IS-Reborn Zombie-   作:茶碗

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※アギトは関係ないです


謎の機体-Unknown-

『マイティジャンプ!マイティキック!マイティーアクショーンX!』

 

アリーナに響く歓声。2人の対戦者は向かい合い、少し笑みを浮かべた。

 

「クラス代表決定戦の映像、見たわよ。あんた、ホントに初心者?とてもそうは見えないけど」

 

「代表候補生に褒めてもらえるとは光栄だな。少々、アクションゲームに慣れているだけさ。」

 

「……少し一夏のことでイライラはしてるけど、私は代表候補生。試合である以上、真剣に行くわ。甘く見ないでよね!」

 

『第一試合、……試合開始!』

 

始まりを告げるアナウンスと共に、2機のIS『甲龍』と『幻夢』は瞬時に飛び出した。

 

『ガシャコンブレイカー!』

 

黎斗は武器を呼び出し攻勢に向かうが、鈴も同じく武器を召喚した。

 

「ハァッ!」

 

刃と刃が擦れ、火花が散る。黎斗はバグヴァイザーをチェーンソーモードにし懐を狙うが、2本目の剣……『双天牙月』に防がれ、両者は一旦距離を取った。

 

『タドルクエスト!』

『ガシャコンソード!』

 

即座に別の武器を召喚し、黎斗は鈴と同じく二刀流の体制になる。

 

『チュ・ドーン!』

 

バグヴァイザービームガンモードを乱射するが、鈴はことごとく回避する。その内に黎斗が迫り、再び刃がぶつかり合う。

 

『バ・コーン!』

 

黎斗はボタン操作で素早くガシャコンブレイカーの刃を収納し、ハンマーモードへ変形させる。それにより片方の双天牙月は空を切り、鈴は大きくバランスを崩した。

 

「……喰らえ!」

 

ガシャコンブレイカーの『B』ボタンを連打。鈴は連続のハンマー攻撃に対応しきれず、後方へ飛ばされてしまう。黎斗はブースターを噴射し、飛ばされた鈴をバグヴァイザーで再び殴りつけた。

『Loading now...complete』

 

壁にぶつかる直前で鈴は踏み止まり、体制を立て直す。

 

「くっ……やるわね。まだまだぁ!(そろそろこっちの手も見せなきゃね…っ!)」

 

「(そろそろ来るか……)」

 

再び剣がぶつかり合う。どちらが先に動くか。観客は静まり返り様子を見守って居たが、どちらも動かないまま、大きな衝撃が響き黎斗のみが後方へ離れていった……

 

 

 

「今のが『龍砲』ですね。黎斗君、先の試合ではオルコットさんに快勝していましたけど、今回は接戦に見えます。」

「ええ。相性の問題もあると思います。織斑は経験が足りず、オルコットは接近戦に関してはかなり荒削りな所が大きい。『幻夢』……見たところ、多彩な武器を使うのが特徴なISに見える。あくまで接近戦と、そして特殊武器の衝撃砲で戦う凰との戦いは分が悪いかもしれません。」

 

「そうですね……あれ?」

 

真耶がコンピュータに画面に出てきた表示に疑問を覚えた。

 

「どうしました?」

 

「それが……」

 

 

 

 

 

「『龍咆』…私が、ここまで読めないとはね!」

 

「読まれる前に勝たせてもらうわ!」

 

龍砲。ISの武器を収納する量子化技術を応用した3世代型兵器で、空間自体に圧力をかけ砲身を作り、衝撃を砲弾として打ち出す衝撃砲だ。しかもその砲弾、砲身でさえも見えないという代物だ。

 

「次はこっちだ!」

 

『バンバンシューティング!』

『ガシャコンマグナム!』

 

黎斗はハンドガン型の武器を召喚し、距離を取った状態でエネルギー弾を連射した。

 

「そんなんじゃ…私は倒せないわ!」

 

素早く全ての弾を回避し、鈴は再び黎斗へ迫った。刃が黎斗を掠め、黎斗はよろけるが、離れた瞬間にガシャットをガシャコンマグナムに挿入した。

 

「食らいなさい!」

 

鈴は双天牙月を両手に黎斗へ急接近する。

 

「(ここの龍砲で決着をつける!)」

「それを待っていた!」

 

『バンバンクリティカルフィニッシュ!』

 

砲弾と巨大エネルギーがぶつかり合い、爆風が吹き荒れる。そして……

 

「きゃあっ…!」

 

地面に叩きつけられたのは鈴だった。黎斗は鈴にバグヴァイザーを突きつける。

 

「龍砲は、その衝撃故に自らをバランスを崩す……その隙をつけば崩すことは出来る」

「(……だが、ガシャコンマグナムのキメワザも大きくバランスを崩す技だ。それを調整出来たのは、ブルー・ティアーズのデータの恩恵が大きかった)」

 

「……参ったわ。どうやら、私の負けみたいね。」

 

『試合終了。勝者、檀黎斗!』

 

鈴が負けを認めたことで勝敗は決し、アリーナは大きな歓声に包まれた。

 

「やるわね!今度、また勝負しましょ。今度は負けないから!」

 

「…ふっ。臨むところだ。次のゲームは、私が完全勝利を……」

 

その瞬間、思わず耳を塞ぐ程の爆音、そして警報が辺りに鳴り響いた。

 

『試合中止! 織斑、凰はただちに退避しろ! 』

 

手を取り合おうとした鈴と黎斗だったが、突然の出来事に驚き、動きが止まる。

 

「……なんだ?あれは」

 

……アリーナの中央に佇んでいたのは、漆黒に包まれたISだった。

 

 

 

「檀、凰!即刻退避しろ!教職員が対処に向かう!」

 

『…どうやらあのISは私をロックしているようだ。…先生、ここは一旦私が対処します』

 

「なんだと?」

 

『退避すれば更なる被害を生むかもしれない。……行けるか?』

 

 

 

「正直、キツいわね。SEはあと僅か。でも、やるしかないみたいね」

 

放たれるビームを躱しながら、鈴は機体の情報を確認していた。

 

「unknown…?正体不明、ってわけね」

 

「(正体不明……そして幻夢へのロック。2人目の男性操縦者の存在を良く思わない勢力の差し金か?だが、何かがおかしい)」

 

「なんて出力……!当たったらひとたまりもないわね」

 

鈴はビームで抉れた地面を見て絶句する。

2人は鈴が衝撃砲で気を逸らし、黎斗が攻撃を仕掛ける戦術を取ったが、どれも難なく躱され反撃に耐えるのに精一杯だった。

 

「…喰らえ!」

 

バグヴァイザーで腕を切りつける。が、

 

『Loading now...error』

 

「(エラーだと?そこまで強固なプロテクトがかかっていると言うのか)」

 

黎斗が電子音声に気を取られている内に、謎のISは銃口を鈴に向けていた。

 

「きゃあ…っ!」

 

「うおおおおおおおっ!」

 

ビームが放たれたが、瞬時の所で回避する。飛んで来たのは……

 

「一夏!?なんでここに」

 

「俺にも分からないんだが、何故か俺の前のバリアだけが一瞬消えたんだ。大丈夫か?鈴」

 

「え、ええ…」

 

一夏に抱き抱えられ、鈴は頬を染めるがすぐに顔を振り、前に向き直った。

 

「一夏、鈴。少し気になっている事がある。」

 

「なんだ?」

 

「奴の動きだ。()()()()()()()()()()動いているように見えないか?」

 

一夏は首を傾げる。

 

「なんでだ?それは、戦闘しているんだったら当たり前なんじゃ」

 

「そうじゃない。現に今のあいつを見てみろ。動いてはいるが明らかに動きが薄い」

 

「……!」

 

先程から3人は止まった状態で会話していたが、それに対応するように謎のISも動作を止めていた。

 

「まさかとは思うが……『無人機』かもしれない」

 

「「…!!」」

 

「そんなのありえないわ!ISは人が乗らなければ動かない。…そういうものだもの」

 

「でも、もし無人機なら」

 

一夏は手元の『雪片弐型』を見つめ呟く。

 

「何よ、無人機なら勝てるって言うの?」

 

「…ああ、確かにな」

 

『零落白夜』。雪片弐型の全力攻撃は威力が高過ぎるため、公式な試合では加減が必要となる。だが、

 

「無人機なら、遠慮なく全力で使える!」

 

「そんなの、当てなきゃ意味無いじゃない!」

 

一夏はニヤリと笑い、ハッキリと答えた。

 

「次は当てる」

 

「…っ。言い切ったわね?黎斗もそれで良いのね?」

 

「それが最善の策だ。…行くぞ!」

 

黎斗はガシャコンマグナムを片手に、鈴は衝撃砲の準備をして一斉に飛び立った。

 

「くっ…隙がない!」

 

『零落白夜』はここぞという時にしか使えない。だが機動力の高い謎のISに対して黎斗達はチャンスを掴めずにいた。……その時。

 

「一夏ぁっ!男なら、それくらいの敵に勝てなくてどうする!」

 

「箒!?」

 

気付けばアリーナのピットに箒が立っていた。だが大声で叫んだことにより、謎のISは腕の銃口を箒に向けた。

 

「(まずい、あそこにはバリアが…!)危ない、箒!」

 

「……避けろ!」

 

黎斗はISが箒に気を取られている内に後方に回り、ライフルモードでISを狙い撃った。

 

「……!」

 

ISは避けることが出来ず攻撃が直撃し、大きくよろめいた。

 

「…よし!鈴、やれぇっ!」

 

「行くわよ!…って、一夏、なんで前に居るのよ!どきなさい!」

 

叫ぶ鈴だったが、一夏はその場所を動かない。

 

「良いんだ。そのまま撃て!」

「…もう。どうなってもしらないわよ!」

 

衝撃砲が発射され、一夏に直撃する。一夏はその勢いで一気に加速し、ISへ向かって行った。

 

『零落白夜、発動』

 

「うおおおおおおおおおっ!」

刃が煌めき、高速で振り下ろされる。ISの両腕が一瞬で離れ、大爆発を起こした。

 

「ふう…やったか。」

 

一夏は零落白夜を解除し、一息をついた。

 

『…黎斗君?大丈夫?』

『楯無会長』

 

黎斗にISの個人間秘匿通信で楯無から通信が届いていた。

 

『ISは機能停止しました。そちらは?』

 

『……まだコントロールが解けない。避難も救援も出来ないのが現状よ』

 

「(まだ解けていない?でもISは……っ!!!!)」

 

『……アームの展開、破損部分の再展開……標的をロック……『ゴーレムⅡ』、起動……』

 

電子音声と共に両腕が再展開され、再び謎のISが動き始める。だが一夏と鈴はそれに気付いていないーーー

 

『どうしたの!?』

『…ISが再起動を始めたみたいです。このままじゃ間に合わないっ…!』

 

黎斗は咄嗟にひとつのガシャットを取り出し、見つめた。

 

『今はこれしかない!』

『黎斗君、危険よ!』

 

『ドラゴナイトハンターZ!』

 

「(まだ調整は済んでいない…だが私にそんな暇はない!)」

黎斗はISに接近しながらガシャットをドライバーに挿入し、レバーを引いた。

 

『レベルアップ!ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナ~イト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!ゲンム/Z!!』

 

幻夢に全身に龍を模した装備が装着された。ハンターアクションゲーマーレベル5だ。

 

「一夏、鈴!逃げろ!」

 

IS(先程の音声を信用するなら、ゴーレム)の攻撃を防ぎ、後ろに声を飛ばした。

 

「こいつ、また動いて…っ!黎斗、1人じゃ無茶だ!」

 

「だめだ!2人はもうSEが殆ど無い。絶対防御は完璧じゃない。解除された状態で攻撃されれば、人は死ぬんだ!」

 

普段からは考えられないような怒号を飛ばす黎斗に一夏と鈴は唖然とする。

 

「『力』を手に入れたなら、その使い方を誤るな!…私が、こいつを倒す!」

 

右腕の『ドラゴナイトブレード』で相手を斬りつけ、左の『ドラゴナイトガン』からエネルギー弾を発射。幻夢とゴーレムは、確実に互角以上の戦いを繰り広げていた。

 

「(黎斗は、あんな力を持ってたっていうのか…?じゃあ、なんでさっきは使わなかったんだ)」

 

「…っ」

 

黎斗は攻撃の最中突然頭を抑え、その隙にゴーレムに殴り飛ばされてしまった。

 

「黎斗!」

 

「…問題無い。」

 

黎斗はガシャットを取り出し、キメワザスロットに挿入した。

 

「私は…ゲームマスターだ!戦いに犠牲は出さない…誰が相手でも…っ!うおおおおおおおっ!」

 

『ドラゴナイトクリティカルストライク!』

 

頭部から火球が放たれ、再び周囲は爆発に包まれた……




今回は少しごちゃごちゃしていたかもしれない。
次回、戦闘後の話。

仮面戦隊ゴライダー…やはり黒幕はあの人でしたか。まあキャストから予想はついて居ましたが。

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