ゼロのポケヒーロー   作:ディア

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やってしまった。だが後悔はしない。


第1話

昔あるところに酒屋で泥酔している三人がいた。

一番左にいるのがらっきょうを食べながら隣の黒髪の少女に愚痴る茶髪の女、ピンク。

一番右にいるのが一際大柄な親父達が集まる居酒屋でも親父達がドワーフに見えてしまう程背が高くモデル体型の青髪の女、茨木和那。

真ん中で二人の間に挟むように無言でらっきょうをその口の中に放り込む黒髪女、芹沢真央。

 

その三人はある共通点があった。それは泥酔していたことでもなければ寝取られたということでもない。彼女達はヒーローであり所謂裏世界の関係者であるという事である。

 

「なんであいつは他の女と一緒にいるのよ〜……ちくしょーっ! 店主らっきょうおかわり!」

「ピンクはまだ希望があるからええで? ウチなんかアレやで? ヨリ戻して結婚してくれる思っとったら娘がおるから離婚出来へんいうんやもん。ウチの乙女心返せやーっ!」

「……よしよし」

 

そんな彼女達はヒーロー活動をしているせいか多忙な生活をしており、彼氏と付き合おうにも会える時間が極端に少ない。もし無理に会いに行けば彼氏を裏世界に巻き込んでしまい、彼氏が殺されてしまう。言動はどうあれ根が優しく、お人好しな彼女達がそんなことをするはずもなく、無理に会いに行く事はない。もっともピンクの彼氏は例外的に裏世界の事情に首を突っ込める立場だが、ピンクよりもヒーロー活動が出来ないので会える機会が少ない。

 

「あざしたっ!」

酒屋の親父が礼をし、真央に抱えられている二人を見送る。

「最悪……」

真央は二人を抱え、そう一言呟く。片やらっきょう臭いリア充の女。もう片や酒臭い電柱女。こんなのに付き合わされて真央の機嫌は飛ぶ鳥を落とす勢いで急降下中であった。

そんな事も知らない二人は先ほどとは別の酒屋を見つけ、目を輝かせた。

「もう一軒行こうよ〜! ブラック!」

ピンクがそう言って真央を揺する。因みにブラックとは真央の事であり、これは真央がピンク同様に戦隊モノのヒーロー、ポケレンジャーであるからだ。とはいえ真央はピンクを含め他のポケレンジャーとは違い人間がベースである為、かなり特殊な存在である。

「そやで〜リーダー! ウチもまだまだ行ける!」

和那もピンクに同調し、真央を揺すり、真央をそこに行かせようと誘う。

だが真央は怒りを見せるでもなく真顔で遠くを見つめていた。

「リーダー、どないした?」

それを見て和那は真央の異変に気付く。酔いが少しずつ醒めていき、真央に尋ねながら真央の向いている方向を見る。

「ちょっと〜無視しないでよ〜?」

空気の読めないピンクが二人に聞くが答えは別のものだった。

「ピンク、あれなんだがわかるか?」

「あん?」

「あそこにある鏡っぽいもんや!」

和那がピンクに尋ねた理由はピンクの能力にある。ピンクは全ての感覚器官が優れており脳波などの人間が感知出来ないものを感知したり、透視などの特殊能力がある。早い話が予知能力染みた情報収集力があると言っていい。

「えへへ〜……」

「(あかん、泥酔して会話が成りとっらん)」

だが流石の彼女もらっきょう-ポケレンジャーは全員らっきょうを食べると酔っ払ってしまうがその中でもピンクは酔っ払い易い体質-には勝てず泥酔したままであった。幸せそうな顔をしているのは彼氏の夢でも見ているのだろうか?

「あれは危険……」

「それでリーダーどないする積りや?」

「もちろん消去する」

「ほいたらウチに任しとき。こういうのはウチの得意分野……って、あかん!」

和那と真央が話している間に青いパーカーの少年がそれに触れ、ズブズブと呑み込まれていくのが見え、和那は両足を掴んで止めようとする。

「うおっ!? なんやねんこれ!?」

鏡が和那ごと引き込み、和那も巻き込まれてしまう。そのことに焦った和那が二人を置き去りにしてその鏡の中に入る決意をする。

「ウチのことはかまへんから……ってリーダーもかい!」

しかし時遅く、すでに真央は鏡に半身突っ込んでいた。

「貴女を手伝おうとしたらこうなった」

「それならピンクはせめて……」

「あたしだけ置いてらっきょう食べに行くなんてずるいわよ〜? カズゥ〜!」

ピンクはそれどころか逃がさないと言わんばかりに腰にしがみついていた。

「ち、ちゃうわドアホーっ!」

和那が怒鳴るが酔っ払いが当然そんなことを聞く訳もなく、ヒーロー三人は銀の鏡の中に入っていった。

本来一人取り込むはずであった銀色の鏡はヒーロー三人を巻き添えにして消えた。

 

▲▼▲▼☆☆☆☆▼▲▼▲

 

銀の鏡の中で、少年は自分を助けようとした人達を見ていた。

「自分無事かいな?」

その中でもかなり目立つ特徴の女性、和那が少年に話しかけるとどもりながらも答えた。

「そ、それよりもアンタ達は?」

「そうか、自己紹介遅れたな。ウチは茨木和那や」

「芹沢真央。そこで寝ているのが桃井百花」

「zzz……」

「それじゃ俺も自己紹介するよ。俺は平賀才人。極普通の高校生だ」

少年こと才人は簡潔に自己紹介をした。

 

「ほなら才人君、自己紹介もしたことやし、身体に異変を感じるか確かめて。お姉さんからのお願いや」

「お姉さんというより八尺様」

因みに八尺様とは日本の妖怪であり身長大女の姿をした妖怪である。八尺様の八尺は身長の八尺-約243cm-であり、それにちなんで八尺様と呼ばれている。

「リーダー、茶化すな!」

真央がボソリと呟くのを聞いて和那が怒鳴る。

「リーダー?」

「ああ、ウチら三人一組のボランティアやっとるんよ。そのリーダーがこの芹沢さんっちゅうわけや」

「じゃあリーダーさん、これはドッキリなのか?」

真央は首を横に振る。

「才人君、これはドッキリでもなければ夢でもない。れっきとした現実や」

「どういうことだよ? この訳わかんねえ空間が現実だってのか? 冗談キツイぜ」

「残念ながらこれは現実や。さっきの様子から考察するとここは才人君が触れた鏡の中やな。詳しいことはピンクに聞けばわかるんやけど……寝とるしな」

「訳わかんねえよ! こんな空間が現実にあってたまるか!」

「あ、ちょい待ち!」

才人は和那の言うことも無視してその先へと向かい、消えた。

「しゃあない。リーダー、どないする?」

「追いかける。もしかしたら元に戻れるかもしれない」

「それもそうやな」

和那はピンクを背負い、真央と一緒に才人が消えていった先へと進むとその先には桃色掛かったブロンドの髪の少女が待ち伏せていた。

「アンタ達、誰?」

少女は一言、そう告げた。




という訳で無茶苦茶な展開かつ駄文でしたが今度ともよろしくお願いします。

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