NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
今回は真面目なタイトルの癖して、最後のオチ?はただの下ネタです。ご注意ください。R-15
あのサソリがパパになる。
赤砂のサソリという二つ名で呼ばれ、傀儡の製造と扱いには他の追随を許さない圧倒的な才能を誇る天才がパパになる。
万年厨二病を発症しているうずまきサソリがパパになる。
それを知ったのはかれこれ今から9ヶ月ほど前のこと。
あの時はサソリをちょうど水の国へと派遣したばかりで、パクラが産前休暇が欲しいと旦那のサソリよりも先にオレへと報告してきたのだった。
そしてそのことを知ったオレは急遽サソリを木ノ葉へと呼び戻して夫婦2人ともに産前休暇と産後の育児休暇を言い渡した。オレは2人の上司として良いことをした気分になりました(小並感)。
ただその後オレは人員の穴が空いた分、それまで以上の忙しさに忙殺されるハメになったが。
パクラの妊娠後期に発覚したサソリの家庭内資金の横領。それからそれを誤魔化すための賭博。その畜生共にも劣る悪魔の所業はまさにゲスの極み。
オレはその尻拭いを手伝って、人形劇を開催させたり、それから人形を製造販売させたりしたことも記憶に新しい。
そんな紆余曲折はあったものの、めでたいことに今日。本日。この度、うずまきサソリは父親に。うずまきパクラ(旧姓、贄殿)は母親になったのだった。
木ノ葉病院の入院病棟。
この階は産婦人科。つまり、出産前後の入院をしている人たちが集まっていた。
ちなみにこれは蛇足だが。
時代的にはまだ自宅や実家での出産が主流な現在、乳児生存率を上げるためにも医療忍者が常駐する木ノ葉病院産婦人科での出産を木ノ葉上層部(その中でも特に綱手)が推奨しており、それに加えて母体も出産後すぐに医療忍術で出産時の痛みや傷を軽減させてくれるということもあり、口コミで産婦人科にかかる奥様方の数は右肩上がり。病室は全てが満員だった。
この状況を鑑みて、病院側は今後更なる受け入れ体制の拡充を検討しているらしい。
さてと。話を戻して、とある4人部屋。そしてその一角。
「失礼しまーす」
そう言いながらカーテンを開けると中には。
「おぎゃぁおぎゃぁ」
「おーよしよしよし~いいこいいこ。あぁ・・・お前はかわいいなぁ」
まだ弱弱しく泣く生まれたばかりの我が子を優しく抱きかかえながら慈愛顔の頬で撫で繰り回し(頬擦り回しか?)、頭の先から足の指先まですべてを余すところなくチュッチュッチュッチュしているのはパクラの方。
その様子を見て自分も赤ちゃんを構いたそうな顔で眺めながらも、なぜか部屋の隅っこで大人しく体育座りをしていじけているサソリ。
「パクラおつかれさま。そしておめでとう」
オレがそう言うとようやくオレの存在に気が付いたのか少し驚いた表情を見せながら。
「組長・・・わざわざありがとうございます」
と返事を返してくる。その後も「お祝いは今度持ってくるわ」「いえいえそんな。気を使わないでください」などと会話をつづけた後。オレはパクラの勧めによって生まれたてほやほやの赤ちゃんを抱っこすることができた。
うん。ふにゃふにゃでかわいい。
しばらく3キロほどの温かい重みを堪能していると途中からすやすやと眠り始めた赤ちゃん。
その赤ちゃんを起こさないようにそーっとパクラに返した。
そしてオレは、オレが来てからというものずっと同じ姿勢でこちらを羨ましそうに見続けていたサソリに対して声をかける。
「そんで・・・どうしたんだ?サソリ」
「カルタお前ずるいぞ!親父の俺ですら生まれた瞬間の一瞬しか抱いたことないのに!」
悲壮感溢れる声で抗議された。
「そうか。それで?」
「さっき赤子に構っているパクラの邪魔をしたら睨まれた」
「あぁそう。お前愛想つかされたんじゃねーの」
「んなバカな!この俺のどこに愛想つかされる原因があるんだ」
声でけぇよ。
そういうとこだろ。
自意識と自信が過剰なそういうところ。
こいつ家のお金を勝手につかったこと忘れてんじゃねーだろうな。
今は人形の販売利益でトントンどころかプラスにはなったものの。カミングアウトしたときのパクラの表情といったら・・・おぉ、思い出しただけでも鳥肌が立つ。怒られたのオレじゃないのに。
「サソリ・・・うるさい」
「ごめんなさい」
「この子が怖がって起きちゃうでしょ」
「すみません」
「わかったなら静かにしてて」
「・・・はい」
カミングアウトして以来。パクラには完全に尻に敷かれているみたいだな。
サソリから何回か最近パクラが怖いと相談を受けてはいたが、まさかここまでとは思っていなかった。パクラには久しぶりに会ったからな。
だって1年前くらいは、あの厨二病を拗らせに拗らせていたサソリにときめきキラキラ目はハートだったパクラだぜ?
態度をここまでガラッと変えるというか、変わるとは思ってもみなかった。
いや、まぁそれも全部サソリが悪いんだけどさ。自業自得ってやつなんだけどさ。
「ふ、ふ、ふぇぇぇぇん」
「「あ」」
せっかく寝ていたのにサソリの声で起きてしまった赤ちゃんを立ってゆらゆらとあやすパクラ。
ただその目はギロリとサソリを睨みつけていた。
言葉に出さずとも視線で怒られ、シュンとなってまた部屋の隅っこで小さくなって反省し始めるサソリの腕をオレが掴む。
「ほら一回、外出るぞ。パクラ、サソリのこと借りるな」
オレは一応パクラに一言声をかけるとそのままその場から飛び去った。
木ノ葉病院の屋上へと飛んだあと。
「・・・はぁ」
やっぱ、まだあれ怒ってんのかなぁ。と、ひとつため息をついた後にぽつり呟くサソリ。
それを聞き取ったオレは、何したんだよ。と聞き返す。
「あーいやな。あいつのおっぱい。ただでさえ半端なく爆ってたのに、妊娠して母乳ができるようになると段々張る張ってきて神ってただろ?だから昨日真夜中我慢出来なくてな・・・襲っちまった」
と、頭をポリポリと掻きながら照れ笑いするサソリをジト目で見る。
それが結果的にお迎え棒となって、今日の出産になったってわけか。
確かに事前に聞かされてた予定日よりも早かったもんな。
つーか、妊婦相手にどんだけハードなプレイをさせたってんだよ。
「いやな。神乳から出てくる母乳シャワーはマジ凄かったぞ」
「うん。お前もう喋んな」
知人夫婦の営みの内容なんざ聞きたかないわ。
いつもありがとうございます。新名蝦夷守です。
唐突で申し訳ないのですが、少しの間お休みさせていただきます。
リアルで色々あって精神的ダメージが大きく筆が進まないので。
なんとか切り替えて今月中には再開したいとは思います。
最後に一言。
オラに元気をわけてくれぇぇぇ!!(切実