「どうして、鐘の音が?…」
少女は困惑している。
どうやらこの鐘の音は少女と宗次郎さんによると国家の危機を知らせるものらしい。
「最近、魔獣共の匂いが強まっていた。侵略を決行したのだろうな。」
宗次郎さんは冷静に判断する。
確かに一ヶ月程度前、俺が剣技魔法を取得した時宗次郎さんは魔獣の匂いが強まっていると言っていたような…。
「若き諸君、そなたは立派な転生者となるまでに成長した。この鐘の音は国家の危機を知らせると共に、転生者を集合させる合図でもある。行ってこい、転生者。」
「宗次郎…分かりました。では、何処に行けばいいのですか?」
俺はこの国の首都が何処にあるのか理解していない。
「…如月、行ってきなさい。」
宗次郎さんは如月に俺について行くように命じる。
「…分かったわ。行くわよ、転生者。」
俺は少女と共に宿屋を出ようとした。
「待て、若き転生者君。これを持っていけ。」
宗次郎さんは俺に剣を投げ渡した。
「…これは?」
「我々琴堂一族に伝わる極氷剣だ。そちらのら漆黒剣とうまく使い分けろ。」
宗次郎さんはそう言いながら、宿屋の方向へ歩き出す。
「ありがとうございます!」
「さあ、転生者、行くわよ。」
少女が走り出す。
「ああ、分かってるぜ!」
俺は少女と共に走り出した。
しばらく森の中を走っていた。
「…魔獣の匂いが強まって来たわ。それも一体じゃない、気を抜かないで…」
「ああ。分かってるさ!」
俺は走りながら漆黒剣を抜く。
約一ヶ月の修行によって体力も付いたようだ。
「さあ、来るわよ!」
少女が言った瞬間、前方から魔獣が五匹程度現れる。
「漆黒の軌跡!」
俺は叫びながら漆黒剣で魔獣共を蹴散らして行く。
「神聖連撃!」
少女はそう唱えながら魔獣を切り裂いていく。
二人の技によって魔獣達は瞬時に倒れた。
「スピード上げていくわよ!」
「ああ、分かってるぜ!」
そう言って二人は更にスピードを早めていく。
「そう言えば、質問があるのだが良いか?」
「何かしら…」
「さっきの決闘で「魔法」と言っていたが、何なんだ?」
俺は先程の決闘において、少女が「魔法」とやらを使ったので質問する。
「…あまり話したくないのだけれど…。私の故郷では魔法が習慣であり、学びであった。つまる所、私の故郷でのみ取得できるという意味だ。扱うのは簡単では無い。数年の時を掛けて取得するものだ。」
「そうか…話してくれてありがとうな。」
何故少女は自分の故郷の話を避けるのか?疑問に思ったが無視して先に進む事を考える。
しばらく走り続けるが、次第に疲れてくる。
「なぁ…瞬間移動系の魔法は無いのか?」
「…あるわ。」
「はぁぁぁぁぁ?最初からそれを出せよ!」
「そうしたら、修行にならないでしょ?走っていくのよ。」
…まあ、確かに瞬間移動しては体力がつかない。
「…ちなみに、どれぐらいかかる?」
「約一ヶ月ってところね。」
…今、こいつなんて言った?
「もう1回言ってくれ。」
「はぁ?だから、約一ヶ月程度。」
「魔法を使えぇぇぇぇぇ!」
俺の絶叫が森中に響き渡った。
旅はまだまだ続きそうだ。
どうだったでしょうか?
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