IS-Reborn Zombie-   作:茶碗

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至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。


起動-Game Start-

新しい環境での学校生活の始まり。それは新しい出会いの場であり、また時にトラブルの種ともなる。

 

「私は織斑君を推薦します!」 「私は檀君を!」

 

「待ってください! 納得がいきませんわ!」

 

現に、目の前でもトラブルが起こっている。……自分への飛び火というサプライズも含めて。

 

IS(インフィニット・ストラトス)。女性にしか扱うことの出来ない世界最強のパワードスーツの登場は世界を大きく変貌さえ、瞬く間に女尊男卑が蔓延することとなった。しかし、2()()の男性操縦者が現れることで、世界に衝撃が走ったのは目に新しい。物珍しさから、HR前の時間にも2人の男性操縦者ー檀黎斗(だんくろと)織斑一夏(おりむらいちか)を見物しようと多くの生徒が1年1組へ集まった。そして、このクラス代表決めにおいてもーー

「自他推薦は問わないと言った。推薦された者は責任を持ってその職務を全うしろ。…檀、聞いているのか?」

 

「はい。僕以外に2人が推薦されているので、ここから投票でしょうか?」

 

手元のノートをそっと閉じ、担任の織斑千冬へ返答する。

 

「ーーわたくしはこのような島国までIS技術の修練に来たのであって、サーカスをする気はーー」

 

まだ言い争いが続いていたようだ。

 

「イギリスだって、まずい飯で有名だろ!」

 

「っ!あなた、イギリスを侮辱しますの!?……良いでしょう、決闘ですわ!!」

 

「……話は纏まったようだな。1週間後、第3アリーナにおいて3人総当りのISの試合を行う。棄権は認めん、良いな?」

 

かつての()()()()が語気を強めたことで、クラスが再び騒ぎ出すことは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが2人の部屋の鍵になります。部屋の人に迷惑をかけないようにして下さいね!」

 

放課後。副担任の山田先生から部屋の鍵を受け取るが……番号が違う?

 

「……もしかして、女子と同室なんですか?」

 

「す、すみません。急な入学だったもので、部屋割りを変更するのが難しくて……時間が経てば、2人には個室が与えられる予定なので、それまではどうかお願いします。」

 

「そうでしたか。僕は大丈夫です。」

 

「それと、大浴場ですが、2人はまだ使用出来ません。部屋にシャワー室があるので、そちらでお願いしますね。」

 

「ありがとうございます。それでは。」

 

必要事項を聞き、寮へ歩き出す。後ろで女子と風呂に入りたいだの入りたくないだの言っているが、関係の無い話だ。

 

 

「ねえねえくろちー、何してるの?」

 

彼女は布仏本音(のほとけほんね)。同じ1年1組で、僕の同居人だ。……くろちーとは、僕のことだろうか。

 

「何、ただのゲームさ」

 

「ん〜?『マイティアクションX』?あっ」

 

『GAME CLEAR!!』

 

「ふぅ…」

 

ゲームクリアを確認し、PCを閉じる。のほほんさん(皆がそう言っていた)は少し考え込むような仕草を見せると、

 

「…このゲームって、ゲームマスター『DAN』って人に作られたんだよね?」

 

「……意外と詳しいんだね」

 

「えへへ…友達に、ゲームに詳しい子がいるから〜」

 

「まあ隠すことは無いね、このゲームは僕が初めて作って公開したゲームだ。分かり易い名前だけど、僕がその『DAN』だ。」

 

再びPCを開き、ゲームのホーム画面を見せる。

 

「凄いね、ゲームの開発なんて!やっぱり、夢はゲームクリエイターとかなの?」

 

「そうだね。…ISの整備関連の仕事に就いて、そこの収入から個人でゲームを作ろうと思っていたんだ。もっとも、今はそんなことを考えていられないけどね。」

 

少し自虐的に言う。ISを動かせるイレギュラーとなった以上、普通に暮らしていくのは不可能に近いだろう。見ると、のほほんさんが少し申し訳なさそうな顔をしている。

 

「君は悪くないよ。大丈夫、与えられた環境で頑張っていくだけさ。……やりたい事もあるしね。」

 

「…うん!代表候補生との試合、頑張ってね!」

少し顔を横に振って、笑顔で答える。

 

「(女性にここまで純粋な笑顔を向けられたのは、久しぶりだな)」

 

目線をPCへ戻し、先に調べた代表候補生のデータを確認する。

 

セシリア・オルコット。イギリスIS代表候補生で、使用機体は第3世代機『ブルー・ティアーズ』。6基のビットを擁する射撃型機体だ。

 

代表候補生のIS起動時間は300時間を超えると言われている。先月ISを動かしたばかりの人間が戦うなど、普通なら絶望的だ。そう、()()()()

 

「……」

 

僕は無言で一瞬あるフォルダを開き、閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

「ーーところで織斑、お前のISだが、準備に時間がかかる。……政府から、専用機を与えることが決定したそうだ。」

 

翌日。担任がそう言ったことでクラスがざわめき出した。

 

「せ、専用機!? 一年の、しかもこの時期に!?」

 

「つまりそれって政府からの支援が出てるってことで……」

 

「ああ~。いいなぁ……。私も早く専用機欲しいなぁ」

 

「静かに。それと檀、お前にも政府からISが与えられる事になっている。こちらは量産機だから、2日以内で用意出来るだろう。」

 

『世界最強の弟』織斑一夏と、何の後ろ盾もない自分の違いを感じる。が、

 

 

「……ふっ」

 

僕は昨日のデータを頭に浮かべ、薄笑いを浮かべた。

 

 

 

檀黎斗、15歳。父は大学病院の院長で、中学は都内の有名中高一貫校へ通っていた。ゲームが得意で、天才ゲーマー『DAN』の正体は彼ではないかと言われている。

 

2人目の男性操縦者の監視及び保護。『更識』に仕える暗部としてその命を受けた布仏本音が生徒会から受け取った情報はこのような簡単なものだけだった。

 

「(ゲーム開発についても隠すことは無し。特におかしい所はないかなあ)」

彼女は乗り気ではない仕事に溜息をつく。

 

「(……でも。あれは、なんだったんだろう)」

 

黎斗が一瞬開いたフォルダを、本音は見逃さなかった。

 

『RIDER SYSTEM No.1 ガシャコンバグヴァイザー』


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