Fate/erosion   作:ロリトラ

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サブタイがいつもセンス無さすぎて辛い……もっといい感じの言語センス欲しい……


1日目/シスターズ・キック

…………

 

…………

 

……………………

 

 

……………………………ハッ!

 

俺は、何を。

意識が飛んでからよく思い出せない。何があったんだ、そうだ、バーサーカーは!?

 

『安心せい、ますたぁよ。どうやら、儂の意識(ほんのう)が追いやったようじゃの。今はランサーと戦ってるようじゃ。』

 

そうか……なら、助かったのか。

 

『……目の前のアレを見て、もう終わったと言えるようならの。』

 

言われて前方に意識を向けると、レアがこちらを向いて嗤っている。

 

「まさか、バーサーカーと互角に渡り合うなんて、思わなかったわ。ホントうちの毒聖杯ちゃんは、穴埋め枠にすらこんな掘り出し物を見つけてきてくれるなんて……わくわくしちゃうわ。久々に……()()()()()()()()()()。」

 

そう言ってレアは怪しげに舌なめずりをする。

アレは、危険過ぎる。斬らなくては。

 

『おいおい落ち着くのじゃ、ますたぁよ。その身体、既に限界じゃろうに。ここは引くべきじゃろ。』

 

そんな悠長なこと言ってられるか。アレは早く斬らなくてはいけない。

もういい。セイバーにはこれ以上俺の身体を預けてられるか。

そう思いセイバーと別れて駆け出す。

 

「あいたっ!……お主、まだ抜けきっておらなんだか……止めねば!」

 

セイバーが後ろから止めようと付いてくるが関係ない。ここで一気に叩き斬るーーー!!

 

「だから。残念だなぁ、これで終わりだなんて。」

 

何故だ。何故。俺は確かに身体が動く通りに袈裟斬りにした、なのに。

死なない、どころか。肉が刀に食らいついてるなんて。

 

「上級死徒がその程度で死ぬ訳ないじゃない。それじゃあ、さよなら……!?」

 

と、それまで笑みを浮かべていたレアの顔が突如驚愕に染まる。まるで有り得ないものを、それこそ死者が立って歩いているような奇跡を目にした人間の如くに驚きを顕にする。

がしかし、それも束の間。すぐに納得を見せ、理解を言葉にする。

 

「どういうことなの、私が貴方の身体を浸食出来ないなんて……そう。貴方他の毒に(ひた)されてるのね。なんて面白いの、そんな風に私から逃れた人はいなかったわ!うふす、気に入っちゃった、貴方。私の《子》になりなさい?」

 

そう、金色に煌めく視線で。蕩ける様な声色で問いかける。

確かに、こんな可愛い娘にならーーー

 

「ゲブゥ!?」

 

ーーッッ!?

痛っ!腹蹴られたぞおいっ!

 

「何を甘言に乗せられようとしとるのじゃこのバカますたぁはッ!!そしてそこの主催者よ!この男は儂の贄じゃ、誰にも渡さんッッ!!」

 

そう、セイバーは力強く言い放った。

今ので目が覚めた。そうだ、俺は、何をしているんだ。こんな見た目だけで、匂いがBBAの偽ロリに拐かされるなんて、ロリコン失格じゃないか。

 

「ふーん、そう。でも、君のマスターはどうかしら、ねぇ。」

 

こんなにロリに言わせて応えないなんて、漢じゃない。

ーーだから、拒絶する!

 

「ーーー断る!生憎俺は、お前みたいなBBAの臭いのするロリに興味はねぇ!」

「なーー」

 

レアは驚愕の後、喜悦に(かお)を歪めて、嗤う。

 

「ーーーハハハハハ!!ホント面白いわね貴方!ますます《子》に欲しくなってきたわ……」

 

そう、レアが再び怪しげに笑みを浮かべたその瞬間。

 

 

 

「あーーーーーー、テステース。」

 

 

この緊迫した雰囲気にそぐわぬ程気の抜けた、やる気のなさが滲み出る声。

 

「聞こえるかー、夜中とはいえ駅前でドンパチやらかしてるアホども。せめて結界くらい掛けねぇか。アタシゃ監督役のルキア・ザビーヌだ。以後よろしく。あととりあえず全員武器下ろせ。」

 

監督役と名乗る銀髪のシスターが、俺たち全員を見下ろすように、公園中央の噴水に立っていた。

 

そして指示通り目の前のレアが戦闘の気配を無くしたのを見て、俺らも厳戒態勢を解く。

 

そうしたのを感じ取ったのか、気怠げに口を開く。

 

「つーわけでお前ら暴れすぎだ。神秘は秘匿するもんなんだろ?だったら今日のところはお開きだ、ほら散った散った。アタシゃ気持ちよく晩酌してる時にいきなり仕事させられてイライラしてるんだ。あんましギャーギャー騒ぐようだとペナルティ与えるぞコルぁ。」

 

しかしその言い草がランサーのマスターの気に入らなかったのか、彼女が口論を始めるが、自身のサーヴァントと監督役に説き伏せられていた。

そうそう、サーヴァントってああやってマスターを諌めてくれるような立ち位置がきっと正しいんだろうなぁ。

間違ってもこんなパンケーキ食べまくる外れロリ、縮めてハズロリじゃないはすなんだ。お、なんかハズロリって略すと恥ずかしがってるロリみたいでそう考えるとなかなか……うむむ。

 

『頼むからもう少しシリアスを続けられんのか、お主は……』

 

セイバーが呆れたように、そして諦めたように心内で呟いてくる。

だって、しょうがないじゃないか。俺はロリコンなんだからさ、うん。

 

「おー、そうだそうだ今夜はそんなもんで大人しくしとけー。」

 

そうこう思考してる間に向こう側のやり取りにもケリがついたみたいだ。

やれやれ、漸く帰れるのか……

 

「うーっし。粗方ケリもついたみてぇだな。そんじゃアタシゃ帰らせて……おい、なんだお前。」

 

と思ったのもつかの間、監督役のシスターが突如俺に質問を投げてきた。

まさか、何かやらかしてしまったのか!?

 

「な、なんです?」

「お前じゃねぇよ。というか邪魔だお前どけ。そこのバーサーカーのマスターだ。」

 

そう言われて慌ててレアと距離を取る。そうだ、今まで何あんな近距離でらのうのうとしていられたんだ。

そして、俺が離れたのを確認するとレアに向かって再度問いかける。

 

「お前、()()()()()()?」

 

しかし、その不安は杞憂に終わり。代わりに横にいるレアへとこの場全員の意識が注がれる。

確かに、コイツは人間ではないだろう。だが、なんなんだ?

 

「そちらのランサーの言ってる通り、私はサーヴァントではないわよ?何かと勘違いをなされてるのではなくて?()()()()()()()()()()()。」

 

バケモノ地味た聴覚でランサーの呟きを聞き取ったのだろう。

それにサーヴァントでないことなんて、近くでこのキモチワルサを感じれば誰にでも分かる。

しかし、ルキアは怒りを滲ませながら言葉を続ける。

 

「誰もそんなことは聞いてねえ。アタシが聞きたかったのは死徒かどうかって話だが……今のやり取りでほぼ確信したぞ。テメェ、レアだな?」

 

その問いかけに対し、いけしゃあしゃあと答えるレア。やはり何らかの因縁があるのだろうか。

 

「あら、バレちゃったのね。まぁ隠すつもりも無かったし、別にいいんだけど?それにしてもお久しぶりねぇ、その魂の色、覚えてるわぁ。()()()()()()?」

 

「テメェェェェェェ!!」

 

その台詞は彼女にとって、きっと禁句だったのだろう。羅刹の如き怒りの形相を顔に刻ませながらルキアが全力で跳び蹴りをレアの顔面に打ち込む。しかし、それをレアはなんとなしに躱し、外れた蹴りが砕き弾いたコンクリートの破片を全て叩き落とす。

しかし彼女の猛攻は止むことなく連続で襲いかかる。

あの足技は……そうか、サバットだ。昔テレビで見たのとは少し違う気もするが大別的にはきっと同じようなものだろう。

ルキアは流れるような連続技を組み合わせ、確実に追い込んでるように見える。しかし、ただ追い込まれているとはとても思えないし、あの偽ロリは何が目的なんだーー!?

 

「どうした、何も出来ねぇのか、いやそんなことはねぇだろうこのクソ野郎!()()()はもっとこんなんじゃ無かったはずだ!」

「やれやれ、あなたが矛を収めろって言ったんじゃないですか。私も帰りたいんだけどなぁ。」

「はっ、死徒なんざ相手に収める矛なんざこちとら持ち合わせてねぇっての!とっとと土に還りやがれ!オラオラぁっ!!」

 

そしてレアは公園の端にまで追い詰められる。後ろは駅ビルであり、逃げ場はない。まさか駅ビルに穴を開けて逃走なんて事が出来れば別だが幾らバケモノ地味てるとはいえ、耐震工事をしたばかりの鉄筋コンクリート建造をぶち壊すのは難しいだろう。

 

「と、ど、めっ、だっ!」

 

そして、ルキアが顔面に今までで最も鋭い爪先の一撃を撃ち込むーーーー!

 

 

しかし。

レアはそれを何気ないことのように片手だけで受け止めていた。

なんつーバケモノだよ、コイツ……

 

「気はすんだかい?じゃあ私は帰りたいのだけれども。今日の私はいい玩具(こいびと)を見つけて機嫌がいいんだ、見逃してやるから帰れよ。」

「なっ……ふざけっ、うわぁっ!」

 

そう言い放ち、片手で掴んだ靴ごとルキアを上空に投げ捨てる。あれじゃ受け身をとれてもダメージを受けるぞ!?

 

しかしそれだけでなく、完全に止めを刺す気なのだろう。レアはバーサーカーに追い討ちの命令をする!

 

「地面に叩きつけろ、バーサーカー!」

「Graaaa!!」

 

が、しかし。それは流石に見咎めたのか。

 

「受け止めて、ランサー!」

「あいよ、マスター!」

 

ランサー主従が受け止めていた。

何とか、人死には出なかったようだ。これ以上面倒事には関わりたくないし、よかったよかった。

そう考えていると、レアがこちらを再び見て可憐(じゃあく)に微笑む。

 

「それじゃあ、また会いましょう。今度こそ《子》にしてあげる。」

 

そう言うとレアはバーサーカー共に霧のように消え去ってしまった。

アイツらは何なんだろうか……何やらの因縁があるらしいあの監督役か、魔術師のマスターであろうランサーのマスターに聞くのがいいのかもしれない。それに、ランサーのマスターには1つ言いたいこともある。

 

そうして彼女らの下へとかけやり、声をかける。、

 

「なぁ……今のヤツらについてお前は何か知ってるのか?」

 

しかし彼女は心外と言わんばかりに返答する。

 

「そんな訳ないでしょ。死徒の知り合いなんていないわよ。このシスターに聞くのが手っ取り早いんだろうけど……伸びちゃってるわね。まぁ、それはいいわ。で、それだけ?なら私もこのダメ人間を教会に送って貸しを作りたいからもう行きたいんだけれども。」

 

彼女は自身のサーヴァントの腕の中で気絶しているルキアを蔑むよう見つつも連れていくようだ。

貸しを作るという理由があるとはいえ、根はそんなに悪人ではないのかもしれない。魔術師はおっかないのばかりと聞いていたがこれなら、頼むのも悪くない。

 

「それとも、今から続きをするってのなら私もやぶさかでないのだけれど?さっきの侮辱の借りも返してないしね。」

 

と、そう考え込んでいるといつの間にか物騒な話になっていた。折角安全に話が出来ると思ったのに早速剣呑な雰囲気になりかけてるとか危ない。いや、俺の発言が原因だけども、うん。

とはいえこちらに戦う意志はないし、会話の流れを変えるためにもここで持ちかけるのが一番いいだろう。

そして、一呼吸。

 

「俺たちと同盟を結ばないか?」

 

そのように俺は、ランサー陣営との同盟を持ちかけた。

 


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