NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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070.風と砂と離間の計 其の漆

 今回の件で得た教訓は、復讐の物語にハッピーエンドはない・・・っていうところだろうか。

 

 結論から言うと。

 反乱自体は成功した。

 

 但し、その体制は整えられる前に3日で崩壊したというオチ付きで。

 

 順を追って説明しよう。

 

 まずは三代目風影VS赤砂のサソリ。

 反乱軍が、各重要施設を爆破したことを合図にオレが結界を張り、その内部で戦闘が行われた。

 ちなみに結界を解除する方法は既に昨日のうちにサソリに教えてある。もし仮にオレが戻って来るよりも先に戦闘が終わっていたなら勝手に出られるようにな。

 

 オレはその場から離れ、砂隠れの里郊外にある寺院へとひとり急ぐ。

 場所の特定はもう前日までに終えており、《座標天身の術》でひとっ飛びだ。

 理由はただ一つ。尾獣一尾である守鶴が封ぜられている茶釜を人知れずに確保するためだ。

 到着してからは感知妨害結界を張ってから浸入。

 この寺院が火の国で言うところの火ノ寺。つまり風の国なら風ノ寺か?というところであってもオレのことを止められるほどの猛者はいなかった。

 忍僧たちを《涅槃精舎の術》一つで一網打尽にして無力化したオレはそのまま最奥の間まで直行して茶釜を確保。

 置き土産と言ってはお茶目だが、代わりにと言っては何だが『大魔王封じ』と刻印されたお札が張ってある旧型の電子炊飯器を置いてきた。

 もちろん、言うまでもないことだが中にピッコロ大魔王が入っているなんてことはない。

 ただの粗大ゴミだ。

 

 一尾の入った茶釜を無事回収したオレはサソリの元へと舞い戻る。

 その時の勝負はまさに佳境。最終局面といった様相だったのだが、結果はサソリの辛勝。

 ボロ雑巾のようになりながらも半分絡繰と化している身体に鞭を打って立ち上がるサソリに肩を貸す。

 

「お疲れ。おい、生きてるか?」

「・・・我思う故に我あり」

 

 オレの問いに対して答えにはなっていない返答が返って来た。が、キャラを守る余裕がある。どうやら平常運行らしかった。つまり、問題ないということだろう。

 

 しかし何故にデカルト・・・。

 

 オレには哲学はわからんぞ。

 

 それはともかくとして。

 

 オレは完全に事切れている風影とサソリを回収して、一応拠点として使っている地下集会場へと運んだのであった。

 え?戦闘描写はだって?オレは見ていないからな。悪いけど語れないぜ。もし気になるならサソリに直接嘆願してくれ。気が向いたら話してくれることもあるかもな。

 

 そして、他の上役たちは反乱軍の反乱軍による反乱軍のための基準で追放されたり、殺害されたり、これからの里の運営で協力することを条件に許されたりしていた。

 

 そんなわけで夜が明ける前に始まった反乱は朝が始まりきる前に終えることができたのだった。

 

 戦勝会を開く間も無く、反乱軍は砂隠れの新しい体制を整えていくわけだが、里の一般市民や大多数の人からしてみれば彼らの行動はただのテロリスト。反逆者たちのならず者集団でしかなかった。

 その結果、何事もすんなりとは進まず、里の状況を知った一部の戦場へ赴いていた忍たちが、日本史の有名な1ページである羽柴秀吉が行なった中国大返し並みの速さで里へと戻り、反乱軍と衝突。

 

 一般市民は後の四代目風影となる羅砂率いる部隊を英雄として担ぎ上げて、反乱軍は一瞬でばらけてしまった。

 

 反乱軍に組みしていた一族でも投降すれば、ひどい扱いはしないと羅砂が宣言したこともあり、本当に一瞬だった。

 皆、民衆の敵にはなりたくなかったのだ。

 

 しかし、反乱軍の首領と言える贄殿一族や三代目風影を屠ったサソリは大人しく投降したとて許される未来はない。

 

 そう考えたパクラの兄、贄殿一族の現当主は自分が里に残り時間稼ぎする間に妹のパクラやサソリ、そして最後まで付いてきてくれた者たちへと里外、国外へと脱出することを提案。

 オレは時空間忍術を駆使すれば反乱軍の残党と呼ぶにはあまりにも少ない数なら全員を飛ばせるとは言ったのだが、贄殿の当主は頑としてそれは受け入れなかった。

 最低でも自分はここで死なないと羅砂の部隊は止まることが出来ない、と。

 忍界大戦中の今、悪党となった自分の死体が見つからないと他国に付け込まれる隙をつくる、と。

 

 そしてオレ達は最期まで自国の里の未来を案じていたパクラの兄貴を置いて、砂隠れの里を、風の国を後にした。

 その後、砂隠れの里に残って彼の身に起こったことは想像に難くない。

 

 

 

 オレはとりあえず、片手の指では数え切れないがかと言って二桁にも満たない反乱軍残党と共に火の国領内へと飛んでいた。

 ここまで来れば追っ手は来ないだろうと、仮に体裁を整えるために討伐隊が組まれるにしてもここまで捜索範囲を広げるにはあと数日はかかるだろうから今しばらくは安全だと言えた。

 

「それでこれからどうする?っていう話なんだが、完全に砂隠れの抜け忍としてフリーランスの忍びをしてもいいし、どこかの国や隠れ里に匿ってもらうもいいし、なんならこれを機に忍びを辞めたっていい」

 

 ・・・って、確かに言ったはずなんだけどなぁ。オレは。

 

「「「「一生ついていきます!!カルタ様ッ」」」」

 

 お前らはいつの間にオレに忠誠を誓うようになったんだよ・・・。

 サソリとパクラにも聞くが、オレについてくるとのこと。

 まぁ、犯罪者集団に入られるよりは断然マシだろう。

 とりあえずこの件は、三代目火影にお願いする案件として一時保留とすることにした。

 

 

 

 こうしてオレの受けていた任務。

 風の国と砂隠れの里を引き離す作戦。離間の計は終了した。

 

 風の国は首都から水源地がなくなったことにより、後に遷都を余儀なくされた。

 そして砂隠れの里と里を囲む大きな淡水湖の湖岸には人口が流入するようになる。

 このことをきっかけに風の国は砂隠れの里に対して軍事費を渡す余裕はなくなり、徐々に兵力を戦場から撤退させていくこととなった。

 将来的には国と里の立ち場が逆転するということが起こるのだが。それはまだ先の話。

 

 風の国と砂隠れの里が忍界大戦のプレイヤーから姿を消すことによって、第3次忍界大戦もいよいよ終わりが近付いてくるのであった。

 

 




ほぼほぼ地の文での説明回が続くこの頃。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。新名蝦夷守です。

第3次忍界大戦もあと数話で決着の予定です。
それまでは地の文説明も多めになってしまいそうですが、、、

それからヒロインアンケートもそろそろ終了です。
自分の好きなキャラ。原作では不憫な扱いだったキャラなど書いてくださいね。全部は反映できないのは申し訳ないですけど。


では、また次回もよろしくお願いします!

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