音楽家系の俺が同人ゲームを作ることになった件について   作:通りすがりの猫。

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やはり先輩はテンプレだった

「と、倫也、あんた・・・っ、あたしがホラー超苦手なの知っててぇ!」

 

うわ・・・それはひどいですね倫也先輩・・・。

 

「ん?『これはゾンビですか?はい、ジョージ・A・ロメロの名作です』は気に入らなかったか?」

 

やべぇ、タイトルだけでめっちゃ気になる。それから自分が仕組んだ罠をどや顔で話す倫也先輩とそれに文句を言う澤村先輩の姿がしばらく続いた。にしても噂の澤村先輩がこんなにも倫也先輩(好きな人)の前だと変わるなんてまたとんでもない光景をみてしまったのではないのだろうか・・・。

 

さて、倫也先輩の部屋に居たのが倫也先輩だけじゃないと知ると俺と加藤先輩を思いっきり睨んできた。

 

「えっと・・・澤村先輩、そんなに倫也先輩と二人きりになれなかったのが許せないんですか?ごめんなさい、今から帰るんでもう睨まないでください」

 

「あー、真希。そいつ超近眼なんだ。学校じゃコンタクトだけど」

 

「あ、そうなんですか。で前者については触れないほうがいいんですか?」

 

「あ、ああ・・・頼むよ。英梨々がもう顔を真っ赤にしてるから触れないでもらえると助かる」

 

テンプレツンデレなんて初めて見たぞ・・・。ほんとにこんな人が世の中にいるんだな。

 

「さて、説明して・・・もらわなくてもいいか別に」

 

もう立ち直ったのか、案外早いんだな。

 

「要するに、倫也の、周りが見えてない自分本位の視野狭窄な欲望から生まれたぼくのかんがえたさいきょうの思いつきな愚策にまたつき合わされたってことね」

 

「いやぁ、今日のうちに俺のメッセージを受け取ってもらえてよかった。このままお前が来なかったら今晩加藤を泊めなきゃならなかったぞ」

 

・・・俺は帰れってことですかね?うわぁ倫也先輩、俺は悲しいよ。

 

「ちょっと、それだったら榊原はどうするのよ!?」

 

「・・・?帰ってもらうつもりだったがなんで英梨々が気にするんだ?」

 

「き、気にしてないわよ!ちょっと思っただけ!」

 

「あ、いや俺は普通に帰るんで気にしてもらわなくても大丈夫ですよ?」

 

「いえ、もう夜も遅いしなんならうちに来こない?どうせなら生演奏をききたいし」

 

「え?っていうかそれっって澤村先輩が今日きてなかったらの話なんですよね?なんで俺が澤村先輩の家で泊まることになってるんですか?」

 

「・・・。じゃあもし今日あたしが倫也の家に来てなかったらうちにきて演奏してくれたの?」

 

「いや、まさか。帰りますよ」

 

「結局帰るんじゃない」

 

当たり前だ、なんでいきなり先輩の、しかも女性の家に泊まらなきゃいけないいんだ。心の準備とかってもんが・・・じゃなくて!

 

「倫也先輩と加藤先輩何してるんですか?」

 

「ん?ああ、加藤に英梨々の過去絵をみせてるんだ」

 

いや、だからってそれを本人の前でやるなんてなんて所業・・・。

 

「澤村さん、こんな萌え絵も描くんだ・・・」

 

まあ確かに見た目と中身が一致してないよな・・・。

 

「っていうか本当にオタクだったんだ」

 

それは思った、ここまでディープだとは思わなかった。

 

「覚えてなさいよ倫也・・・」

 

「いや、だって実物みせないと絶対信じてくれないし」

 

確かに、実物みないとなかなか信じられないよな。

 

・・・。それで俺はもう帰っていいんじゃないか?なにかすることあるの?

 

「これでわかったろ加藤に真希?この、学校ではお嬢様の振りしつつも裏では思いっきり同人に手を染め人気ジャンルに寄生しつつ荒稼ぎしてるオタク女が俺たちのギャルゲー制作にとってどれだけ必要なのかが!」

 

「・・・確かにわかりましたがどうやら本人は乗り気じゃないようですよ?」

 

「あたしやっぱ帰る、てか死ね」

 

「いや、絶対仲間になってもらうぞ英梨々!お前のその卓越したデザイン能力と、流行りの絵柄にすぐ追随できる起用さがあれば、この大して特徴のない加藤でさえも超絶萌えキャラに・・・」

 

それって澤村先輩のレベルの画力がないと加藤先輩が萌えないってことじゃ・・・。倫也先輩ってたまにとんでもない発言するよな・・・。ってかそれならモデルを加藤先輩じゃない人にすれば別に澤村先輩にキャラデザを頼まなくても・・・。だがこの議論はすでに始まっていたようで、

 

「それ、モデルなしでオリキャラ起こしたほうがハードル低いんじゃないの?」

 

「いや、それは困る。何しろ加藤あっての企画だし」

 

「まぁあたしはやる気ないからどうでもいいけど」

 

「いや、それも困る。何しろ英梨々がいないと成り立たない企画だし。」

 

「えっと、一応きいときますけど俺っていります?」

 

「当たり前だ、真希もいなきゃ困る。何しろ真希がいなにと成り立たない企画だし。」

 

あ、一応いるんですね。ならいいかな暇つぶしにもなるし、ただそしたら連絡くらいは入れておいたほうがいいかな?

 

「それってどんだけ脆弱な企画なのよ。例え初代スタッフが全員抜けてブランド名と権利しか残ってなくてもしれっと続編がでる某タイトルをみならいなさいよ」

 

それって【自主規制】じゃ・・・。これ以上はいってはいけない。詳しくは各自で調べるように。いいね?

 

「やめろ!そういうブランドのこと『俺は』尊敬してるけどそれとこれとは話が別だろ!」

 

とそんな話をしてたら突然、

 

「きゃああああ~っ!?」

 

加藤先輩が悲鳴をあげたのだ。




確かあれは2002年にでた作品でしたよね?懐かしいですね。

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