Fate/erosion   作:ロリトラ

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これの一つ前の幕間と今回ははじめて他者視点で描いてみたけれど、違和感があれば次回から幕間はまた三人称視点に戻します

あと今回最後に現時点で判明してるランサーのステータス欄を載せました


幕間/人狼蹂躙

ーーーinterludeーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

なんで、なんでこんなもんがここにいるのよ!誰かの使い魔!?いやいや有り得ない!色位クラスの魔術師でも不可能よ、そんなこと!

 

「ランサー!アーチャーはそこから狙える?」

「……いや、無理かな。コイツが邪魔だ。下手に無理すりゃ俺が仕留められる。」

「グッ……あと少しなのにっ!」

「ホント、あと少し。危なかったわぁ。こっちも奥の手を切らなくちゃ行けないかと焦っちゃった。でも、この人狼さんのおかげで助かったわ。紐もついでに切れたし、今夜はこれで引いてあげる。それじゃあね、豊穣神の幼馴染みさん。」

「はっ……なんだい。気づいてたのかよ。」

 

どうやらランサーの真名は気付かれてしまったようだ。とはいえ、宝具を使ったのだからある程度はしょうがないだろう。幸い真名がバレて特別不利になるサーヴァントでもない、早めに倒すことを心がけるだけだ。

 

「なんだ、気づいてるならわざわざ隠さなくても良かったかもね。それとも知っていたの?」

「まさか。あれだけヒントをくれれば誰でもわかるわよ。さて、次会った時こそ決着をつけましょう、繰空のお嬢さん。……いえ、繰空 鎖姫ちゃん。それじゃあね。」

 

そう言うと風破は自由になったアーチャーに乗って、戦闘から離脱していく。

 

「私達も追う……訳にはいかなさそうね。」

「あぁ、どうやら俺らを獲物と定めたようだな。」

 

低い唸り声をあげて人狼がこちらを見つめている。

 

「仕方ないわね……苦しいだろうけど、やるわよランサー!」

「ふっ、この程度。親友(ダチ)の無茶ぶりのがよっぽどだったさ!」

「Grrr……GRRRAAAAAA!!」

 

三者三様の声を上げると同時に人狼とランサーがぶつかり合う。

 

人狼の爪がランサーの頬を裂く。が、浅い。人狼はどうやらアーチャーに比べると膂力は低いようだ。だが、硬い。何らかの加護か何かでイマイチダメージが入らなかったアーチャーとは違い、純粋に筋肉の硬さだ。

 

「今だ、《ケン》!!」

 

人狼の背後、完全に死角からの炎の噴射。しかし、野生の勘によるものか。人狼はそれすら完全にとは言わずとも躱し、距離をとる。

 

「はっ、今のを躱すかよ。ホント野生じみてんなぁ……」

 

ランサーは今の回避の瞬間になぐられたのだろうか。口元の血を拭い。

人狼は火炎の熱によって炙られた左腕を舐める。

そして。体勢を整え、互いに再びぶつかり合うかに見えたその時。

 

 

「あーーーーーー、テステース。」

 

 

この雰囲気をぶち壊し、それでいてまるでやる気のない声が響き渡った。

 

「聞こえるかー、夜中とはいえ駅前でドンパチやらかしてるアホども。せめて結界くらい掛けねぇか。アタシゃ監督役のルキア・ザビーヌだ。以後よろしく。あととりあえず全員武器下ろせ。」

 

そう言って影から現れてきたのは左眼に眼帯をした銀髪のシスターだった。あれが、監督役か。

 

……あの、まぁ、うん。それはそれとしてさ。あのスリットはなんなのよ。チャイナドレス並に開いてるじゃない、何?痴女なの?シスターなのに?

 

「つーわけでお前ら暴れすぎだ。神秘は秘匿するもんなんだろ?だったら今日のところはお開きだ、ほら散った散った。アタシゃ気持ちよく晩酌してる時にいきなり仕事させられてイライラしてるんだ。あんましギャーギャー騒ぐようだとペナルティ与えるぞコルぁ。」

 

な、なんなのよこの監督役。すごい上から目線で、魔術師でもないくせに。

 

「これは私達の戦いよ、貴女にとやかく言われる筋合いはないわ。」

 

つい、そう言い返してしまう。

 

「それならこっちも楽なんだけどなぁ……戦争である以上ルールはあるしこっちも仕事だから監督しなくちゃいけねぇんだよ。ホントはこんなのさっさと終わらせて帰りたい、ホント。」

 

しかもめちゃくちゃやる気無さそうだし。舐めてるの?聖杯戦争を。

 

「そんな理由で中断できるとでも?」

「いいから矛を収めろっつってんだよ。ドゥーユーアンダスタン?」

「っっざけないで!ランサー、いいからあの人狼……を…」

 

そう人狼のいた方を見やると。

既にその姿はなく。

 

「あぁ、アイツなら大人しく引いちまったよ?というか見なよ、ありゃバーサーカーだ。」

「え……え?えーーー!?ちょ、どういう事よバーサーカーって!全然見た目も違うじゃない!というか人狼の英雄とか聞いたことないわよ!?」

「落ち着きなよサキ。大方宝具か何かだろ。」

 

確かに、見た目や姿を変化させる宝具ならアレくらいは訳ないだろう。それにこの場に来た時の騎士然とした姿よりは余程あちらの方がバーサーカーらしい。何を私は動転していたのか。

 

「それよりも問題はだ。さっきのバーサーカーのマスターだよ。見なよマスター、戦闘を収めるためだけに令呪を使ったぜ。悪手だが上手い手だ、マスターの目的を見抜いてこれ以上戦闘させる気がまるでねぇなありゃ。それに、主催者とか言っていた以上、予備の令呪くらい持ってる可能性もあるしな。、」

 

確かに、私の目的は魔術師として恥じない戦いをして勝つこと。令呪まで使ってサーヴァントを引かせた相手に一方的に追撃をしてはそれこそ誇りも何もあったものではない。でも、予備の令呪なんて、卑劣過ぎるわ。と考えても相手に伝わるわけでもなし、証拠があるわけでもなし。仕方ないのかしら。

 

「おー、そうだそうだ今夜はそんなもんで大人しくしとけー。」

 

こちらの悶着が片付いたのを悟ったのか、監督役のルキアは手に持ってた酒瓶の口を閉め、再び声を張り上げる。てかなんなのよアイツ、仕事中なのに酒呑むとか飛んだ不良シスターじゃない!聖堂教会にはもっとまともな人材はいないの!?

 

「うーっし。粗方ケリもついたみてぇだな。そんじゃアタシゃ帰らせて……おい、なんだお前。」

「な、なんです?」

 

先程のセイバーの少年が思わず反応する。

 

「お前じゃねぇよ。というか邪魔だお前どけ。そこのバーサーカーのマスターだ。お前、()()()()()()?」

 

どういえことなの……まさか。あれもサーヴァント?そう言えば、破格の魔術師であるキャスターなら召喚に介入したり別のサーヴァントを使役することも可能という。

 

「いや、マスター。その杞憂はお門違いだろうよ。アイツからはサーヴァント特有の気配が感じ取れねぇ。」

「そちらのランサーの言ってる通り、私はサーヴァントではないわよ?何かと勘違いをなされてるのではなくて?()()()()()()()()()()()。」

 

バーサーカーのマスター……レアと言ったか。レアが砂金のような髪を揺らしつつ反論する。

 

「誰もそんなことは聞いてねえ。アタシが聞きたかったのは死徒かどうかって話だが……今のやり取りでほぼ確信したぞ。テメェ、レアだな?」

「あら、バレちゃったのね。まぁ隠すつもりも無かったし、別にいいんだけど?それにしてもお久しぶりねぇ、その魂の色、覚えてるわぁ。()()()()()()?」

 

瞬間、ルキアから発せられるは、ここにいても明朗に分かる程の怒気。

 

「テメェェェェェェ!!」

 

そして、溢れる赫怒(かくど)のまま、絶叫と共に。レアの顔面にルキアが跳び蹴りを放つ。

しかし、体操選手のような身軽な動きで軽やかにそれを回避し、更には榴弾の如く飛び散ったコンクリートの破片すらも素手で弾き飛ばした。

 

あれが、死徒。私なら強化魔術を掛けたところで捌ききれないどころか、初めの跳び蹴りで頭をふっ飛ばされてるだろう。

 

そしてルキアの攻撃はまだ続く。鋭い蹴撃が幾度となく掠めるものの、完全に中てることは能わず、まるで演舞を見ているような気分にすらさせられる。

 

「どうした、何も出来ねぇのか、いやそんなことはねぇだろうこのクソ野郎!()()()はもっとこんなんじゃ無かったはずだ!」

「やれやれ、あなたが矛を収めろって言ったんじゃないですか。私も帰りたいんだけどなぁ。」

「はっ、死徒なんざ相手に収める矛なんざこちとら持ち合わせてねぇっての!とっとと土に還りやがれ!オラオラぁっ!!」

 

更により鋭くなった蹴りが連続で地面や建築物の壁を蹴り砕きながら逃げ場を塞ぎ、確実にレアを追い詰めていく。

 

「と、ど、めっ、だっ!」

 

そして側頭部に吸い込まれるようなローリングサバットが撃ち込まれる。

 

「気はすんだかい?じゃあ私は帰りたいのだけれども。今日の私はいい玩具(こいびと)を見つけて機嫌がいいんだ、見逃してやるから帰れよ。」

「なっ……ふざけっ、うわぁっ!」

 

そのままレアは片手だけで掴んだ靴ごとルキアを空中に投げ飛ばす。

 

「地面に叩きつけろ、バーサーカー!」

「Graaaa!!」

 

20mはあるであろう高さから頸椎を殴られ叩きつけられる。

 

「受け止めて、ランサー!」

 

咄嗟にランサーに指示を出す。

 

「あいよ、マスター!」

 

キャッチしたのを見て一息つき、周囲を見渡すと既にレアとバーサーカーは去ってしまったようだ。

 

「なぁ……今のヤツらについてお前は何か知ってるのか?」

 

先程人をロリ扱いした巫山戯たセイバーがこちらに問いかけてくる。

 

「そんな訳ないでしょ。死徒の知り合いなんていないわよ。このシスターに聞くのが手っ取り早いんだろうけど……伸びちゃってるわね。」

 

見たところ当分起きそうには思えない。厄介なお荷物を拾いこんでしまったと思わず溜息が漏れる。

 

「まぁ、それはいいわ。で、それだけ?なら私もこのダメ人間を教会に送って貸しを作りたいからもう行きたいんだけれども。それとも、今から続きをするってのなら私もやぶさかでないのだけれど?さっきの侮辱の借りも返してないしね。」

 

そう言うとそのような展開は予想して無かったのか、慌てて顔を振りある意味予想外な提案をしてきた。

 

「俺たちと、同盟を結ばないか?」

 

ーーーinterlude outーーーーーーーーーーーーーーーーー




ランサー
真名:******
属性:中立・中庸
性別:男性
身長:158cm
体重:62kg

基本ステータス
筋力C 耐久B 敏捷A 魔力C 幸運B 宝具A

クラス別スキル

・対魔力:A+++(C) 神霊級のものを含むほぼ全ての魔術を無効化する。第1宝具により底上げされているだけで本来はCランク相当。

固有スキル

・騎乗:A 騎乗の才能。幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。

・ルーン魔術:C 主にして幼馴染みでもあるフレイから幼い頃に習ったもの。フレイに纏わるルーンのみを使う事が出来る。

宝具

******
第1宝具・詳細不明

貪る魔枷(グレイプニル)
ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:1〜5
最大捕捉:1人
フェンリルを捕縛する為に作られた伝説の紐。これで縛られたものは抜け出すことが出来ない。ただし縛られた対象が戒めや枷から抜け出た逸話がある場合はその限りではない。
真名解放をすると魔力を縛られた対象から一定のペースで魔力を吸い取り、ランサーに還元される。
フェンリルを縛った紐のため、獣や魔性のものに対しては効力が強まる。

****
第3宝具・詳細不明

*****
第4宝具・詳細不明

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