Fate/erosion   作:ロリトラ

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オーズ最終話まで見て、新作もチョロっと書いてたのに嘗てとほぼ変わらないペースで投稿できてしまった……これで筆者が今まで色々言い訳にしてたけど実はサボってただけという事実が明るみに……

これからは更新頑張るので新作の方もよろしくお願いしますね!(誤魔化し)


5日目/醜悪なる食欲

 

「あぁ……やっと、来ましたか。まったく、どいつもこいつも……調理工程を乱しやがって、嫌になる。」

 

そうポツリ、ポツリと呟く六道の左足は先程見た通り失われており、傷口を縛って塞いだ布が血に滲んでいる。

 

「あの闖入者共のせいで全ては台無しだ……だが、だからといって妥協をしていい理由にはならない。せめて、最低限の工程だけは完遂させないと……だからここで殺処分してやる、セイバー。」

 

そう言うと同時に奴の傍に控えていたアサシン達が一斉に襲いかかってくる。

 

だが、しかし。

 

「いくぞ、セイバー!!」

「分かっておる!!」

 

互いに余計な言葉は不要ず。

互いに自分の在るべき姿へと成る。

 

そうして妖刀(セイバー)を腰へ備える。

 

セイバーが認めてくれたのか、それとも必要に駆られてなのかは分からないけれど。

 

セイバーが俺を操るのでなく。彼女が、俺の一振りの刀(サーヴァント)として俺に仕えてくれてる今なら。

今の、俺たちなら。

 

「お前達程度、何人いようが敵にならねぇんだよッッ!!!」

 

鯉口を斬る速度が音を置き去りにしたかのような一閃。

それだけでーー襲い来るアサシン共の霊核は両断される。

 

「さぁ、次はお前の番だ。大人しく地獄へ向かうんだな。」

 

しかし、六道は狂っているからだろうか、笑みを崩さない。

 

「いいえ、いいえ、いいえええ。まだでございます、お客様ァァァ……!!さぁ、君の出番です、アサシンッッッ!!」

 

そう叫ぶと同時に、奴の左肩が赤く光り始め紋様が浮き出る。

 

『ッッーー令呪による強制転移か!!』

 

そして俺と六道の間に魔力の高まりと共に現れるのは今迄よりも多少大柄な、それでいて変わらぬ青白い死人のような皮膚。

その口をくちゃくちゃさせながらそこから覗かせるのは紅い人肉か。

 

アサシン達の生みの親にして、真なるアサシン。

その外道極まる存在が、そこに姿を表した。

 

()()()

 

彼はおもむろに周囲を見回すと。

 

霊核を破壊され、だんだんと消え始めているアサシン達、その斬られた肉体の一部をその手に掴み、()()()()()()

 

「なっ……!?」

「あぁ、悲しい……何故お前達は死んでしまったのだ、愛しい我が子らよ……我が友を守る為にその命を散らしたのか……?よくやってくれた、その命を弄んだこの外道には、父が仇を取ってやる……あぁ、それにしても何より悲しいのは……一番悲しいのは。」

 

な、何を言ってるんだコイツは……?いきなり現れて攻撃をするのかと思ったら家族のはずのアサシン達の死体を食べ始めてる……だと……!?

 

『冷静に考えるだけ無駄じゃ、ますたぁよ。この様なイカレは本当にどうしようもないわ。せめて儂らの手で、介錯してやろう。』

 

そう、この隙だらけの頸に刃を通そうと、腰だめに構えようとすると、口の中のアサシン達を呑み込んだのか、再び言葉の続きを口にする。

 

「なぜ、わが子達は受肉をしてないエーテル体の体なのか。もし生きた肉ならば、より美味であったろうに。私はそれが何よりも悲しい……!!」

 

ーーー最高に、イカレている。

でも、思うところは、もうない。

ただ、一言。

 

「死ね」

 

そう、踏み込もうとしたその時。

 

「おおっと、我が友の大事な食事を邪魔する訳にはいかないな。さぁ、()()()()のお子様がた!食事の邪魔をさせないようにッッ!!」

 

その命を受諾したのか、再び奴の左肩の令呪が煌めく。

 

そして、この地下下水道中に散らばっていたであろう、生きている全てのアサシンの家族達が俺たちとアサシンの間に入り、文字通りの肉壁として俺達を防ぐ……!!

 

「にゃろう……!!」

『ぶつくさする時間はない、やるぞますたぁ!』

「あぁ、限定解放で一気に片付ける!」

 

さっきより数が多かろうが、今の俺達の敵ではない。

 

「宝具・限定解放ーー」

 

魔力を流し込み、再び妖刀(かのじょ)の力の一端を引き出す。

 

「ーーー絶刀・徒花返し!!」

 

抜刀からの横一文字、更に返しながらの縦一文字に合わせて、魔力で編まれた幾本ものの刀身が同様の軌跡を描くことで、賽の目の様にアサシンの家族達による肉壁を微塵への斬り刻む。

 

「……ふぅーーー。」

 

残心を終え、息を吐き、構え直して今度こそアサシンの首を落とそうとしたその、瞬間。

 

「すううううううぅぅぅぅぅ………!!」

 

たった今斬り崩したアサシンの家族達、その残骸をアサシンは一息に吸い込み、呑み込んだ。

 

「な……また……?」

『気にするなよますたぁ、イカレの行動なんて……』

「いや、でもセイバー。流石におかしくないか?この段階で、命のやばいってこの段階でそれはさ。そして何より、六道の奴がちっとも慌ててないのがおかしい。全て計画のうちじゃないのか?」

『馬鹿なことを、味方のサーヴァントの死体を喰らうことに意味なんぞ…………まさか。』

「なにか、心当たりがあるんだな。」

「おや、そちらもやっと気づきましたか?」

 

セイバーからその続きを聞き出そうとすると、六道から声がかかる。

 

「サーヴァントの本質は魂喰い(ソウルイーター)。英霊は人間霊を喰らうことでその霊格を強化出来る。」

 

セイバーが俺の声帯を使って話し出す。

 

「そう、なので私は英霊周りの説明を聞いた時に聞きました。サーヴァントを喰らえば……どうなるか?」

 

んなっっーーー!?

 

「理屈では可能じゃろうて。じゃが、現実的には不可能じゃ。」

「ええ、その通り。だが、アサシンは違う。彼の宝具は食人一族として謳われた自身の家族を霊格こそ低いものの、サーヴァントとして呼び出せる。ならば!それを全て食らえばどうなる?」

「…………」

 

セイバーも、俺も思わず無言になり、その言葉の先を待つしかない。

 

「結論から言えばーーー霊核を無数に喰らえば、霊基は補強できる。だいたい、貴方達は疑問に思わなかったのか?アサシンの家族の中に、彼らを産んだ母親……つまり、アサシンの妻が存在しなかったことに。」

「ーーーまさか。」

「そう、その通り。彼女は私達の契約後、実験の為にアサシンに食べられ、それ以降は再召喚が出来なくなったというだけのこと。」

 

そこまで言うと、一気にまくしたてたからか一息つきながら、六道は言葉を続ける。

 

「だから、ここでこの手段に出る気はなかった。こうすると、アサシン1人で戦い抜かねばなりませんからね。だが、これで。確実に貴方達を殺処分できる!さぁ、アサシン……君の力でねじ伏せろッッ!!!」

 

その言葉と同時に、全ての家族を喰らったアサシンはゆっくりと肉体を震わせる。

 

そして、見る間に高まっていく霊基と共に、全身の肉は膨れ上がり、獣のような四つん這いの姿勢ですら既に背中が地下下水道の天井を破りそうなサイズにまで、巨大化していく。

 

「んなっ………!!」

「さぁ……我が友との夢の為、捻り潰してやろう。」

 





敵の巨大化、これは勝ちフラグですね(特撮脳)

多分3章を日曜朝で考えるならそろそろ9時50分くらい。

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