貞操観念が逆転したアイドルマスターミリオンライブ!   作:Fabulous

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大分間隔が開きましたが猫派で猫アレルギーさんのリクエストを元に投稿いたします。雑ですみません。

ミリシタ面白いなあ。


リクエスト
シアターアイドルたちとプロデューサーがダイエット


「健康診断ですか?」

 

「はい、会社としてアイドルたちや従業員の健康診断をしないといけませんからね。学校に通っている娘は学校が健康診断をしてくれていますので診断書を事務所に提出するだけでいいのですがそれ以外の人は会社が指定した病院で健康診断をしてほしいんです。」

 

ある日まだ入社間もない頃、音無さんから電話がかかってきた。

 

なるほど。確かに社会人として体は資本である。人間いよいよとなったとき最後に頼れるのは己の肉体だと多くの蔵書でも語られている。それらの本の中では人間は生身で宇宙遊泳やTレックスを捕食できるらしい。

私は無理だが。

 

 

アイドルにとってもプロポーションは大事だ。妹も中学生になりお洒落やダイエットに関心を示しやはり女の子なのだなと感慨深い思いをしたものだ。

しかしだ。しかしである。そも日本人女性の平均身長はだいたい155~160程度である。体重は約53㎏ほどであるが、日本人女性の特に十代から二十代は諸外国に比べて痩せすぎとの指摘もある。これは貧困による栄養失調というよりは現代社会の過度な美容による若い女性の間違った体重認識にあるのではないかと私は考えている。

 

その証拠に765プロに在籍しているアイドルたちもスタイルに特に気を使う職業であるという点を考慮しても多くのアイドルは痩せすぎであると言わざるを得ない。如月千早など特にその傾向が顕著であり162㎝の41㎏でBMI 15.62という痩せすぎというかガリガリである。体重など平均的女子高生の10㎏以上下回っており良い言い方をすればスーパーモデル並みのプロポーションだが悪く言えば拒食症或いは虐待の疑いすら持ってしまう。流石に芸能人の公式プロフィールのであるから幾分かのご愛嬌あるかと思っていたが律子さんや小鳥さんに聞いたところ765プロはそういったことは無いらしい。そうなるといよいよアイドルたちの健康が心配である。特に如月千早が。

 

「わかりました。今週中には病院にいきます。連絡ありがとうございます。音無さん。」

 

「いえ仕事ですから。それと健康診断は安心してくださいね。ちゃんとプライバシーに充分配慮するようにと病院には連絡しておきましたから。」

「そうですね。プライバシーは大事ですからね。それでは。」

 

全くもってそうの通りだ。昨今はプライバシーが漏れたり覗かれたりとアイドルにとっても女性にとっても不安な世の中だ。病院側には細心の注意を払ってくれなければならない。

 

 

 

そして当日。今日は健康診断に行くメンバーが纏まって仕事を早く切り上げ病院に向かうことになった。

私と共に病院に行くのは…、

 

「びょ、病院は以前勤務していたので分からないことがあったら何でも聞いてください。プロデューサーさん。」

「ウフ、レディの私に任せておきなさい♪」

 

 

 

ある意味もっとも対照的な二人を伴っていくことになった。

 

 

 

豊川風花

 

765プロの中でも抜群のプロポーションを誇る元看護婦アイドルだ。その特徴はなんといってもそのバスト。バストサイズだけなら765プロで三浦あずさを抜く堂々の93㎝であり更にはかわいさとセクシーさを兼ね備えた容姿を持ち間違いなくグラビアなら今すぐにでも大手雑誌の表紙を飾れると思っている。決して邪な目で見てはいない。本当だ。本当だとも。神には誓えないが……

 

馬場このみ

 

初めて彼女を目にした際は中谷育や周防桃子と同年代の年少組なのだと勘違いし仕事終わりにコンビニで酒を買う馬場さんを見たときは卒倒しそうになった。しかしだ、143cmの37kg。このスタイルでまさか24歳だといったい誰が信じるのであろうか。今でも信じられない。実は壮大なドッキリでしたと言われても納得できる。

 

この2人とは偶々偶然私の健康診断と日にちがブッキングし、ならば仕事終わりに一緒に行こうとなり現在指定病院に3人で向かっている状況だ。女性と健康診断など小学校以来だが平常心で望まねば。悲しいがアイドルとプロデューサーの恋愛などありえない。現実はファンタジーやメルヘンじゃないのだ。

 

 

「あの~プロデューサーさん……その……健康診断で分からないことがあったら何でも聞いてくださいね。私つい最近まで看護婦でしたので。」

 

「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。健康診断くらい一人で受けれますよ。」

「……そうですよね。すみません。私なんかがしゃしゃり出て。」

 

「フフ♪風花ちゃんは随分プロデューサーに優しいのね。」

「べっ、別にいやらしい意味じゃありませんよ~!」

「いやらしいなんて言ってないわよ?」

 

 

(じゃましないでくださいよ、このみさん……。)

(風花ちゃんの思い通りにはさせないわよ。)

 

 

 

 

 

この通り大変仲の良い二人だ。

 

 

 

 

「へー結構大きな病院なんですね」

「そりゃプロデューサーがいますからね」

「え?どういう意味で……」

 

 

「「「お待ちしておりました!」」」

 

「765プロ様の春日さまですね!お話は伺っております!当医院に御越しいただき誠にありがとうございます!」

「え?え?」

「お連れ様もどうぞこちらへ。」

「はーい。それにしても流石ね。男の人がいると。」

「私が居た病院もこんな感じでしたよ。私も何度か担当になりましたけど気が休まりませんでした……。」

 

「あの、人違いでは……」

 

「いいえ!間違いございません!」

「当病院の威信を賭けて、全身全霊で検査させていただきます!」

 

「はぁ……よろしくお願いします?」

 

「「「お任せください!」」」

あまりの語気に鼓膜が震えた。

 

 

その後私は沢山の医師の方々に連れられ多くの検査を受けた。余りに大仰な病院の態度にひょっとして私の方をアイドルと勘違いしているのだろうかと思ってしまうほど懇切丁寧な健康診断だった。

 

 

 

 

 

 

「どうでしたかプロデューサーさん?」

 

 

「うーん、それが少し……。」

「えぇ!?どこか悪いですかプロデューサーさん!」

 

「いえ、大したことはないんですけど……内臓脂肪がちょっと多いらしいんです。」

 

「プロデューサーはそんなに太ってないわよね?」

「勿論あくまでも少しですけどね……きっとあれが原因ですし。」

 

「原因ですか?」

「大学卒業間近になって飲み会に出席する機会が増えたのが原因でしょう。それと美奈子さんが毎日大量に持ってくる手料理も大分お腹にきましたね……。」

 

「へ……へぇそれは大変ね……美奈子ちゃんには私の方からもせめて普通の量を作ってきたらって言っておくわ。」

 

(合コン!?合コンなのそれ!?てゆーかプロデューサーってそういう席に出てるってことは学生時代は意外と遊んでた?)

 

「そ、それって合コン……ですか?」

 

「結果的に合コンみたいな会も何度かありましたね。まぁ成功した試しはありませんけど。」

 

「そうですか、よかった……。」

 

(プロデューサーさん、どうせ無理だろうと思って諦めてた食事の御誘い……ひょっとしたらチャンスかも……。)

 

 

「お二人はどうでしたか?」

 

そう言ってから私は自分の失言に気づく。昨今は女性の年齢や体重を訊くのもセクハラと認定されてしまう世の中、健康診断の結果などまさにその基準にドハマリではないか……。

 

「すみません、失礼な質問で……」

 

 

 

「私は相変わらずの身長だったわ……。」

「私はまた胸囲が大きくなりました……ふえぇん……この前下着を新しく買い替えたばかりなのにですよぉ。」

 

「ちょっと風花ちゃん、プロデューサーの前でその……下着の話は……」

「あ、違うんですプロデューサーさん!別に変な意味はなくて、その、ごめんなさぃ。」

 

「いえいえ、お構い無く。」

さすが風花さんである。彼女は大変淑やかであり、成人男性としてはご褒美な情報を恥ずかしげに否定する女性なのだ。これは仕事の幅も拡げてみようかな……。

それにしてもまたバストが成長したのか……他のアイドル達も未だ未成年が殆どで日々成長しているはずだ。プロフィールを更新する必要があるかもしれないな。音無さんと相談してみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

健康診断の翌日、今日も通常通り出社すると事務所の中が騒がしいのに気づいた。

 

 

 

「私……○○㎏だったよ……。」

「未来……貴女レッスンをちゃんとしてたの?」

「あははっ、みらいっちヤバイんじゃないの~。」

「う~。海美さんも●●㎏で青ざめてたって響さんが言ってましたよ。」

「ちょっ!?響さーん!」

 

 

「うぅ……胸がまたおっきくなってきたせいか○○㎏になってました……。」

「風花さんはまだましですよ~。女らしい体になっていくんですから結局+ですよ。アタシはただ脂肪だけが……」

 

「全く……アイドルとしての自覚が無いのかしらあの人達……。毎日規則正しく生活していれば問題なんて起きないのよ。」

 

 

 

 

 

「……入って良いのかな?」

事務所の中では非常にプライベートな女性同士の会話行われている。どうやら健康診断の結果を話しているようだ。

この部屋の中にいったいどうやって入れば良いのだ?とても男が入室できる雰囲気ではない。

 

 

「それにしても今日はプロデューサー遅いですね。いつもはこの時間にはもう出社してるのに。」

 

不味い。このままではアイドル達に私が職務を怠慢しているように見えてしまう。ここで立ち往生していても仕事にならない。仕方ない。恥を偲んでここは事務所に入ろう。

 

 

「おはようございます。皆さん。」

 

事務所に居たアイドル達が一斉に此方を向いた。

 

「あ!お兄ちゃんおはよう!」

「……おはようございますプロデューサー。」

「今日も格好いいねプロデューサー!」

 

 

 

良かった……扉の前で盗み聞きしていたのはばれなかったようだ。もしばれたらきっと軽蔑されてしまうだろう。志保なんかに知られたらプロデューサーの威厳など地に堕ちるだろう。

 

 

 

 

「お兄ちゃん聞いてっ、私ダイエットします!」

 

「ダイエット?」

「うん♪だから今日のレッスンはいつもの3倍でお願い!」

「おぉ~♪いいね未来、アタシも今日はいつもよりバリバリ動いちゃうよ!」

「のり子さんまで……無茶なこと言わないでよ未来。」

「えーどうして静香ちゃん?」

「どうしてって……そんなに直ぐに痩せられるわけないでしょ?日頃のレッスンや食生活を改善するのが一番よ。」

 

「あら?そう言う静香も最近むくんできたんじゃない?うどんの食べ過ぎで。」

「……志保、うどんのせいにしないで。うどんは悪くないわ。」

「そうね、ごめんなさい。うどんじゃなくて誰かさんの意思の弱さのせいよね?」

 

「…………」

「…………」

 

 

「し、志保ちゃん。静香ちゃん。落ち着いてくださいぃ。」

 

「「風花さんは黙っててください。」」

 

 

 

いけない、別の意味で不穏な空気になってきた。何とかしないと……

 

「そうだ、みんなでレッスンしましょう。最近のレッスンにもなれてきたようですしいつもよりもハードにしてやってみませんか?」

 

「あれ?でもプロデューサーさん、今日は自主レッスンの日でトレーナーさんは居ませんよ?」

 

「大丈夫ですよ。こんな時もあろうかとレッスン指導本を持ち歩いています。」

「流石お兄ちゃん♪」

 

 

765プロに電流走る。一拍置いて志保が狼狽しながら問い掛ける。

 

「プロデューサーが教えるんですか!?」

 

「ええ。私も律子さんのようにアイドルのレッスンを指導出来るようになりたいですから。」

 

これについては以前から私が思っていた事だった。律子さんは現在アイドル兼プロデューサーと言う非常に多忙なスケジュールをこなしながら竜宮小町のレッスンを自ら監督し更にはシアターアイドル達の指導も行っている。765プロのプロデューサーとしてあまりの圧倒的差を見せ付けられ意気消沈したのも事実だがそれよりも彼女の多忙すぎる業務を少しでも自分が肩代わりできたらと常々思っていた。

 

 

「ヤッター!お兄ちゃんが教えてくれる~♪」

「ちょっと未来落ち着きなさい。しょうがないわね。貴女じゃプロデューサーに迷惑が掛かるかもしれないから私も一緒に付き合うわ。」

「ずるいずるい!私も参加させて。プロデューサー、私脚線美なら自信が!」

「全くです。私もアイドルの一人としてレッスンを欠かす訳にはいきません。断じて。」

「プロデューサーとレッスンかー!アタシも気合い出てきた!」

「わ、私も参加しようかな~♪」

 

 

「そうですか、皆さんありがとうございます。」

 

みんなの反応は結構良い。私もようやくプロデューサーとしての信頼を得始めているのだろう。

 

 

早速765プロのレッスン室へと移動すると少し遅れてレッスン用の動きやすい服装に着替えた未来達が来た。

 

「よし、皆さん揃いましたね。」

「お待たせーってお兄ちゃんその格好でレッスンするの?」

 

未来の言葉で私は自分がスーツ姿だったのに気付いた。

 

 

(いけないいけない。早く着替えねば……)

 

私は上着に手を掛けスーツを脱ぎネクタイを緩めカットシャツのボタンを外していく。

 

「ぶっ!?」

「なぁ!?」

「お、お兄ちゃん!?」

 

「ん?どうした未来、皆さんも?」

アイドルが突然動揺しだし私は困惑する

皆、私に注目しているのだ。あの志保ですら私をまばたきもせずガン見している。

いったい何が?

 

「ここで脱がないでよ!お兄ちゃん!私達がいるんだよ!?」

 

「そ、そうだな……皆さんすみません。」

 

迂闊だった。確かに女性の前で着替えるのは失礼だろう。年頃の未来達にとっても男の着替えなど見たくはないはずだ。

「お待たせしました。」

そそくさと裏で着替え終え気を取り直して全員の前に立つ。ちなみに上着は季節も暖かいので半そでのスポーツインナー一枚を素肌の上に着て、下も同じくハーフパーツ着ている。

 

 

 

 

「お……お兄ちゃん……それでするの?」

「うわぁ……えっろっ。」

「インナー……ハーフパンツ……いい!」

 

先程とは違った空気が流れているのは何故だろうか?

 

 

 

「えー皆さん。ケガをしてかは元も子もないので先ずは簡単な準備運動から始めましょう。」

 

 

 

「「「イチニ!イチニ!イチニ!イチニ!」」」

 

 

おぉ。流石アイドル、皆すごい声量だ。やる気が満ち溢れているぞ。

 

「はい、準備運動は終わりです。いよいよ特別レッスンに移ります。まずは……」

 

私は資料を確認した。ちなみにこのレッスン本は普通のレッスン本だ。なんのへんてつもない。だからこれからするレッスンも普通だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

765プロへと続く階段で二人の女性が会話をしている。

 

 

 

 

 

「この前の健康診断もう大変だったわよ?」

「でもプロデューサーさんと一緒だったんですよね、このみ姉さん!」

「そりゃそうだけど本当に大変だったわよ?お医者さんは大勢で出迎えるしプロデューサーは患者服で薄着になって目のやり場に困ったし……」

「めちゃくちゃ羨ましいじゃないですかぁ!」

 

「まったくもう……莉緒ちゃんはプロデューサーにラブラブねぇ。」

 

 

莉緒ちゃんの気持ちは分からないでもない。確かにプロデューサーは格好いい。ついでにえろい。すごくえろい。アダルトな魅力に満ち溢れていて初めてみたときアイドルかと思った程だ。そんなプロデューサーに私を含めて好意を向けているアイドルは多い。一部はしばしばやり過ぎな行動をして怒られているが……。

 

 

「プロデューサーや他のみんなの前じゃちゃんと自重しないとね?」

「は~い。」

やはり女としてプロデューサーのような男が身近に居れば誰でも平静では居られないがここは大人組の一人として私や莉緒ちゃんはしっかりしないといけない。

 

 

「みんなープロデューサーただいま~、あれ、居ない?」

 

事務所の扉を開けるとそこには誰も居らずもぬけの殻となっていた。

 

「このみ姉さん、レッスン室じゃないかしら。」

「なるほど。行ってみましょ。」

 

 

私達は事務所3階のレッスン室に向かう。すると突然レッスン室の扉が開き誰かが倒れるように飛び出した。

 

 

「きゃっ、なに、いったい……」

「あれ?海美ちゃんじゃない。どうしたの?」

飛び地してきたのは海美だった。

 

 

「も……もうダメ……堪えられないよぅ……。」

 

見れば海美の顔は赤く紅潮し額に大量の汗を滲ませ荒く呼吸をしており明らかに異常な状態であった。

 

「だ、大丈夫!?どこか具合でも悪いの?」

 

「ちが……レッ……ス……ンが……プロデューサーが……」

 

 

「レッスン?プロデューサ?どうゆうことこのみ姉さん?」

 

「海美ちゃんがこんな状態になるなんていったいどんなレッスンをしたのよプロデューサー。ちょっと文句言ってくるわ!」

「あっ、待ってこのみ姉さん~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉を開けるとそこは地獄だった。

 

 

 

 

まず最初に感じたのは部屋中に充満した熱気とむせかえるような女の匂い。思わず眉を潜めたがその次に目に入った光景に私は言葉を失う。

 

 

「あっ、このみさん、莉緒さん、お疲れ様です。実は今ちょっと困ったことになってまして……。」

 

 

 

「ぷ、ぷ、ぷ、プロデューサー!なんて格好してるのよ!?」

 

「これですか?実は今居るシアターアイドル達と一緒にレッスンをしていたんですよ。だから私も動きやすい服装に着替えて……」

 

 

「そう言うことじゃなくて!」

 

「どういう事ですか?」

 

「だから……その……汗で上半身が……色々見えて……」

 

「?」

 

プロデューサーの現在の服装はまさに常軌を逸している。スポーツインナーとハーフパンツ姿でただでさえ薄着になって露出が増えているのに加えて汗で上半身がモロに透けて見える。色つきならまだしも白と言うところが余計透過を鮮明にしていやらしさを増加させている。まるでそういうパッケージ写真のような非現実感と如何わしさがむんむんと醸し出されている。コンビニ雑誌の成人コーナーだってもっと節操がある。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……このみさん、邪魔しないでもらえますか?今レッスンの途中なので。」

「そ、そうですよ。プロデューサーさんのレッスン、もっと受けたいですし……。」

「あ、アタシもまだまだ全然イケるからもっと来て大丈夫だよ……はぁ……はぁ。」

 

「うぅ、皆お兄ちゃんを見ないでよ~。」チラ

「未来だってさっきから見てるじゃないの。すみませんプロデューサー、私は真面目に取り組んでいるのにみんなが騒がしくて。」チラ

 

 

酷い……とにかく酷い……。

 

 

そこにいたのはアイドルではなくただの女。皆異様に目をギラつかせ、獲物を狙い定めている。

 

いったい私達が来る前に何が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では始めに柔軟体操をしましょう。レッスン前にしっかりと身体を伸ばして怪我を予防しましょう。」

 

「あ♪柔軟なら私、自信があるよ~。」

「そうですか。なら私と一緒に手本になってくれませんか?。」

「はいはーい任せてね♪」

「ではオーソドックスな開脚ストレッチをしましょうか。海美さん、私が背中を押しますから。」

「アハハ♪私に補助なんていらないと思うけどね……っ!?」

「どうしました?」

 

私は海美の肩に手を置き補助体勢を取る。確かに海美の言う通り彼女の体は女性ながら非常に引き締まっておりそれでいて確かな柔らかさがある。通常、素人ならば開脚と言ってもほとんど出来ないものだが、彼女は既に百八十度足を開いておりバレエの経験があると聞いていたがその効果は十分なようだ。

 

「い、いや~あはは…あれー何だか体固くなっちゃったかな?プロデューサー、やっぱり押してくれる?」

 

(プロデューサーの手が私の肩に!ラッキー♪なるべく長く触って貰おうっと♪)

「?……そうですか。分かりました。では皆さんもよく見てて下さいね。」

 

(えーと本の中ではここで……)

《※》

『押すときは手を相手の腕か足を掴み胸で背中を押してあげましょう。あててんのよ。的な。』

 

(え!流石にそれはセクハラなのでは……。)

《※》

『大丈夫です。すべてはluckyとtroubleで誤魔化せます。それに相手も悪い気はしないですよ。』

 

(本当ですかぁ?)

《※》

『本当ですチヒ……おっとっと。本当ですよ未来の敏腕プロデューサーさん。さ、男は度胸、何でも試してみるものですよ。』

 

 

「分かりました。押しますよ。それ!」

私は本の指示通りそれほどでもない胸板で海美の背中を押した。

 

「はう!?」

 

「ちょっとお兄ちゃん!?」

「プロデューサー、なんてことを!」

 

海美が変な声を上げ未来と志保が驚いた。ヤバい、いくらなんでも怒られる……。

 

「す、すみません……海美さん。」

 

私は海美から離れようと手を離すと、

 

「ま、待って!プロデューサー、大丈夫!私大丈夫だから今の続けてちょうだい!」

 

「ちょ!?海美、あんたねぇ!」

「柔軟だから!何の変鉄もない只の柔軟体操だから!!」

「海美さん……最低です。」

 

「えーと……続けて良いんですか?」

 

「ももももっちローン!全然大丈夫だよ!てゆーかもっと押しても大丈夫だからぎゅ~とやって、お願いします!」

 

「それでは……そーれ。」

 

「ふおおぉ!?」

 

「もういっちょ」

「んああぁ!」

「ぎゅ~!」

「ああっ!ダメッヤバいってそこは……アッー!」

 

 

「ふう~流石は海美さん、関節の柔らかさは目を見張るものがありますね。……海美さん?大丈夫ですか?」

 

彼女は足を百八十度開脚して上半身を床に突っ伏したお手本のような姿勢から何故か起き上がらなかった。僅かに身体全体がビクビクと痙攣しているようにも見える。

 

「だ、大丈夫。それより……と……トイレに、行って……きます。んんっ!」

 

海美は内股になりながらレッスンルームから消えていった。ハテ……柔軟は無理をしなかったが本当に大丈夫なのだろうか?

 

 

 

 

「志保。」

「ええ……静香、分かっているわ。」

 

 

二人は既にこれがレッスンではない事に気付いていた。これは天国にして地獄。壮絶な生殺しのキリングルームた。

 

「海美さんは先走って欲に負けたわね。都合四度に渡るプロデューサーとの密着。プロデューサーの雄っぱいによる計八回の接触は16才のアイドルでは耐えられなかったようね。」

「全ては海美さんの浅はかさが招いた敗北。処女には濃すぎる体験だったようね。」

「海美さん処女なの?」

「そうに決まってるわ。あれが非処女の対応に見えた?」

「見えないわね。そうね、海美さんは処女。これが事実よね。」

「とにかく私達は出来るだけ長く理性を失わずにこのTo LOVEるを享受しましょう。良いわよね志保?」

「共同戦線ね。良いわ静香。」

 

 

(海美さん良いなぁ。あんなにプロデューサーに触ってもらえて私も……って何考えてるの私!そんなイケナイこと考えてるなんてプロデューサーさんに知られたら間違いなく嫌われちゃう……。)

 

 

(うぬぬ……おのれ海美のやつ~。私が未だ握手も出来ないのにあんな激しいボディタッチをするなんて……うーらーやーまーしーいー!)

 

(お兄ちゃん……全然嫌がってなかった。とゆーかみんなの雰囲気も何だか怪しくなってきた。お母さん、これが羊の皮を被った狼ってこと?)

 

早くも高坂海美が脱落したレッスンチームは一名を除き不穏な空気を漂わせながら次の段階へと移った。

 

「えーとでは簡単なステップから始めましょう、」

私は指導書を頼りに進めていく。

《※》

『この時指導者は手本となるように少しオーバーに見えるくらいにやりましょう。衣服がはだけるくらいに元気に跳ぶとなお良いでしょう。』

 

なるほど、それくらい勢いをつけろと言うことか。

 

「よっ、ほっ、はっ、」

 

身体能力では日々のレッスンで鍛えられている彼女達には叶わなず人に見られるのは気恥ずかしいがせめて元気だけは自ら手本となり示さねばプロデューサーとしての沽券に関わる。さあ皆、私の頑張りをしっかりと見てくれ!

 

 

 

「「「…………」」」

 

 

 

 

あれ?何故か無反応?

 

「お、お兄ちゃんっその、見えて、あの…。」

「未来は黙ってて。」

「そうよ未来。折角プロデューサーが私達にお手本を見せてくれているのにいくら兄妹だからと言っても失礼よ。プロデューサー、続けてください。」

 

「は、はい。では私が今行ったステップをワンセットとして皆さんもやってください。その後徐々に動きを増やしたりセット数を増やします。」

 

「なるほど~だんだん辛くなってくるやつだね。楽勝だよ!」

「うぅ……ダンスはそんなに得意じゃないですけどプロデューサーの為なら頑張ります。」

 

 

流石はアイドル達だ。私は見本のステップを軽く数十秒踏んだだけで早くも息が乱れてしまったが彼女達は難なくこなしている。ダンスタイプではないアイドル達も私など足下にも及ばないし十分伸び代がある。

 

 

 

 

「はい、ステップはそこまでです。次は音楽に合わせてもう少しダンサブルなレッスンをします。」

 

 

「ステップも良いけどやっぱり曲がないとノリが違うよね~。」

のり子のテンションが上がった。やはりのり子は元気が良いな。

 

「曲はTHE IDOLM@STERです。まずは私がお手本を見せます。」

《※》

この際思い切り仰け反ったり跳び跳ねて襟袖から素肌が見えるくらい見せ付けると興奮。

 

……興奮ってどうゆこと?まあ良い。こんな日がいつ来ても良いように密かに練習した私のダンスを見せる時か来た。行くぞ!

 

 

 

「うぇっ!?ちょっとプロデューサーそんなに仰け反ったら……」

「のり子さん……レッスン中の邪魔になりますから静かにしましょう。」

「いやでもあれは……てゆーか風花さんキャラちがくない?」

 

「なんで止めるの静香ちゃん志保ちゃん!お兄ちゃんが……お兄ちゃんがあんなことになってるのに!」

「よく考えて未来。この至高の時間を無にすべきじゃないわ。」

「そうよ。折角プロデューサーがレッスンをつけてくれているのよ?」

「絶対違うよ!皆お兄ちゃんをエッチな目で見てるでしょ!」

「まさか?プロデューサーに対してエッチな気持ちなんて無いわ。ねえ志保。」

「そうよ、えっちなのはいけないと思うわ。ねえ静香。」

「未来ちゃん、ちゃんと集中しなきゃダメですよ♪」

「えぇ!?風花さんナンで!?。」

 

「ゼーお……ハー終わりました。……ハーゼー皆さん……やってみて下さい……ゴホゴホ」

 

「大丈夫ですか?プロデューサーさん」

「風花さん……な、何のこれしき……いい汗をかきましたよ……オエ。」

 

(本当は今すぐ横になりたいが男の私が先にダウンするわけにはいかない。皆が見てるからつい張り切ってしまった……。)

 

だが流石に辛いので私の指示で皆が音楽に合わせて踊っている間に座り込み息を調えていると未来が近寄ってきた。

 

「お兄ちゃん。」

「未来?」

「無理しないでね。そんなに体力ないんだから。」

「うっ……気付いていたのか。」

「妹だもん。それに今なら皆がダンスしてるからちょっとぐらい休憩しても大丈夫だよ。はいお水。」

「未来……ありがとう。未来は本当にいい子だなぁ。」

「デヘヘ、どういたしましてお兄ちゃん♪」

 

 

全く本当に優しい妹だ。小さな頃はパパやお兄ちゃんと結婚するなんて言っていた未来も今やアイドルの卵だ。いつか未来も誰かと結婚すると考えると実に複雑だ。未来の男の趣味を疑うわけではないが金髪ピアス浅黒男なんて連れてきたらどうしよう。泣いちゃうかもしれない。マジで。

 

 

(うわあああ!汗だくのお兄ちゃんヤバい!エッチだよ!?スッゴいエッチだよーッ!首筋ヤバい!汗が伝って濡れて光ってるよ。舐めたい!ダメダメ私達は兄妹で血が繋がっててるからそんなこと出来ないよ!でも見るだけなら……見るだけなら大丈夫だよね!?)

 

 

春日未来14才。思春期に差し掛かった彼女の性癖は実の兄によって確実に歪んでいった。

 

 

「あっ」

 

小さな悲鳴を上げたのは風花さんだった。どうやら足がもつれて倒れてしまったようだ。

 

「豊川さん大丈夫ですか?」

「すみませんプロデューサーさん。私、ダンスとかステップはまだ上手く出来なくて……」

「大丈夫ですよ。そのためのレッスンなんですから。一緒に頑張りましょう!」

「は、はいっ!私、プロデューサーさんの為に頑張ります!」

 

 

 

 

(うわぁ……プロデューサーさんやっぱり格好いいなぁ。私みたいな胸のおっきい女にも優しくしてくれるし本当に好きになっちゃいそうだよぅ。)

 

自分でも中々の励ましだったと思う。これが社長の言うところのパーフェクトコミュニケーションと言うものだろうか。

 

しかしここで思わぬ事態が発生した。風花さんに近寄って分かったが、風花さん……むちゃくちゃエロい。

以前から分かっていたが薄着になったことによってどうしても93㎝のバストが自己主張を強めレッスンで若干汗ばんだ素肌に衣服が張り付き余計にシアターアイドルトップクラスのプロポーションが私の煩悩を刺激する。

 

(まずい……変な気分になってきた。ついつい視線が胸元に行ってしまう。だが女性はそういった視線に気付きやすいと聞く。だけど目が!眼球が勝手にあの双丘を視界に捉えて離さないんです!)

 

 

私は何とか他に視線を向けたがここでさらに悪いことに気付いた。

端的に言ってここにいるアイドル全員エロい。汗と薄着のコンボは強力だ。加えて疲労による意識の乱れからか普段よりも皆無防備で一瞬一瞬の仕草がとても健康的エロスに満ちていた。

 

(これ、写真集出したらスゴい売れるんじゃないかな?いやしかし未来のこんなあられもない姿を全国に晒すわけには……)

 

 

一通りダンスが終わるとアイドル達にもいくらかの疲労の色が出始めてきた。いつもならここら辺で休憩を挟むのだが彼女等たっての希望によって水分補給だけ取り次のレッスンに移った。

 

「そろそろ皆さんも疲労が溜まってきたと思いますがここで一気に負荷を掛けたいと思います。次はマリオネットの心を踊ってもらいます。」

 

 

「うわーその曲かなりキツいんだよね。」

「美希先輩でも息が上がるぐらいですからね。」

 

「大変だと思いますがここで頑張る事で皆さんの為になると思います。」

 

「よーし、春日未来!頑張ります!」

 

 

 

 

 

「ふにゃぁ……。」

「もう無理……足がパンパン……。」

「くっ……確かにかなり足と肺に来ますね。」

「一瞬うどんが手を降っているのが見えたわ……。」

 

 

曲が終わるとアイドル達は一斉にその場にへたり込んでしまった。

 

「皆さんお疲れ様です。かなりエネルギーを使いましたね。私も大分汗をかきましたよあはは。」

 

私はインナーをパタパタと上下させ熱気を逃がした。あまり見た目はよろしくないが女性には出来ない男性ならではの涼みかただ。

 

 

「「「…………」」」

 

おかしい……今日何度目かのいくつもの視線を感じた。

 

「……あの、何か?」

 

「いやいやっ何でもないよ!プロデューサー!」

「そっそうですよ。ちょっとうどんの精が見えただけです。」

 

「みんなお待たせ―!」

 

扉を勢い良く開けて先ほどトイレに向かうといった海美が戻ってきた。どことなくスッキリした顔だ。

 

「おっそいよー海美。もうレッスン終わっちゃたよ。」

「随分長いトイレでしたね。何してたんですか。」

「な、何って……トイレだよ。」

「へー」

 

「あ、あははは……いやーそれにしても残念だなー!私まだまだ動き足りないよー。」

 

海美の発言で私は良いことを思いついた。

 

「丁度いいですね海美さん。皆さんにアイシングを教えるので一緒に見本になってください。」

「へ?」

 

「アイシング込みのレッスンですからね。筋肉を酷使した後はしっかり休ませることも大事ですからね。さ、こっちに来てください。」

「へ、へ?」

「それは良いですね海美さん。是非私たちの手本になってください。」

「そうですね。私達にはとてもそんな刺激的な真似できないわ。」

「……ご愁傷さまです。」

「バイバイ海美。」

「お兄ちゃん……ひょっとしてわざとしてる?」

 

「……」

 

「海美さん、さあ此方に。」

 

 

 

 

 

「ウボァ―!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんなことが……」

 

あの後未来ちゃんに事の顛末を聞き私は頭が痛くなった。思春期まっしぐらの彼女達にとってプロデューサーのレッスンは刺激的を通り越して破壊的だろう。私だって今の話を聞いただけでちょっと興奮してきた。莉緒ちゃんはなんでその場にいなかったのかと壁を叩いて悔しがっていた。

 

「あの~このみさん。ひょっとして私、なにか間違ってしまいましたでしょうか?さっきから未来が口を聞いてくれなくて。」

 

そして最大の問題は当のプロデューサーが全くの無自覚だということだ。何なんだこの男は?自分の魅力に気づいていないの?馬鹿なの?

 

「とりあえず着替えたら?汗もすごいし。」

「あ、はい。」

「ここで脱がないで!」

「あ、すみません。」

 

プロデューサーは私たちの前で上着を脱ごうとしたので慌てて止めた。プロデューサーのうっすらと浮き出た肋骨が図らずも見えてしまい止めるのをやめようかとも思ったがもしそんなことをしたらレッスン室が血まみれになるか逮捕者が出てしまうのでしっかり止めた。見渡せば全員しっかりとプロデューサーを見ていた。マセガキ共め。

 

 

 

 

 

今日はかなりいい仕事をしたと思う。自分のやりたかった事を出来たし皆も頑張ってくれた。海美は少し張り切りすぎたようでダウンしてしまったが。反省はあまりよく理由が分からないが未来に嫌われこのみさんに「こいつ何考えてんだ」的な目で見られながら怒られた事だ。

 

 

「何はともあれいい汗もかいてプロデューサーの株も上がったかな。このレッスン本のお陰だな。この調子で今日も一日頑張るぞ!」

 

 

 

 

その日シアターアイドル達は若干下半身をモジモジさせながらアイドル活動をしたとかしなかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 




ご要望に沿えたかどうかは分かりませんが暇潰しになれば幸いです。他のリクエストも忘れていないのでご安心下さい。活動報告でリクエスト受付中ですのでよろしければどうぞ。
ボチボチ他の作品も更新しようかと思います。もちろんこの作品も。(*´ω`*)

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