NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
ご指摘くださったSFオタク様。ありがとうございました。
さて、今回から新章突入。
時系列的にはオビト外伝から少しだけ遡ります。
では、どうぞ。
055.五尾争奪戦 其の壱
やっぱり人柱力って、里の人間には疎まれている場合が多いんだなー。
なんでオレが最初からそんな言葉を呟いたかと言うと、もちろん理由はある。
それはさておき、オレは今どこにいるでしょうか!
突然始まりました!カルタを探せ。
3・2・1。
こっこでーす!ここ!ここーっ。
土の国北東部。
ここは岩隠れの里からはかなり離れており、尚且つ土の国中でも辺境の地。海を挟んで見える陸地は雷の国の領土。
海岸近くには雷の国の侵攻侵略を警戒するための大きな砦が築かれており、その周囲には村や集落はほぼ存在しない。
オレはその数少ない村へと赴いていた。
「ここが五尾の人柱力が幽閉されてるっていう村だな」
国や里にとって、尾獣や人柱力というのは現代における核兵器にあたる軍事・外交上の最高戦力になり、それ故にその存在位置や情報というのは最上級の機密事項となっているところも多い。
国や里の施政者からすれば、敵国から身を守るための最高戦力となる尾獣や人柱力も国民からすれば一番身近な脅威でしかない。
だから、人柱力というのは人から疎まれ、嫌われ、恐れられ、遠ざけられる。
だから、時に無知で自己中心的な庶民によって売られる。
今回の五尾の人柱力のように。
これが冒頭で呟いた理由である。
里の中心地に住む忍びや一般の市民、首都やその近郊に住む者たちは辺鄙な土地に住む人よりかは経済的にも学力的にも裕福な暮らしをしている。
そういう者たちは、人柱力や尾獣が国にとって、里にとってどのような存在か頭では理解している者が比較的多い。とは言っても心情的には理解できない者も多いし、その前に田舎と比較してということだから都市部に住んでいても、そもそも理解していない者もそして知らない人すらいる。
そんな都市部での人柱力の情報集めは困難を極める。
居酒屋や路地裏。表の社会から裏の社会まで。
世間話をしながらでも少しずつ岩隠れの保有する人柱力の情報を集めようと岩隠れの里内部や首都にも潜入したのだがどうも集まりが悪い。
そこで唯一得た情報。土の国北東部に災いをもたらす悪神の使徒を封印している祠があるというものを頼りにオレは北上。
その道中、里や首都から離れれば離れるにつれて五尾にまつわる情報や人柱力に関係する情報は簡単に入るようになる。
まさか、子どものオレ自身が五尾や人柱力を狙っているとは思いもしていないだろうが、言葉の端々には「誰でもいいから駆除してくれねーかな」という雰囲気を醸し出している。
結局、緘口令や情報統制を行なっているとはいえ、人の口に戸は立てられぬということか。
しかも忌み嫌う者のことなら尚更。
こうしてオレは情報を辿って現在、とある村へとやってきたのであった。
「おっ。第一村人はっけーん」
すみませーん!と村に入るなり早速、声をかけたその先にいるのは農作業に励んでいるおじいちゃん。
「あの!この辺に古い祠があるって聞いたんですけどっ!」
その後、祠で巻き起こる騒動のことなど、今はまだオレは知らない・・・。
火の国から見ると北の方角にある海。その海上を小さめの船が西に向かって進んでいる。
海面は至って穏やか。海風は心地よく、日差しも柔らかい。
小さな船は手漕ぎボートよりはもちろん大きく、この世界の小型漁船くらいのサイズ感。
その船に乗っているのは4人。忍びの単位で言うところの1小隊。
4人の額には雲のマークが刻まれた額当てが輝いている。
「そろそろ上陸準備を」
というのは銀髪少女。
「えぇーもうスか?だるいッスねー」
それに答えたのは恐らく最年少の褐色少年。
「忍びなら忍びらしくクールに・・・」
その言動を注意する金髪少女。その注意を遮るように「ウィィィィ!!」という叫び声が海上に響き渡る。
「クールになんスか?」
そのせいできちんと注意を聞いていない少年。
それに腹を立て烈火のごとく怒る金髪少女。それに対して「クールって言ってるわりには全然クールじゃない」とツッコむ少年。
「お願いだから、船の上で暴れないで」と懇願する銀髪少女と未だに「ウィィィィ!!」と叫んでいる青年。
場は混沌としていた。
所謂、カオスというやつだった。
しかしこの4人。実は雲隠れの中ではエリート集団。
八尾の人柱力であるキラービーとその護衛小隊のメンバーで中忍のマブイ、サムイ、ダルイ。
小隊の要であるキラービーはともかく、護衛小隊の中忍3名は忍びの中でも極めて若い。
ではなぜその若い3名が里の秘密兵器たる人柱力の護衛という大役を任されているかというと、この4名で初めて組んだ木ノ葉襲撃任務に失敗したきり、それ以降はどんな任務をも遂行させてきている言わば精鋭小隊と言っても過言ではない小隊となっていたからだ。
つまり、平時はこんなトンチンカンなやり取りしかやっていなくとも時が来ればきちんと働く面々なのだ。たぶん。
「いい?このあと相手するのはビーさんと同じ人柱力。ダルイはもっと緊張感を持ってクールに・・・」
「ウィィィィ!!」
「・・・」
彼らはこのあと巻き起こることなど、今はまだ誰ひとりとして知らない。
彼らの小隊唯一の黒星。彼らの顔に泥を塗る存在。
羽衣カルタが自分達と同じ場所を目指し、同じ理由で、同じ事を成し遂げようとしていることを。
そして起こる衝突はもはや天災の域になることもまだ誰も知らない。
その結果は神のみぞ知るのか、もしくはその神すらもまだ知らない。
こんにちは。新名蝦夷守です。
次回更新ももう少しお待ちください!たぶん明日は無理です!!
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ではでは、また次回もよろしくお願いします。