「世界を救ってくれるかしら?」
「ああ、救ってやる。」
俺は決意した。世界を救い、元の世界に帰ると。
「そういうと思ったわ。私のおじさんの宿屋に紹介してあげるわ。寝床が無いでしょ?」
少女はそう言った。
確かに、寝床が無い。少しの間滞在すれくらいなら良いだろう。
「ああ、頼む。」
俺は少し滞在する事を伝えた。しかし、本当に少女と宿屋に滞在する事は良いだろうか?と疑問があったが、少女の一言によってすべて消し飛んだ。
「…危ない。魔獣の匂いがするわ。隠れるわよ。」
少女の目付きが鋭くなる。
俺は少女と共に岩陰に隠れた。
魔獣?そんな者がいるのか。にわかには信じ難いが。
「魔獣?それは何だ。」
「魔獣とはこの世界が危機に瀕している理由の一つよ。魔界の総括の魔神の命令によって人類界は攻撃を受けているの。だから、反抗しているのだけどどうも私達の戦力では足りない。だから、転生者を呼ぶのよ。」
とんだ迷惑だな。と俺は思ったが口には出さない事にした。
「…危険だわ。魔獣がこちらに気づいた。…仕方ない。転生者。これを使って身を守るのよ。」
そういって少女は俺に剣を渡す。真っ黒な漆黒の剣だ。
「…闘うのか?」
「当たり前でしょ?魔獣を倒さないと。」
「俺が闘う。」
俺だって少しくらい体力はあるし運動だって少しはできる。なんせ、俺が所属していた部活は剣道部だ。
「…いいわよ。貴方の実力を見るためにもね。」
俺は岩陰から顔を出す。すると、そこには邪悪なるオーラを纏った魔獣と呼ばれる獣が居た。
「あれが魔獣よ。危険だと感じたら私が援助に入るから。」
「ああ、分かった。」
そう言って、俺は魔獣に向き合う。
緊張感が走るが、いつもの部活の試合を思い出し、頭の中でシュミレーションする。走って魔獣の攻撃を防御し、十字型に切り刻み、倒す。
「…行くぞ、魔獣」
そう言って俺は地を駆けた。それと同時に魔獣も駆けだす。
俺は魔獣の噛みつき攻撃を剣で防御する。
「…くっ、中々力強いじゃないか…。」
そう言って剣を強く握り直し、構える。
素早く剣を横に振り、魔獣に叩き付ける。すると、魔獣は叫び声を上げる。
それに俺は構わず剣を強く縦向きに振る。
「十字斬り!(クロス・スラッシュ)」
俺は昔やったゲームの攻撃名を思い出し、口に出す。
魔獣は十字に切り裂け、動かなくなった。
「…あなた、中々やるじゃない。その剣が貴方と共鳴しているように見えたわ。」
少女は感動したように言った。
「ああ、中々手応えがあった。この剣、しっくりくるな…」
そう言って俺は剣で素振りをする。
「…剣を無闇に振るのはやめて頂戴。危険だから。手が滑って私にぶつかったらどうするの?」
…俺は何をしているんだ。少女の言う通りだ。
「すまない。」
そう言って俺は剣を再び鞘にしまう。
「…決めた。その剣、貴方に預けるわ。この世界を救ったら私に返して頂戴。剣も貴方を所有者として認めてるっぽいしね。約束よ。」
少女は俺に剣を預けると言った。確かにこの剣はしっくりくる。剣よこれから宜しく頼む。
「ああ、ありがとう」
俺は御礼の言葉を挙げる。
「…さあ、宿屋はもう少しよ。」
「ああ、先を急ごう。」
そして、旅はまだ続くのであった。
今回もどうだったでしょうか?
アドバイス等お願いします
次回も見てねー