NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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065.風と砂と離間の計 其の弐

『かかっ。おまえ様はやはりやるときはやる男じゃのう!見ていて飽きんわい』

「お褒めに預かり恐悦至極・・・とでも言っておけばいいのか?」

 

 オレは風の国と砂隠れの里を引き剥がす前に、まずは砂隠れの里内部で内紛を起こそうと画策していた。

 

 何をしたかと言うと。

 

 砂隠れの里上層部で決定していた霧隠れとの密約をリークしたのだ。

 その密約が何かって?

 

 あれだよ。あれ。原作でもあっただろう?

 血継限界。灼遁の使い手であるパクラの殺害を認める代わりに砂隠れの里に何らかの譲歩を求めたやつだよ。

 時期は大分早いけど。

 まぁ、もう既に原作の時系列とかズレてたりするし、何より原作自体が矛盾を孕みまくってるから関係ないよね。

 

 それを知ったパクラの一族(贄殿一族というのだけれども)は大激怒。

 もちろんパクラの知人や友人、それに恋人(恋人なんていたんだね。まぁ、美人で超絶爆乳だからさもありなんといったところではあるが・・・彼氏の方はうらやまけしからん。まったくリア充は爆発だ!!)も激おこプンプン丸だったね。

 

 霧隠れとの密約の内容の一部が漏れたことを察した里上層部は贄殿一族を警戒し監視するようになる。

 それに対して、監視されていることに気がついた贄殿一族は更に里上層部と距離を置く。

 

 そんなことをしている内にその両者の後戻りはできないほどの険悪な雰囲気は里内全体へと蔓延(これには有る事無い事うまく混ぜ合わせた噂の流布などをオレがしたことも影響しているが予想以上に早く広まった)。

 

 そして事件は起こる。

 

 

 

 贄殿一族の多く住む屋敷群には大量の血痕と屍。

 

 反乱を恐れた里の上層部が先手を打ったのだ。

 

 しかし里の暗部が贄殿一族と贄殿一族に近い人物を全て暗殺抹殺できたわけはなかった。

 

 その粛清から逃れた人々は恐怖した。当然のことだ。

 しかしどうだろうか。その恐怖は直接は関係のなかった里の人間にも伝染する。

 

 自分も見張られているのかもしれない。

 自分のことを嫌っている人が里上層部に何かを吹き込んだらこうなるかもしれない。

 そんなことをするやつはあいつか。あいつか。それともあいつか。

 

 次は自分かもしれない。

 

 恐怖の伝染は里の結束を一気に瓦解させた。

 

 内部分裂を起こした里はもう戦争どころの話ではない。

 

 ある一族は里上層部へと忠誠を誓い、ある一族は反乱を企て、ある一族はこの内紛から完全に距離を置き、ある一族は国外へと亡命をする。

 

 

 

 そしてオレは今。反乱を企てている一族や人物たちが集まる地下の集会へと赴いていた。

 

「ここに集まってくれた勇気ある諸兄らにまずは感謝する」

 

 この集会を開いた主催者が司会役を務めるらしい。

 

「集まってもらったのは他でもない。現在の里上層部が見せている姿勢があまりにも過激すぎるからだ」

 

 この男は贄殿一族の生き残り。残党であり、現当主。

 

「奴らは我々に何の話し合いの場を持たずして一方的に消しに来た」

 

 同じ里の仲間とは到底思えぬその所業に腸が煮えくり返る思いだ。と、贄殿一族の当主は続ける。

 

 その後も小一時間つづいた贄殿の当主による演説をまとめると。

 

 要は現在の腐った里上層部連中を地獄に突き落として自分たちで里を運営しようというものだった。

 

 つまりは『革命』。Revolution。

 

「しかし、まともにやっては我らの里が潰れてしまう。いや、それ以前に我々に勝ち目は薄いだろう」

 

 贄殿の当主が集会の後方にいたオレにアイコンタクトを送る。

 

 それを合図にオレは立ち上がり、壇上へと向かう。

 

 子どもの奇怪な行動に良い顔はしない人。不思議そうにしている人。

 

 そしてオレのことを知っていてこの後に起こるだろう反応を予見してニヤニヤと見守っている人。

 

 そんな視線を受けながらオレは壇上へと登った。

 

「そこで我ら贄殿一族はある方に協力を求めることにした。それがこの・・・」

「みなさん。お初にお目にかかります。木ノ葉の雷皇こと羽衣カルタです。どうぞよろしくお願いいたします」

 

 深々と頭を下げるオレ。

 

 反応はご想像にお任せするが、だいたいその通りだろう。

 

 

 

 

 

 時系列としては反里上層部同盟が地下で集会を開く前。それも贄殿一族に対する里の粛清が始まる前のこと。

 

 日付は前回の話の翌日。今から遡ると2週間ほど前の出来事になる。

 

 風の国・首都での諜報活動に一応の目途を立てたオレはある場所へと向かっていた。

 その場所とは風の国の北東。雨隠れの里を有する国と川の国との国境付近。

 

「やっぱり、持つべきものは情報網だよね」

 

 そんなことを思いながら移動をしていた。

 

 オレが大量の影分身を小動物や虫、鳥に変化させて追っていたもの。

 一つ目。それは忍であるのに刀を振り回している連中。

 

 霧隠れの忍刀七人衆だ。

 

 彼らが今、風の国へと接近しているのには訳がある。

 

 それがオレの追っている二つ目。砂隠れの里・贄殿一族のパクラである。

 

 なぜ、霧隠れが灼遁という血継限界の使い手とは言え、彼女の命を欲しがるのかは謎だが狙われているのは確かだ。

 

 その忍刀七人衆と灼遁のパクラが衝突しそうなポイントが風の国の北東。雨隠れの里を有する国と川の国との国境付近ということなのである。

 

 そこでパクラをちゃちゃっと暴漢共からヒーロー気取りで救って、砂隠れの内部に取り入っちゃおう!えいえいおーッ!・・・という作戦なのだ。

 

『我ながら完璧な策だとは思わんか。主様よ』

『主。そんな面倒なことをするくらいなら私たちを敵国の首都か里で暴れさせた方が手っ取り早いのではないかと』

 

 そういうのは上から重明と穆王だ。

 

「いや、穴だらけの策とも呼べない代物だと思うがな。それを採用するオレもオレだけど」

 

 あと穆王。そういう脳筋的発想はやめなさい。

 

 オレの予測が正しければあと数刻もせずに戦闘が始まるんだからな。

 

 

 




連日投稿でした。

明日も更新します。


ヒロイン候補のアンケートの件。
現在の第三次忍界大戦の終了と同時に締め切らせていただきます!

たくさんの参加お待ちしております!


ではまた明日。新名蝦夷守でした~

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