"S"という名が広がることになったキッカケを話そうと思う。
ボンゴレに名前だけでもと入ることになった僕はそれからもあの二人を助けるために情報を探していた。
そして実感できた、「ボンゴレ」という名を手に入れただけでかなり仕事がしやくすなった。
「壊し屋」と呼ばれた仕事をする必要が減ったのだ。
それだけ「ボンゴレ」という名は影響があるのだろう。
とはいっても年中情報を探せるわけがない。
長期休みに決まって家族が息子を置いて勝手に旅行に行くので、まぁ自由に動けるのでいいのだが親としてそれはどうなんだろうと考えることはあったなー。
とにかく長期休みでイタリアに来ていた時の話をすることにする。
…………………………
「…………………」
「なぁ??
どうだろうか、やってみないか?」
目の前に出された資料はとあるマフィアの情報。
そしてそのマフィアは最近不穏な動きを見せている。
調査をして報告してくれないかと簡単な仕事。
だけどなら何故僕に、「壊し屋」に依頼する必要があるのか?
そこが分からないと首を縦に振ることは出来ない。
ホワイトボードにスラスラと文字を書き、目の前にいる親方(後で分かったけどツナお父さん)に見せた。
『何故僕にこんな依頼を?
他にも適任者はいるはずだが…』
「そうなんだがな……
今回は俺からというか、あるやつからの頼みなんだ。
どうやらお前と一緒に仕事をみたいと言ってきてな」
なるほど。
それなら理由は分かる。
しかし僕と仕事をして何になるというのか……
『理由は分かった。
だが、僕と仕事して得るものなんてないぞ』
「いいじゃねぇか!!
滅多に仕事しねんだからよ、聞いてくれよ!」
それを言われると痛いが、僕は名前しか借りていないのだからボンゴレの仕事をやる必要はない。
だけどこの仕事で恩を売れるなら悪い条件ではないかもしれない。
『分かった、いいだろう』
「おお、そうか!!
なら早速今回"S"の相棒となるやつを紹介する!!!」
早速といって扉が開いて誰かが入ってくる。
待たせてるなら最初から仕事をさらせる気だったんじゃないかと思う。
まぁ、偶然だと思いその人と対面してみると、
「お前か、今回俺の相手は」
「……………」
子供だった。
正確には赤ん坊と呼ぶほどの体型である。
でも、しっかりと歩いてるしハッキリ喋ってるし、何よりも雰囲気が完全なるプロだと分かる。
額にゴーグルをしており、顔には焼け跡もあるがどうやら女の子だというのは分かった。
こんな子がマフィアに……
「なんだ? 何か言いたそうだが」
『いえ、よろしくお願いします。』
目付きが悪い。
というか、赤ん坊が見せるなのかあれは…
とにかく一緒に仕事をするなら自己紹介しないとね。
『初めまして。僕は"S"、「壊し屋」の方が分かるかな?』
「こっちが依頼しているのだ。
名乗らなくとも知っている。
俺はラル・ミルチだ」
…………………………
「来てみれば案の定というわけか」
ラル・ミルチさんと共に港に来ていた。
ここは貿易が盛んな場所ではあるが前から黒い噂があった。
麻薬や人身売買、ヤバい取引がよくされる場所。
そして今回は武器の売買をしているようだ。
マフィアとしてはこれがあるべき姿なのかもしれない。
それでも敵対するものに対して
船に乗っているコンテナが下ろされているがそれら全部が武器だとするなら、
「なるほどな。
これは流石に目に余る光景だな」
『どうしますか?』
暗闇なので携帯を扱っているが極力光が出ないように画面の明るさを押さえてラルに見せた。
「私としては貴様の実力を見たいところだが、状況が状況だ。
無理だというなら私が行く」
『行きますよ。
その為に呼ばれたんですから』
まあ、
…………………………
あの男は一体何者なんだ?
それが第一印象だった。
私は呪いで体が縮んだが年齢はすでに大人だが、あの男はまだ小学生というのにあんなに平然としているのか?
小さい頃から仕込まれたというなら雰囲気で分かるが、あれはごく一般な人間なはずだ。
なのにこういう現場に来ても怖じけずに平然としているアイツは一体……
双眼鏡で"S"の様子を見ながら周りの状況を把握していると、警備している男が"S"に近づいている。
さて、どう対応するかお手並み拝見だ。