異世界侵略 ~転生者たちが侵略す~   作:グレン×グレン

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龍の影 ・・・え、そっち!?

 

 つっても、俺の悪魔人生はいろいろと大変だった。

 

 ・・・だって、まず転移できないんだぜ?

 

 悪魔は契約した相手の元に行くために、魔方陣を使って転移するんだと。

 

 で、俺は魔力不足で転移できず、自転車で行く羽目になった。

 

 そして依頼には失敗した。

 

 ・・・厳密にいえば、依頼を遂行した場合、依頼人が死ぬことが発覚した。

 

 仕方ないので馬鹿話を朝までしたが、結局依頼をかなえられなかったことに変わりはない。

 

 そして次の夜だ。俺は新たな依頼人の元に向かうことになった。

 

 ・・・漢の娘としか言いようのない人がいた。

 

 ミルたんを名乗る魔法少女の恰好をした人は、異世界に行ったけど魔法少女になれなかったから魔法を教えてくださいといってきた。

 

 ・・・電話したけど、今から魔法使いを呼ぶ暇はないといわれてしまった。魔法使いがいたってことに驚きだよ。

 

 仕方がないので魔法少女アニメを一緒に見た。うん、最近の魔法少女アニメって大人でも楽しめるんだ。すっごい燃える展開がいっぱいで楽しかったし、振り付けの練習もした。

 

 この国娯楽がいっぱいあっていいよ。少年兵時代は娯楽なんて無縁の世界だったもん。

 

 で、今回も人気は抜群だったけど結局依頼はできなかった。

 

 ・・・俺、どうしたら依頼を遂行できるんだろう。

 

 などと考えながらぼけーっとしていると、そこに女の子が一人いた。

 

 どうも道に迷っているようだ。この辺なら詳しいから、声をかけるべきなんだと思う。

 

 だけど、どうしてもそれができない理由があった。

 

 だって、シスターなんだもん!

 

 シスターってあれだよね? 教会の人だよね!? まさかこんなところでコスプレだなんて落ちはないよね!?

 

 うん、逃げよう。逃げないと殺される。

 

 そう思って逃げようとしたが、それより早く女の子はスッ転んだ。

 

「ちょ、大丈夫!?」

 

 あ、ヤベ。

 

 思わず声かけちまった。

 

「あ・・・言葉、わかるんですか?」

 

 と、そのシスターは俺に期待のまなざしを向ける。

 

 そういえば、この子どう見ても外国人だ。どうやら日本語がわからないらしい。

 

 悪魔はどんな国の言葉でもわかるようになるっていうし、それを実感できるなこれは。

 

 えっと、でもこれは、俺が悪魔だって気づいてない?

 

 ・・・よし。少し相手をしたらすぐに逃げよう。

 

「えっと、俺は兵藤一誠っていうんだけど、アンタは?」

 

「あ、申し遅れました。アーシア・アルジェントっていいます」

 

 と、そのシスターはお辞儀をした。

 

 どうやらこのあたりの教会に赴任するそうなんだけど、道がわからなくなったらしい。

 

 しかも、どうやら神器を持っているようだ。さっき怪我した男の子を直していた。

 

 でもどうしたもんか。

 

 このままいくと、俺、教会についちゃいそうなんだけど・・・。

 

「あれ? どうしたのよイッセー」

 

 と、そこに一樹が通りがかった。

 

「お知合いですか、イッセーさん」

 

「ああ、あたしはこの馬鹿の姉貴分よ。・・・どうしたのさ、イッセー」

 

「え、あ、えっと・・・」

 

 やべえ、どう言い訳したもんか。

 

「イッセーさんには道を教えてもらっていたんです。ここの教会に赴任する予定だったんですが、道に迷ってしまって」

 

「・・・あーそういうこと。馬鹿イッセー、アンタ学校あるでしょうが」

 

 はい、その通りです。大学生だから余裕のある一樹さん。

 

 と、一樹はアーシアの手を取るともう片方の手をひらひらと降った。

 

「ほら、さっさと行きなさい、あとはあたしがやっとくから」

 

「お、おう! 助かったぜ一樹。じゃあアーシア、俺はこれで」

 

 これ幸いと俺は逃げることにした。

 

 うん、このままだとやばいもん。天使に襲われたりしたら大惨事だよ。

 

「あ、イッセーさん!」

 

 と、アーシアが呼び止める。

 

「・・・また、会えますか?」

 

「・・・縁があったら、また会おう」

 

 俺は、そう答えるしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危ない危ない。下手したらイッセーが天使に殺されるところだったわ」

 

「・・・? 何か言いましたが、一樹さん」

 

「え? あ、ごめんごめん独り言独り言」

 

「ならいいんですけど。・・・あ、でも一樹さんもフランス語わかるんですね」

 

「え!? あ、えっと大学でちょっとかじってるのよ!」

 

『・・・無理があるだろう、相棒』

 

「あれ? いま男の人の声が」

 

「き、気のせい気のせい!! この辺家で大声出す男が多いからそのせいでしょ!! ・・・ちょっと黙ってなさい、馬鹿龍」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういうことがあったんです。マジすいませんでした!」

 

「ったくこの馬鹿イッセー。せっかく駒を与えてやったってのに、真価を発揮することなくくたばるところだったじゃねえか」

 

 ふいー、とため息をつく部長。冷や汗まで浮かんでいる。

 

「危なかったねイッセーくん。あいつらは信仰のためとやらをお題目に何をするかわからないから、連れて言ったとたんに集中砲火どころかそのシスターすら巻き添えにするかもしれない」

 

 と、木場が苛立たしげに吐き捨てる。

 

 いや、悪魔と教会が敵対しているのは当然なんだけどそこまで言うのかよ。

 

「教会は、敵です」

 

 と、小猫ちゃんが嫌そうに告げる。

 

 どうにも相当嫌われてるようだ。さすがは悪魔。

 

「まあ、ワールマターがいつ仕掛けてくるかわからねえ以上教会とやり合う気はねえんだがな。むしろ和平とまではいわねえが、本格的な停戦条約は結んでくれねーかな」

 

 と、部長はふいーっとため息をついた。

 

 だよなぁ。ワールマターがどれだけの化け物なのかはわからないけど、たぶん悪魔だけでどうにかできるほど甘くはないだろ。

 

 そういうことを考えると、確かに三大勢力のにらみ合いはどうにかした方がいいよな。

 

 少年兵だったからこそ、戦わなくて済むならそれに越したことはないってわかる。そもそも転生悪魔である俺は、天使や教会に恨みはない。

 

 堕天使だってそうだ。殺されかけた理由もわかるし、やり口にはむかつくが、これ以上かかわらないっていうなら仕掛ける気はない。

 

 だけどまあ、アーシアには悪いことするかもな。

 

 そんなレベルならまた会うなんてヤバイ。それこそアーシアに迷惑がかかる。

 

「残念か?」

 

「ええ、まあ」

 

 可愛い子だったしなぁ。

 

 うん、ちょっと残念。

 

 と、そこに魔方陣が展開される。

 

 素の魔方陣から放たれる声を聴いて、部長は顔をしかめた。

 

「チッ! ゲスがまた出やがったか」

 

「どうしたんです?」

 

 何があったのかと思って聞くと、部長は苦い顔でつぶやいた。

 

「・・・はぐれ悪魔だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、驚愕の伏線が張られました。

そりゃオリジナルキャラクターなんだから重要ポジションですよ? 割と

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