音楽家系の俺が同人ゲームを作ることになった件について 作:通りすがりの猫。
さて、流れで倫也先輩の家で泊まった土曜日から1週間後。え?1週間なにがあったか説明しろって?なんもなかったよ、普通に学校行って家で勉強して暇つぶしにギター弾いてときたま生放送をしての繰り返しだったから語ることなんて特にないんだよ。
さて、本日は何故か倫也先輩と加藤先輩と遠出することになった、ほんとは和合市の霞先生のサイン会に行きたかったんだよな・・・。
「おはようございます倫也先輩に加藤先輩」
「おはよ・・・ふあぁぁぁぁ~」
「おはよう二人とも、それじゃあ切符買いにいこうか」
「?どこまで買うの安芸君?」
「和合市」
ん?まさか・・・?
「って、隣の県じゃない。うわ切符たっか」
「遠出するって言ったろ昨日」
「倫也先輩、もしかして今日行くのってとある作家さんのサイン会ですか・・・?」
「っつ!まさか真希!」
この瞬間倫也先輩と分かり合えた気がする。
「俺、霞先生の大ファンなんですよ!」
「じゃあもちろん『恋するメトロノーム』は・・・?」
「もちろん!何回読んでも新しい発見があるのでいつも常備して暇なときに呼んでますよ!」
「おお・・・!!」
「それって昨日安芸君が渡してくれた本のこと・・・?」
「あ、そうですよ加藤先輩。ってか倫也先輩もう布教してたんですね」
「もちろん!それで加藤感想は・・・?」
「ラノベって完全男の子向けかと思ってたけど、女の子が読んでも泣ける作品だよね、これ」
「だよな!やっぱ泣けるよな!
「さすがわかってますね加藤先輩!」
「この間のギャルゲーもそうだったけど、食わず嫌いってよくないなぁて・・・まぁ、もうちょっと表紙とか手に取りやすいものにしてくれたら助かるけど・・・」
「か、加藤っ、お前ってやつは、やっぱり・・・」
まさか食わず嫌いはよくないって言葉がオタクじゃない人からでてくるとは、さすが霞先生といったところか。
「だから悪いんだけど、返すのゴールデンウィーク明けでいいかな?もう一度、今度はゆっくり読んでみたいなって思っちゃって」
こ、ここまで影響を及ぼすのか。これは霞先生様様だな。今日あったら感謝しよう・・・心の中で。
「いいっていいって!というか別に返さなくてもいいから。どうせ加藤に渡したのは布教用だし、読書用と保存用にあと2セット持ってるから」
「そ、そう?まぁ、また買う必要ないならありがたくもらっちゃおうかな?」
違うんだ加藤先輩、このひとはそんなんじゃ終わらないんだよ。
「いやもちろん買うぞ?布教用が減ったら当然だろ?」
「そ、そう・・・ありがと」