この素晴らしい世界にデストロイヤーを!   作:ダルメシマン

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三部 13話 婚約発表

 どうしたものか。

 昨晩はレイの気迫に押され、つい告白したも同然の事を言ってしまった。だって目がマジだったし。もうレイと付き合う以外無かった。

 記憶を消してれいれいにする。それが正しい解決策だったのに。それなのに俺はどうしてあんな事を言ってしまったんだ?

 いや、わかるとも。

 認めたくないが俺は負けたんだ。

 レイに、れいれいに、毎日付きまとわれる生活を長く送ってきたせいで……こいつの所業にも慣れてしまった。それが当たり前になってしまった。

 情が移ってしまった。俺のためなら記憶すら捨てるといった彼女を、拒む事なんてできなかった。

 それどころか悪くないとまで思い始めてきたんだ。ヤンデレとの人生なんて絶対に避けたかったはずなのに、こないと寂しく感じるほどにまで、俺はレイに染められてしまった。

 

「やれやれ、このメンヘラヤンデレ女ルート確定かよ。焼きが回ったな」

 

 俺の横で大人しく寝ているレイを見て呟く。

 こうしてみると、レイは本当に美少女だ。

 喋りさえ、いや動きも怖かったな。寝ているだけなら美少女だ。

 これからどうするんだろう? どうなるんだろう? 正直不安でいっぱいだ。

 彼女との将来……。

 考えるとクッソ怖い。ていうか深く考えたくない。

 

「あ、おはようございますマサキ様。昨日はお楽しみましたね」

 

 目を覚ましたレイが開口一番に言った言葉がこれだ。

 

「おい! 何言ってる! なんもしてないだろ! 昨日はなんもなかった!」

「男女が寝室で一夜を共にしたのです! 間違いがないほうがおかしいですよ! そんなつまんない展開があってはいけませんよ!」

「やってない! 話すだけで終わっただろ! 昨日は!」

「チッ、まぁ昨日はそうでしたが、まだまだこれからですからね!」

 

 二人で言い争いながら部屋から出ると、そこには。

 

「お、おめでとうございます隊長」

「美しい奥様で、羨ましい限りですよ」

「お似合いの二人ですよ。嫉妬しちゃうなー」

 

 部屋から出ると、いきなり部下たちが整列して頭を下げてきた。

 まぁ部屋であれだけ大声で騒いでたら丸聞こえだけど。

 隊長である俺の婚約を聞いて祝福の言葉をかけてくる。

 目を反らしながら。

 

「おい、お前ら俺を舐めてるだろ?」

「そんなことはありませんよ」

「え、ええ。心からおめでとうと言わせて貰います」

 

 やはり目を反らしながら賛辞の言葉を浴びせてくる。

 

「ヤンデレの彼女なんて、外道の隊長とお似合いじゃないですか」

「おい! 今喋った奴は誰だ!」

「……」

 

 いっせいに無言になる部下達。

 こいつらめ、普段のお返しとばかりにこの俺を笑いやがって。

 いつもこき使って悪かったけどさ。

 これからはもう少し優しくしてやるか。

 

「マリン、アルタリアも、文句はありませんよね?」

 

 レイは他のヒロイン候補?に、威嚇気味に尋ねるが。

 

「ありませんわ。なんなら私が証人になりましょうか?」

「とくにねえ」

 

 案の定あっさりと認める二人。やっぱ俺はハーレム主人公じゃないわ。見かけだけじゃねえか。ヤンデレ一人に好かれてるだけで、他の美少女二人は神の事とか! 戦う事しか興味ない! 少しは恋愛に興味持てよ! 思春期来いやこのクソアマ共!

 

「誰かと結ばれたら、今の関係が変わってしまう。このままではいられなくなる……。だからマサキ、誰を選ぶなんてやめてくれ!」

 とか言い出す女出て来いやコラー! なんでこいつらはこんな平然としてられるんだ!

 男1人で女3人のパーティーだぞ? それでカップルできたら二人余るじゃん! なんか居心地悪くなるじゃん。そんなのやめてって言って来いよ!

「この佐藤正樹様を奪われて少しも悔しくないのか!? てめえら二人ともヒロイン失格だぞカス共!」

 

 と叫びたい。心のそこから叫びたい。

 でも言えない。俺に惚れろとかそんなナルシスト全開なセリフは恥ずかしくて言えない。

 そもそも俺全然モテなかったし。

 この世界に来てから、そんな俺の状況が変わったかといえば……

 

 ……アクセルでは要注意人物として軽蔑と畏怖の目で見られてきたし、紅魔族からはセンスが無いと呆れられるし。ブラックネス・スクワッドはあくまで上司と部下の関係でプライベートは踏み込まないようにしてるし。

 

 うーん。

 むしろ悪化してるな。日本では嫌われてもあくまでインターネット越しだった。直接敵意を向けられることはあまりなかったなあ。

 でもこの世界ではガチで嫌われまくったな。敵もたくさん出来たし。

 自業自得なことは認める。

 認めるけど、確かにやり方に問題はあったけど、俺だって魔王退治のために頑張ってきたんだ。少しくらいいい思いしてもバチは当たらないと思うんだけど。

 そんなしかめっ面で頭を抱えている俺に、マリンが尋ねた。

 

「なんですマサキ。なにか言いたそうな顔をして」

「いや、ラノベとかの展開と全然違うなあって思ってさ」

 

 そう答えて考える。

 よし、脳内でシュミレートしてみよう。

 仮に俺がレイと、いやもう仮じゃないんだが付き合ったとして、この四人パーティーに変化はあるだろうか?

 俺とレイがベタベタしてると、マリンは……マリンはいつも通り女神を拝んでるだろうな。アルタリアは……戦いさえ出来れば文句はないか。元々こいつらって暴れられればいいとこあるよな。

 

「やべえ、なんも問題なかったわ」

 

 残念な現実に気付き、思わず呟きが漏れた。

 アクセルで同居生活してたときを思い出す。マリンはお祈りの時間は怖くてなるべく関わらないようにしてたな。アルタリアはラッキースケベとかそういうレベルじゃなく毎日のようにあられもない姿でウロウロし、その上恥じらいはゼロ! いくらあいつがドスケベボディーの持ち主とはいえ、何度も見てると慣れるわ!

 いざ欲情しそうになると決まって背後にレイが立ってるしな。何も出来ねえ。

 

 ……なんで童貞の俺が倦怠期の夫婦みたいになってんだよ!

 やっぱおかしいよこのパーティー!

 甘酸っぱさもなにもない! あるのは狂気だけだ! 束縛してくるレイに、やることなすこと無駄に血なまぐさいアルタリア! マリンは普段まともだが、怒らせると誰よりも怖い!

 そういえばノイズで家が個室になったとき、俺めっちゃ嬉しかったわ。この3人と一緒に住むと気が磨り減るんだよなあ。

 俺の青春はどこにいったんだ? 気付いたら婚約とかいうゴール時点についてるんだけど! 

 

「おっ! 話は聞いたよサトー隊長! 綺麗な奥さんを貰って勝ち組じゃないか!」

「おめでとう隊長! ひゅーひゅー!」

 

 グッタリした俺、一方元気なレイに、今度は紅魔族が集まってくる。くっそう、こいつらも普段は隊長呼びなんかしないくせに、完全に面白がってやがる。

 

「そういえばプロトタイプは、指輪とか貰ったんですか?」

 

 紅魔族の一人がレイにそんな事を聞く。

 

「指輪? 指輪とは?」

「王家では結婚するとき、婚約の証に指輪を送るのが仕来たりなんです。近頃はその風習を真似て、貴族や金持ちの間でも同じ事をするのが流行ってるんです!」

 

 チッ、紅魔族め余計な事を。

 

「マサキ様! 私婚約指輪が欲しいです!」

 

 そら来た。

 

「指輪か!? 指輪が欲しいんだな! わかったよ! ちょっと待ってろ!」

 

 俺は一度自分の部屋に戻りゴソゴソと探し。

 

「ほらよ! これでいいんだろ!」

 

 目当てのものを見つけてレイに投げつけた。

 

「渡し方!」

「ひどっ!」

 

 ドン引きする紅魔族たち。

 

「これを私に? 貰ってもいいんですか?」

 

 レイは持ち前の反射神経で、素早く指輪を受け取る。

 

「マサキ様! これはサプライズプレゼントですね! まさかわざわざ私のために?」

「ちげーよ。これはな、高純度のマナタイトを使っている戦闘用だぞ。もし杖を落とした場合に、代用として使える実用性を兼ねた装飾品だ。試作品として作らせた奴だが、やるよ」

 

 なにか勘違いしているレイだが、指輪について説明する。

 

「実用性ってあんた……」

「隊長ってやっぱズレてるわ」

 

「ありがとうマサキ様! 大事にしますね! エヘエヘヘヘヘ! 一生の宝物にします!」

「何を聞いていたんだレイ、それは戦闘用だっていったろ。壊れても大丈夫、すぐに代わりを作らせる。もっと強力なやつをな」

 

 指輪を見てうっとりしているレイにはっきりと説明する。

 

「こいつダメだ」

「ロマンの欠片もねえ」

 

 俺の説明に呆れる紅魔族。

 フン、これでいい。俺にドキドキした恋愛など似合わん。

 

「みんなに私たちの関係も認められたことですし。いざ子作りと参りましょうか」

 

 すぐに指輪を装着したレイは唐突にそう宣言した。

 はえーよ!

 

「昨日も話し合っただろ? そういうのは魔王を倒したあとだと! おい服を脱ぐな! 他人に肌を見られて恥ずかしく無いのか! おい年頃の娘だろ一応!」

「見せ付けてやるんです。むしろ見せ付けてやるんです。私は気にしません」

 

 まさしく痴女そのもの。公衆の面前で逆レイプとかいう、一部の層には大喜びの行為を始めようとするレイ。

 

「俺は気にする! 気にするから! こんな初めては嫌だ! トラウマになる! 離れろ! おいやめろお!」

 

 のしかかるレイを引き剥がしながら叫ぶ。目が怖い。めっちゃ光ってるし。

 周りにいる奴らは引きとめもせず、興味津々にレイの行為を期待した目で見ている。

 こいつら! 

 

「フン! 普段変なものばっか食わされてるし、これぐらいいい気味だぜ!」

 

 部下の一人が呟く。

 

「やーれ! やーれ!」

 

 ニヤニヤしながらはやし立てるアルタリア。

 

「隊長! 報告があります! いやすいません、お邪魔しました!」

「誤解するな! 待て! いくな!」

 

 俺とレイの破廉恥なやり取りを見て、踵を返して引き返そうとする副隊長。

 

「あ、あの、すいませんでした。ノイズ付近の村にてパトロールに当たっているゴーレムが破壊されました」

 

 顔を真っ赤にしながらも副隊長は報告を続けた。

 なんだか知らんが助かった。誰か知らないが、ゴーレムを破壊した奴にお礼を言いたいくらいだ。

 

「チッ!」

 

 行為を中断させられ舌打ちするレイ。

 

「よし、戦いだ! 戦いの続きと行くぞ! 俺達は兵士だ! 恋愛など後回し! いいな! 整列しろ!」

 

 とにかくこの浮付いた雰囲気から脱出できたことに喜ぶ。

 そう、俺はノイズの軍を率いる大隊長だ。恋愛イベントなんかやってる暇じゃない!

 そんなの魔王をぶっ殺したあとでゆっくりとしてやるわ!

 いつもの調子を取り戻し、作戦室で敵の正体を分析にかかる。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 ノイズの国家形態は都市国家だ。都市自体は機械化しているが、食料は付近の村から輸入している。その代わり、防衛として魔道ゴーレムを周辺の村に配備する事で、魔王軍やモンスターの攻撃から守らせるという共存関係にある。

 今回攻撃を受けたのはその防衛用兵器のようだ。

 

「こちらが現場の写真です。どれも高熱で焼き尽くされた様な跡があります」

「金属製の魔道ゴーレムを溶かすとは、普通の炎魔法じゃないな」

 

 ノイズの魔道ゴーレムは魔導技術大国の粋をこめた特別製だ。敵感知にも反応せず、的確に敵の急所を付く。魔術師が作った普通のゴーレムとは格が違う。っていうか普通にロボットなんだが。

 紅魔族ほどではないにせよ、そう簡単に倒すことは出来ない。

 この新たな脅威に備え、現場の写真や回収したゴーレムのパーツをテーブルの上に並べる。

 

「ふっふっふ。この攻撃跡は間違いないわ! ゲセリオン様ね。いくら紅魔族でも今度こそ終わりよ!」

 

 写真をみんなで眺めていると、急に勝ち誇ったような顔で語りだすひゅーこ。

 

「ゲセリオン? 捕虜から聞き出した情報の中に、そんな名前の奴はいなかったが」

「ゲセリオン様はね! 魔王軍の秘密兵器なの! 最強の幹部! だから魔王軍でも知っているのはごく僅かよ!」

 

 ひゅーこの言葉は本当だろうか?

 もしそんな幹部がいるなら、やられっぱなしになる前にもっと早く出せと思うんだが。魔王軍はアホなのか? それともまだ余裕があるのか?

 

「ふうん、お前の事を誰も知らないのも同じ理由か?」

「……うう。そ、そうよ! 私も秘密兵器……だもん」

 

 同じく誰にも知られてない自分の事を付かれ、涙目でプイっと目を反らすひゅーこ。

 

「で、ゲセリオンとか言う奴は強いのか? 紅魔族を倒せる奴なんているのかよ? あの黒いドラゴンも瞬殺だったし」

「ゲセリオン様と他の幹部を一緒にしては困るわね! ゲセリオン様が動くのは最後の最後! どうしても倒せない相手が出たときなの! 誰も倒せない不滅の存在なの! 純粋な力では魔王様よりも強いわ!」

 

 得意げに話すひゅーこ。魔王より強い? あとは魔王城を攻め滅ぼすだけでこの戦争は終わると思ったのだが、まだ最後の難関が待っているようだ。

 

「種族は? じゃなかった。紅魔族より強い種類のモンスターなんて存在するのか? 魔法に強いとか?」

「スライムよ! スライムの亜種! 詳しくはわかんないけど、スライム系の幹部よ!」

「へースライムかー。スライムごとき――」

 

 そこまで言いかけた所で口を閉じた。

 スライム? そんな奴が紅魔族を倒せるとは思わないが、ひゅーこの表情を見るに相当自信があるみたいだ。

 このまま黙って話を聞いてみよう。

 

「魔法も打撃も効かないの! 触れたら最後! 高熱で溶かされるわよ!」

「すごーい! おい、ブラック・ワン。記録しろ」

「はい」

 

 適当に相槌をうつ。と同時に副隊長にメモを取らせる。

 

「いくら紅魔族だって敵いっこないわよ! あまりの強さに、弱いモンスターなら近寄るだけで蒸発してしまうもの! だから普段は動かずにじっとしているの!」

「すごーい!」

 

 ひゅーこ曰く高熱を発するスライムらしい。ゴーレムの破壊状況と辻褄が合うな。

 

「で、弱点とかないのかよ?」

「欠点はないわ! 無敵よ! うーん……あえて言うなら足が遅いこと。それと熱すぎて誰も近寄る事ができないから、どうしても単独行動になることくらいかな」

「へー。怖いね」

 

 こいつ、自分で魔王軍の情報をべらべら喋ってるのに気付いてないのか? 

 ひゅーこを光堕ちさせて本当に助かった。おかげで正体不明の幹部の情報が次々と埋まっていく。

 

「他には?」

「うーんと、後は特にないかな? あっ、まさかあなた! 私から情報を聞きだすつもりね! そうはさせないんだから!」

 

 おせーよ。

 もう大体わかったよ。

 

「もういいよ。ひゅーこ。休んでよし!」

「今回はずいぶん物分りがいいわね、この外道! てっきり拷問か何かにかけるのかと思ったわ。でも私は絶対に仲間を売るなんて真似しないんだからね!」

 

 威張るひゅーこ。

 うん、もう全部聞き出せたからいいよ。拷問する必要もなかったよ。おしゃべりなアホで助かった。

 

「ひゅーこ曰く、今度の敵はスライム系の幹部らしい。全員敵の襲撃に備えろ。紅魔族にも伝えておけ」

「了解!」

 

 俺達は万全な体制で、ゲセリオンという名の幹部を迎え撃つ事になった。

 ポーションにマナタイトにスクロール、どんな相手が来ても蹴散らせるようにアイテムを倉庫から引っ張り出す。

 紅魔の里周辺には鉄条網やバリケードを再度設置しなおし点検させる。

 敵を確認と同時に紅魔族の一斉射撃を浴びせさせる予定だが、万が一それが効かなかった時のために様々なプランも考えておいた。

 たとえ相手が魔王だろうが倒してやる。その意気込みで敵を迎え撃つつもりだった。

 魔王軍の秘密兵器とは面白い。どっからでもかかって来い!

 

 

 

 ――――それから三日がたった。

 

「来ないな」

「来ないね」

 

 ゲセリオンとか言う幹部、いまだに紅魔の里にやってこない。せっかく色々準備したのに。

 最初こそ張り切っていた紅魔族もブラックネス・スクワッドもダレてきた。アルタリアにいたっては無防備な姿で里の中心でスヤスヤ昼寝中だ。

 

「本当にいんのか? そのゲセリオンといかいう幹部は! こねーじゃねえか!」

 

 いつになっても姿を現さない敵に、イライラしてひゅーこに当たる。

 

「だから言ったでしょ! 足が遅いって! スライムだから、ゆっくり進むのよ!」

 

 なるほどスライムだからかー。ってスライムと言っても遅すぎだろ。走って来いよ。

 

「れいれい副官殿? 失礼ですが臭くありません?」

 

 部下の一人がレイに尋ねた。

 

「私はマサキ様とお揃いのシャンプーを使うことを決めているのです。そしてマサキ様はこの3日間、敵に備えるために常に臨戦態勢で、風呂に入る暇がありませんでした。だから私もお揃いで風呂に入ってません!」

 

 キモい。やっぱキモい。

 そういえばこいつの髪の匂い、ずっと俺と同じだったわ。出会ってから全然いい匂いがしなかったのはそのせいかよ。

 

「そんなところは真似しなくていい! 今すぐ洗って来い!」

「マサキ様が洗うなら私も洗います!」

「ぐっ!」

 

 俺がこの三日風呂に入らなかったのは、勿論戦いの事もあるんだが、いざ向かおうとするとレイの気配を感じる。風呂場で襲われたら何も出来ない。それが怖くて入れなかったというのもある。

 

「早く風呂に入りましょうよ、二人一緒に。夫婦ならそれが普通ですよね」

「嫌です」

「ダメです」

「嫌です」

「ダメです」

「嫌です」

 

 不毛な会話を二人で続けていると。

 

「隊長! 北東方向にある村でモンスター警報です!」

 

 やっと敵が動き出したようだ。

 どうやら紅魔の里ではなく、周辺の村から潰しにかかる気か。

 

「全員、戦闘配置! すぐに村の救援に向かうぞ! いや待て、ちょっと頭洗ってくる。レイも来い!」

 

 レイをシャワー室にぶち込んだあとで、自分も素早く頭を洗ってから、里を出発した。

 




久々の投稿です。仕事とかで忙しくて中々書く時間が。というかイマイチ内容が気に入らなかったりしてボツにしてました。
前の更新から間隔があいてごめんなさい。
もうすぐ終わりが見えてきてるはずなのに、なぜか会話シーンだけで文章が増えてしまいます。
次は魔王軍最後の切り札が登場します。

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