NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
活動報告で行っているエピソードのアンケートも是非ご参加ください!
オレは木ノ葉隠れの里に帰ってきていた。
方法?方法は飛雷神の術だ。
妙木山に飛ぶときにミナトの術はきっちりと写輪眼で見極めさせてもらったし、それに術の発動方法も術式の構成もな。
それをいざ使うとなるとまだ慣れていないということもあって、チャクラは余計に喰った気はするが、オレにとっちゃ微々たるものだ。
目印さえあれば、余計な座標演算しなくて済むとなると大分気分的には楽になる。
「ぬォ!?」
そしてその場所は火影の執務室。
自来也は急に現れたオレにびっくりして机の上に山積みになっている書類の山をぶちまけている。
ガーンとガッツリテンションが下がっている自来也のその醜態とは裏腹にミナトは爽やかな笑みを浮かべながら。
「ん。もしかしなくても飛雷神の術で帰ってきたんだね」
「はい。すみません勝手にミナトさんを目印にして」
「いやいや、なんもだよ。それよりもクシナの九尾の件は本当にありがとうね」
オレが飛雷神の術で里に戻って来る際にミナトが携帯している術式付きのクナイを勝手に目印にしたことにも怒りもせずに逆に感謝される始末。
「いえいえ。この方法が最善だったので」
正しくは、オレにとって最善だった・・・だが。
なんか、騙しているのが申し訳なくなるタイプの人だなぁ、ミナトって。
そんなことを考えていると、地面に落ちた書類を乱雑に机の上に戻し終えた自来也が口を開いた。
「ミナト。カルタも無事に帰ってきたことだしのォ。そろそろお前さんは帰ったほうがいいんじゃないかの」
オレもそれに同調して早く家に帰るように促す。
「そうですよ。クシナさんもナルトくんも首を長くして待ってると思います」
「・・・そうですね。では、先生にカルタ君。お先に失礼します」
少しの思考をした後にそう言って頭を下げるとミナトは飛雷神の術で家へと帰っていった。
きっと生まれたばかりの息子ナルトにいち早く会いたいのだろう。いや、絶対にそうでしかない。
「浮かれとるのォ。ミナトの奴・・・」
「そうですねー。早くもバカ親全開って感じですかね」
あのミナトの隠しきれていない嬉しそうな様子を見ていると本当に原作から乖離していてよかったと心から思う。
「あぁーそういえばカルタ。大蛇丸の奴が終わったら研究所に顔を出せって言っとったぞ」
「いや、ぼく昨日から寝てないので1秒でも早く家に帰って寝たいのですが・・・わかりました」
あいつ怒るとネチネチネチネチといつまでも執拗なまでにしつこいから頼むから早く行ってくれと自来也から目で訴えかけられ。仕方なく折れるオレ。
「じゃあ、ぼくも失礼します」
さてと。でらめんどくさいけど、行かなかったときの方がもっとめんどくさくなりそうだからなぁ・・・行きますか。
大蛇丸の研究所にも飛雷神の目印を付けておこうと考えながら、オレはいつも通りの座標天身の術で向かったのだった。
・・・ちなみに、『でら』の使い方ってこれで合ってるのかねぇ。
その後、きちんと上司でツンデレの気質がある(というよりは構ってちゃん?オカマだし)大蛇丸に結果を報告し、久方ぶりに実家へと帰った。
実家に帰って頂いた第一声が「おかえりー」ではなく「わぁ!びっくりしたぁ」というのは息子としては悲しいぞ。母さんや。
いや、もちろんそのあとにはちゃんと「おかえり」は言ってもらえたけどね。
爺さんに婆さんは縁側でのんびりしていた。なんか、少し見ない間に老けたなーなんて感想は心の内にしまっておいてその日の晩御飯は久しぶりに一家団欒の時を過ごした。
以降、この日に見た夢での出来事である。
そこは少し薄暗い場所だった。
でも、不思議と嫌な感じはしない場所だった。言うなればオレの精神世界にも似た心が落ち着くような。心が安らぐような。そんな場所。
そこには円を描くようにして9匹の多種多様な大きめの生物たちと、そしてその中心には1人の老人がいた。
オレはそれを上から見るようなアングルで。俯瞰的にその様子を眺めていたんだと思う。
彼らとオレの間には相応の距離があって、彼らの声は届かない。
でも、やけに頭の中に入って来る声があった。脳内に直接響いてくると言い換えても良いかもしれない。
その声はまだ幼さが残る顔の彼ら1匹1匹の顔を見ながら名前を呼ぶ。
砂の身体に1つの尾を持つ狸。
「
青い炎の身体に2つの尾を持つ猫。
「
亀のような身体にいくつかの海の生物の特徴を併せ持ち3つの尾を持つ。
「
赤い体毛を全身に纏い4つの尾を持つ大猿。
「
馬や鹿の特徴を持ちながら顔は入鹿のようにも見える外見で5つの尾を持つ。
「
蛞蝓のような身体に6つの尾を持つ。
「
芋虫のような、あの世界的に有名な某怪獣映画に出てくるモスラの幼虫のような身体で7つの尾を持つ。
「
上半身はバイソンのような牛、下半身の8つの尾は蛸の足という特徴の。
「
オレンジ色の体毛を持ち9つの尾がある狐。
「
恐らくは中心にいる人物の声だろう。
そして呼んでいる名は全て尾獣のもの。六道仙人・大筒木ハゴロモが付けた名前。それは各々尾獣たちが大切にし、そしてこれからも大切にしてゆく真名とも言える名前。
中央にいる人物こそが彼ら尾獣の生みの親である六道仙人・大筒木ハゴロモなのであろうという推測は容易にできた。
その認識ができた途端、オレの意識は俯瞰的な視点から主観的な視点へと変わる。
それがわかったのは尾獣たちの幼い顔が近くにあったからだった。
そして、自分の口が自分の意志とは関係なく動いて声を発する。
「離れていてもお前達はいつも一緒だ。いずれ一つとなる時が来よう・・・」
自身を囲むようにして座る尾獣1匹1匹の顔を見ながら。
「それぞれの名を持ち、今までとは違う形でな・・・。そして私の中にいた頃とは違い、正しく導かれる」
言葉を紡ぐ。
「本当の力とは何か。その時まで・・・」
最後に見た彼ら尾獣の目には何か光るものが浮かんでいた。
そこから先は、もう覚えてはいない・・・。
お付き合いいただきありがとうございます。
新名蝦夷守です。
これにて九尾封印篇は終了でございます。
ご都合主義満載。つまり、通常運行でしたがいかがだったでしょうか。
楽しんで読んで頂いてたら嬉しいです。
さて、次回からは日常回的なのをお送りしたいと思います。
エピソードの案を活動報告にて募集してますので、皆様の案を是非参考にさせてください!お待ちしております。
では、また明日です。