この素晴らしい世界にデストロイヤーを!   作:ダルメシマン

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三部 18話 魔王城封鎖 後編

 魔王軍の間には困惑が広がっていた。

 対魔法使い用の軍団が壊滅したため、次はすぐさま魔王城へ攻め込むと思い込んでいたようだが、俺たちは包囲を続けるだけで動こうとしない。

 

「カタパルトの組み立てが終わりました!」

「よし、奴らへ恐怖を与える番だ。いっせいに放て!」

 

 魔王城から十分な距離を取り、攻撃を再開させる。

 カタパルトから巨大な岩が発射され、魔王城に衝突する直前、見えない壁によって阻まれバラバラになる大岩。

 張り巡らされた結界の効果だろう。

 城に全くダメージを与えることはできない。

 予定通りだ。

 結界の内部にいるモンスター達が、俺の行為に首をかしげている。

  

「奴らはなにを考えているんだ?」

「投石程度で、この結界を破れると思ってるのか?」

 

 次々と発射される大岩。しかしどれもこれも魔王城に届く前に破壊される。

 一見無意味に見えるこの行為は、次なる作戦の布石なのだが、相手にはわからないだろう。

 

「汝らは何者だ? 冒険者か? 遠距離から城を攻撃するなど、魔王退治の王道を知らぬのか? しかし、なんという無駄な事を。岩如きで我が結界が破れると思ったのか?」

 

 そのまま投石を続けていると、白い仮面に、白いロ-ブを身に包んだ魔法使いが現れ、俺たちに尋ねる。

 

「我が名はサトー・マサキ。ノイズ軍を率いる軍隊長だ。冒険者では無い。軍人だ。王道など知らん。このまま攻撃を続けるのみだ。降伏をお勧めする」

「なんと!? 魔王に降伏を勧めるとは。汝はよほどの実力者か、それともただの狂人か?」

 

 返事をする。

 あいつはデータにあったな。魔王幹部でもっとも危険な奴だ。噂の最強の魔法使いだ。

 結界をはるのもあいつの仕事だと聞いた。

 

「それはすぐに分かることだ。だがご自慢の結界がいつまでも通用するとは思わないことだ。どんなものにも抜け穴はある。俺は抜け穴を見つけるのが得意でな」

「有り得ぬ! 我が結界は何があろうと磐石だ!」 

「それはどうかな。俺はあのゲセリオンを倒した男だぞ? 不可能を可能にするのが俺のやり方だ」

 

 俺は魔法使いを挑発しつつ、自分の軍隊に迎撃体制を取らせる。ゴーレムをバリケード代わりにし、背後に部隊を控えさせる。

 城攻めの最中に防御陣形を取るのはきわめて不自然だ。

 しかし俺には確信があった。このまま攻撃を続ければ、魔王城の奴らは必ず痺れを切らしてこちらにうってでるはずだ。

 

「紅魔族、見てるか? あの白いのをやれ。あいつさえ倒せば結界が消える。そうなればカタパルトで魔王城を直接破壊できる。いわく魔王軍最強の魔法使いだそうだ」

 

 最強の魔法使い、その言葉に大きく反応した紅魔族は。

 

「俺がやる! やらせろ!」

「私よ私! 最強の称号は私のものよ!」

「ここは俺に任せろって!」

 

 紅魔族同士で誰が攻撃するかもめていると。

 

『爆発魔法!』

 

 ただ一人、問答無用で自分の最大攻撃を浴びせるななっこ。

 

「おい、ななっこ。何でお前はそんなにキレやすいんだ。そもそも紅魔族はまず名乗りを上げてから攻撃するのがルールだろ?」

「最強! 最強の魔法使い! そんなものが私の目の前に出てくるのが悪いんですよ。カモがネギしょったようなもんじゃないですか!」

 

 いっくんのつっこみに、悪びれも泣く応えるななっこだった。

 

「不意打ちとは邪道な。しかし、中々の威力を持つ魔法であったぞ。さあ堂々と勝負しようではないか。今度はこちらから――」

 

 羽をばさっと広げ、爆発魔法を防ぐ白の魔法使い。

 

「『爆発魔法』『爆発魔法』『爆発魔法』『爆発魔法』『爆発魔法』『爆発魔法』『爆発魔法』『爆発魔法』……!」

「ちょっ……、待っ……!」

 

 ななっこの赤い瞳に移るもの、それは最強の魔法使いの称号。誰が何を言おうと止まらず、ただただ魔法を打ち続けた。

 たまらず結界の中に引き返す堕天使。

 

「……が……。おのれ……。汝らは! なぜまともに攻めてこないんだ! それだけの魔力があれば、結界を破って一人一人侵入することもたやすかろう! 魔王様は部屋で勇者の到着をお待ちだ! 早く来い!」 

 

 ヨロヨロとふらつきながら、体を再生しながら叫ぶ堕天使。

 

「無視だ。無視。カタパルトを発射し続けろ」

 

 やはりあいも変わらず。嫌がらせのように大岩を打ち続けさせた。

 

「あなたの気配! 神聖な力を感じました。失礼ですが元天界のお方でありません?」

「おお、話がわかる奴もいるのか。その通り、我は今でこそ魔王軍の幹部だが、かっては神族の血が流れる天界の民であった」

 

 そんな中マリンだけが、結界内に下がった堕天使に食いついた。

 

「その偉大な力を、何でこんな邪悪な事に使っているんですか?」

「天界にも色々あるのだ。人間にはわからんだろうがな。我が命は魔王城の結界を維持する事よ」

 

 結界の中と外で、互いに話し合うマリンと堕天使。

 

「今からでも遅くありません。神族の血が泣いています。地獄との縁は切って、もう一度やりなおすのです」

「そんな真似はできん。我は悪に付いたのだ。我は人類の敵として立ち塞がる。塞がりたいのだが……」

 

 ドーン。

 

「アクア様の元に謝りにいきましょう。私も一緒に行きます!」

「アクアだと? あの女神アクアの事か。あいつ、また何かやらかしてないか心配だ。おっと今は天界なんて興味は無いがな。もう終わった話よ。なあプリーストよ、お前の仲間に、正々堂々と魔王の元に来るよう、説得してはくれぬか?」

 

 ドーン。

 

「マサキは……私もずっと旅をしてきたのですが、そういう性格じゃないので。いくら言っても無理だと思います」

「そういう奴がいると非常に困るんだが。普通に城攻めとかしたいなら、人間の城を狙うがいい」

 

 ドーン。

 

「ドンドンうるさいわあああ!」

 

 マリンと堕天使が話している間も、次々と岩をぶつけていった。全く無意味だが、騒音にイラついた堕天使がついに切れる。

 

「よし、調整完了。マリンが食いついたのは想定外だが、時間稼ぎには丁度よい。そろそろ魔王軍への攻撃といくか。カタパルト、再度発射!」

「懲りない奴らめ。こんな事で我が結界が破れると思ったら大間違いだぞ! なんなら気が済むまでやってみろ!」

 

 カタパルトから発射された大岩が、魔王城目掛けて飛び。

 

「では遠慮なく。どーん!」

 

 俺の言葉と同時に、城壁の一部が爆発し、崩れ去った。

 

「ハッハッハッハ! フハハハハハハ! うひゃひゃひゃひゃひゃ!」

 

 結果に満足し、大笑いする俺。

 

「ば、馬鹿な! 結界の中だぞ?」

 

 魔王城の中の兵士たちが、半ばパニックになりながら大騒ぎをしていた。

 

「結界内は絶対安全じゃなかったのか?」

「ナンデ! ナンデ! ナンデ!」

 

 何が起きているのかわからないといった表情で騒いでいる。

 

「ありえん。結界はいまだに維持しておる!」

「じゃあなんで城が崩れたんだよ! どうなってる!?」

「最強の魔法使いじゃなかったのか? あんたの結界は穴でも開いてるのか? おい!」

 

 もはや幹部の威厳も何も無い。最強の魔法使いはその実力を白眼視され、他の魔王軍の連中に詰め寄られる。

 

「ドンドン行けえ! どーん! どーん!」

 

 次々と直撃する大岩。それと同時に、魔王城の城壁が次々破壊されていく。

 

「はっはっは、これぞ我が決戦用の新兵器。『衝撃貫通砲』だ。この兵器の特徴は、いくら結界で防いでも衝撃だけは貫通する。いくら閉じこもっていても無駄だぞ?」

 

 それまで単なる嫌がらせだと思われていた後方のカタパルトが、魔王軍にとって真っ先に破壊すべき危険な兵器に変わった瞬間だった。

 あともう一押し、恐怖を教えてやろう。

 

「ななっこに一撃撃たせろ」

「いいですよ! 『爆発魔法』!」

 

 ななっこが結界に向けて爆発魔法を放つが……。

 見事結界に阻まれ、魔王城はビクともしない。

 

「ほ、ほらな? 我が魔法の結界は完璧だ。今も正常に動いておる」

 

 自慢げに配下を落ち着かせる最強の魔法使いだが。

 

「ではカタパルト、発射」

 

 続いて大岩を発射させる。

 するとななっこの爆発魔法ではビクともしなかったのに、大岩が結界にぶつかったとたん爆発した。

 

「話が違うじゃないか! おい!」

「こんなことはありえん! ありえん! 結界の中は安全だ! 我が魔力は無限に供給される! いくら紅魔族といえども結界を破壊する力は無い! この中に篭っていれば安全なはずだ! 安全なんだ!」

 

 堕天使の必死の弁解も、目の前で次々と破壊されていく城壁を前には無意味だ。

 

「だが強い魔法使いなら、強引に突破することは可能なんだろう?」

「た、確かにそうだ。強力な魔法で我が結界を一時的に破ることは可能だが……」

「それだけで十分だ! なにしろ改造人間なんて作るノイズだぞ? 絶対に安全だと言い切れるのか!?」

「あのカタパルトか、それとも岩の方に仕掛けがあるのかはわからんが、奴らは結界を貫通する兵器を使ったに違いない!」

「ぬぬぬ、仕方ない。こんなはずはないのだが……。一度結界の魔方陣を確認して、何か異変は無いか確認してくる!」

 

 最強の魔法使いは、流石に言い返せなくなったのか、奥へと引っ込んでいった。

 その間にも、カタパルトの攻撃が次々と降り注ぎ、魔王城は破壊されていく。

 

「こうなったら! あの新兵器に特攻をかける! 結界が役に立たないのなら、魔王城といえども人間の城と大差ないぞ!」

「あの中にか? 死にに行くようなものだ! もう魔法を防ぐ鎧は無いのだぞ?」

「じゃあどうしろていうんだ! このまま結界の中でお陀仏か? それなら最後の賭けに出て、なんとしても新兵器を破壊するんだよ!」

「これは罠だ! 相手は明らかに迎撃体制を取っている! このまま行けば死ぬだけだ!」

「それは篭ってても一緒だぞ! ジリ貧になる前に行くしかない!」

 

 モンスター同士で怒鳴りあいが始まった。未知の攻撃を前にした魔王軍は、もう軍隊としての体を成してない。

 意見の不一致は士気の低下を生む。

 戦争は内部のちょっとしたいがみあいが勝敗を左右するのだ。

 

「俺はなんとしてもあのカタパルト兵器を破壊する! 止めるな!」

「いや、今まで結界が貫通した事など無い! これは罠だ! 早まるな!」

「罠だとわかっても行くしかないだろ! 攻撃を受けてるんだ! 誰が止めようが俺は行くぞ! 魔王のために!」

 

 多くの被害が出るのを承知で、各自バラバラに飛び出していく魔王軍の小部隊。

 放っておけば城が持たないと認識しているからだろう。

 魔導師風の者、ガーゴイルじみた姿の者、騎士風の者、その他様々なモンスターが、続々と城から飛び出してくる。

 

「迎撃せよ! ここが堪え時だぞ!」

 

 まずは構築した防衛線で敵を誘い込む。簡易バリケードを盾にし、紅魔族が魔法を放つ。

 

「ぐあああああ!」

「まだまだあああ!!」

 

 すぐさま紅魔族の攻撃で消し飛ばされるモンスターたちだが、生き残りがそれでもなお命がけで必死で魔法の弾幕を掻い潜り、後方のカタパルト目掛けて特攻する。

 

「第一防衛ライン! 突破されました!」

「紅魔族を後方に避難させろ! レイ! 出番だ」 

 

 その勢いに押され、魔法を撃ちつつ後退する紅魔族。 

 流石に敵も精鋭ぞろいだ。紅魔族だけでは倒しきれないか。

 

「紅魔族、全員第二防衛ラインへ後退を確認しました」

「では私の出番ですね。『炸裂魔法』」

 

 レイが手をかざすと、モンスターの真下の地面が次々と爆発する。まるで地雷だ。

 一撃で倒すことは出来ないものの、手足をやられ体を引きづる魔王軍。動きが遅くなった。

 

「足をやられた! もうダメだ!」

「俺の事はいい! いいからあの兵器を破壊しろ!」

 

 混沌とする戦場の中。

 さあ今度は、俺の黒の部隊の出番だ。

 

「ブラックネス・スクワッド、前進!」

 

 黒い軍服を着た軍団が、全員長い鉄の塊をしょって登場する。

 

「紅魔族だけに任せるわけには行かないな。新兵器、RPG(仮)を構えろ!」

 

 RPG……レールガン・プチ・グレネードの省略。

 原理は簡単だ。レールガン(仮)を小型化しただけ。マナタイトを入れて圧縮して打ち出すだけのお手軽兵器だ。

 使い捨てなのが玉に瑕だが。

 

「一斉に撃て!」

 

 動きが鈍くなった軍団目掛け一斉放火を浴びせる。

 

「ううっ! こんな魔法、見たことない!」

「危険なのは赤いのだけじゃなかったのか!? あの黒い集団はなんだ」

「どうなってるんだよ! はぁ!」

 

 ブラックネス・スクワッドが一時的に敵を食い止めている間、紅魔族は体制を立て直す。

 

「隊長! RPG(仮)、全て撃ちつくしました!」

「よし、各自接近戦で迎撃せよ! あとは乱戦だ! この戦いこそ堪え時だぞ! 油断するな!」

 

 魔王城の目の前で大合戦が起きる。

 だが敵でダメージを負っていないものは一人もいなかった。

 紅魔族の魔法の雨の洗礼を受け、それを乗り越えたものにはレイの炸裂魔法による地雷、止めにRPGの一斉射でほぼ満身創痍だ。

 魔道ゴーレムや、黒の近接部隊が弱った相手を仕留めていく。

 

「『ターン・アンデッド』!『セイクリッド・エクソシズム』!『セイクリッド・ブロー』」

「はっはっは! もう滅茶苦茶だな! だがこういうのも嫌いじゃねえぜ!」

「『炸裂魔法』『炸裂魔法』『炸裂魔法』『炸裂魔法』『炸裂魔法』」

 

 乱戦のなかで笑っている仲間たち。

 

「あいつを狙え! 高額賞金首のサトー・マサキだ! 『カースド・ライトニング』」

 

 巨大ゴーレム艦<サトーズ・フィスト>に乗った俺を狙う魔法使い風のモンスターだが。

 

『マジックキャンセラー』

 

 すぐさま乗り込んだ紅魔族に魔法をキャンセルされ。

 

「お返しです! 『カースド・ライトニング』」

 

 魔法をお返しする。俺の旗艦を狙うとは愚かなやつらだ。

 

「マサキはほおっておけ! 今はカタパルトを優先だ!」

 

 壊滅した魔法使い集団を見て、他のモンスターが叫ぶ。

 

「魔王に栄光あれー!」

 

 敵には圧倒的不利な状況の中で、魔王軍の、屈強なモンスター数人が最終防衛ラインに到達し――

 ――スクロールを取り出し、大爆発を起こす。

 

「隊長! カタパルト一機、破壊されました!」

「どうだ……みたか……。これが魔王の誇りだ……」

 

 最後に満足げ笑い、倒れる兵。勇敢な戦士だった。

 

「自爆に気をつけろ! 危険そうなモンスターには接近するな! 『スティール』でスクロールを奪え!」

 

 慌てず、冷静に対処するように指示を出すが。

 

「みんなあいつに続けえ!!」

「向こうはビビってるぞ! あの兵器さえ破壊すれば魔王城は敵無しだ!」

 

 特攻に怯えた紅魔族や黒の部隊は距離を取る。

 勢いのまま突撃する生き残り。

 気が付くと三機あったカタパルトは、決死隊の奮戦によってすでに二機が破壊された。

 

「どうします? 隊長?」

「どうするって? わかりきってるだろブラック・ワンよ。敵に渡すぐらいなら破壊しろ、だろ。ななっこ! 最終手段だ!」

 

 ニヤ付きながら、予め決めていた手はずどおりに行った。

 全てのモンスターが最後に残ったカタパルトに集中したところを、『爆発魔法』で壊滅させた。

 魔王軍の精鋭は壊滅。と同時にカタパルト兵器も破壊された。

 

 

 

「フッ、痛み分けだな」

 

 なんとかピンチっぽく演出するように呟く。

 

「卑劣な奴め」

「思い知ったか! 我が魔王軍の力を!」

「あとは煮るなり焼くなり、好きにしな!」

 

 全てのカタパルトが破壊されたところで、張っていた気が抜けたのか、その場にへたれこむモンスターたち。

 

「プッ。見事だ。見事な戦いぶりだった。お前たちの活躍は、魔王軍の歴史に刻まれるだろう。ププププ! 武器を取り上げ、全員捕らえろ!」

 

 噴き出しそうになるのを抑えながら、捕まえたモンスターたちに賞賛をあびせる。

 

「何がおかしい! これでお前の、魔王城を直接狙うと言う計画はおしまいだ!」

「自慢の新兵器が壊されて頭がおかしくなったか!?」

「マサキ、これでお前も堂々と攻撃をするしかないんだ! 策士ごっこももう終わりだ」

 

 捕虜達が俺を罵倒するが、ここまで心に響かない悪口は無い。

 

「みんな拍手だ! 勇敢な兵士たちに拍手を!」

 

 俺だけでなく、紅魔族、ブラックネス・スクワッドも、カタパルトを破壊されたことで別に困った様子は無い。余裕を持ち、ここまでの健闘ぶりをたたえて拍手をする。

 その様子を見て不気味がる捕虜達。

 

 

「撤退ーーーー!! はぁ、はぁ、はぁ。ぜ、全員! 攻撃を中断せよ!! 魔王城へ帰還するんだ! 今すぐに!」

 

 捕虜が困惑していると、魔王城の中で再び堕天使が出現し、大声で叫んだ。

 

「わ、わかったぞ! 結界は確かに大岩を防いでいる。一方城内の爆発はタイムラグがある。つまり結界の内部に侵入者がいるんだ! こっそり結界に穴を開け、姿隠しの魔法で直撃と同時に魔法を放っている! 結界が貫通しているわけではない。タイミングを合わせて内部から魔法を放っているのだ」

 

 堕天使が俺の策略に気づいたのは、すでに城壁がボロボロになり、突撃した魔王軍のほぼ全軍が無残に壊滅したあとだった。

 

「つ、つまりどういうことだってばよ!」

「このカタパルトが新兵器なんじゃないのか?」

 

 おのおのと震えながら、信じられない表情で尋ねてくるが。

 

「お前たちが破壊したのは、どこにでもある普通のカタパルトだよ。ちょっと結界内部に侵入した奴にタイミングを合わせてな。ドーンって! いやあよく食いついてくれたよ。こっちも無傷とはいえないが、もう城内には殆ど残ってないんじゃないか?」

 

 爆発魔法が使えるのはななっこだけじゃない。彼女ほどの威力はないが。

 そして幹部が減った状態だと、結界の強度が低下する事を聞き出した情報が役にたった。

 思えば結構手間だったな。

 まずななっこの爆発魔法に注目させた隙に、結界破りと姿隠しと潜伏、爆発魔法の使い手の四人を結界内部に送り込み……あとはタイミングよく爆発させた。

 ちなみに内部に侵入した特殊チームは戦闘の最中に脱出済みだ。

 そう、対魔王軍用の新兵器、『衝撃貫通砲』なんて存在しない。屈折魔法を使ったちょっとしたトリックだ。

 敵はありもしない兵器に踊らされ、無意味に突撃し、大被害をこうむった事になる。

 

「ひ、酷すぎる……いくらなんでもこれは」

「外道とかそういうレベルじゃないわ。なんなんだよお前らは」

「俺たちの戦いはなんだったんだ?」

「真面目に魔王軍やるのがアホらしくなってきたぞ。野生に帰っていいかな?」

 

 がっくり膝を付く捕虜達。目には涙を浮かべている奴もいる。

 気持ちはわかる。命を捨ててまで突撃したのに、全て無駄だったのだ。

 

「よし、次の予定を読み上げろ、副隊長」

「はい隊長。まずは捕虜を処理したあと、休息もかねて魔王城の前でティータイムです。残った魔王軍を挑発するため、出来るだけ楽しいレクリエーションの時間を過ごすようにします」

「ご苦労」

 

 計画通り進んでいる事に満足する。

 

「処理って!」

「ま、待て! 俺たちを殺す気か!? い、いや元から命を捨てる覚悟できたんだが」

 

 どよめく捕虜達に。

 

「悪いが生かしておく余裕はない。こっちも一応命がけだからな」

 

 憎しみの目を向けてくるモンスター。

 こんな目に合わされたんだから気持ちはわかる。

 

「だが俺はこう見えて寛大な男だ。お前たちの勇敢な戦いに免じて、魔王城へ返してやろう」

「マサキ! 正気かよ!」

「このまま見逃すだと? 頭がおかしいのか!?」

「ここは大人しく返すとしよう。戻ったら魔王に伝えろ。大人しく降伏しろとな」

 

 怒鳴る紅魔族に反論し、捕虜に告げた。

 戦意を喪失したといえ、敵の生き残りはまだまだ多い。

 いくら武装を取り上げたと言え、殺されるとわかれば死に物狂いの反撃に合う可能性がある。

 ここは大人しく逃げ道を作ってやるべきだ。

 せっかく野戦で勝利したのだし、出来ればこちらもこれ以上の損耗は避けたい。

 それに敵を生かすことが我が軍の利益になる事もある。

 

「敵は突撃が無意味だった事に気付いて戦意はガタガタだ。弱りきった敵が魔王城に戻った所でなんの脅威でもない。それにここで無駄な魔力の消費は抑えたい。魔王攻略にはあと少し時間がかかるのだ」

 

 紅魔族にそう説明するが。

 

「紅魔族の回復力を舐めないで下さい! ほんの仮眠さえ出来れば、すぐに回復しまた戦います!」

「そうだ。ななっこの言うとおり! 生き残りを爆殺したあと、今すぐ魔王城にカチコミにいって更地にしてやるぜ!」

 

 無意味な戦いは避けたいのに。さすが戦争用に改造された戦闘民族だけの事はある。血の気が多いな。

 

「ひいい……」

「く、くるのか?」

「やるならやるぞ!」

 

 怯えるもの、憤るもの、構えるもの、様々な捕虜に。

 

「わかった。では一人一発だけ攻撃を許可をする。それでいいだろう?」

 

 妥協点を見出す事にした。

 

「一発だけとはどういうことだ?」

「つまりだな、これから捕虜は仲良く魔王城へ引き返させる。その際、背後から紅魔族が一人一発ずつ魔法を撃つことは許す。まぁ命がけの鬼ごっこだな。捕虜たちは無事結界内に逃げられればセーフだ」

 

 生き残りを一箇所に集めさせ、ルールを説明した。

 

「まぁ確かに、マサキの言うことにも一理あるな。マナタイトの残りも限度があるし、決戦の分の魔力も残しておかないとな」

「しょうがないですねえ。一発に全てをかけることにしますか」

 

 紅魔族も納得してくれたようだ。ななっこにいたってはいくらマナタイトの加護があったとはいえ、爆発魔法を連射しすぎたせいで鼻血が出ている。

 

「よいか。最後の確認だ。お前たちをここで殺してもよかったんだが、この俺マサキの慈悲に免じて生かしてやることにしたんだからな。もし歯向かうのなら容赦はしないぞ。そのことを肝に銘じておけよ」

「あんたの慈悲に感謝するよ」

「絶対ロクな死に方しねえぞ」

 

 捕虜によく言い聞かせ、変な態度を起こさないように再三警告する。

 

「隊長、捕虜達の拘束を解除しました」

「ではよーい、ドン!」

 

 泣きながら帰っていく捕虜達。背後で魔法を撃つ紅魔族たち。

 逃げる敵を攻撃するのは楽だ。

 

「みんな逃げろおお!」

「もういや! もういや! なにもかもいや!」

「魔王なんて! もう争いなんてこりごりだ!」

「生まれ変わったら……貝になりたい。静かに人生を暮らすんだ。海でも眺めながら……」

 

 一応反転してきたときのための防御は取らせているが、杞憂に終わったようだ。

 

「では予定通りティータイムといくか。だがその前に死体を片付けるぞ。病気にでも感染したら大変だからな」

 

 その場に転がる大量のモンスターの死骸を、みんなで手分けして穴を掘らせ、埋めていった。

 計画の第二段階も無事完了した。

 

 

 

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 こちらには無敵の魔法使い集団、紅魔族が付いているとはいえ、魔王城のほぼ全軍を相手にしたのだ。

 もちろん無傷とはいえない。

 <サトーズ・フィスト>の上で高級なお茶を飲みながらも、自分の軍勢の損害を確認する。

 

「怪我人は下がらせろ。衛生兵に見てもらえ」

 

 いつの間にか動けなくなったアルタリアも手当てを受けている。

 

「次こそ最後の決戦だ。戦えない奴は控えさせろ。マリンの所へ行け!」

 

 戦いに犠牲はつきもの。だが一番関心を持つべき所は、自軍の被害と敵軍の被害を比べることだ。

 先ほどの戦いで、我が軍よりも魔王軍の方が壊滅的な被害を受けたならいい。

 どうなったか魔王城を千里眼で観察すると。

 

「ダークプリースト! ダークプリーストはいませんか!?」

「回復してくれ! 頼む!」

「薬草はもうないのかよ! おい!」

 

 思ったとおりだ。

 大量の怪我人を城内に戻したため、混沌と化している魔王城内部。

 

「あんたは最強の魔法使いなんだろ? 俺の吹き飛んだ腕を何とかしてくれよ!」

「こっちだ! 腕なんかいいだろ! それより俺の仲間が今にも死にそうなんだ! 早く来てくれ!」

「それより城の修復が先だろ! あの大穴を防がないと」

「武器は余ってないか? さっきの戦いで全部取り上げられちまって!」

 

 魔王城内部では怒号が飛び交っている。

 

「なんでもかんでも我に頼るな! いくら無限の魔力があるといっても、我が肉体は一つなんだぞ? 一度に出来るか!」

 

 正直ウンザリした顔で、仕方なく部下を回復していく最強の魔法使いさん。

 

「我が結界は完全だった! それを聞かずに飛び出して行ったお前らが悪いのだ!」

「なんだと! あんな単純な策に気付かなかったお前のせいだろ!」

「お前が奥に引っ込んだから、俺達が飛び出す羽目になったんじゃねえか!」

「なにおう! ノイズには新兵器があるとか言ったのは貴様らのほうだろうが!」

 

 責任を押し付けあっている魔王軍。ここまでくるともうダメダメだな。

 

「なぁ聞こえるか!? もう一度、こっそり爆撃といこうかな?」

 

 拡声器で魔王城に向けて告げると、反応しピクッと体を止める魔法使い。

 そしてどこかに魔法使いが潜んでいないか、空を飛んで確認を始めた。

 

「二度と通じると思うなよ! 今度こそ結界内に侵入した敵は消し去ってくれる」

 

 どうやら目を閉じ魔力を探っているようだ。

 その分、魔王軍の建て直しが疎かになっている。

 

「からかって来い!」

 

 これだけで十分だった。紅魔族は俺の思惑を理解し、こっそりと結界に近寄り……。

 

「そこかああ! 『ライトニング』」

 

 魔法使いが攻撃をするとすぐに引き返す。

 

「そこだ! そこだ! そこだ!」

 

 様々な方向から結界に近づこうとしては、逃げるを繰り返す紅魔族。

 敵は魔法を浴びせ続けるが狙いが定まらない。

 紅魔族は面白がって結界に軽く魔法を浴びせる。それに過剰反応する敵。

 どうやら完全に疑心暗鬼になっている。

 からかっている間に、俺の軍勢は最終突撃の準備が出来ていた。

 そろそろ最終勧告と行こう。

 

「よく聞けええ! 魔王の軍勢よ! 俺だって、本気でお前らを根絶やしにしたいわけじゃない! 魔王が相手だから、泣く泣くやっているんだ。そこでだ、お前たちが助かる唯一の方法を教えてやる! 魔王の首を俺の元に持ってこい! 魔王の首さえ取れれば、あとはどうでもいい!」

 

 その言葉を聞き、魔王軍に目に見えるほどの動揺が走った。

 

「魔王の首……!?」

「そうすれば、俺たちの命は助かるのか?」

「もうこんな狂った戦争から、おさらばできるのか?」

 

 口々に会話をするモンスターたちに。

 

「貴様らあああ!! 貴様らあああああ! そんな事をしてみろ! 魔王に立ちふさがるものは、この私が成敗してくれる! まずは我をたおしてみろ! さあ、やるならやってみろ!」

 

 激怒して味方に怒鳴りつける堕天使。

 大変だな、あいつも。

 魔王軍がほぼ壊滅した状況で、城を修復し、仲間を回復し、紅魔族が侵入しないか見張り、さらには諦めムードの自軍を鼓舞しなければならない。

 中間管理職の悲しさだろうか。過労死しないか少し心配だ。

 追い込んだのは俺だけど。

 だがこれでいい。そろそろ切り札の登場だ。

 

「よし、ひゅーこ。ようやくお前の出番だ。お前の役目は寝返ってきたモンスターを誘導し、安心させる事だ。同じ元魔王軍としてよおく教えてやれ」

「マサキ、魔王の命令はモンスターにとって絶対だから、いくらこんな事をしても、裏切りなんて起きないわよ? いや多少は、中にいるモンスターたちに同情するけど。今ほど魔王軍じゃなくてよかったと思うときはないわ」

「気にするな。必ず寝返るとも。今のは単なる脅しに過ぎん。俺たちの最後の突撃が終われば間違いなくな。その時は任せたぞ」

 

 ひゅーこを<サトーズ・フィスト>に残し、俺は地上に降りていつもの仲間と共に、決戦へと向かう。

 

「紅魔族の部隊が結界を破り、強引に進入。更に二手に別れ、一つはあの一番厄介な幹部を釘付けにする。もう一つは結界を張っている魔方陣の破壊。その隙に俺達が魔王城内部に進入する」

 

 最終プランを皆へ確認させる。

 全員が高純度のマナタイトを装備し、いつでも魔王城の結界を切り裂いて侵入できるよう待機している。

 

「そのまま魔王を殺せばいいんだろ?」

「違うって何度も説明しただろ! 魔王は放置し、『セーブポイント』を確保する。その時点で残った魔王軍の大半が裏切る。それで勝利だ」

「だからなんだよセーブポイントって!?」

「セーブポイントはセーブポイントだ。ボスの前には必ずあるものだ。とにかくセーブポイントを確保する。それを見た魔王軍が総崩れを起こし、俺の元へ寝返る。こうして独りになった魔王を総攻撃し、戦争は終わる」

「そんな都合のいいものあるのか? 今までは割りといい外道っぷりをみせてくれたけどよ、最後の最後で楽観的過ぎやしないか?」

 

 アルタリアの反論はもっともだ。

 

 ――セーブポイント

 

 無論、そんなものがあるわけがない。

 だが今まで捕虜を拷問し、聞きだした重要な場所だ。この作戦の要になる。

 俺の本当の狙いを聞き、仲間が躊躇わないようにコ-ドネームで呼んでいる。

 

「セーブポイントの確保が、魔王軍に決定的な敗北をもたらす」

 

 念押しに告げる。

 セーブポイントの正体。

 それは魔王城にいる、非戦闘員の住処だ。

 怪我人が送り込まれる医務室もある。

 魔王が城で豪華な生活を送るためには、どうしても戦闘要員以外の魔族が必要になる。

 兵たちの家族もいるだろう。そんな奴らを人質にし、モンスターたちに降伏するよう再三警告するのだ。

 恐怖だ。恐怖こそ戦いの鍵だ。

 仮に寝返らなくても、魔王軍全体に混乱が起きればそれでいい。その間に工作チームが魔方陣を破壊すれば結界は消滅し、あの堕天使も弱体化するだろう。

 

「結界を強引に破り前進だ! これより最後の戦いに向かう! 全員! 英雄になる覚悟は出来ているな!!」

「くっ! くっ! 貴様らなど我一人で片付けてやる! もう部下など頼らん! いつでもかかって来い!」

 

 歯を食いしばりながら答える堕天使。

 愚かな奴め。

 戦争はチームワークだ。

 配下を軽んじるものが、どういう目に合うか。

 この俺がワンマンプレーの限界を教えてやろう。

 限りなく邪道で、外道で、卑劣な方法で。

 計画の最終段階が、間も無くスタートする。

 

 

 

「ノイズの興亡! この一戦にあり! 続けええ!」

「お待ちください隊長!」

「って何? 今一番いいところなんだけど?」

 

 飛び出そうとすると、副隊長に止められた。

 

「隊長! ノイズから緊急通信です!」

「なんの用だ! すぐに魔王をぶっ倒してやるから、少し待つように言えよ!」

「そ、それが……緊急事態の用で。すぐさま隊長に替わるように命令が……」

「よこせ!」

 

 出鼻を挫かれたのでイラつき、受話器を取り不機嫌そうに聞く。

 

「もしもーし、こちらマサキ大隊長! もうすぐ魔王を制圧する。少し待ってろ! 総督にもそう伝えろ!」

『今すぐ! 今すぐ帰還しなさい! 帰還してください! こちらノイズ! 攻撃を受けている! 早く! 早く! 助け――ブツッ』 

 

 俺の言葉を無視し、向こうから怒鳴り声がし、切れた。

 

「見てください! アレ!」

 

 俺と同じ、千里眼スキルを持っている部下が叫んだ。

 俺も同じ手段で眺めると……そこにはノイズが怪物に襲われているのが見えた。

 

「え? え? どうなってるの? なにあれ?」

 

 通信機を取り落とし、呆然と立ち尽くす。

 だがハッと気を取り直し。

 

「ええっと、ヤバイ。マジでヤバイ。このまま全軍撤退! い、いや、そうしたら、魔王城に残ったやつらに反撃を受けるかも。よし、お前ら。いいか、ゆっくり後退だ。こっちの状況がバレたらまずい。あえて後退するように見せかけて……実際に後退する。安全圏になったら全力で逃げる。いいか? いいよな?」

 

 思いもよらない事態に、混乱しながら命令をだす。

 あとはいかに魔王軍を誤魔化せるかだ。

 

「と、と、と突撃の前に、もう一度波状攻撃だ! 予備のカタパルトを組み立て用意!」

「予備なんてありましたっけ?」

「あるんだよ! 無いけど! いいから組立作業に向かえ! それと残存のゴーレムを全て前に出せ! プランDの準備だ!」

「プランD? そんなのありましたっけ?」

「うるせえ! あったんだよ! 今決めたんだよ! 早く準備しろ! やれ!」

 

 もう俺の作戦は滅茶苦茶だ。困惑する部下達。敵も同じく困惑している。俺の顔から余裕が消えて、明らかに戸惑っているのがバレバレだからだ。

 

「あいつは何をやってるんだ?」

「攻めてこないのか? あそこまで言って?」

 

 そうだよね。明らかに変だよね。

 そりゃそうだよね。結界の前からUターンしたら流石におかしいよね?

 

「待て! 相手はあのサトー・マサキだぞ! これも何かの罠の可能性が!」

「ああやってこっちを油断させているのかも」

 

 頼む、俺の悪名よ。俺達が安全圏内に逃げおおせるまで、相手に恐怖を与えておいてくれ。

 

「危なかった。またこっちを誘い出す罠かも」

「そうだ。マサキは人間とは思えないほど外道だからな」

 

 よし! いいぞ。さすが俺。今まで自分でもドン引きするような作戦を次々とやってきてよかった。

 

「おい! 見ろ! あの遠くを! ノイズが炎上しているぞ!」

「マサキが逃げるのは、故郷が破壊されたからだ!」

 

 バレた。

 

「誰だかしらねえが! ありがてえ!」

「よくも今までやってくれたな! 借りを返すときだ! ぶっ殺してやる!」

 

 しかも怒り心頭だ。まぁ俺の仕出かした行為を見れば当たり前か。

 

「全軍退避――!!」

 

 もう隠す必要も無い。

 俺たちは死に物狂いで魔王城から逃げ出した。

 

「あと少しだったのに! ちくしょう! ちくしょーーーーー!!」

 

 

 ――こうして俺の魔王城攻略計画は、あと一歩のところで無残に失敗したのだった。

 




マサキの冒険で一番の外道プレイを書ききった。
あとは落ちていくだけです。あと3話プラスエピローグで終わる予定です。

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