?」

「ええ、3つ目は、私達の第1目標はライダーーの直接的な撃破ではなくそのマスター……イリマ・カフナの殺害にあるということよ。」

「マスター殺し……!!いやでも、それは…」

「何?今更私の年齢を理由にして殺人はダメだとでも言うつもり?聖杯戦争なんて殺し合いにリタイアする気もなく参加しておいて?貴方だって、自分達の願いの為に必要なら、それこそライダーのマスターとかの年齢くらいだったら殺せるんでしょう?」

 

………確かに、セイバーと共に聖杯戦争に参加すると決めた時から覚悟はしていた。たまから、相手が幼女でなければ、必要とあらばころすことは出来るだろう。でも、それを幼女にさせるというのは……!

 

「……なら、せめて。トドメは俺が。」

「ふーん、別に否定はしないわ、けれどチャンスがあれば私だって魔術師よ、迷わず殺す。それが嫌なら貴方が先にライダーのマスターにトドメを指すことね。」

「あぁ…….そうするさ。」

「それで、話を戻させてもらうわね。なぜ波状攻撃かの3つ目の詳しい理由だけれど、具体的には戦闘を長引かせることで魔力切れと、イリマの精神の疲弊を狙う意図があるわ。」

「ちょっと待ってくれ、そんな簡単に魔力切れになんてなるのか?俺も今まで割と無茶はしてきたがそんな事にはなってないんだが。鎖姫ちゃんが倒れた地下での時も、宝具の連発に加えて鎖姫ちゃん自信が魔術を使いすぎたのが大きいだろう?けれどライダーがそんな宝具を連発する状況なら、サシでの戦いなら負ける可能性の方が高いと思うんだが。」

「貴方のサーヴァント程度の霊格ならそうでしょうね。けれど、ライダーは神霊級……いえ、聖杯で召喚出来た以上神霊そのものではないでしょうけれど、それに近いレベルの強力なサーヴァントと見て間違いないわ。ならば消費魔力もそれだけ大きくなる……私のランサーよると更に、ね。だから可能性はある」

「……なるほど。だが、イリマはそれだけのサーヴァントを召喚して既に扱えているマスターだ、それだけの魔力を賄える実力者ということは無いのか?」

 

実際、あの時の高圧的な態度には実力から来る自信のようなものも見て取れた……気がする。

 

「ええ……その可能性も高いでしょうね。私達の実力じゃ、逆立ちしてもライダーには届かないし、戦闘を長引かせただけでも厳しいと思うわ。だからこそ、マスターの精神の疲弊を狙うのよ。貴方みたいな素人が知ってるかは知らないけれども、魔術師とはそもそも研究者。戦い慣れしてるものの方が少ないわ。それも絶え間ない長期戦となれば、更にね。だとすると判断ミスな気の緩みが生まれてくる可能性もある、そこを狙うのよ。」

「だがその程度の隙、サーヴァントがカバーするだろう?それだけのことが出来る実力者ではあるはずだ。」

「いえ、それは無いわ。ランサーの見立てによると、ライダーは自身のマスターすらも試している節があるみたいなのよね。」

「あぁ、奴らの会話自体も実際ちぐはぐさと言うべきか、息が合ってるとは言い難いものがあった。加えて、俺は生前に神の連中との関わりがあったからな、ああいう手合いに対しても多少は理解があるんだ。あのライダーが試練を与えるものとしての側面を強く持っている半神、或いはそれに準ずるものだと考えれば、自ら隙を潰しに行くとも考えにくいだろう。」

「ってことよ。けれど、それでもか細い糸であることには変わりない。この策が一切通用しない可能性も存在する。それでも、乗る気はあるかしら?ロリコンさん。」

「儂は反対じゃ、ますたぁ。こやつら自身が信用出来ない上に、策自体も万全とは言い難い。組むにはとても値せんじゃろうが。」

 

セイバーのいう事も客観的に見れば、まぁ一理ある。俺からすれば鎖姫ちゃんは幼女だから疑いを持つこと自体有り得ないが、それは向こうからすれば付け入る隙としか思えない程のものだろう。

だからこそセイバー反対するのも分かるし、そのままでは機嫌を損ねるのも仕方ない。つまり、その為にはセイバーを納得させるだけの『理』が必要だ。なので、ここで俺が同盟のメリットを説くことでセイバーに同盟はセイバー自身の願いの為にも必要なことだと納得してもらう必要がある。

『鎖姫ちゃんとは仲間になる』、『セイバーの機嫌も損ねない』、『両方』やらなくっちゃあいけないのがロリコンの辛いところだな。だが、俺の幼女対話力の試される時でもあるということだ。

 

「まぁそう熱くならずに聞いてくれよ、セイバー。さっきも戦って分かったろ?俺たちだけじゃライダーを倒すの相当厳しいぞ?それに怒らせちゃったしいきなり範囲攻撃の宝具とか使われたら対処できないだろ?」

「怒らせたのはお主の失言が原因じゃろうが……」

「し、仕方ないじゃん知らなかったんだから!!そ、それに他に組めるような相手がいるか?アーチャーは初めて見た日以降、全く姿を表さないしマスターもオネエとか怪しいだろあんなん。レアは言わずもがなだしキャスターはサーヴァントすら見てないぞ?セイバーも現状ではそれが最善なんだって分かってるだろ?」

「………まぁ、の。して……本音は?」

幼女(ロリ)の為に行動したい。」

「…………………………はぁ。………もう知らんわ、好きにせい…この阿呆が。」

 

そう、呆れ果てたように溜息をつく。

あれ?機嫌直すどころか呆れ果てられた?

オマケに鉄拳制裁もなしとかマジで見限られてない?ヤバくない?

 

「どうやらそちらのサーヴァントにも納得してもらえたようだし、同盟締結ってことでいいのかしらね?それじゃあ、私達はこれで。連絡は追ってこちらからするわ。行くわよ、ランサー。」

「承知した、サキ。」

 

こちらが半ば呆然としてる間にも鎖姫ちゃんはランサーに抱えられて跳び去っていく。

ーーでも、今はそれよりセイバーだ。

 

「あ、あの……セイバー。」

「………なんじゃ?」

「………ごめんなさい。」

「はて、何がじゃ?」

「勝手に決めて……俺の意思を押し付けて。幼女(ロリ)に、いやセイバーに対して不誠実だった。ごめん、セイバー。」

「……はぁ。謝る必要は無い。儂は好きにせい、と言うたんじゃ。そもそも儂はお主のさぁヴぁんと。自由意思を持つとはいえ使い魔じゃ。マスターに逆らう方が間違っておるのじゃからな。」

 

そう冷たく言い放ったセイバーを見て、思わず心に影が落ちる。

まさか、セイバーがここまで思い詰めてしまうなんて……ちくしょう、俺は馬鹿だ、セイバーに甘えて無意識のうちに軽んじていてしまっていた……

 

「ーーじゃが。お主がそれでも、謝ると。儂に対して出来る限り誠実であろうとしてくれるなら。儂もそう応えよう。」

 

その、セイバーの一言で。思わず顔を上げて飛びつく。

 

「ゆ、許して、くれるのか……!?」

「別に、許すも許さんもないんじゃがの。じゃが、どうしても言うなら1つ。約束してもらおうかのう。」

「する!約束する!指切りげんまんしてやる!!」

「お、おう……そこまで食い気味だと流石にやや引くんじゃが……ま、まぁいい。ならのう、ますたぁよ。ますたぁが幼女好き(ロリコン)なのはもう十分に理解した。じゃが、じゃがの……」

「うん。」

「じゃがの……非常時は別としても、わ、儂を優先するのじゃ……」

「…………え?」

「じゃから!儂を!他の幼子より!優先しろと!言うたのじゃ!」

「……うん。分かった、セイバー。俺は他の幼女より、お前を優先するよ。」

「……うむ、ならさっきの事は許すのじゃ。」

「あ、でも幼女に危険が迫ってるとかだったら例外扱いにしてもらっても……」

「はぁ……まぁ、お主はそういう奴じゃよなぁ……まったく、お主の好きにするのじゃ。」

「ご、ごめんセイバー……」

「何故謝る?もう許すと言ったじゃろうが、それよりとっとと帰るぞマスター。錬土の奴も交えて対策を考えねばな。」

「……ああ!」

 

 




Q:サーヴァントであるセイバーが手を下すこともロリに殺させることに変わりはないのでは?
A:戈咒君はそう考えるのでトドメの一撃をセイバーを使って刺すことを多分出来ません。ですが鎖姫ちゃんはサーヴァントを尊重していてもあくまで人間とは分けて考えているのでその発想には至らず問い詰めることは出来ませんでした。

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