NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
累計文字数今回で100,000文字を超えました!塵も積もれば何とやらですね。各話2,000文字ちょっとの物語にお付き合いいただき誠にありがとうございます。
皆様の温かい評価や感想のおかげでここまで来ました。今後ともよろしくお願いします。
では、続きです。どうぞ
オレはただただ真っ暗な空間を漂っていた。
その空間は暗闇で何も見えず、何も感じられず。
自分が息をしているのか、はたまたしていないのか。
生きているのか、もう既に生きてはいないのか・・・。
それすらもわからないようなそんな状況。
通常だったならば、この状況に恐怖するべきはずなのだが、なぜだろう。
今のオレには微塵も感じなかった。
それからどれだけの時間が流れたのだろう。
感覚としては静かな水面をただ漂うような感覚を暗闇の中で味わっていると、どこか遠くの方で淡い光が見えてくる。
出口だろうか。
あそこにつながるのは、天国か地獄か。はたまたそのどちらでもないのか。
ぷかぷかと漂いながら、その光の方向へ進んでいく自分の身体を制御することもなく、ただただ身を任せる。
淡い白い光の源が近づいてくる。正確にはオレが近づいて行ったのか。
まぁ、どちらでもいいけど。
光の中から声が聞こえてくる。
懐かしい声のような気がする。
ただ、ごちゃごちゃと騒がしい気もしなくもないが。
でも、やっぱりこの声を聴いているとどこかホッとするというか。安心するというか。落ち着くというか。
そんな感じがする。
光源に近づくにつれてその声は次第に大きさが増してくる。
近くで叫ばれているような。でも、靄がかかって聞き取れないような。
そして、オレが光の中に入り込んだ。
視界は真っ暗なトンネルから出た瞬間に太陽光を直で見てしまった時のようにまぶしい。
そして光に包まれたオレは徐々に五感を取り戻していった・・・。
目を開けるとそこには、ドアップの又旅。そしてそのすぐ隣に重明。それから少しだけ離れたところに孫悟空もいた。
「ん?どうしたんだお前ら。そんな必死そうな顔して・・・」
「どうしたんだ?じゃなかろう!!アホか!アホなのかっ!?おまえ様というものはっ!!」
バチーンンン!!と強烈な猫パンチを喰らった。
「なにすんだよッ!このバカ猫ッ!!」
「バカとはなんじゃ!バカとは!おまえ様がいつまでたっても寝ぼけておるようじゃから目を覚ましてやっただけじゃろうて!」
「はぁ!?寝ぼけてなんかいないだろ!わけわかんねーよ」
又旅による唐突な猫パンチから始まった口喧嘩。口論。
オレと又旅の言い争いは過熱の一途を辿る。ヒートアップする。オーバーヒート目前だ。
「まぁ落ち着くのだ。主様に又旅」
掴み合い、殴り合いのケンカにまで発展しそうだったオレらを止めたのは重明だった。
「「なぜ止めるッ!?」」
「いや、今はケンカしている場合ではないだろう?」
「お、おう。そうじゃったそうじゃった。いいかの?おまえ様。今おまえ様は妾にケンカを売ってる場合ではないんじゃぞ?」
ハッハー!マジで仲良しだな!お前らっ!!と、ゲラゲラ笑う孫悟空は放置して重明は話を続ける。
「主様は今、死にかけているのだ。正確には魂が身体から離れてしまっている。それ故に我ら尾獣とのリンクも切れかけている」
「ほれ、妾らの身体を良く目を凝らして見てみぃ。僅かながら透けてきておるじゃろう?」
そう言われて又旅や重明、孫悟空の身体を確認してみると・・・うん、確かに普段よりも薄くなっていた。
「でも、なんで?」
「なんで?じゃなかろうに。おまえ様は身体を乗っ取られたんじゃよ。あのジュウという小童にの」
「なんだカルタ!覚えてねぇのかよっ!!ウキキィーマジウケる!!」
そんな女子高生みたいになんでもマジとか付けんじゃねーよ。今、お前の口癖にツッコミ入れてる場合じゃないらしいんだよ。
「いいかの。今、妾たちの本体があのクソ生意気な小童に抵抗して精神世界から攻撃を仕掛けておる。じゃが、おまえ様の身体に刻まれておる封印術がなかなかに強力でのう。今、出来ていることといえばほんの時間稼ぎくらいのことじゃ」
「え、ジュウが敵だったってことにも驚きを隠せないんだけど、それ以上にオレはどうしたらいいんだ?このままだと魂と身体が離れていても大丈夫なタイムリミットが切れちまうんだろ?」
「うむ。おまえ様には一刻も早く自分の身体に戻ってもらわねばならん」
「ただ今、主様にはご自身の身体がどこにあるかわからない様子。故に我らが主様の体内から強烈なチャクラを放出する。それを目印にご自身の身体に入ってもらい、今の仮初の精神世界ではなく、本当の精神世界で我らと合流した後にジュウとやらの魂を追い出しましょう」
それがいいそれがいい。と言わんばかりに頷いている又旅と孫悟空。
だが・・・。
「それで?合流した後はどういう方法でジュウのことを追い出すんだ?」
「・・・」
「もしかして、ノープランだったり?」
無反応だった。
無言は肯定とみなす。
「と、とにかくじゃな!おまえ様には早く自分の身体に戻ってもらわねば困るのじゃ。いいから早く行かんかい!!」
逆ギレし、誤魔化した又旅に天高く投げ飛ばされたオレはまた暗闇の中へと入っていった。
暗闇の中に入ってから、ほんの数十秒足らずで3匹のチャクラを感じる。
あれか・・・。
ひとつの方向から、温かいチャクラを感じる。奴らの言う通りであるならば、オレの身体の中から発しているチャクラだからそれを目印にこの暗闇の中を泳いで行けば、そのうち自分の身体に戻れるはずだ。
そして先程と同じような淡い白く光る光源が見えてきた頃。
後は一直線にそこを目指すだけだ。ラストスパートをかけ、オレは白い光の中に飛び込んでいった・・・。
こんにちは。新名蝦夷守です。
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