イッセーのギフトが判明します!!
そこから先は圧倒的だった。
「遅いよ!」
「くそ、こいつ神器使いか!?」
「光が、喰われる!?」
木場が光の剣を消滅させながら、敵を切り裂く。
「えい」
「ぎゃああ!? こいつ強いぞ!!」
「なんて怪力だ!!」
小猫ちゃんも素手で殴り飛ばすわ、その辺の像をつかんで投げるわと大暴れ。
すげえ、二人ともむちゃくちゃ強い!?
「こんなんでも、せいぜい中級悪魔程度なんだぜ?」
と、恐ろしいことを部長は言ってくれる。
おいおい、どんだけインフレな世界なんだよ。
これで中級って、それじゃあ上級クラスはどんな化け物なんだ!?
と、思ったら素直に見せてくれました。
「オラオラぁ!? 白髪神父はどこにいやがる? イッセーボコったお礼参りだ、アァ!?」
小猫ちゃんもびっくりするぐらいの大暴れっぷりで、はぐれ悪魔祓いをふっとばしていく。
うわぁ、同情しちゃうぜ。小猫ちゃんに殴られた連中は内出血程度だけど、あれ完璧に骨が折れてるよ。
「部長は基本、戦闘時は数百キロ程度で暴れてるんだ。十分凶器だよね?」
「あれが、機動力も維持できるバランスだそうです」
おお、そりゃすごい。
なんかこれ、俺の出番なくね?
「っていうか急いでください」
と思ったら、小猫ちゃんにケツを蹴られてしまう。
「その通り! ここは僕たちに任せて、君はアーシアさんという人を助けるんだ!!」
木場も、俺をかばいながら道を切り開いてくれる。
そして、無双状態の部長が発破をかけた。
「露払いは任せときな! ほら、さっさと助けに行けよ王子様!!」
部長、皆・・・っ
ああ、そうだ。
俺が助けるって言ったんだ。だったら俺が行かないでどうするんだ!
「・・・行ってきます!!」
俺は、全力でアーシアを助けに突貫する。
「この・・・クソガキがぁ!!」
レイナーレは光の槍を投げるが、そう簡単に喰らうかよ!!
俺は素早くかわしながら、一気にレイナーレに突撃すると警棒を振り下ろす。
それを、レイナーレは槍で受け止めた。
つばぜり合いをしながら、俺たちはにらみ合う。
「惚れた女に彼女ができたと思ったら、告白してきた女は殺しに来るし、挙句の果てに知り合った可愛い子は殺されそうとか、なんだ俺の人生は! 女難か今年は!!」
「だったら悲観して死んでなさい! 本当に迷惑よ!!」
くそ! さすが中級堕天使、身体能力も高い!!
このままだと力押しで押し切られるぞ!? マジやばいんだけどどうする!?
「イッセー! 駒をプロモーションさせろ!!」
ついに堕天使と戦闘しながら、リアス部長が俺に叫ぶ!!
「兵士の駒で転生した奴は、能力を変更できる!! 女王は無理だが戦車なら・・・!」
え、マジで!? そんなことできるの!?
おっしゃあ! だったらやってやるぜ!!
「プロモーション、
そのとたん、俺から力が沸き上がる。
このまま勢いで押し切れるか!
「なめるなクソガキぃ!!」
と、思ったその瞬間にレイナーレは空を飛ぶ!
あ、まだ俺飛べないのに!!
「ハッ! 堕天使の戦闘は空中戦が基本! 飛び方もまだわからない屑悪魔に、私を殺せると思ったのかしら!?」
そういいながら、レイナーレは俺に向かって光の槍を連続して投げつける。
っていうか、このままだとアーシアに当たる!?
俺は警棒を使って何とか防ごうとするが、まったく防げず足を貫かれた。
「・・・ぐぅ・・・っ!」
ちっ! マジで痛いな、これは!
「これでも中級堕天使のなかじゃあ、光の密度は高い方なのよ。さあ、これで終わりよ?」
そういいながら、レイナーレはかなり全力で光の槍を形成し始める。
まずい、このままだと一撃で終わるぞ!?
「イッセーさん! 逃げてください!!」
後ろでアーシアが叫ぶが、それは聞けない相談だ。
「馬鹿だなぁ、アーシア」
「え?」
逃げるだなんて選択肢。俺には全くないんだよ。
当たれば死ぬ? ああ、確かにそうだ。
だけどよ―
「ここでアーシアを助けなかったら、俺は一生後悔する。・・・そんなもん、一つだってごめんだね」
俺の前の人生、振り返れば後悔ばかりだ。
知らなかったとはいえ、俺は生きてるなんて一つも言えない人生だった。何も知らない道具としてしか生きていなかった。
ああ、正直本気で後悔する人生だったとも。
そんなもん、一つたりともおれのこんどの人生に入らねえんだよ!
ただでさえ、降られることすらできなかったことですでに後悔してんのによぉ!!
「助けられないなんて、そんな
ああ、それだけは絶対にないんだよ!!
そして、それに俺の力は応えてくれた。
俺様は、その時同類の覚醒に心底心から感動した。
突如、イッセーの持っている警棒が黒いオーラに包まれた。
さらに赤い血管のようなものが浮かび上がり、半ばから砕けた警棒を覆っていく。
「ようやくか、ようやくなのか」
あまりの感動に周りが見えない。見えないが襲い掛かってくる堕天使はとりあえず殴っておく。
無粋な真似をするんじゃねえ。俺は今、心から喜んでるんだ。
ああ、まったく。遅かったじゃねえか。
「やればできると思ってたぜ! やったじゃねえか、イッセー!!」
さあ、やっちまえ。
異世界侵略の尖兵なんてふざけた仕事用の力なんだ。
中級堕天使ぐらい屁じゃねえだろ!!
「・・・暴れるぞ、
静かに言葉を告げ、イッセーは光の槍を迎え撃つ。
まあ、普通なら防ぐ余裕なんてねえんだが、イッセーはあっさり弾き飛ばした。
「・・・なっ!? なんで私の槍を―」
驚くのはそこだけじゃねえぜ、レイナーレ。
ワールマターのギフトは、基本的に最低限の使い方を教えてくれる。
発動した瞬間に、最低限の戦闘は可能なんだよ!!
「木場ぁあああああ!! その辺に堕ちてる拳銃投げてくれ!!」
「え? あ、これね」
いわれるままに祐斗が投げた拳銃をつかみ、イッセーは即座に狙いを付ける。
仮にも少年兵なら銃の扱いにはなれている。この距離なら外さない。
まあ、中級堕天使には光の拳銃なんてちゃちな威力しかねえんだがな。レイナーレもそれはわかってるのか安心している。
だが、今のイッセーは普通じゃねえ。
「グッバイ! 俺の初デート!!」
その言葉とともに放たれた光の弾丸が、一発でレイナーレの翼を打ち抜いた。
「・・・そ、そんな馬鹿な!?」
翼を打ち抜かれたことで、レイナーレは地面に墜落する。そして驚愕の事態にレイナーレは動けない。
その隙を逃さず、イッセーはすぐに走り出した。
「・・・これからアーシアは俺のモノだ」
おお、感情のままにすごいこと口走ってやがるなアイツ。
だがまあ、それでこそ悪魔ってもんだ。
おめでとうイッセー。今このタイミングで―
「―お前になんか渡さねえ!!」
―お前は真の意味で転生悪魔になったんだぜ?
騎士は徒手にて死さず。
手に持ったものを自分の宝具にして使用できる宝具。ランクが無かったりしたものはDランク相当として扱われるが、高ランクの宝具の場合はランクをそのままにして運用することができる。