「二週間前に大罪を犯した凶悪なマフィアばかりを収容している監獄で、脱獄事件が起きたんだ」
あれから獄寺君と山本を部屋に呼んで今回の出来事について話した。
そしてリボーンからまさかのマフィア関係の話になるなんて……
「ちょっ、ちょっと待ってよリボーン!!?
さっきの人がマフィアの一人だって言うのか!!」
「そうじゃなきゃ、了平があそこまでやられねぇぞ」
「そ、それは……」
「ちなみにあと二人いるからな」
「あんなおっかない人があと二人も!!!」
イヤだ!!
本当に関わりたくない!!!
あんな危ない目にあったのにこれ以上関わりたくない!!!
「大丈夫っすよ10代目!!
さっきのやつみたいにぶっ倒してやりますよ!!」
(なんでやる気出してるの獄寺君!!!)
「俺もいくぜ。
学校対抗マフィアごっこなんて面白そうだな!!」
(遊びだと思っているの山本!!!)
まずい!!このままだとマフィアのことに関わってしまう!!
「お、俺は宿題をやらないといけないから、い、いけないな~」
「心配するなツナ。
帰ってきたらネッチョリとしごいてやる」
「行くの決定かよ!!
ってか、ネッチョリはイヤだ!!!」
「文句ばっかり言ってるが、イヤでもやらねぇーといけねぇんだぞ」
「はぁ!?」
するとリボーンが懐から手紙を取り出した。
「初めてお前宛に九代目から手紙がきたぞ」
「な━━━!
九代目だって!!」
「九代目からですか!!?」
「読むぞ」
『親愛なるボンゴレ10代目。
君の成長ぶりはそこにいる家庭教師からきいているよ。
さて、君も歴代ボスがしてきたように次のステップを踏み出すときがきたようだ。
君にボンゴレの最高責任者として指令を言い渡す。
12時間以内に六道骸以下脱獄囚を捕獲、そして捕らえられた人質を救出せよ。
幸運を祈る、九代目』
「ちょっ、何だよこれ━━━!!」
「追伸、成功した暁にはトマト100年分を送ろう」
「いらねーよ!!」
「ちなみに断った場合は裏切りとみなし、ぶっ殺……」
「わ━━━っ、わ━━━っ!!
きこえない、きこえない━━━━!!!!!」
そんなの絶対に関わりたくない!!!!
「き、九代目からの直接の指令……頑張ってぶっ殺しましょう10代目!!!!」
「なんでさらにやる気になってるの!!?」
「本格的だなー
でもトマト100年分ってどれくらいなんだろうな?」
「気にするところそこなの━!!?」
だ、ダメだ……二人ともやる気になってる……
「そ、そうだ!!
さっきの人に頼めばいいんだ!!!」
「なんだ、さっきの人って??」
「山本とリボーンは見てないけど、獄寺君がやられそうになった時に突然現れた全身真っ黒な人なんだけど……確か"S"って言ってた」
すると普段は狼狽えないリボーンが表情を変えた。
それは僅かで、獄寺君も山本も気づいていないみたいだけど……
「なんか知っているのリボーン?
そういえば獄寺君も知っているみたいだったけど……」
「マフィアの世界では有名な"壊し屋"です」
「こ、壊し屋!!?」
「現れたら最後、肉体的にも精神的にも壊していき、二度と元に戻ることのない
「ひひぃー!!!
そんなおっかない人だったの!!!」
で、でも、その人なら脱獄囚を簡単に捕まえられるんじゃ……
「言っておくが"S"の手助けは期待するなよ」
「な、なんでだよ!!?」
「"S"はボンゴレファミリアとは少し外れていてな。
自由気のまま、というよりもまるで光のように当たり前に傍にいるが、影のようにどこまでも傍にいるのに捕らえられない。
要は、連絡のしようがない」
「そ、そんなー!!!」
そこでポケットに入っていた携帯を思い出した。
「そ、そうだ!!
携帯、携帯から"S"に連絡をいれればいいじゃ!!」
「無駄だぞ。
その携帯は半径二メートルに対象の携帯がないと通じねえ、ボンゴレ最新式の携帯なんだぞ」
「絶対にそれ悪くなっているよー!!!!!」
…………………………
そのあと準備をするためだということで解散することになったけど、
「本当に連絡手段ないのかよリボーン」
「やたら聞いてくるな。
"S"は必要以上に仕事をしねえからな、定期的にボンゴレのアジトにきて仕事を受けるだけだ。
まぁ、手段ないことはないが……」
「本当か!!?」
「だが、それを教えるほど俺は甘くはねえ。
こいつは最終手段だ、それに確実にくるとは限らねぇからな」
「そ、そんな……」
本当に今から行くのかよ……
平和な日常が…いや、リボーンが来てから大変なことばかりだよな……
「それと俺は参加出来ねぇからな」
「は、はぁ!!!?」
「これはツナに直接の指令だからな。
俺は死ぬ気弾を打つ以外は参加出来ねぇ掟なんだ」
「最悪の掟だなー!!!!」
リボーンがいればなんとかなると思ってたのに!!
リボーンも"S"もいない状態で本当大丈夫なのか!!
「うん?
そういえば獄寺君が言っていた"反殺し屋"ってなんなんだ?」
「そのままの意味だ。
殺しをやらねえ、だから"反"殺し屋」
「それって……殺し屋なのか?」
「言っておくが今まで誰一人殺さずに敵を全滅するなんて生半可なものじゃ出来ねぇ。
ある意味殺すよりも難しいことをしているわけだ」
「それって……リボーンよりも強いのか?」
「………さぁ、な。
俺に言わせれば殺すことも出来ねぇへなちょこに負ける気はしねぇがな」
それでも
あのリボーンが、あやふやに終わらせるなんて…
……"S"って、一体何者なんだろう……
…………………………
「いよいよだな!!
茶と寿司、差し入れな」
(行楽気分だ━━━━!!)
準備をするとはいっていたけど、まだマフィアごっこだと思っているの!?
「ケンカを売っているの、山本 武。
私の弁当へのケチかしら」
「え…じゃあ両方どーすか?」
(なんか張り合ってる━━!!)
いま戦力として少しでも欲しかったから、断れ覚悟でビアンキに話したけど「リボーンがいくなら行くわ」と意外と簡単に説得できた。
リボーンも特に何も言わなかったから問題ないのだろう。
「こういうちょっとしたスパイスが、更に私の弁当を美味しくさせるの。
いい??リボーンの弁当は渡さないわよ」
(こっちも行楽気分だった━━━!!)
山本よりも事情を理解しているようだけど、分かっていて遊びに行く気になっているなんて…山本よりも質が悪い。
「獄寺君、遅いねー」
「あぁ、獄寺なら外で待ってるぞ」
「えっ?」
部屋から外を、玄関先を見てみるとそこには隠れるように獄寺がいた。
(ビアンキを警戒して怪しい人になってるー!!)
これ、戦力としてダウンしてないよね?
獄寺君はビアンキの顔を直接見なければ大丈夫だって言ってたから、どうにかお願いしてゴーグルを着けてもらった。
というよりもリボーンの一言で「着けていた方が似合うぞ」の一言で、「着けるわ」と掌を返すように着けてくれた。
「よし、そろったな」
玄関先を出て、俺、獄寺君、山本、ビアンキ、そしてリボーン。
一人じゃ心細かったけどみんながいれば……きっと大丈夫だよね!