NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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023.雲による木ノ葉奇襲作戦 戦死

 奇襲。

 相手の油断、不意をついて、思いがけない方法で襲うこと。不意打ち。

 自らの攻撃企図および行動を秘匿し、敵の予期しない時期、場所、方法などによって敵の意表をつき、対応のいとまを与えないように打撃を加える戦術をいう。敵の意表に出ることは,機を制し勝を得る要道である。

 突然に唐突に思いもよらないところで襲うこと襲われること。襲撃すること襲撃されること。

 

 雲隠れの2小隊は木ノ葉の迎撃態勢が整う前に、木ノ葉の里へ攻撃を仕掛けたかったのだ。

 故に周囲の情報を収集しながらの行軍ではなく、スピード第一の超強行軍で木ノ葉隠れの里を目指していた。

 

 が、それが仇となった。

 

 現に今、それが原因で奇襲をされ仲間を2人やられたのだから。

 

「「エスさんッ!モトイさんッ!!」」

 

 透き通るような白い肌をもち、綺麗な金髪を靡かせている少女と健康的な褐色の肌をもち、さらさらとした銀髪の少女の悲鳴のような声が森の中に響き渡る。

 

「ぐふ・・・ッ!任務は続行だァ。サムイ、マブイ、ダルイの3人はビーを護衛しながら木ノ葉へ向かえ。なんとしてもこの任務を達成させろ。ドダイとトロイさんは敵の足止めのあと、こいつらを追ってくれ」

 

 そう言い残すと目から光を失った。

 顎鬚を伸ばし、頭には包帯を巻きつけ右目を額当てで隠しているエスと呼ばれるこの男。この任務の直前に現雷影より新たな雲隠れの忍頭(しのびがしら)に任命された者だった。今回の木ノ葉強襲作戦のリーダーでもあった。

 その男が真っ先に殺されたのだ。隊に走る動揺は決して小さくはない。

 

「エスの遺言だ。しかと心に留めよ。ビーと3人は予定通りすぐさま木ノ葉へ向かえ。俺とドダイはここで敵の足止めをしよう」

 

 その言葉通り4人は去り、この場には2人と2つの死体が残った。

 

「さて、どんな奴が出てくるか・・・」

 

 

 

 少し時は遡り、木ノ葉の小隊。

 

「チャクラの反応が8人分だ。見つかったぞ!」

「そうか。どっちだ?」

「南東の方角だ」

 

 いのいちが敵の位置情報を捕捉した。

 どうやら木ノ葉の里につく前に敵と当たることになりそうだ。

 

「ぼくが奇襲を仕掛けます。当たったらラッキーぐらいの成功確率ですが、不意打ちで当たったら確実に死ぬようなものです。やらないよりはマシでしょう」

「そうか。ならやってみろ」

 

 案外簡単に許可をもらえた。

 

「ありがとうございます。ぼくの攻撃後の作戦はいかがいたしましょう」

「敵はきっと2手に分かれるだろう。木ノ葉へと向かうほうが本丸だ。その追尾をカルタ、お前がやれ。お前なら見失うことなく追いかけられるだろう。影分身もあるしな。足止めの方は俺達が相手をする。何、すぐに片付けて追いかけるさ」

「わかりました」

 

 オレは重明を心の中で呼び起こし、背中から六枚翅(ろくまいば)を出す。

 足の裏にチャクラを溜めて、一気に上空にジャンプした。一度上空500mほどまで上昇したのちに、徐々に高度を下げながら敵を探す。

 

「南東方向、南東方向・・・見つけたッ!」

 

 木々が鬱蒼と生い茂る森林だったせいで見つけにくかったが、8人組の姿を上から目視で確認することができた。

 忍具入れ(ホルスター)から手裏剣を取り出し、右手に千鳥とはまた違った雷遁のチャクラを集める。

 

《雷遁・超電磁加速手裏剣》

 

 オレが放った手裏剣は凄まじい速度で飛来し、縦列隊形だった敵の後方2人に命中した。

 最後尾だった者は頭がザクロのように吹き飛び、最後尾から2人目だった者は背中から入り、恐らく肺を貫通して手裏剣は地中深くへと突き刺さった。

 

「うっわ。人の頭ってあんな風に弾け飛ぶんだ・・・。自分でやっといて何だけど、えぐいな」

『あれが主様が開発していた、れーるがん?というものか。うむ、確かに手裏剣があれほどまでの兵器と化すその術はえげつないな』

 

 重明が頭の中で語りかけてきた。

 するとつられるかの如く、又旅も出てくる。

 

『それよりも重明。お主も感じはせんかの。なつかしい彼奴の感じが』

『ふむ?・・・おぉ!これは牛鬼のチャクラだな』

「2人して盛り上がっているところ悪いが、もしかして相手の中に」

『そうじゃよ。おまえ様が敵としている中には尾獣の八尾を宿している者がいるようじゃの』

 

 うげッ!・・・まじかよ。もしかして、オレらが林の国でやったことをそのまま木ノ葉でやろうとしてるってことかよ。

 

『もしかしなくても、きっとそうじゃろうのう。人間が尾獣を兵器として利用しようとするのはどこの国の人間も同じこと。決してお主ら木ノ葉の人間だけが特別じゃないということじゃ』

『まぁそう心配するでない主様よ。我ら二尾又旅と七尾重明がついているではないか。仮に八尾が暴れようとも我ら2人で止めて見せようとも』

「いや、お前ら2人まで混ざられると本気で木ノ葉が滅茶苦茶になりそうで怖いんだけどな。オレは」

 

 建物ひとつ残らず消し飛ばされそうである。そうなったらもう木ノ葉は戦争どころの問題じゃない。他の大国に吞み込まれてお終いだ。

 

「とにかく、勝手なことするなよ?お前らを出すときはオレがちゃんと指示を出したときのみだ」

『そんなに怖い顔せんでもわかっておる。妾はおまえ様に嫌われたくはないからのう』

『承知した。我が主様よ』

 

 不安は残るが、そんなことばかり言ってられない。

 敵がシカクの予想通り2つに分かれた。

 オレは、先程とは違い明らかに辺りを警戒しながら木ノ葉の方角へ走り出した4人組を見て上空から先回りをするのだった。

 

 

 


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