NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

127 / 128
意外と早くかけました(笑)

ではさっそくつづきをどうぞー。


119.うちはの秘蔵っ子 前編

 うちは一族の居住区に着き、門をくぐってその中へと入る。

 

 その中は一種の小さな町のような作りとなっていて、そして古き良き時代の日本的な家屋が多くあったり、土壁か何かで作られた居住区をぐるっと囲む白い塀にも情緒を感じざるを得ない。

 

 九尾襲来が起こらなかったこと。それに加えてうちは一族を内患と捉える人物---その代表格が志村ダンゾウや原作ご意見番の2人だったのだが、ダンゾウは既に死に、他2名も政治からは引退させられている---が里の上層部からある程度排除されたことによって里上層部とうちは一族との溝は深まってはいない。とはいえ、特別良好な関係を築けているかと聞かれると即答でYESとはいかないからな。

 二代目の千手扉間体制の時の悪しき施策が今なお引き摺っているんだろう。

 

 まぁ、そんなことを言ってしまったら神話時代の頃(六道仙人・大筒木ハゴロモの子。弟アシュラ(千手一族始祖)と兄インドラ(うちは一族始祖)の壮絶な兄弟喧嘩)から引き摺っているんだろうけどさ。

 だって、そのあともアシュラとインドラの転生体同士が争いを続けているわけだし。そしてそれの先代が千手柱間とうちはマダラだったわけだし。

 そう考えるとそれをわざと唆して拗らせていた黒ゼツは本当にこの世の害悪でしか無かったよな。つーか、あいつの野望は月と共に爆散させたけど、いまどこにいるんだろう。全然、尻尾を掴ませないから生きているのか死んでいるのか何をしているのか全く分からない・・・メンドーなやつめ。

 

 ・・・こほん、それはさておき。

 

 そういうこともあって、うちは一族以外の里の人間はほとんど入ってこないんだろうなーとそんな雰囲気さえ感じる。

 アットホームな感じはあるんだけど、よそ者には冷たさを感じるとでも言ったらわかりやすいだろうか。

 

 とはいえ、オレは直属の部下にイタチやシスイがいたこともあったし、現うちは一族の代表のフガクとも交流があるわけで部外者といえどもそこそこの頻度でこの“うちは街”に足を踏み入れているから他のうちはの方々とも結構顔見知りだし、オビトはオレの先生だったし、いまだに仲良くさせてもらっているから何の躊躇いもなく門をくぐったが。

 

 そして今回、ここにきた要件というものイタチとシスイにお願い事があったからだ。

 

 アポはとって来てないんだけど、暗部の任務表だと2人とも休日になっていたから恐らくいるだろうとにらんでいる。

 あ、ちなみに暗部の任務表は火影のミナトと暗部長の天間とそれから暗部の副長であるオレの3人しか閲覧権限はない極秘情報、極秘資料なのであしからず。

 

 大通となっているところを更に奥に進み、以前オビトが枝に引っかかったまま動けなくなって宙ぶらりん状態になっていた大木を横切り、途中で名物のうちはせんべいを売っているおばちゃんの駄菓子屋に立ち寄って、煎餅を1袋分購入。そこでおばあちゃんと世間話を少ししてそれからフガク邸へと向かう。

 

 程なくして。

 

「あ、イタチみっけ」

 

 と、オレがイタチを発見したと同時にイタチもオレの事を見つけたようでこちらへと足早に近寄ってきた。

 

 ・・・ん。なんか、ちっこいの背負ってる。

 

「こんにちはカルタさん。すみませんこんな体勢で・・・何かご用でしたか?鷹を飛ばしていただければこちらから伺いましたのに」

「いやいやこちらこそ休みの時に来ちゃって悪いね。まぁ火急の用事ってほどでもなかったからさ。サスケも兄ちゃんと遊んでたところ邪魔して悪いな」

 

 ちょっとだけ兄ちゃんのこと借りていいか?とサスケに聞くが、サスケは「えぇぇ!?これから兄さんと手裏剣術の修行をしに行くんだよ!カルタさんは帰った帰った!って、遊びじゃねーし!!」と手でしっしっとされ完全に拒否された。

 

 だめだこりゃ。

 サスケのやつ、兄ちゃんっ子が強すぎるだろ。

 

 このやり取りからわかるようにオレはサスケくん(9)とも面識がある。

 とはいえ、一族の代表フガクやイタチ、シスイに用があったときにしか顔を合わせたことは無いし、イタチに用があったときは大体そのあとイタチはサスケの事を置いてオレと共に出かけてしまうので、おそらくサスケには『俺から兄さんを盗っていく嫌な奴』みたいな認識をされていることは想像に難くない。

 

 サスケ(この子)をどうにか上手く丸め込んでー・・・いつものように。

 という視線をイタチに向けて助けを求める。これもまた、いつものように。

 

 それを察しのいいイタチは汲み取ってくれたのか(というよりはお約束となっていたから分かるか)、背負っているサスケに対して顔を向けながら話しかける。

 

「悪いなサスケ。カルタさんは俺に大事な話があるみたいなんだ。だから手裏剣術の修行は」

「えぇぇ。それは無いよー兄さん!だって、前からの約束だったじゃないか!今日修行を見てくれるって!」

 

 そう言って背中の上で駄々をこねて暴れるサスケを背負っているのが億劫になったのか、とりあえず降りろとサスケを地面に降ろすイタチ。

 

 あーあ。そんなことしたら・・・ほらまたサスケが『兄さんはカルタの野郎ばっかり贔屓して・・・』みたいな顔でオレの事をキリッと睨み付けてくる。

 

「許せサスケ・・・また、今度だ」

 

 イタチはそう言ってコツンとサスケの額を小突いた。

 それに対してやられた方のサスケは「いてっ」とか「いつもそうやって兄さんは誤魔化す」などと非難の声を上げているが、表情を見るに先ほどまでとは打って変わって口角がわずかながらも上がり満更でもないようだ。

 

 そのサスケの表情がコロコロと変わる様子にイタチも柔らかな笑顔を浮かべている。

 

 ・・・なんなんだこの兄弟。よくもまぁ、毎度同じことやって同じ反応ができるな。

 

 しかもなんか、幸せそうだし。

 

 

 

 あーあ、オレも兄弟欲しかったなぁ。

 顔も知らない親父が死んでから母は未亡人だから可能性ゼロっぽいけど。

 

 頼りになるかっこいい兄や姉もあこがれるし、年の離れた懐っこい弟もいいと思うけど。

 

 でも、その中でもやっぱりかわいい妹を所望したいところだね。

 

 そうそう。

 例えば・・・お兄ちゃんでも愛さえあれば関係ないよねっ!的な感じの。

 例えば・・・お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!って感じの。

 

 まぁ、逆に・・・俺の妹がこんなにこんなに可愛いわけがない。的な感じでもいい。むしろ、アリ。全然、アリ。

 

 ってあれ?なんかどこかで聞いたことあるような・・・。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。