異世界侵略 ~転生者たちが侵略す~   作:グレン×グレン

25 / 29
聖剣激突 ~激突、木場対フリード!!

 

 フリードがエクスカリバーをふるって、狂気の笑みすら浮かべて襲い掛かる。

 

 真正面から迎え撃ったのは俺だ。

 

 エクスカリバーがナイフとぶつかり合いながら火花を散らす。・・・結構重いなこの一撃!

 

「おやぁ? 武器を手に入れてすっごい強くなったねイッセー君。そそるぜ!」

 

「そりゃどうも!」

 

 と、俺は蹴りを放ってフリードを狙うが即座に躱される。

 

 こいつも腕を上げた? いや、これはそれ以上のそれだ。

 

「どうよ、俺様の天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)は! 持ち主のスピードを上げる効果があるんだよん?」

 

 スピードの上昇か。シンプルだが効果的な装備だな。

 

 さて、どう攻めるかと考えていると、木場が魔剣を両手にそれぞれ持って切りかかった。

 

「君には聞きたいことがある!!」

 

 そこから超スピードで切り合いが発生する。

 

 うぉおおおお! 早すぎて動きが見切れねえ!?

 

「なんだぁい? フリードお兄さんが知ってることなら、教えてあげてもいいかなぁ?」

 

「トリアのことだ! なぜ彼女が君と一緒にいる!!」

 

 高速での剣劇が発生するが、押されているのは木場のほう。

 

 俺たちも割って入りたいが、動きが激しすぎて、いったん仕切り直してくれないと割って入れない。

 

「バルパーが君たちを聖剣使いにしたんだろう!? なら、トリアがそれに従っているはずがない!!」

 

「おいおい何のことだか知らなけど、決めつけはよくないぜぇー」

 

 まずい、エクスカリバーの相手ってだけでも厄介なのに、木場のメンタルが追い込まれてる!!

 

「トリアの姐さんは俺が聖剣使いになる前からバルパーのおっさんの直属だぜ? 何があったか知らないけど、一番の側近ってやつだなぁ?」

 

「嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ!!」

 

 信じられないように激昂する木場だが、其れは致命的な隙だった。

 

 足払いを仕掛けられ、木場が転んでしまう。

 

 そして、その隙を逃さずフリードは剣を振り上げて―

 

「おぉっと!」

 

 その腕に、匙の触手が絡みついた。

 

「いまだ兵藤!!」

 

「ああ!」

 

 その隙を逃さず、俺は二人の間に割って入る!

 

「なめんじゃねえぞこの野郎!!」

 

「うぉっと! ちょ、ちょっとタンマ!!」

 

 フリードは慌てて攻撃を回避するが、しかし動きを阻害されているためかわしずらいようだ。

 

 とにかく、死なない程度に切り刻んで後でしっかり話しを聞かせてもらう!

 

「木場! とにかくこいつをとっ捕まえてからすべて聞き出すぞ! それまでしっかりしろ!!」

 

「・・・そうだね、少し冷静さを失っていたようだ」

 

 木場も冷静さを取り戻すと、魔剣を構えてフリードをにらみつける。

 

「そしてここまでだ。いくら君でも、動きを封じられた状態で僕とイッセーくんを同時に相手にできるわけがないだろう?」

 

「うっそーん! エクスカリバーに選ばれたぼくちゃんが、一転して大・ピンチ! これも武器に頼ったのが原因か!? ああ、過去に戻れるならやり直したい!!」

 

 ふざけたことを言っているが、しかし動揺しているのが目に見える。

 

 よし、このチャンスを逃さず一気に取り押さえて―

 

「何やってるの、フリード」

 

 次の瞬間、触手があっさりと切り裂かれた。

 

「・・・嘘だろ!? 俺のラインをあっさりと!?」

 

 匙が驚愕しているが、其れより驚愕しているのは木場だった。

 

「イザイヤ、やっぱり邪魔するんだ」

 

「トリア! なんで君がバルパーと一緒にいるんだ!?」

 

 その金髪の女性に、木場は大声でなじる。

 

「バルパー・ガリレイは僕たちの、あの子たちの仇だぞ!? そんな奴とどうして!?」

 

 信じられないだろうな。

 

 同胞たちの仇と、同胞が一緒にいるだなんてそりゃあ信じたくないだろう。

 

 だけど、木場。俺は一目見た瞬間にわかったよ。

 

「それがどうかしたの?」

 

 ・・・この女は、そんなことを一切気にしていない。欠片も悔やんでなんていない。

 

 この女にとって、それはその程度のことでしかないんだよ。

 

「まったく、トリアに比べるとフリードは一歩劣るな」

 

 と、そこに一人の男が姿を現した。

 

 初老の神父の恰好をした男をみて、俺たちは警戒する。

 

 っていうか、タイミングから考えると一人しかいないよな。

 

「アンタがバルパー・ガリレイか!」

 

「いかにも。私がバルパー・ガリレイだ」

 

 殺意のこもった木場の言葉に、平然としてバルパーが答える。

 

 ああ、こっちも目を見てすぐにわかったぜ。

 

 この野郎、わかりやすいマッドサイエンティストだ。

 

「バルパー。危ないから下がってて。あなたが死んだら私がエクスカリバーを使えない」

 

「心配することはないだろう。君たち二人ならその程度の雑魚悪魔三人を滅ぼすことなど簡単だ」

 

 この野郎、言ってくれるじゃねえか!

 

「お前が・・・お前がっ!」

 

 木場は激昂してつかみかかろうとするが、それを匙が取り押さえる。

 

「落ち着け木場! ゼノヴィア達が来るまで待つんだ!」

 

 ああ、それが一番妥当な選択肢だろう。

 

 ゼノヴィアとイリナが来てくれれば、まだ何とか勝機が・・・っ

 

「なら安心しろ。もう来たぞ」

 

「お待たせ♪」

 

 と、トリアの真上から二人が現れて切りかかった!

 

 おお、ナイスタイミングだ!

 

「っ。雑魚が増えた」

 

 それをあっさりとかわすトリアだが、しかし顔をしかめると構えを取り直す。

 

「さすがに五人相手だとかばいきれない。いったん引くよ」

 

「仕方があるまい。フリード、頼む」

 

「OKおっさん! そんじゃあな諸君、次あったときが、本当のバトルだ!」

 

 そういうと、フリードが地面に何かをたたきつけると閃光がほとばしった。

 

 閃光弾! あの野郎味な真似を!!

 

 暗待った視界が収まる時には、フリードたちの姿はかなり遠くになっていた。

 

 この状況下で追いかけても追いつくころには時間がかかる。そうなればコカビエルも相手にすることになるかもしれないし、ここは不利か。

 

 俺はそう思って矛を収めたが、しかし冷静じゃなかったのが一人いた。

 

「逃がすかぁああああ!!」

 

 木場が、全力で駆け出していく。

 

「同感だ。これ以上好きにさせるわけにはいかない」

 

「アーメン! これも主のため神のためよ!」

 

 と、イリナとゼノヴィアまで駆け出してしまう。

 

「あ、おい!」

 

 俺は慌てて止めるが、三人とも聞きゃしない。

 

 あっという間に、三人は姿を消してしまった。

 

「・・・どうするんだよ、コレ」

 

「下手に追いかけたら二の舞だ。・・・部長と会長の支持を仰ごう」

 

 冷静になったら、すぐにでも俺たちに連絡をしてくれるはず。それを待つしかない。

 

 ああもう、あいつの追い込まれ具合を甘く見てた!

 

 ・・・大丈夫だよな、木場。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、部長たちに連絡をしたら今日は休むように言われてしまった。

 

 戦闘をしていて疲れただろうから、ここは待った方がいいと行ってきたのだ。

 

 木場たちはほかの眷属が探してくれているし、ここは待機した方がいいだろう。

 

 それはそれなんだけど、だけどやっぱり心配だな。

 

「あ、イッセーさん」

 

 と、俺の部屋にアーシアが入ってきた。

 

「眠れないのか? ま、俺もなんだけどな」

 

「はい。木場さんが心配で・・・」

 

 だよな。俺も心配だよ。

 

 それに、アーシアの場合にはほかにもいろいろあるしなぁ。

 

「あいつらに言われたこと、気にしてるか?」

 

 魔女・・・か。

 

 確かに、滅ぼすべき邪悪である悪魔を治しちゃったんだから、倒そうとしている側からしたら腹も立つのかもしれないな。

 

 人間界じゃ赤十字とかいって、怪我人は敵味方かかわらず治療するのを美徳としている。だけど異形業界ではそういうのはないようだ。

 

 だからだろう。割と本気で敵意があった。

 

 それを思い出したのか、アーシアは少し肩を震わせていた。

 

「ゼノヴィアさんは善意でああしたんだと思います。聖書の教えでは自殺を禁じていますから、楽にするというのならほかの人がしてあげないといけませんし」

 

慈悲の一撃(ミセルコリデ)だっけ? 本で読んだよ」

 

 そういえばそういうのがあった。

 

 助からない人間を楽にするための短剣だそうだ。自決が禁じられている宗教だからこそ生まれた短剣だよな。今回のもそれと同じか。

 

 そういう意味では、確かにゼノヴィアのそれは善意だったんだろうな。

 

 それをわかったうえで、だけどアーシアは首を横に振った。

 

「ですが、それは受け取れません。私はまだ死にたくいないですから」

 

「アーシアなら、たぶん絶対神様のところに行けると思うぜ?」

 

 俺は茶化してそういうが、アーシアは静かにほほ笑んだ。

 

「今、ここにいたいと思ってしまったんです。罰当たりなことだとは思いますが、リアス部長や木場さん、小猫ちゃんに・・・そしてなによりイッセーさんがいますから」

 

 そっか。それは、うれしいこと言ってくれるな。

 

「ありがとう、アーシア。だったら俺もアーシアを守るよ」

 

 俺はそういうと、アーシアを抱き寄せる。

 

「まだ気持ちの整理がついてないけど、それでもアーシアは大事な女の子だ。そんな子が嫌がることを無理やりしようっていうのなら、それは俺の敵だよ」

 

 ああ、そんなことは許しはしない。

 

「大丈夫。俺も結構強いんだぜ」

 

「はい。イッセーさんが強いのは、私が一番よく知ってます」

 

 そういうと、アーシアは俺の胸に顔をこすりつける。

 

 ・・・ヤバイ、すごい興奮する。

 

「大好きですイッセーさん。ずっと一緒にいたいです」

 

「そっか。アーシアみたいな可愛い子にそんなことを言われるのなら、それはすっごい光栄だ」

 

 うん、まだ答えは出ないけど、これだけは言える。

 

 俺は、アーシアを守るために全力を出すぜ、絶対。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。