「あっ、これカワイイ!」
「痛みはありませんよ。
保存状態もいいですし……値段はこれぐらいで」
「えっ⁉こんなに安いんですか?」
「はい、どうですか??」
ここは並盛公園で行っているフリーマーケット。
この主催は並盛商店街の人達と風紀委員の雲雀と、生徒会長の僕が運営している。
というより雲雀が怖くて商店街の人達に頼み込まれたのだが、まさか僕までフリマに参加することになるなんてなー
理由としては僕の容姿が売り子として絶対にお客が寄ってくる。
客寄せパンダ、客寄せの招き猫かよ!!
まぁ、否定する理由もなくこうしてやっているだが…
それで今はウサギのぬいぐるみが売れたところなんだけど……
「まだまだあるな……」
それなりに売れているがまだまだある。
というかこの残りが問題なのだが……
そこにあるのは、
明らかに壊れた携帯ゲーム
湿気た導火線とオイルが入っていないライター
破れかけた野球ボールと折れたバット
食べ残った餃子と包装紙から取れている飴玉
派手に千切れかけた風紀委員の腕章
黒く焦げた穴が空いた黒い帽子……
うわぁ~
この一つ一つ見るだけでどれが誰なのか分かるな~
これを売れっていうの?
無理だからね、もしかしたら売れるのはあるかもだけど絶対に無理なやつあるよね!!
「どうしようかな……これ……」
あぁ~逃げ出したい。
いくらフリマといってもこれは明らかに売れる気配が全くないのだ。
本気でそんな事を考えているとまるで必然のようにこれらの関係者達がこちらに近づいている。
「なんか予想通りのものが残ってるんですね…」
「沢田君、分かってるならもう少しマトモなものはなかったのかな?」
「持ってくるまでは使えたんですよ!!
でもランボがリボーンに喧嘩を仕掛けて…」
「分かった、もう分かったから……
だけどそれにしてもみんなフリマというものをもう少し考えて品物を持ってこようか?」
そこで苦笑いするものや逆ギレするもの、大笑いするもものや無関心なもの。
……僕が頼む人達を間違えたのか……
「か、会長やっぱり俺も手伝いますよ!!」
「それはいいよ。
品物を出してもらうように頼んだのは僕だし、せっかくの機会なんだから楽しんできて」
「そうですよ10代目!!
会長もそう言ってるんですから見に行きましょうよ!」
「見て回ってまだ残ってたら手伝うってならいいんですよね」
「あぁ、それで構わないよ山本君
ランボとイーピンちゃん、ちゃんと沢田君の言うことを聞くようにね」
「分かったもんね!!」
「イーピン、ちゃんと聞く!!」
そういって団体さんはフリマを見て回ることになったのだが、どういうことかここにはまだ一人残っている人がいた。
「君は行かないのかな家庭教師君」
「向こうも面白そうだが今日は光明に付き合うことにしたぞ」
「それはいいけど、退屈かもしれないよ」
「構わねえぞ、こういうのには慣れているからな」
こういうのとはどういうことなのか?
とは聞かない方がいいのだろう。
まぁ、邪魔させしてくれなければそれでいいのだが…
しかしこの売れ残った商品、誰も一目は見るが立ち止まることもなく去っていく。
当然とは当然だが…これはどうしたものか……
そんな事を考えていると、ついさっき売れた商品の持ち主が現れた。
「こんにちはです、黒田さん!!」
「黒田先輩、こんにちは」
「こんにちは二人とも
君達のお陰でかなり商品が減ったよ」
「はひっ! 本当です!!
やりましたね京子ちゃん♪」
「宣伝して良かったです♪」
そう二人にはここの宣伝を頼んでおいたのだ。
かといって知り合いの人や他のフリマのところでさりげなく売り込みを頼んだのだ。
この二人なら間違いなく他の人が食いつくなと思ったが想像以上でいま残っているもの意外は飛ぶように売れたのだ。
商店街の人は「黒田君がやってれるのもあるのよ!」と言われたが、そのせいでこうしてやらないといけないので正直いい迷惑である。
いや、フリマが嫌いというわけではない。
問題は他にあるのだ。
「二人ともありがとうね。
今度お礼に駅前のケーキをご馳走させてもらうよ」
「はひっ!!!
あの話題のシフォンケーキですか!!」
「一度食べてみたかったんです!!!」
二人とも喜びながら他のフリマを見に行くとここを後にした。
それでいい。
そうしないと僕が嫌がる元凶が現れるかもしれ
「やぁ黒田。
ここの場所代10000円払ってもらうよ」
来たよ。元凶が。