異世界侵略 ~転生者たちが侵略す~   作:グレン×グレン

14 / 29
修行開始 ~いざ、レーティングゲームのために~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、別荘についた俺たちは、ジャージに着替えて到着した。

 

「・・・特訓を始める前に一つ言っとくことがある!」

 

 と、部長がそう告げると頭を下げた。

 

「改めて詫びるが、今回は俺のわがままに突き合せちまって悪い!!」

 

「顔を上げてください。僕たちは部長の眷属なんですから、部長の命令に従って戦うのは当然のことです」

 

 木場は本当にイケメンだなぁ。

 

「だが、初のレーティングゲームが俺様のわがままだなんてある意味恥だろう。特にイッセーとアーシアはいきなりのトラブルだ。・・・マジ悪ぃ」

 

「気にしないでください部長さん。私なんて、足手まといになりますし」

 

 アーシアはそういってなだめようとするが、部長はそんなアーシアの頭に手を当てるとなでる。

 

「んなこたぁねえよ。回復能力なんてレーティングゲームじゃイレギュラーだ。むしろ切り札だぜ?」

 

「そんなにですか?」

 

 なんていうかファンタジーだし、結構いろいろとあると思うんだけど。

 

「そりゃぁ魔力を流せば治癒力も高まるが、戦闘中に使えるようなもんじゃねえ。フェニックスの涙っつー回復アイテムはあるが、あれは金はかかるし希少だしで、レーティングゲームじゃ使用は制限されるしな」

 

 と、部長が告げる。

 

 ふぅん。そんなに希少なんだ。

 

「基本、二個以上は使用できないです」

 

 小猫ちゃん、補足ありがと。

 

「ま、そういうわけなんで改めてよろしく頼む! 貴族として政略結婚を全否定する気はねえが、それでも限度はある」

 

 そういうと、また部長は頭を下げる。

 

「・・・俺様に力を貸してくれ!」

 

「「「「はい、部長!」」」」

 

 当然ですよ部長。俺たちは最初から断る気はありませんから。

 

 さて、特訓開始しますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、いうわけで特訓スタート。

 

 第一弾、木場との武器戦闘講座!

 

「ま、イッセーの場合はナイフとかの方がやれそうだがな」

 

 とはリアス部長の弁で俺も同感だけど、とりあえず剣の練習もやっとくことになった。

 

 ・・・刃物といえばナイフとかマチェットなんだけど、両手持ちは慣れてないから意外ときつい!

 

「ちゃんと目で追えてるし、動きもいいけど・・・っと!」

 

「うおっと!?」

 

 俺が降る木刀は全然当たらなくて、少しの間は粘ったけどすぐに叩き落されてしまった。

 

「・・・すぐに直すのは無理っぽいね。今度はナイフサイズで行ってみようか」

 

「おう! そっちなら負けないぜ!」

 

 今度はナイフサイズで挑戦。

 

 うん、俺はこっちの方が使いやすいな。慣れてるし。

 

 と、いうわけで今度は何とか打ち合えてる。

 

 片手が空いてるから格闘戦に持ち込むけど、木場はそれにも反応した。

 

「やるじゃねえか木場! 武器戦闘って、武器に注意が行くから結構徒手空拳の組み合わせが効果的なんだが・・・なっと!」

 

「戦闘するときは視野を広げて相手と周囲を見ないと行けないしね」

 

 ああ、動きに全くスキがない。

 

 いい指導者に恵まれたんだろうなぁ。俺の時も将来の戦力にするつもりだったのか、結構スパルタだったから少しは長生きできたぜ。

 

 おっと、集中集中!

 

第二弾 魔力特訓編!

 

「つっても、俺様は殴り合いが基本だからそんなに詳しくはできねえがな」

 

 と、前もって断ってから部長が魔力の塊を作って見せた。

 

「魔力ってのは大体イメージがものをいうんだよ。体全体から流れるように集めて、意識を集中させてだなぁ・・・」

 

 と、部長のアドバイスに従ってやるけど・・・うぉおお! 米粒サイズが限界じゃねえか!

 

 詳しくないって言ってる部長ですら、サッカーボールサイズをなん十個も作ってるのに! 残酷すぎるだろ神様! ・・・あ、敵だった。

 

 そして、なんとアーシアちゃんはテニスボールサイズぐらいはできていた。

 

「お、アーシアはやるじゃねえか。僧侶(ビショップ)向きなやつだと思ってたぜ」

 

「はい! この調子ならお役に立てそうです!」

 

 うぉおお! アーシアが役に立つならそれはそれでいいけど、それにしたってどうしたもんか!

 

 ん? 待てよ?

 

 イメージってことは・・・。

 

「部長! ちょっとご相談があるのですが!!」

 

 俺は手を挙げてから、こっそりと耳打ちする。

 

「バトル漫画とかでよくある、女性の服がいやらしい感じにはじけ飛ぶってイメージとか形にできませんかね?」

 

「・・・面白そうじゃねえか! いっそ全裸に向いちまった方がライザーの奴が悔しがりそうだぜ?」

 

 ・・・その結果、テストのために使い捨てる服を大量に持ってくる羽目になった。

 

 金は部長が持ってくれたし半分持ってくれたけど、これは大変だぜ!

 

 

第三弾! 小猫ちゃんとの体術練習!

 

 これに関してはだいぶ楽にできる。

 

 なんたって、兵士が格闘技を練習するのは当然だ。

 

 弾が切れ、そしてナイフも折れたとき、最後に頼るのは肉体だ。

 

 だから当然格闘技の練習はしてるんだけど―

 

「えい」

 

「うぉおおおお!?」

 

 強い! 小猫ちゃん強い!

 

 小柄な体は当てづらく、そして反比例してパワーは抜群!

 

 おお、これはキッツい!

 

「すごいね小猫ちゃん! 俺、結構自信があったんだけど!」

 

「イッセー先輩もなかなか」

 

 とはいうけど、これは確実に圧倒されてるって!

 

 うん、俺人生二週目なのに弱くない!? これが少年兵の現実か!

 

「イッセー先輩の攻撃は急所を狙ってますね。ここまで完成してると、教えづらいです」

 

「小猫ちゃんの場合は?」

 

「えい」

 

 ぐはぁ! 物理的に教えられた!?

 

「体の中心線を狙っています」

 

 そして言葉でも教えてくれるのね・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、俺たちは晩御飯を食べていた。

 

 ああ、やっぱり重労働の後のご飯はうまく感じるぜ!

 

 山で採れた山菜を使ったお浸し。部長が自ら狩ってきたイノシシを使ったジビエ料理。そして取れたての魚は焼き魚に!

 

 んでもってアーシアもスープを作ってくれた。これに感謝しなきゃ男じゃない!

 

「うまい! アーシアのスープもうまいけど、ほかの料理もすごくうまい!」

 

「因みに、基本的に祐斗が作ったやつだ。いや、俺様もいくらか作ったがな?」

 

「畜生! イケメンの上に料理もうまいとか欠点ねえのかお前は!!」

 

 なんか完璧すぎて妬みが一周回って尊敬になってきたぜ!

 

「・・・おかわり」

 

 小猫ちゃんもがっつり食べるね。すごい!

 

「しかしまあ、いい拾いもんしたぜ! あ、もちろん二人ともな?」

 

 とまあ言ってくれるけど、アーシアはともかく俺も?

 

「回復の力は確かにすごいですけど、俺そこまで役に立ちますかね?」

 

「あ? なぁに言ってんだお前」

 

 声に出して聞いてみたら、この「お前馬鹿なの?」的な返事だよ!

 

「拳銃一丁を中級堕天使を一発でぶち抜くような凶悪兵器に変える奴が何言ってんだ? 十分戦力だっつの」

 

「確かにね。これで神器がまだあるんだからすごいと思うよ?」

 

「十分脅威です」

 

 おお、思いもよらぬ三連続べた褒めだ。

 

「はい。あの時のイッセーさんは本当にすごかったです・・・はうぅ」

 

 うわぁ、アーシア顔真っ赤。

 

 こ、これは責任を取らなければいけないのでしょうか! 神よ教えてください! 敵でもいいから教えてプリーズ!

 

 な、なんか恥ずかしくなってきた! 話題変えよ!

 

「しっかし、政略結婚であんな奴と結婚って、部長も大変ですね」

 

「いや、んなこたぁねえぞ?」

 

 あれ? 結構マジで反対してなかったっけ?

 

「政略結婚つったって、親バカの親父殿が俺の好みの範疇外ってやつにするわけがねえだろ。あれはあれでできる男だと思ってるぜ?」

 

 そ、そうなの?

 

「確かに、ライザー氏はすでにいくつものレーティングゲームを勝利した実力者だ。敗北はお家事情でわざとしたらしいし、事実上の無敗だね」

 

 木場の説明に、確かに俺は納得する。

 

 そうか、そんなに実力があるのか。

 

 なんか感心していると、部長がさらに驚愕の事実を突きつける。

 

「第一、ハーレムなんてもんは男の器量が無けりゃあうまくいかねえもんだろうが。一応言っとくが、あいつ自分で口説いてるぜ?」

 

 そうなの!? くっ! 俺にもそれぐらいの気量があれば!

 

 などと悔やんでいると、部長が少し暗い顔になる。

 

「・・・まあ、問題がないわけじゃねえんだけどな」

 

 ん? 何か問題が?

 

「奴には挫折の経験がねえ。才児なせいでろくに負けたことがねえから、もし負けたらそのまま折れるかもしれねえんだ」

 

 その表情は、心底ライザーを心配している表情だった。

 

「挫折ってのは早いうちにしといた方がいいんだよ。ほら、高いところから落ちるより低いところから落ちた方が傷はすくねえし、堕ちたときのやり方も覚えられるだろ?」

 

「あ、確かに」

 

 いわれてみるとすごい納得。

 

 なるほど、昔テレビでやってたガラスのエリートってやつだ。

 

「・・・だからいい機会だし、ついでに負けの経験も教えてやろうかと思ってんだ。折れきっちまったらそれまでかもしれねえが、乗り越えればあいつはもっといい男になるだろ?」

 

「部長、人が良すぎです」

 

 小猫ちゃんが半ばあきれながらも小さく笑顔を浮かべてそう答える。

 

 ああ、俺たちの部長はなんて姉御肌なんだ!

 

「なぁに! 将来俺の男になるかもしれねえんだ。先行投資ってやつだよ」

 

 すげえぜ部長! 俺は、部長と会えて本当に良かった!

 

「・・・あれ? でも部長さんが結婚を嫌がる必要はないんじゃありませんか?」

 

 と、そこでアーシアが首をひねる。

 

 それもそうだな。いったいなんで?

 

「いや、それはそれとして俺様としてもまだ若いから遊びたいっていうか暴れたいっていうか・・・」

 

 と、いきなりしどろもどろになってきたぞ部長。

 

 あれ? もしかして勢いとかだったりする?

 

「まあ、素直にいうとだな? ・・・最初に約束破ったのは親父殿の方なのに、俺様が素直に納得するのが気に入らねえ。事情も説明してくれねえとか、ひどいとは思わねえか?」

 

 ああ、なるほど。

 

 つまりお父さんに拗ねていると。

 

「だあああああ! 何ニヤニヤ笑ってやがる! 恥ずかしいからやめろ!!」

 

 いや、いい親子関係だと素直に思いますよ?

 

 だって、それだけお父さんのことを信頼しているってことじゃないですか。そんな関係になれるのっていいことじゃないですか。

 

 ・・・ホント、俺たち親に恵まれてるなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのあと、俺たちは一生懸命特訓を続けた。

 

 悪魔の事情や教会の事情とかを勉強もした。これでだいぶ知識が身についたと思っている。

 

 ものは試しと十字架や聖水に触れたときは思いっきりやけど状態だった。アーシアに直してもらったからよかったけど、言ってほしいと心から思ったぜ。

 

 部長ってば「こういうのは一度経験した方がいいんだよ」とか言って平然としてるんだもん。割とスパルタだぜ俺の部長は。

 

「それでどうよ? 修行の成果は出てきたと思うか?」

 

 帰り道、部長は俺にそう尋ねる。

 

 う~ん、どうなんだろう。

 

 じっさい、最後にギフトありで模擬戦をした時は木場に肉薄できた。

 

 武器の性能が桁違いに上がるから、だいぶ戦えたんだよなぁ。

 

 とはいえ、木場も本気は出してないだろうし過信は禁物。

 

 小猫ちゃんとの格闘戦は負け越しだし、まだまだだ。

 

 だけど、勘は取り戻せた。

 

「・・・まあ、足は引っ張らないと思いますよ」

 

 新技も完成したしなっと!

 

 その答えに、部長もにやりと笑うと親指を立てる。

 

「おう! 期待してるぜ?」

 

 ええ、その期待、応えて見せます!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、レーティングゲーム当日。

 

 俺は、自分の部屋で準備を万端にしていた。

 

 部長からは服は特に指定されていなかったけど、なんとなく制服を着てみる。ただし、それだけじゃない。

 

 上着の下には防刃ベスト。さらに奥の手として部長が用意した最終兵器を隠し持つ。

 

 そのあと上着を着てから、同じく部長が用意してくれたアサルトライフル。すでに銃剣も着剣済みだ。

 

 さらにサブウェポンとしてナイフとサブマシンガンを用意。いっそのこと鎖帷子でも仕込んどくべきだったかね。

 

 しかしなんていうか、少し緊張するな。

 

 命がけの殺し合いなんて何度もしたはずなのに、それ以上に緊張する。殺し合いじゃなくて競技だからこその緊張感ってやつだろうか。

 

 だから、ちょっと違和感があって困ってる。

 

 とはいえ、部長も結婚を勝手にはやめられて怒ってるからな。ここはひとつ頑張らないとな。

 

 それに、これからワールマターが仕掛けてくるならライザーの奴も戦うことになるだろう。

 

 その時、一回負けて心が折れたら大変だ。

 

 その前に一回負けの経験をつませてやるか。ああ、責任重大だぜ。

 

「・・・あ、イッセーさん」

 

 と、アーシアが部屋に入ってくる。

 

 その恰好は、シスターの服だった。

 

「その恰好にしたんだ」

 

「はい。部長さんが好きな服でいいといってくれたので」

 

 よっぽどシスターの服が気に入ってるんだなぁ。信仰心は捨ててないんだ。

 

「悪魔がこのような格好をするのもどうかと思ったんですが、やっぱり私は主の信仰を捨てれませんから」

 

「そっか。天の上で神様が困った顔をしてるかもな」

 

 まったく。本当にアーシアは・・・。

 

 ま、いっか。

 

「頑張ろうぜアーシア。俺とお前が切り札らしいからさ」

 

「はい!」




本作の部長は政略結婚そのものはまあ納得してます。

貴族とはそんなものだと思ってますし、嫌な相手を紹介しないと父親を信頼しているからです。

だが、其れはそれとして筋が通らないなら反発する。つくづく姉御肌というか極道気質というか・・・。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。