落第騎士に挑むもの   作:淡麗

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第1話

月読は目の前の模擬戦を見ながら驚愕していた。本来であればその質量から受けることの許されないステラの剣技を一輝は受け流し続けていたのだ。

更にしばらくすると今度は一輝がステラと同じ剣技を使い始めた。表面上同じに見えるその剣技はその実、一輝の持つ日本刀で同じ成果が得られる様に改変されたものだった。

(化け物だなアイツは…)

試合が始まって5分も経たない内にそれをやってのける思考力、観察力もさることながらその間黒鉄は常にステラの斬撃を受け流し続けていたのだ。少しでもズレたら潰れる様なそれを完璧に受けつつ、相手の剣技を改変するなど人間の成せる技ではなかった。

「一刀修羅!」

ステラの魔力防御を超えることの出来なかった一輝はついに、自分の切り札を切ることになっていた。一輝から突然魔力が溢れ、視認できるまでになっていた。

ステラはそんな一輝を迎撃するためカルサリティオ・サラマンドラを使い降り下ろした。

(皇女様も充分化け物だが、魔力量が多いだけでやっていることは普通の伐刀者と変わらない、だが黒鉄は…)

ステラは一輝のことを捉えることが出来ないまま、一輝の接近を許してしまい一刀のもと切り捨てられてしまった。

「勝者黒鉄一輝!」

審判をしていた理事長から声が発せられ試合は終わった。

(今だ俺は黒鉄のいる領域には立てていない、どれ程の差なのだろうか…)

「おんや~、こんな所に怠け者のお前さんがいるなんて、明日は雪かねぇ」

「俺が演習場にいるだけで雪が降るなら日本はもう雪で覆われてますよ。」

「西京先生そちらの生徒は?」

「えっ妖怪ロリババア…がぁっ!!」

月読は言い終わる前に吹き飛ばされていた。

「いいかい刀華、ここには誰もいなかった、

くそ生意気なガキなんかいなかったよね。」

「い、いや居ましたよ!先生!」

「はぁ、仕方あるないねえ、ガキ今日の夜うちの部屋に来なそれで許してやるよ。」

寧々は呆れた様に月読が飛んでいった方に声を掛けた。

「それはお断りします!そんなことより先生ってどういうことですか?」

「おやおや、つまらないガキだね。今年から非常勤で講師をすることになったのさ。」

月読は自分の上にあった椅子をどけながら寧々の言葉に答えた。

「マジでか、大丈夫かよ。…初めまして藤堂生徒会長、俺は二年の御笠川月読と言います。」

彼は寧々が講師と言う事実に愕然としつつ、横に立っていた刀華に自己紹介をした。

「こちらこそ初めまして、生徒会長藤堂刀華です。」

「さて、お互いに自己紹介も終わったみたいだねぇ、ガキ、うちがあんたに話し掛けたのは一つ聞きたいことがあったからなのさ。」

「今年は参加しますよ七星剣武祭に。あの舞台で俺は黒鉄一輝を超える。」

「質問する前に答えるなよ、でもまあ、成る程ねぇ、今年の選抜戦は本当に楽しそうだねぇ」

「すみません、西京さん生徒会長俺はこの辺で失礼します。」

「待ってください!御笠川君!」

「なんです?生徒会長。」

「お手合わせ願います、去年同じランクでありながら1試合もしなかったあなたの力を見てみたいのです。」

「それはいいのですが、場所はどうします?許可もいるでしょうし。」

「それなら、うちにまかせなよ。オーイ!くーちゃん!」

寧々は黒乃を呼ぶと刀華と月読の模擬戦について伝えそのまま一輝とステラの戦った演習場を使うことになった。

 

 

藤堂刀華side

 

刀華は柄にもなくワクワクしていた。去年同じBランク騎士が入学してきたのは聞いていたが本人が理由はわからないが一度として戦おうとせずその力を見ることはできなかった。

しかし、今日噂のAランク騎士が戦うと言うのでたまたま見にきたらその相手の落第騎士の素晴らしい武術に魅せられ、去年から気になっていた同じランクの騎士と戦えることになったのだ。

(なんて運が良い日なんでしょう。)

「二人とも幻想形態でデバイスを展開したまえ。」

演習場に黒乃の声が響く。今はもう観客も帰りいるのは寧々と黒乃、そして月読と刀華だけだ。

「轟け、鳴神!」

刀華の言葉に呼応する様に雷が落ちその中から一振りの刀が現れた。雷を纏ったそれを鞘に入れると刀華は眼鏡を外し月読を見た。

「蹴散らせ、群狼(ぐんろう)

突然月読の右手には赤黒い光が左手には青白い光が集まりだし武器の形を取り始めた。光が収まると右手には赤黒く銃口から30㎝程の刃を付けたリボルバーが、左手には青白く右と同じく刃を付けた自動拳銃が握られていた。

(遠距離タイプ?いや、刃が付いているといるといつことは近距離もこなすってことかな)

刀華は月読のデバイスから戦い方を推測していると黒乃が声を掛けた。

「準備はできたな。それでは始め!」

その言葉とほぼ同時に刀華は雷を月読に打ち込んだ。

(どちらにせよ、遠距離に弾幕を張って近距離戦に持ち込めれば私は勝つ!雷切で決める!)

月読は双銃を雷の方に向けると引き金を引いた。すると、青白い閃光と赤黒い閃光が刀華の放った雷を打ち破った。

月読は雷が霧散したのを確認すると刀華に銃口を向けながら横に飛び引き金を引いた。刀華は閃光をかわしつつ新たに雷を放った。

二人はお互いにに1歩も近づかないままに遠距離攻撃の撃ち合いを続けていた。

(どうしよう、いくら遠距離攻撃を仕掛けてもあの攻撃に阻まれて届かない、かといって近付こうとするとこちらを撃ってきて近付けない。

少し距離はあるけど抜き足を使うかな。)

そう判断した刀華は大量の雷を月読に向けて放ち抜き足を使い一気に距離を詰めた。

 

「雷切!」

 

放たれたのは神速の居合い抜き。月読は一刀のもとに切り伏せられる。

 

確かな手応えを感じ刀華は己の勝利を確信した。

しかし、そんな刀華の目に写ったのは倒れて行く月読の後ろから銃口をこちらに向け引き金を引こうとしているもう一人の月読だった。

(!!!!なんで!)

刹那、刀華は閃光に飲まれた。爆発がおき轟音とともに刀華が切った月読が消えていった。

 

 

(ギリギリだった、雷が間に合わなければ私は負けていた。)

直前で雷を放ち何とか直撃を避けた刀華だったが無傷とはいかず左手が動かなくなっていた。

「生徒会長、俺の群狼の能力を教えておきますね。生徒会長の雷切は余りに有名でこの勝負フェアじゃないので」

そう月読は言うと刀華に笑いかけた。




御笠川君のデバイスは双銃でした!
戦闘難しいですね書くの次回は能力が判明します。次回の後書きで何のキャラ能力を混ぜたか書きます!
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