異世界侵略 ~転生者たちが侵略す~   作:グレン×グレン

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狂人神父 ~外道の悪魔祓い~

 

 リアス部長が言うには、ワールマターは俺たちに力を与えたらしい。なんでもギフトとか言うそうだ。

 

 それはこことは違う異世界の特殊能力などを、ワールマターの力で再現させたもの。その再現度はかなり近いらしい。

 

 それがどういうものかは自分で試してみないとわからないが、リアス部長はその能力を覚醒させていた。

 

 リアス部長が持っているのはキロキロの実。

 

 どっかの異世界で生えている悪魔の実とか言うものを模倣した能力だそうで、自分の体重を1キロから10000キロの間で自由に操作できるようだ。

 

 今の段階だと操作速度に限界があるみたいだけど、それでものしかかられたら大変なことになりそうだ。

 

 っていうか、俺の場合神器がどういうものかもわからないんだよなぁ。そこからさらにギフトの能力まで調べなきゃいけないんだから大変だ。

 

 と、思いながら俺は次の依頼人の家にまでたどり着いた。

 

 そして、すぐに異常事態に気が付いた。

 

 ・・・これは、血の匂いか!?

 

 何か起こってると判断して、俺はすぐにドアをけ破って突入する。

 

 そして、手近にある部屋に入って手遅れだって気が付いた。

 

「・・・クソッ!」

 

 そこにあるのは、ずたずたに切り裂かれた死体。

 

 しかも、流れ出た血で文字まで書いてある悪趣味さだ。

 

「誰だ、こんなことしやがったのは・・・。なんでこんなひどいことを―」

 

「そりゃ当然。悪魔なんかと仲良くするようなクソッタレはお仕置きですよー」

 

 と、後ろから能天気な声が聞こえて俺は振り向いた。

 

 そこにいるのは白髪の神父。だが、眼を見ればすぐにわかる。

 

 この野郎、徹底的にいかれてやがる。殺しを楽しんでる手合いの眼だ。

 

 ・・・遠慮をしている暇はない!

 

「オラ!!」

 

 躊躇することなくケリをぶちかまし、しかし神父はあっさりとかわす。

 

「おいちょっとちょっと! ここはこの天才神父フリード君の自己紹介を聞くところでしょう! なんなのこの悪魔! 人の話を聞きなさいって!」

 

「お前の名前なんて覚えたくもねえよ!」

 

「そりゃどうもー。あ、俺もあんたの名前なんて聞きたくないしすぐ殺すからいいよっと!」

 

 というなり、フリードとか言う神父は光でできた剣を取り出すといきなり切りかかる。

 

 チッ! こいつ、場慣れしてやがるな!

 

 俺は素早くかわすと、いったん距離をとってリビングにある置物を手に取る。

 

 切り結べば切り裂かれる気もするけど、鈍器ができるのはなかなかに有効なはずだ。

 

 と思ったがとっさに横に飛ぶ。

 

 足に激痛が走るが、すぐに体勢を整えた。

 

 大丈夫、かすり傷だ。

 

 見れば、フリードの手には拳銃があった。

 

 あれで俺を撃ったのか? 特に銃声は聞こえなかったぞ?

 

「へっへっへ。光の弾丸は結構きくだろう~? そのまま動かないてくれれば、簡単に殺せるんだけどねーっと!」

 

 そのままフリードは俺に切りかかる。

 

 チッ! 何とか逃げたいところだが―

 

「キャァアアアアア!?」

 

 と、俺たちは悲鳴で戦闘を中断する。

 

 隙を見て距離をとった俺の視界に、一度見かけたシスターの姿が映った。

 

 あれは、アーシア!?

 

「こ、これは一体!?」

 

 顔を真っ青にするアーシアを見て、フリードはにやにやと面白そうに笑い始める。

 

 この野郎、アーシアが恐怖に震えてるのを見て楽しんでやがる。

 

「おんやー? アーシアちゃんは死体見るの初めて? これはねー、クソ悪魔なんかにお願い事しようとした糞人間だよー。アーシアちゃんもしっかり殺してあげましょうねー?」

 

「な、なにを言っているんですかフリードさん! ひ、人を殺すなんて!?」

 

 顔を真っ青にさせているアーシアをかばうため、俺は割って入った。

 

 これ以上いかれ神父のいかれ発言を聞かせる必要はないだろう。そんなものは必要ない。

 

「アーシア。すぐに走って逃げろ」

 

「え? でもイッセーさん―」

 

「いいから走れ!! 足手まといだ!!」

 

 残酷なことを言うが、今アーシアをかばっている余裕はない。

 

 アーシアもそれはわかっているのか、涙を浮かべながらもうなづいた。

 

「すぐに、すぐにレイナーレ様を呼んできますから!!」

 

 そう言って、アーシアが走り出す。

 

 それを追わせないために立ちはだかった俺だったが、フリードは面白そうに笑うだけだ。

 

「うひゃひゃひゃひゃ! 馬鹿だねー。これはレイナーレの姐さんに許可取ってるんだけどぉ?」

 

 マジかよ。アーシアの奴騙されてるんじゃないのか?

 

 こりゃ、少し本気出した方がいいかもな。

 

「もういいよ。お前黙れ」

 

 素早く顔面に拳をたたきつけようとする。

 

 フリードはそれをかわすと切り裂こうと剣をふるう。

 

 俺はそれを交わしながら、俺は何とか反撃の機会をうかがう。

 

 こいつ、割とセンスがいいな。この調子だと押し切られるかもしれない。

 

 だが距離をとられると銃で襲われる、これはきついな。

 

「ほらほら死ねよ、ほら死ねよ! すぐ死ねよ!」

 

「ぎゃーぎゃーやかましい。お前が死ね」

 

 さすがに、ここは殺しに行った方がいいんじゃないか?

 

 できれば殺しはしたくないが、はぐれ悪魔の始末とかもある。ここらで殺しの覚悟を決めた方がいいような気もしないでもない。

 

 ここは気合を入れた方がいいな。

 

 ・・・・・・・・・あ。

 

「・・・武器持ってない!?」

 

 すっかり忘れてた! 俺武器ないよ!?

 

「うひゃひゃ! お前さん、悪魔のくせに魔力使えないのー? だっさ!プークスクスー」

 

 この野郎ぅうううう!!

 

 このままだとまずい、マジでまずい!!

 

 いや、素手でも戦闘はできるけど、それでも武器持ち相手にこれはまずい!!

 

 うぉおおお! だ、誰か助けを呼びたいけど、そんなことさせてくれるわけがねえ!?

 

 どうしたもんかと心の中で頭を抱えたその時、魔法陣が出てきて光り輝いた。

 

「な!?」

 

「あ、くそ! 増援来ちゃったよコレ!!」

 

 フリードが舌打ちしてこっちに急いで切りかかるが、魔法陣から飛び出た影がそれを受け止める。

 

「大丈夫かい、イッセーくん」

 

「木場ぁ!!」

 

 木場が、剣をもって俺を助けに来てくれた!?

 

「・・・お待たせしました」

 

 そして小猫ちゃんがその辺のソファーをもって同じく助けに来てくれた!!

 

 おお、なんか感動!!

 

「チッ! 悪魔のくせに友情のお助けモードとかマジむかつくんだけどねぇ」

 

「それはどうも。僕も悪魔祓いは基本的にイラつくからお互い様さ」

 

 フリードの軽口に木場もさらりと毒を吐く。

 

 そしてにらみ合いが続く中、堂々と胸を張る女傑の姿が!!

 

「おう、俺の下僕が世話になったじゃねえか?」

 

 おお、リアス・グレモリー部長!

 

 すっげぇ頼もしいぜ!!

 

「人の下僕に手を出して、ただで済むと思ってんのか、ああ?」

 

「うっわぁ。外見はお姉さんなのに中身は姉御だよこの人。怖っ」

 

 フリードはそういいながら何かを取り出す。

 

「まあいいや。んじゃ、この辺でサヨナラバイバーイ!」

 

 そういいながら取り出した何かを地面にたたきつける。

 

 と、一気に閃光が放たれた。って閃光弾!?

 

 俺は後ろに下がって攻撃を警戒しながら、そして警戒する。

 

 ・・・光が消えたとき、すでにフリードの姿はいなかった。

 

 と、とりあえずは大丈夫ってことか・・・?

 

「悪かったなイッセー。まさかはぐれ悪魔祓いが出てくるとは思わなかったぜ」

 

 苦い表情を浮かべながら、部長は俺の頭をなでる。

 

「ここは俺様の領地だから警戒すると思ったんだがな。・・・とりあえず、無事で何よりだ」

 

 ああ、何とか今回は切り抜けた。

 

 切り抜けたけど―

 

「―アーシア」

 

 アーシア、大丈夫なのか?

 


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