超ぼんやりした構想だけどもルート分岐とかするとしたら多分ここから
「はぁ!?」
ランサーのマスターは俺達が同盟の提案を持ちかけた瞬間、「何言ってんだ、こいつ」って顔で驚いた。
「よく殺そうとした相手にサラッと同盟頼む度胸があったわね……殺されても文句言えないわよ?」
た、確かにそうかもしれない。
だがあんなのを見せられた以上当面の間は敵を減らした方が有利になるのも事実だ。
「ま、まぁそれはそうなんだが。お前も見たろ?あのバーサーカーやアーチャーのバケモノっぷりを。しかもまだまだ奥の手があるような感じだ。そして何よりもあの主催者って言ってたレアだ。アイツを何とかしないとまずいと思う。」
「ふーん、なるほどなるほど。強敵を倒すための同盟ってことね。」
ランサーのマスターは考え込むようにしてから、微笑みながらその答えを返した。
「別に悪くは無いし、メリットの方が多いけど……私はパスね。」
受けるだろうと思っていた同盟の提案が蹴られ、思わず唖然としてしまう。
それに気づいたのか、微笑みを絶やさぬまま彼女は言葉を続ける。
「理由としては私は本気でこの聖杯戦争を最後まで勝ち抜くつもりだもの。それを考えると手の内をこんな早いうちから明かすことになるのは得策じゃないし、時間がある分対策を取られるかもしれない。それが嫌だからよ。それに、訳の分からない理由で剣を下ろされたとはいえ殺されかけたことには変わらないしね。それに、サーヴァントだけを交渉のテーブルにつかせて自身は出てこない、なんて相手を信用できる訳ないじゃない。」
確かに、彼女の言うことには筋が通って……通って……いやまて!?
「ちょ、ちょっと待った待った!俺 マスターならここにいるだろうが!」
「ハァ!?サーヴァントと戦えるマスターなんているわけないじゃない、巫山戯ないでよ。」
いやまぁ確かに彼女の言うことは筋通っているし普通マスターがサーヴァントと戦えないのはそうなんだけども!事実戦ってるんだからしょうがないじゃん!!俺だって戦わずに済むなら戦う気はなかったんだから!
「違うんだって!さっきのは俺の力じゃなくて、俺のサーヴァントの力なんだよ!セイバーのお陰で戦えてるだけで、俺が戦えるわけじゃない。」
しかしその返答は彼女には余計不信感を与えらしく、高圧的に反論してくる。
「はっ、馬脚を表したわね。キャスターならともかくセイバーにそんな高レベルのエンチャント使いがいる訳ないじゃない。」
「いや、エンチャントとかじゃなくてセイバーを俺に憑依させてるというか、なんというか……」
余りにも堂々と言われる為こちらとしてもつい萎縮してしまう。俺が悪いわけじゃないのに………
「ハァ?貴方正気なの?英霊なんて規格外の魂を人間の中に入れたら内から破壊され尽くして死ぬだけじゃない。一升瓶にニトログリセリンぶち込んで振り回すようなものよ?そんなことして爆発しないとか信じられないわ。」
そう例えられると今の状況の頭おかしい度合いが俺にも理解出来た。
けど、うん。セイバーお前そんなこと全く言わなかったよなゴルァ。
『まま、待つのじゃますたぁよ。普通ならそうじゃろうが、儂ってほら英霊もどきだし?どっちかってー精神だけが乗り移ってて魂自体はその刀の方に入ってるわけじゃから大丈夫じゃよ?………多分。』
おいコラお前最後の多分ってなんだおい。
『え、ええい!
あ、話そらしたなコイツ。
『そ、逸らしてなんかおらんわい!』
ふーん、まぁいいや。確かにそうだしお前見せた方が早いな。
そう考えて憑依状態を解除する。
ーーすると、目眩がした。疲れが出たのだろうか。
しかしすぐに意識もはっきりとした為気にせずセイバーを紹介する。
「これで分かったろ、コイツが俺のサーヴァントだ。」
「うそ……こんなことがありえるなんて。」
「まぁ英霊とはえてしてそういうものだろう。規格外の例外だらけだからこそ英雄だと俺は思うぞ、ああ。」
納得しようとしないランサーのマスターをそう言ってランサーが頭を撫でつつ宥める。やっぱりランサーのマスターは丁度いいロリロリしさがあってなかなか………セイバーがこちらを見る目がきつくなった気がするのでこの辺りにしておこう、うん。
「ちょ、分かった、分かったからランサーは頭撫でるのやめて!恥ずかしいでしょ!それはそうとして、ランサーのことどう見てるのか知らないけれど、コイツこのナリで男よ?色目使わない方がいいと思うけど……」
な、なんですとっ!!
い、いやいや落ち着け俺。ここで慌てればロリを見ていたのに男を見ていたなんて不名誉な称号を負わせられかねない。ここは、ハッキリと宣言せねば!!
「俺がランサーに色目なんて使うわけがないだろう。何度も言わせるな、ロリコンだっっ!!今もランサーのマスター、君を見ていただけだ!」
それを聞くとランサーのマスターは一瞬ポカンとして、その後犯罪者を見る目でこちらから遠ざかる。
そんなに避けなくても……嫌がる事はしないのに。
「うわ、気持ち悪いゴメン近づかないでくれる?ほら今日は帰ってあげるから。急ぎなさいランサー、私があのロリコンに襲われてもいいの!?」
「あっ、ちょ……」
声をかけようとするもむなしく、ランサーのマスターはランサーに抱えられて去っていってしまった。名前だけでも聞きたかったのにな………まぁ仕方ない。それにランサーの呼んでいたサキという名前と脳内に記憶してある守掌市小学生女児名簿リストを照らし合わせる。
確か……一昨日読んだ7月版のリストによると、サキという名前の小学6年生は守掌小学校には0人。平斗小学校には2人。ならば後は明日朝方でも学校近くで張っておけば判明するだろう。ふふふ……ロリコンの情報網を舐めるなよ。
「ますたぁ、さっきから因果線を伝って思考がダダ漏れなんじゃが………先に言っとくが、儂は警察に捕まっても助けんからな。」
「なんだ、聞こえてたのか。だが安心しろ、俺はそんなヘマはしない。じゃなくて、そもそも俺は名前を知りたいだけで危害を加えるつもりなんて毛頭無いんだから捕まる道理もないだろう?」
しかしセイバーは怪訝な面持ちで俺に言う。
「儂にはお主の行動をどう見ても捕まる道理しか無いように思えるんじゃが……」
失敬な。これでも俺は紳士だと言うのに。そう言い返そうとして口を開こうとした瞬間、ろれつがまわらなくなり、あしがもつれ、おれのからだは、ちにふせた。
「……!!?お、おいますたぁ!しっかりせい、ますたぁ!!」
セイバーのその舌足らずな声と共に俺の意識は深く沈んでいったーーー
それにしても戈咒君コイツいつ捕まってもおかしくねぇんじゃねぇかな………