もちろん某先輩の存在も知ってます、ホモじゃないけどな!(超どうでもいい余談)
ライダーが去ってから凡そ5分後。戦闘音を聞きつけたのか、今更セイバーがやってきた。
そして戻ってくるなり無差別格闘早乙女流奥義、猛虎落地勢……つまり有り体に言うところの土下座で俺に平伏してる訳なんだが……俺はこれ、なんて言えばいいんだ?
「すまぬ、すまぬますたぁ!敵サーヴァントを前にして怒って走り去るなどサーヴァント落第じゃ!!申し開きのしようもない!!」
「お、落ち着けよセイバー。俺はほら、怪我だってしてないし。ただ情報交換しただけだから、さ。ほら顔上げて。」
「ますたぁはそう言ってくれるが、儂は儂を許せんのじゃ!!」
「そうは言っても、気にしてないし、ね?」
「じゃが、儂は…….儂は……!」
このままじゃ埒が明かない。こうなったら、セイバーが程よく何か罰と感じてくれるようなことを、命令した方が早いのか?
でも、そんなことって何がある……?
おれは どうする?
①ハンサムの戈咒君は突如セイバーを抱きしめる。
②セイバーが来てキスしてくれる。
③手を繋ぐ。現実は非情である。
①……弱みにつけこんで命令でそんなことをさせるなどで言語道断、ロリコンとしてあるまじきおこないだ。
②……上に同じ、いや寧ろそれより酷い。論外だ。ロリコンどころか人としてもアウトだそれは。
答え……③
って、なんで俺はこんな脳内選択肢出してんだ……頭がどうにかなりそうだぜ……じゃない、落ち着け俺。ネタに逃げるんじゃない、現実を見据えるんだ……とはいえ。実際に手を繋ぐ、辺りがセイバーにとってはそこそこ屈辱を感じさせて罰を受けた気にさせられて、丁度いい落とし所のような気もする。よし、もう良くわからん!これでいこう!
「よし、セイバー……なら、罰だ。」
セイバーは神妙な面持ちでコクリと頷く。
「ああ、覚悟を出来ておる。如何なることでもこの身を差し出すことに後悔などない。」
「よし、いい覚悟だ。その代わり罰に文句言ったり、それが済んでもまだ文句言うのはなしだぞ。」
「当たり前じゃ。そんなことは了承している。」
「よし……なら。俺と、手を繋いで帰るぞ、セイバー。」
「……………」
あれ?セイバー固まってる?やっぱアレだったか?
「……………へ?それだけ?」
「そ、それだけだけど。何が悪いか。」
「そ、そんなんでは罰にならんどころか寧ろ御褒美ではないか……ダメじゃダメじゃ、もっと別のをじゃな……」
「ダメだ、文句言わないって言ったろ?」
「じゃ、じゃがしかし……」
「しかしも駄菓子もない、ダメなものはダメだ。」
頼むから、呑んでくれ……地味に理性で抑えるのも最近キツいんだから……!
「む、むぅぅぅう……ハメたの、ますたぁ。まぁ、仕方ないわい。全く嫌じゃが、全然嬉しくないどころか触りたくもないが、帰るまで手を握ってやるわい。」
「よ、よぉっし!」
た、助かった……!!
「いや、お主そんなに手を繋ぎたかったのか……儂もちょっとびっくりじゃぞ。」
「あ、いやそう言うわけじゃないんだけど、ま、まぁいいだろ!よし、帰るぞ!」
「う、うむ。」
そうして、2人で手を繋いで自宅へと帰還し。明日に備えて床に着く。
1つだけ、失敗と言えるのは。手を握るくらいなら大丈夫とかなくて、普通に気恥ずかしさで心臓バクバクしっぱなしで。
寝付けたのが朝の5時前になったくらいだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌日の朝。目覚ましの音で目が覚め、ソファから身体を起こす。
本当は今日も学校には行かないつもりだったが、レアが転入してきている以上何をしでかされるか分からない。監視の為にも、いざと言う時守れるようにも、行くかないだろう。
が、その前に。
「朝飯炊かなきゃ……」
いつもなら寝る前に米を研いでおいて炊飯器のタイマーをかけておくのだが、昨日は帰りが遅くすっかり忘れていた。だが、早炊きなら30分ほどで炊ける7時過ぎの今から支度すれば間に合うだろう。
そう考えて立ち上がり、顔を洗うとエプロンをつける。
そして米を研ぎながら昨日のライダー。そして、この身体の中で繋がった
やはり俺の身体を支配するのが目的なのだろうか、しかしこれまでの経験上奴が現れやすいのは俺が生命の危機瀕した時が多かった気もする。セイバーが抑えてくれている結果なのかもしれないが、そうだとするとなぜ奴は俺に力を貸している……?目的がイマイチはっきりしない。セイバーに訊ねれば1発なのだろうが、怒られるだろうし余計な心配をこれ以上かける気にもならない。これは俺が自分でやった事なんだから、自分で責任くらい取らなくては。
と、そう考えているうちに研ぎ汁も大分薄くなってきたので水を釜の目盛りまで入れ、炊飯器にセットし早炊きで炊く。これで後30分後くらいには炊きあがるだろうし、それまでに何か1品……昨日の特売の鯵の干物にするか。それと、目玉焼きくらいでいいだろう。
そういえば、茄子の漬物も賞味期限が近かったはずだし一緒に片付けなくては。
そう考えてまずは冷蔵庫から取り出した干物をグリルに入れて焼き始める。
そして上のコンロで目玉焼きを焼く……前に先程の思索の続きに頭を巡らせる。今焼くと米が炊けるまでに冷めてしまうしそれまで待つとしよう。
ライダー……は、水を操る恐らく宝具の使い手。サイズの変わるサーフボードのようなわ薄いボートのような宝具も持っていたな。今分かることはそれくらいか。あとでセイバーに聞いてみてもいいかもしれない。
そして、この俺の
男の子的には最も重要な問題がまだ残っている。
そう、それは即ち名前。技の名前だ。必殺技の名前というのはそれだけでテンションに影響し強さにも変わるとかどっかの偉い人も言っていた気がする。
シンプルに、
或いは
うーむ、なにかしっくりこない。
ふと、目をやると病院とかでよく配ってるくしゃみするとツボからでてくる魔神だか大魔王だかのイラストが目に入った。
魔神か…まじん、魔ジン……?
……
と、そうこうしているうちにグリルから焼き上がりの音があがる。こうしちゃいられない、目玉焼きをさっさと焼かねば。
個人的な好みとしてはフライパンに蓋をすることで半蒸し焼き状態に仕上げるのが好きなのだが、セイバーのお気に召すかどうか……
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして。セイバーを起こしてきて食事にする。
「ますたぁ、塩胡椒取ってくれんか。」
「え、あ、お前塩胡椒派か。日本系のサーヴァントだし醤油派かと思ってたわ。」
「別に儂は日本系といっても実際に生きてたわけじゃなし、そこまで拘りはないのじゃよ。」
なるほど、そういうものか。
「ところで、ますたぁ、骨取ってくれんかの。」
セイバーは干物から骨をペリペリと剥がすのに慣れてないのか、剥がし損ねて骨が大量に残った干物をみせてくる。
「自分で取れよ……」
「……ダメかのう?」
セイバーは潤んだ目でこちらを見つめてくる。
「あぁもう仕方ないなそれ寄越せ!で、俺の干物は骨もう剥がして抜いたからそっち食べろ!」
「さっすがぁ。ありがとのう、ますたぁよ。」
にっこり笑顔で微笑まれる。もう完全にいいように操縦されてんな俺……!
にしてもそれはいいのだが時間が益々推してく……セイバーはいつかの通り食べるとなれば一瞬でぺろりと平らげるので問題ないのだが俺はそうもいかない。
これから時間の無い朝に魚を焼くのはやめておこう……そう、必死に剥がし損ねた骨を抜きながら思った。
とりあえず書いてて思ったこと……お前ら爆発しろ!
よし、こうなったら戈咒君にはもっともっと苦難を与えてやらねばなるまい……!!