機械人形は救済の夢を見る   作:御供のキツネ

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ジャッカスは自由。



ch-4 類は友を呼ぶ?

あの後、怒っていた7Sの機嫌がいつの間にか戻っていることをいぶかしみながらも、怒っているよりは良いか、と判断した2Bと9Sはどうしてそうなっているのか追求しなかった。

追求していればきっともう一悶着あったかもしれないが、今回はそのようなことは起こらなかった。

そして三人は武器屋と道具屋の依頼を達成したことをアネモネに報告する。

 

「あぁ、ありがとう。助かったよ。

 お礼と言っては何だけど、君たちが調査するのに丁度良いことを教えてあげよう」

 

「それ、砂漠地帯の機械生命体についてとか?」

 

「ん?知っていたのか?」

 

「少し前にジャッカスに話を聞いたんだよ」

 

アネモネが詳しく話始める前に7Sが口を挟む。どうやら7Sもそのことについて何か知っているらしい。

 

「砂漠地帯の機械生命体がどうかしたんですか?」

 

「最近数が増えてきてね。元々そうだったならそこまで気にならないんだけど急に増えたからどうにも気になって……というか、放って置くわけにはいかないけど戦力的に考えて君たちヨルハ部隊に任せた方が確実だと思ったんだ。

 どうだろう、お願い出来るかな?」

 

「わかった。7S、案内をお願い」

 

「了解。それと、そんなに精密な物じゃないけど砂漠地帯はマップを作ってあるから転送しておくよ」

 

「このマップだと、どれくらい広いのかと、高低差くらいしかわからない……」

 

「でも砂漠のマップですからこんな物になりますよね……こういう目印になるような物がない場所のマップ作りってやってみると本当に大変だからなぁ……」

 

2Bが見た砂漠地帯のマップは、広さと砂による高低差程度しかわからなかった。

しかしマップの作成をしたことのある9Sはその砂漠地帯のマップを作ることがどれだけ厄介か理解しているようで、その声には実感が籠っていた。

 

「砂漠なんてそんなもんだから仕方ないだろ。それにマップとバンカーから位置情報を送って貰えば砂漠でも迷わないんだから充分なんだよ」

 

何処か不満げに言った7Sだったが、すぐに切り替えてマップを展開し、説明を始める。

 

「廃墟都市から向かうと此処に出るから、左の崖に沿って歩けば油田に着くようになってる。其処は別のヨルハ部隊員がいるはずだから資源として利用する予定らしいぞ。

で、奥にあるこのエリアにオアシスがあって、一応ヨルハ部隊員が一人で其処を押さえてる。まぁ、行くことはないだろうから覚えなくて良いけど。

次に右に崖を沿って進むとマンモス団地に行ける」

 

「マンモス団地?」

 

「見てからのお楽しみ。ってわけじゃないけど、実物を見ながら説明した方がわかりやすいからその時に説明する。

 ポッドに聞けば教えてくれるけどそれじゃ面白くないしな」

 

説明を終えると7Sはマップを消して2Bと9Sに向き直る。

 

「大丈夫だと思うけど、戦闘の準備はしっかりとしとけよ。オレはスキャナーモデルの中でも戦闘力は低いから頼りにならないし」

 

「それって胸を張って言うことじゃないような気が……でも、スキャナーモデルの中でも更に特化型だから仕方ないですね……」

 

「大丈夫。7Sが頼りにならないのは知ってる」

 

「事実でもドストレートに言って良いことと悪いことがあるって知ってる?」

 

「2B……もう少しオブラートに包んであげた方が……」

 

遠慮のない言葉の刃で7Sの心をざっくりと斬りつけた2Bに対して7Sと9Sは少しばかり抗議の声を上げる。

だが2Bは特に気にした様子もなく本当に小さく笑って言った。

 

「嘘。本当は頼りにしてるよ、7S」

 

「そう、それなら良いか。オレも頼りにしてるよ、2B」

 

「うん、任せて」

 

旧知の仲だからこその軽口と、本心を知っているからこその軽い遣り取り。それでも其処には確かにお互いへの信頼が見て取れた。

口を挟まずに遣り取りを聞いていたアネモネは、2Bの姿を既知の誰かと重ねているようであったがそれに気づく者は誰もいない。

そして9Sはそうした二人の会話を聞いて何処となく疎外感を覚えてしまう。確かに2Bと7Sが旧知の間柄で自分の知らない絆があるのかもしれないが、今は三人でチームを組んでいるのだ。

今までのことは知らないまでも、これから先は三人で、ということを望んでいる9Sとしては面白くない。仲間外れにされているような気になってくる。

それに目聡く気づいた7Sは9Sの頭をぽんぽんと撫でて口を開いた。

 

「はいはい。拗ねない拗ねない。別に9Sを仲間外れにしてるとか、そういうことじゃないだからさ」

 

「9S……ごめんなさい。そんなつもりはなかったんだけど……」

 

「え、いえ!別に拗ねてるとか、そういうことはなくてですね……というか7Sは頭を撫でないでください!それとゴーグル越しにでも生暖かい目をしてそうなのは僕にだってわかりますよ!?」

 

そうした三人の様子を見ていたアネモネは、懐古の感情が浮かぶ。自分も、昔はこうして仲間たちと一緒に騒いだりもしたものだと。

だからこそ思う。どうかこの三人は、自分のようにはならないで欲しいと。

 

「はいはい。楽しそうなのは何よりだが、依頼の方をよろしく頼むぞ。

 砂漠に居る私たちの仲間には連絡をしておく。くれぐれも気をつけてくれ」

 

「ん、了解。それじゃ行きますか、二人とも」

 

「うん。機械生命体と戦うことになるから二人とも無理はしないようにね」

 

「わかってますよ。それに2Bが敵の気を引いてくれれば僕と7Sでハッキングをしかけられますから、援護は任せてください」

 

そう言われて三人は互いに言葉を掛け合い、キャンプから出て行く。

アネモネがそれを見送りながらヨルハにしては随分と感情が豊かな三人だな、と小さく笑っていた。

もしかするとあの三人なら自分のようにはならずに、良い関係を続けていくことが出来るだろうと、少し羨みながら。

 

 

 

 

砂漠地帯へと進む道を歩きながら7Sはコンソールを展開して何やら行っていた。

それを見た9Sが後ろからこっそりと何をしているのかと覗いてみると、それに気づいた7Sがさっとコンソールを閉じてしまった。

 

「9S、人がやってることが気になってもそうやってこっそり覗き見するなんて良くないぞ」

 

「7Sが何をしているのかちょっと気になって……それで、何をしていたんですか?」

 

「別に……画像と映像データの整理を少ししてただけ」

 

「へぇ……7Sがどんなデータを持ってるのか気になりますね……2Bも気になりません?」

 

「……そういえば7S、キャンプについた時と、話をした後にポッドを掲げていたよね」

 

「それがどうかした?」

 

「画像データと映像データ、確認させてもらうよ」

 

「絶対に嫌。これはオレの大切な思い出兼宝物なんでね」

 

言うが早いか、7Sは逃走を開始した。

 

「9S、追うよ」

 

「え、ちょっと待ってくださいよ!」

 

2Bにはそのデータが何なのかわかったようで、何としても7Sを捕まえてデータを消させようと9Sに声を掛けてから追いかけ始めた。

戦闘モデルであることや足の長さの関係なのか、先に走り始めた7Sよりも早くどんどんと距離を縮めていく。

大変なのは9Sで、急に走り始めた二人に置いていかれる形になってしまい、慌てて後を追う。大体7Sと9Sが同じ速さで走っているので簡単に追いつけはしないが、それよりも先に2Bが7Sを捕まえるだろう。

そうなればすぐに追いつけるはず。そう思って9Sは2Bほど本気にはなっていなかった。

その予想は正しく、見失いそうになっていた2Bの姿を見つける頃には7Sが2Bによって捕まり、刀を向けられているところだった。

 

「って、何をしているんですか2B!」

 

思っていたのは7Sを捕まえているだろうな、くらいだったが実際にしていたのは捕まえた上で刀を向けるという過激な行動だった。

何故2Bがそんな行動に出ているのか9Sにはわからなかったがとりあえず2Bを止めることにして言葉を続ける。

 

「確かに7Sは問題のある行動ばかりしますが、僕たちは三人で任務に当たるように言われているんですよ!だから一旦落ち着いてください、2B!」

 

「大丈夫、私は落ち着いている。ただ、より確実に7Sの持っているデータを回収するにはこうするのが一番だから」

 

「2Bがこんな風に言うって、どんなデータを持ってたんですか!?」

 

「普通のデータ。2Bはきっと何か可笑しな勘違いをしているんだそうに違いない」

 

「7Sがそう言う時は大抵同じようなデータを持っていたのを覚えている」

 

「……あ、もうすぐ砂漠地帯だ。アネモネの言ってた仲間ってのに話をしないと」

 

「…………はぁ……今は任務を優先するけど、後で話がある」

 

「はいはい。2Bもきっと欲しがるデータあげるからお手柔らかに頼むよ」

 

「そのデータって?」

 

「2Bにだけ見せるとして……」

 

完全に9Sを置いてけぼりにして二人で話をし、7Sの持っているデータの一つを確認する2Bだが、確認し終えると7Sと固く握手をしていたので本当に2Bの欲しがるようなデータだったのだろう。

それが何かまったくわからない9Sとしてはまた仲間外れにされた。と一瞬思ったが、7Sからデータが送られてきたことに気づいて意識をそちらに向けた。

何のデータが送られてきたのかと思い確認すると、9Sは一瞬しか見ることの出来なかった少し顔を赤くした2Bの画像データだった。

それを見て固まったように動きを止めた9Sに視線を向けてから、何事もなかったかのように7Sは先頭を歩き始めた。

 

「思い出は大切にしましょう。ってことでこのデータは大切にしないといけないんだよ」

 

「うん、もらったら大切にする」

 

「そ、そうですね……思い出なら、大切にしないといけませんよね……」

 

2Bにどんなデータが送られるのかはわからないが、とりあえず9Sは7Sから送られてきたそのデータを厳重に保護をして個人サーバーに保存しておくことを心に決めた。

というよりもこっそりとポッドに指示を出して個人サーバーに保存させていた。

なるほど、確かにこれは2Bもあんな風に7Sを捕まえるはずだ。と思いながらも、とても良い物を貰ったと大変ご満悦な9Sが居たが、最後尾であったために2Bには気づかれていなかった。

そしてそんな状態だからこそ、その様子に気づいていた7Sがポッドを9Sへと向けていたことに気が付かなかった。

 

そうしてじゃれあいながら廃墟都市を進み、砂漠地帯への変わり目に張られたテントを見つけた。

それは左右に設置されており、左のテントにはアクセスポイントがあり、右のテントにはアネモネが言っていたであろうレジスタンスが一人立っている。

話を聞いてみると砂漠地帯の入り口には機械生命体がやってこないようにバリケードを張っているので、その近くにもう一人レジスタンスがいるのでそのレジスタンスにバリケードを開けてもらうように、とのことだった。

教えてもらったことに礼を言って三人は進むが、地面はアスファルトから砂に変わり、少しだけ歩き難くなっている。

特に2Bは7Sと9Sのようなブーツではなく、ヒールを履いているので余計歩き難いように思われた。

だが流石戦闘モデルと言うべきか、その砂の上で幾らか動きを確認するように刀を振るなりして、すぐに何時もと変わらない動きが出来るように調整中していた。

それを見た7Sが思い出したように大きな白い刀を取り出した。

 

「そういえば渡すのを忘れてたけど、はいこれ」

 

「これは……」

 

「工場跡地で拾ってきた2Bの武器。時間はあったから回収してたんだけど、そのこと自体忘れてたわ」

 

「何で忘れてるんですか……でも、良かったですね、2B」

 

「……整備されてる?」

 

「あれだけの爆発の中心にあったわけだし、拾った後に念のためにやるだけやっておいた。すぐに使えるようにしてあるから安心してくれよな」

 

「そう……ありがとう、7S」

 

「良いって良いって。2Bは戦闘の要になるから戦力の増強になれば何よりだし、どうせ指令部から落ちてるから取って来いくらい言われたと思うしさ」

 

「7Sって、普段が普段でなければ本当に頼りになりますよね……」

 

武器の回収と整備を行ってくれていた7Sに感謝の言葉を伝える2B。そしてついつい思ったことが洩れてしまった9S。

その言葉を聞いて2Bが頷いているのを見て、7Sはため息を零した。

 

「寧ろこれくらいは出来ないと確実に指令部から色々言われるんだよなぁ……」

 

「とっくに言われてる。司令官が黙認してるから対したことはないけど、それでもバンカーで7Sの話題になると色々出てくるから」

 

「11Oからそのことは聞いてる。余計なことも色々言われてるけど……」

 

その時のことを思い出したのか7Sが嫌そうに言った。

一体何を言われたのか気になる9Sではあるが、聞いても良いのか悩んでしまう。

これほど嫌そうにするということは、7Sにとって言われたくないことを沢山言われたのかもしれない。それを思い出させると思うと、聞き出せない。

そんな9Sを見て、ちゃんと気遣いが出来るとかやっぱり良い子だな。というズレたことを考えた7Sはなんてことはないように話し始めた。

 

「別に悪口とかの類じゃなくて、11Oが完全に姉モードに入ったせいで面倒なことになったって程度だから」

 

「11O……あぁ、6Oと同じくらい感情的な……」

 

「えっと……11Oといえば……オペレーターさんが隣に居るオペレーターの姉馬鹿に辟易としてる、とかって聞いたような……」

 

「それ。その11O。心配してくれてるとかはわかるんだけど、自分から任務中はちゃんとオペレーターとして仕事をする。ってのを平気で破って姉モードに入るから困ってるんだよ……」

 

「姉モードって……」

 

「……前からそうだけど、大変そう……」

 

「本当に大変だよ……いや、こんな話は良いんだ。それよりも進もう。連絡が入ってるってことはあまり待たせても悪いしさ」

 

「それもそうですね」

 

「なら行こう。私は準備出来たから」

 

「一番準備が出来て欲しい2Bが大丈夫なら問題ないな。よし、行こう」

 

そう締めくくってから歩き始めた7Sの隣に並んで二人も歩く。

そして廃墟都市と砂漠地帯を繋ぐ崖に囲まれたエリアを歩いていると突然ポッドが通信を開いた。

三人が何事かと身構えたが、その通信から聞こえてきたのは月の人類会議からの一方的な通信であった。

 

「……なんだ、これか。ポッド通信切って」

 

「了解。内容に関してはアクセスポイントからメールで確認が可能」

 

「切って良かったの?」

 

「良いんだよ。どうせ同じようなことしか言わないし、内容だって薄っぺらい。聞くだけ時間の無駄」

 

「うわぁ……僕もあまり興味ありませんけど、7Sは言い切りましたね……」

 

「無駄な物は無駄なんだから仕方ないだろ。大体人類会議なんて……」

 

「……人類会議なんて?」

 

「いや、オレたちにはほとんど関係無いよな、って話」

 

喋りすぎた。とでも言うように言葉を切った7Sに続きを促した9Sであったが返って来たのはそんな言葉だった。

それが本心のようにも思えるし、別の何かを隠しているようにも思えた9Sであったが、こういった場合の7Sは何も喋らないことを知っているので大人しく引き下がることにした。

ただ、そうした7Sの様子を見ていた2Bには何か他人には知られてはならないことを知っているような気がしてならなかった。だからと言って無理やり聞き出そうにも7Sが口を割るとは思えない。

いつかこのことについて聞き出さなければならないと思いながらも、2Bは特に行動を起こすことなく静かに二人を見守っていた。

 

「っと、そろそろバリケードが見えてくるけど……思ったよりも厳重に塞がれてるな……」

 

「あ、本当だ……でもあれを開けてもらうんですよね?どうやって開けるんでしょう」

 

「何か道具を使うとは思うけど……」

 

「どうせジャッカスのことだからやることは一つ。ってのはわかってるから二人とも、こっちについてきて」

 

言いながら近くの崖を跳んで昇る7S。その後ろを付いて進むと一人のレジスタンスが立っていた。

 

「ジャッカス、話は聞いてるよな」

 

「勿論。砂漠の機械生命体をどうにかしてくれるんだろう?」

 

「はい、私たちが片付けます」

 

「それと調査も忘れないようにしないといけませんね。それで、あのバリケードはどうやって開くんですか?」

 

「それは簡単。ヒントは私が此処で待ってた理由」

 

バリケードから離れた崖にいる理由とは何か、2Bと9Sが律儀にも考えようとした瞬間。

爆発と共にバリケードの一部が吹き飛び、煙と砂埃が納まる頃には砂漠地帯へのを塞いでいたバリケードには無残にも穴が開いていた。

 

「巻き込まれたら危ないよね」

 

「こんなことだろうと思った。というかジャッカスなら間違いなく爆破すると思ってた」

 

「期待に応えられたようで何より。さて、ではヨルハ部隊の諸君、頑張ってきてくれたまえ!」

 

爆破すると思った。そう言われたジャッカスは胸を張って期待に応えられて良かったと言う。

その様子を見て9Sは若干引きながら言った。

 

「ば、バリケードを爆破して開けるなんて……乱暴な人ですね……」

 

「ん?いやいや、爆破した方が早いだろう?それにもしバリケードの後ろに機械生命体が居たらどうするんだ。

 爆破しておけばバリケードは開いて、機械生命体が潜んでいても吹き飛ばせる。うん、実に合理的だね」

 

「ジャッカスは爆破しておけば何でも済むと思ってる節があるから言うだけ意味無いぞ」

 

疲れたように7Sが言うが、どうやらジャッカスとはそれなりの付き合いがあるらしい。

確かにお互いに気さくに話をしているのでそれならば納得だが、何故こうも7Sと仲が良いというか、付き合いのある人や機械生命体は妙なのが多いのだろうか。

一瞬そんなことを考えた9Sであったが、そんなことを考えていると2Bのように7Sに何か言われると思い、その考えを途中でやめた。

それにその考えの通りなら自分と2Bも妙な人の仲間入りにさせられてしまう。

 

「そんなことはないさ。ただ爆破するのが一番早いと思ってるだけのことだよ。

 というわけで……私謹製の爆弾を7Sにあげるから、適当に使ってみてくれないかい?出来れば威力とかそこらへんのデータも取ってきてくれると助かるんだけど」

 

「ジャッカス謹製……兵器クラスってことはないよな?」

 

「ないない!いくら私でもそんなものは作れないさ!…………たぶん」

 

「すっごい不安。けど砂漠なら周囲の被害は考えなくても大丈夫か」

 

「そうそう!あ、範囲に関してはそこまで広くないから気をつけて。威力重視の爆弾だからね」

 

「やっぱり不安だわ……」

 

本当に、こんな妙な人と同類とされるのは勘弁だ。

2Bも同じことを考えているのか、若干ではあるが二人から距離を取っている。

確かに目の前でこんな話をされては距離を取りたくなるのも納得である。現に9Sも少しずつ距離を取っているのだから。

 

「それじゃ、頼んだよ。あ、バリケードは塞がないから戻ってくるときのことは心配しないで大丈夫だから」

 

「わかった。2B、9S、行こっか」

 

「……爆弾を使うときは先に言って欲しい」

 

「僕も……巻き込まれたくはないので……」

 

「大丈夫、ジャッカスの爆弾って時点で警戒するから。使うときは事前に言うし、充分に離れるから心配するなって」

 

未だに引き気味な二人にそう言われて、苦笑気味に答えた7Sはジャッカスの居る崖から飛び降りてバリケードへと向けて歩き始めた。

その後ろに続く二人は少しだけジャッカスに頭を下げてから同じく飛び降りる。

歩く早さを落としていた7Sにすぐに追いつくと三人並んでバリケードがどうこう、爆弾がどうこう、ジャッカスがどうこうと話をしながらバリケードの奥へと消えていく。

そんな三人を見送ったジャッカスは足元の荷物を片付けていると、ふと荷物の中にあった7Sに渡した物に似た爆弾を見つけると、それを太陽に透かすように持ち上げて呟いた。

 

「……7Sに渡す爆弾、間違えたな。いや、まぁ……彼なら大丈夫か」

 

楽観的な判断をして、すぐに追えば追いつくだろうにそんなことはせず、全ての荷物を持ってから崖を飛び降り、先に7Sたちが話をしたレジスタンスのいるテントへと戻って行った。




とりあえず爆破。ジャッカスって本当は強いんじゃないんですかね。
そして妙なアンドロイド同士仲良し。類友である。

この更新速度は投稿初期特有の速度であり、適当な時期で遅くなります。

確認:9S、7Sより2Bの方が背が高い(ヒール含む)

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