落第騎士に挑むもの   作:淡麗

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初投稿ですが、頑張ります。落第騎士の英雄譚面白いですよね!
アニメ2期いつまでも待ってます。


プロローグ

俺はあの男に憧れている。

 

魔導騎士としての才能がなくとも、どれだけ虐げられようと諦めず、闘い強くなり続けるあの男に。

 

あの男…黒鉄一輝に正々堂々挑戦し勝つこと。

それが生まれてから16年という俺の…御笠川月読(みかさがわつくよみ)の短い人生の中でも最大の目標であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破軍学園に入学して二回目の春、学園内は新しく就任する新宮寺理事長や、新学期より入学してくるヴァーミリオン皇国の第二皇女のことで春休みにも関わらず、騒がしい雰囲気がだよっていた。

 

(そんなことより、俺としては黒鉄が留年したということの方が驚きなんだがな。)

 

そんな学園の雰囲気の中、月読は一人訓練場のなかでトレーニングをしながらそんなことを考えていた。

 

一般家庭で生まれた月読は両親から度重なる虐待を受け、孤児院で育ったため、春休みも学園寮で寝泊まりし、授業のない時は一人鍛練を続けていた。

 

(黒鉄と俺立場は真逆だが境遇は似ている。そんな中で諦めた俺と諦めなかったアイツどれだけの差があるのだろう。)

 

月読はため息をつくと、休憩のために近くのベンチに腰掛け、そこに置いていたカバンからスポーツドリンクを取りだしタオルで汗をぬぐった。

 

「君は二年の御笠川か?」

 

気を抜いていたところに、突然かけられた声を聞き月読はベンチから慌てて立ち上がると声のした方に振り返った。

 

「すまない、驚かせるつもりはなかったんだが…私は新宮寺黒乃と言う者なんだが、偶然君がトレーニングをしているのが目に入ったので、声をかけたんだ。」

 

声をかけてきたのは話題の理事長だった。

 

「俺のような若輩者が話題の理事長先生に覚えていただいているとは、光栄です。」

 

月読は頭を下げると、自らの幸運に声を上げそうになるのを必死で押さえた。

 

新宮寺黒乃は能力こそ月読とは違うものの、同じ様なデバイスを使う伐刀者であり、元世界ランク3位の実力者だ。

 

そんな彼女がわざわざ声をかけてきたのだ、何か手解きを受けられるのではと月読は期待していた。

 

「君はこの学園では有名人だからな。印象深く覚えていただけさ。

Bランク騎士でありながら、去年の七星剣武祭への出場を落ちこぼれのFランク騎士が出られないなら、というふざけた理由で断った愚か者としてな。」

 

「理事長もそうお考えですか?」

 

月読はイラついた様に顔を反らすと、早口で聞いた。

 

(この人も同じか。今年もつまらない一年になりそうだ。)

 

「いや私は今の所はそう思わんがね。今年からは実力主義の選考方法に変更しようと考えている。お前の言う騎士が選考から落ちる様なことがあれば同じ様に考えるだろうな。」

 

「それだけはありませんよ、あの最弱の騎士が…黒鉄一輝がこの学園内程度の相手に遅れをとるはずがありませんから。」

 

(ほう、周りの評価に流されずに、黒鉄の強さをとらえるか。なかなか面白い男じゃないか御笠川月読。)

 

新宮寺黒乃は内心月読への評価を上昇させてこう言った。

 

「成る程君の考えはわかった。そんな君に一つ伝えておこう、30分後にその黒鉄と入ってきたばかりのAランク騎士、ステラ・ヴァーミリオンの模擬戦があるのだが見に来ないか?」

 

「観戦させてください‼」

 

月読は大きく返事をすると、すぐにカバンを持ち、黒乃に場所を聞くと、演習場に向けて走り出した。

 

今だ、1度も戦ったことのないライバルの闘いを見ることで頭が一杯になった月読は、自らがトレーニング中であり、服に大量の汗や汚れが付いていることなどすっかり忘れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

黒鉄一輝side

 

模擬戦の会場に一足早くついた黒鉄一輝は、念入りにストレッチをしながら対戦相手のステラが現れるのを待っていた。

 

一輝にとっては、不本意な成り行きでおこなうことになった模擬戦だったが、去年ほとんどまともな試合が出来なかっため、内心飛び上がりたくなるほど、喜んでいた。

 

久しぶりの試合で、しかも相手は世界一の魔力を持つと言われる強者である。強くなるためならどんな努力も惜しまない一輝にとっては、願ってもない試合だった。

 

 

(かなり理由はひどいけど、それでも楽しみだ。今の僕がAランクの騎士に対して、どこまでやれるか試すにはいい機会だ。)

 

そんなことを考えていた一輝は、何者かの視線を感じ、冷水をかけられたかの様にブルリ、と身体を震わせた。

 

(ステラさんが来たのか?。いや違う、この刺す様な闘気は観客席方から向けられている!)

 

一輝は警戒するように闘気の発せられている方に目を向けると、観客席の通路に、汗をダラダラと流し荒い息をしているジャージの男が立って、彼の方を観察するように見ていた。

(へ、変態だ…。)

 

男の様子を見て混乱していると、一輝の視線に気付いたのか、男はニンマリと獰猛な獣の様な笑みを浮かべ、さらに強く闘気をぶつけてきた。

 

(あれは…。 確か去年同じクラスだった御笠川君だっけ。落ち着いて良く見たら、ジャージに土がついてる。トレーニング中に模擬戦を見にきたのか…。変態なのかと思ったよ。

でも、去年七星剣武祭への出場を辞退するぐらいだから、闘いに興味なんてないと思ってたんだけどここに来るなんて。彼も、流石にAランク騎士のステラさんが気になるのか、いやでもそれならなんで僕に…)

 

まさか、自分が理由で月読が、七星剣武祭を辞退していたなどとは思い付かず、一輝は何故自分が見られているのかと考え込んでいた。

 

そんな一輝の思考はやって来た黒乃によって中断させられ、ステラとの模擬戦へと意識が切り替わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一輝の勝利で模擬戦は終わり、その後、一輝は一刀修羅の反動もあり寝込んでいたり、ステラとの寮生活についても、思いをはせていた。

 

そのため彼は、その日自分に闘気をぶつけてきた月読のことを思い出すことはなかった。

 

 




御笠川のデバイスや能力な次回以降明かしていこうと思います。基本僕の好きアニメキャラの能力を混ぜ込んだ様な感じにしようと思います。

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