久しぶりの休日である。
というのも、書類や学校の掃除などで休みがなかった。
まぁもう1つあるがそれはいまはいいだろう。
だから今日は自分のご褒美として甘いものを食べに向かっているところである。
特別甘党というわけではないが頭を使うときは糖分がほしくなる。
普段は飴玉をよく舐めているがやはり「食べる」ということをしたいのだ。
さてどこに向かおうか?
洋菓子店もいいけど和菓子店も捨てがたい。
両方という手はあるがそこまで食べると胃が受け付けなくなる。
だからキッチリとどちらにするか決めないと……
「あっ、黒田先輩ー!!」
「うん?おお、笹川妹君」
「こんにちは。お買い物ですか?」
「そんなところだ。それでそちらは?」
京子の隣にいる人物は知っている。
知っているがその者の名前を言うわけにはいかない。
何故ならその者は並盛中ではないのだ。
そう、その子は京子の親友である
「初めまして!三浦 ハルです!!」
「初めまして。黒田 光明です」
「はひ!もしかして京子ちゃんが言っていたパーフェクトヒューマンな人ですか!?」
「いや、別にそんなことはないけど……」
「でも京子ちゃんがいうように大人漂うフェロモンを感じますので間違いです!!」
いやどんなフェロモンなの?
というか分かるの大人漂うフェロモンって?
まぁ、京子と同じように天然が入っていたけど…
「あ、ありがとう……
それで君達は買い物かい?」
「そうなんです!!
これから京子ちゃんが見つけたスイーツ巡りに行くんです‼」
「1ヶ月に一回、好きなだけ食べていい日なんです!!」
「楽しそうだね。僕も今日は甘いものを食べようと歩いていたんだ」
「そうなんですか。あっ、それなら一緒にいきませんか!!」
「いいのかい?せっかくの女の子二人のスイーツ巡りが……」
「はい!!スイーツ好きに男女の境界はありません!!!」
いままでヒロインと接点がなかったなー
この二人はあのツナの隣に寄り添う存在である。
マンガを読んでいたときは二人とも好きだったから無意識にさせていたのかなー
でもこの前京子と合ったときは普通に接したし、今も問題なく先輩後輩の関係しか思えない。
向こうも少なくともツナ>僕だろうから問題ないだろう。
「それじゃお世話になろうかな。
今日は洋菓子か和菓子で悩んでいたから君達のオススメを教えてくれないか?」
「それならいまオススメのスイーツがあるんですよ!!」
「あそこにいくんだねハルちゃん!」
「はい、早速行きましょう!!!」
元気一杯だなー
…………………………
「これですよ、これ!!
最近噂になっているプリンです!!」
「美味しそうだね!」
「これは確かに……」
見ただけで美味しそうだと感じるこのプリンはどう表現したらいいか分からないが直感でそう分かるのだから仕方ない。
強いていうなら黄金に光るプリンの層の上に生クリームがキレイに添えてあり、容器のそこには苦味を含むカラメルがある。
ごくごく一般的だと思われるがこれを間近でみると分かる。
これはただのプリンではないと!!
「これはいいものを教えてもらいました。
食べなくても分かります、美味しいと。
いや、食べますけどもう分かるぐらい美味しそうだと」
「黒田先輩も甘いの大好きなんですね!」
「自分でもビックリです。
こんなに喋るなんて思ってませんでした」
「ここで買って食べませんか!!?」
その提案に乗ってプリンを買うことに。
ついでにショートケーキ、モンブラン、シュークリームを人数分買った。もちろん奢りである。
このお店にはテーブル席があるのでそこでさっき買ったデザートをテーブルの真ん中に置いた。
「ありがとうございます黒田先輩」
「ありがとうございます」
「こちらこそ、こんないいお店を教えて貰ったお礼だよ」
トレーの中にはさっき買ったばかりのスイーツがある。
それはもう今すぐにでも飛び付き食べたい。
しかしそこはグッと抑えておく。
「試食という形でこの四つを分けて食べましょうか」
「ブラボーな提案です!!」
「私が取り分けますね」
という事で京子がキレイに3等分に分けて貰いまずはショートケーキから
「これは美味しい」
「おいしいー!!」
「ハッピーです!!」
ショートケーキはあっという間に終わり、次にモンブラン、シュークリームと次から次へと完食していく。
そして最後のメインであるプリンを食べると
「……今度からプリンはここだな……」
「気に入ってもらって良かったです!」
「また三人一緒にいきましょう!」
「あぁ、そうだね」
こうやってスイーツ好きが集まるのは良いことだ。
そんな幸せを感じていると
「あら、京子ちゃんにハルちゃん」
「あっ、おばさん!ハローです!!」
まさかこんなところで会うなんてな…
「黒田さん、こちらはツナさんのお母さんなんです」
「あぁ沢田君の。初めまして黒田 光明です」
「黒田先輩は生徒会長なんです。
良く学校を掃除してるんですよ」
「立派ね~。ツッ君にも見習ってほしいわ~」
マンガ通りホワホワした人だなーと思っていると、突然両手をパッチンと叩いて何かを閃いた表情をした。
「そうだ!!新しい紅茶の葉を買ったの。
よかったら皆さん、家にどうかしら?」