NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
その後、オビトとジュウ、イブと合流しオレだけはここに残ることになったということだけを伝えた。2人ともそれには驚いていたが、今日はもう日が沈むから2人も泊まっていけというイブの好意もあり、その日は2人とも基地に泊まった。
そして翌日の朝、2人を見送ってオレは予定通り1人で基地に残った。
それから、オレに命じられたことは待機であった。
「暇だ・・・」
そしてオレは、暇を持て余していた。
先程、シカゾウさんの息子、といっても恐らくもう20代ではあるだろうシカクさんが親父の伝言として「お前はまだ何もするな、待機」と言われてしまったのだ。
「そっか。
と思い立ったのが今さっき。
そして今現在、オレの無数の影分身たちが両手に千鳥を宿しながら、そこからどうにかして形態変化させようと各々(全員オレだが)努力をしている。
あーでもない、こーでもないと所々影分身たちは議論も交えながら試行錯誤をしている。が、何百といる影分身たちが千鳥を各2つずつ発動させているわけである。騒音の音源が影分身の数×2ということだ。そしてそれは、そんじょそこらの渡り鳥の大群が織り成す
そしてというか、だからというか、すぐにバレた。
「馬鹿野郎!!戦争の真っ最中にチャクラの無駄使いすんじゃねぇよ!何考えてんだ。ここは最前線なんだぞ。そんなところでこんな騒音出してんじゃねぇよ」
シカクに怒られた。拳骨まで頂いた・・・それは影分身が身代わりになったが。ちなみに身代わりになった影分身は煙となって消えた。南無南無。
「っち。影分身だったか。それにしてもこの数・・・お前、どんな身体してんだ?」
「チャクラ量は生まれながらにして豊富な一族なので」
「そうだとしてもこれだけのことをしてピンピンしてるお前は異常だぞ。・・・よし、お前の影分身、次の作戦の陽動にぶっこんでやるからな。覚悟しとけよ」
そう言い残してシカクは去っていった。もちろん去り際に「影分身とその雷遁は消せよ」と念を押された。
仕方ない。影分身消すか。
「ピロロロン♪」
お、経験値が溜まってレベルアップした・・・気分になれた。
なんか自分でやってて虚しくなってきた。もうやめよう、このくだり。
「風遁を状態変化させる修行しよう。それなら静かだし、きっとバレないだろ」
千鳥と同じ要領で、ただそこは雷遁ではなく風遁のチャクラを練って・・・
それから3日が経った日のことだった。
その日は生憎の天気。とかいう
「シカクさん、ホントに行くんですか?この天気で」
「この天気だからこそだろ。こんな天気だったら敵連中も流石にいつもよりは油断してるだろ」
「・・・わかりました。行きます」
行けばいいんだろ!行けばッ!!という言葉をぐっと飲み込んで、吐き出さないように尚且つ堪えて、耐え忍んだ。
「じゃあ、お前が向こうさんの陣地内に潜り込めたら機をみて合図を出してくれ。それと同時に敵の索敵範囲から少し離れたところに待機させておく部隊を一気に送り込む。敵味方入り乱れての乱戦となりうるかもしれんからな。もしそうなったら、お前は撤退してこい。お前の任務は敵の陽動と錯乱だ。わかったな」
その言葉に頷いたオレは、作戦会議の最終確認が行われていたこの部屋から外に出ようと歩を進めた。
今回の作戦が立案されたときは、流石に議論に参加していた小隊長たちも反発した。
それも当然だろう。小隊長たちはもちろんオレの実力は知らないし、ましてや人柱力だということも皆知らない。
それなのにもかかわらず、下忍といえども実績のない4歳児を急襲作戦の要に起用したとなると、いくら信頼のおける部隊長であるシカゾウさんやその参謀役である息子のシカクからの作戦案であったとしても皆が一様に頷くわけもなかった。
最初は雷遁を纏った状態で秋道一族の人の超部分倍化の術でぶん投げてもらって、オレ本体が敵陣地に侵入。影分身1000体ほどで千鳥を乱発しまくって、敵内部で暴れまくって、敵が浮足立ちまくっているところに(まくり過ぎだ。捲るのは美少女のスカートだけにしたいね、うん。)木ノ葉の前線部隊ほぼ総動員で鎮圧。というものだったのだが、これではお初にお目にかかります状態の人は信じない。話し合いの結果、ボツとなった。
そして紆余曲折あった後に採用された策が『トロイの木馬』だ。命名、オレ。ちなみにギリシャ神話からとったというよりは、コンピューターウィルスのほうがニュアンスとしては近い。
作戦はこうだ。4歳の子ども(つまりはオレ)が道に迷い、敵方の忍びに見つかる。見つかったあとは敵に案内されるがまま陣地に入り込み、多重雷遁影分身で錯乱させて木ノ葉側へ合図を送る。あとは先程シカクからの説明の通りだ。
んじゃ、行ってくるとしようか・・・死地へ。