黒鉄と少し言葉を交わした月読は自分の部屋に向かっていた。
(全力でやるからか、俺にはそんな真っ直ぐ戦う資格はまだない…)
一輝の言う全力でぶつかり合うことは月読には出来ないと考えていた。月読の能力上全力になればなるほど自分自身は動かずに切り離した魂に任せる様な戦いになる。
月読にとっては許されることのない戦いだと考えている。一輝はそんなことを気にはしないだろうし、自身の魂を切り離し、戦うことも自身能力なのだから正々堂々と考える男だが月読はそのことに考えが至らなかった。
そうこうしているうちに自室の前に付いた月読は深呼吸をした。つい最近ルームメイトになった同級生はかなりの曲者でありいつも心労を抱えさせるのだ。
(覚悟を決めろ月読!玄関の前で立ち尽くしている方が恥ずかしいぞ!)
月読は意を決して扉を開いた。
「お帰りなさいませ。月読様、今日も修行お疲れ様でした。」
玄関には着物を着た黒髪の少女がにこやかに月読を出迎えた。
「
「以前もお答えしたと思いますが私の趣味であり癖なのです。諦めていただけませんか?」
夏川
「それよりお昼ご飯ができてますが、先にお風呂にしますか?」
「それはまぁ風呂にするけどなんで新婚みたいなんだよ…」
「わ・た・し?も選択肢にいれた方がよろしかったですか?」
「いらねーよ!とにかく風呂に入ってくるから。」
そう言うと月読は逃げる様に風呂場に向かって行った。
夏川爐side
月読が風呂場に向かうのを見送った爐はため息を付いた。
(やはり、まだ思い出していただけませんか…)
月読は覚えていないのだろうが爐は幼少の頃月読そして黒鉄一輝にあったことがあるのだ。
月読自身は破軍学園に入ってから爐とあったと思っているが幼少の頃のことを覚えている爐からすると複雑な心境だった。
(仕方がありませんか、あの頃はあの男が月読さんを最も虐げていた頃です。実父からあんなことをされていれば、同学年の人のことなど覚えていられないでしょうし。)
早く思い出して欲しいがツラいことも思い出してしまうのではと思うと忘れたままでいて欲しい。矛盾した思いが彼女の頭の中をぐるぐると巡っていた。
新学期が始まってしばらくして平和に過ごしていた。部屋で料理をしていた月読の元に爐がニコニコしながらやって来た。
「明日の土曜日黒鉄さん達とショッピングに行きませんか?」
「えっ、夏川さん黒鉄と知り合いなの?」
「正確には妹さんと知り合いなのですが、昔から仲がいいんですよ雫ちゃんと。」
「ああ、あのおかしな妹か、入学早々にステラと謹慎してた。意外だな夏川さんとあの妹話合うのか?」
「それはもう、恋する乙女ですから話題はいくらでもありますよ。」
「ふ~んそうなんだ。悪いけど俺はやめておくよ。」
「どうしてです?黒鉄さんと交流を持つチャンスですよ?」
「あの妹どうも苦手なんだよ」
そう言うと月読は料理を再開した。月読としては修行をしていたかったし何より只でさえ黒鉄が苦手なのにその上その妹も含めて外出なぞ、月読にとっては地獄のような光景だった。
「会ってもいないのにそんな風に毛嫌いしてはいけませんよ。」
「いやでもな、ろくに話したことのないやつがいきなりいっても迷惑だろ…」
「何事も初めてはそういったものです!少しは他人と関わった方がいいですよ。」
その後も月読は抵抗を続けるも最終的には爐に押されショッピングに行くことになった。
(憂鬱だ…)
月読の心の声に答えるものは誰もいなかった。
???side
血溜まりの中に一人の男が立っていた。喪服を着て顔には狐のお面を被り黒いコウモリ傘をさして立っている男はくっくっと低い声でわらうと近くにあった死体を蹴り飛ばしふらふらと歩き出した。
「おーい!狐さんそろそろ次に行こうよ!」
男の目の前の血溜まりが当然吹き上がりその中から10歳くらいの少女が現れ狐面の男に声を掛けた。
「くっくっ、次は貴様の兄の所に遊びに行くぞ。」
「おにいに会えるの!?嬉しいなぁ、ねえねえ、おにいは面白い?」
「面白いとも、貴様の兄は失敗作だがなかなかな能力を持っているからな」
「そうなんだ!楽しみにしてるねパパ!」
狐面の男は答えずまた、くっくっ笑い歩みを進めはじめ、少女もついて歩き始めた。
更新が遅くなり申し訳ありません。
ヒロイン能力は適当に考えてますがそもそも、落第騎士の能力によるランクがよく分からないので強すぎるかもしれません。
とりあえずオリジナルの敵です。ある作品の敵がモデルですがやることはそのキャラよりえぐくなるかも。
感想評価よろしくお願いします。