これは並盛中生徒会長の日常である。   作:ガイドライン

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"S"の始まり。(助けたい。その人の為に)

それからは楽しかった。

他愛ない話だったけどゆったりとした感じは今まで味わったことのないものだった。

 

どれぐらいたったのだろうか。

コーヒー一杯でよくこんなにも話せたものだと自分に感心していると、

 

 

 

「ごめんなさいねユニ、待たせちゃって」

 

「そんなことないですよお母さん。

光明さんとお話しして時間を忘れていたぐらいです」

 

 

 

そこに現れたのはこの子が、ユニが大人になったような女性だった。

特に特徴的だったのは首から下げているおしゃぶりだった。

ファッションの一つなんだろうか?と考えていたが、すぐにユニも同じことを思っていたことが嬉しかった。

 

 

 

 

「ふふふ、お邪魔だったかしら?」

 

「そんな事ないですよお母さん」

 

「……素直に育て過ぎたかしら…」

 

 

 

 

それは分かりませんがニヤニヤと僕を見ないでください。

明らかに顔が熱くなってますので、それ以上見ないで‼

 

 

 

「私もゆっくり話したい所だけど外でγ達が待ってることだし行きましょうか?」

 

「はい。

それじゃ光明さん、またお話しましょうね」

 

 

 

 

その時、不思議と女性とユニのオーラが見えてきた。

いつもなら僕が見ようとしないと見えないのだが、今日は何故か勝手に見えてきた。

 

ユニのオーラはとてもキレイで太陽の光のように明るく輝いている。

だけど女性の、ユニのお母さんはそのオーラが見えなかった。

正確にはあるにはあるが首から下げているおしゃぶりの周りに弱々しくあるぐらいだった。

 

オーラはその人の体力や気力、生命力のような「力」を具現化したもの。

昔近所のお爺ちゃんが亡くなるときもこのオーラがどんどん小さくなっていくのを知っていた。

 

とても悲しかった。

見えているのに何も出来ないことに。

寿命だと割りきればいいのだがその時はただただ悲しくて悔しくて泣いていた

 

 

いまは自然界の決まりだと割りきりっているが、ユニのお母さんのオーラは明らかにおかしい。

病気にかかっているならランダムにオーラが点いたり点かなかったりする。

しかしこのオーラは何度も見たことのある寿命が減っていくオーラだ。

 

なら尚更おかしい。

こんな若さで、病気もないのに寿命が尽きかけているなんて……

 

 

 

 

「ま、待ってください!!」

 

「光明さん??」

 

「ゴメンね、寂しいだろうけど用事があって……」

 

 

「待って……待ってください……」

 

 

 

呼び止めてもどうしようも出来ない。

そんな事は分かっている。分かっているけど知らないフリなんて出来ない。

何も出来ないのに何をしたい。

モヤモヤする気持ちにどうしようもなく、これ以上言葉が出てこなかった。

 

 

 

「………ユニ。

γ達に少し遅れるって言ってきて」

 

「はい」

 

 

 

そういってユニはお店から出ていきお店には僕とユニのお母さんだけが残った。

 

 

 

 

「自己紹介がまだだったわね。

私はアリア、ユニの母親よ」

 

「光明です。黒田 光明といいます」

 

「光明君ね。

……光明君、私に伝えたいことがあるのよね」

 

 

 

何も言っていないのに。

まだ何も言っていないのに……

 

 

 

「いいわよ、話しても。

それは私も知ってるから、だから話して」

 

 

 

知っている。

自分の体だから知っているのか分からないけど。

それでも話していいと言われた。

少しでもこの人の、アリアさんの役にと僕が見えているものを話した。

バカにすることもなく、むしろ真剣に聞いてくれたアリアさんは

 

 

 

 

「そう。

……辛いわね。今まで良く頑張ったわね」

 

 

 

どうして、どうしてそんな事がいえるのか…

アリアさん自身の寿命を話したのに、どうして僕を心配してくれるのか……

 

気づいたときには泣いていた。

いままで事が一気に溢れだし、尽きるまで泣いてしまった。

 

 

やっと落ち着いたところでアリアさんが話してくれた。

アルコバレーノ、トッリニセッテ、おしゃぶり

アリアさんのお母さんから引き継がれたアルコバレーノという呪い、そして短命について。

 

 

 

 

「……ユニは知っているんですか?」

 

「ええ。

だからいまは一緒にいれる時間を大切にしてるの」

 

「………………」

 

「光明君が背負わなくてもいいのよ。

これは宿命、変えられないの。

でも時間が分かるお陰で娘との時間が大切に思えるから悪いだけじゃないわよ」

 

 

 

 

そんなはずがない。

娘との時間が大切ならもっと一緒にいたいはずだ!

僕だって両親が家にいないと寂しく感じる。

いくら慣れてても寂しいと感じるんだ。

 

だから、だから、だから……

 

 

 

 

「僕が……僕が……」

 

「光明君?」

 

「僕が見つけます!!

短命から抜け出す方法を!!

アリアさんもユニも笑っている世界を守るために!!!」

 

 

 

こんなことがあっていいわけがない!!

二人の幸せを守るために絶対に!!!

 

 

 

「ありがとう光明君。

でももしものときはユニをよろしくね」

 

「もしもなんてないです!!!」

 

「あくまでももしもよ。

……信じてるわ光明君。よろしくお願いします」

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

「……本当に信じるのかアリア」

 

「あら、聞こえていたのγ。

それとも聞いていたのかしら?」

 

「はぐらかすな。

……あんなガキに何故話したんだ」

 

「どうして…かしらね……

少なくともここで私とユニはあの子に会う運命だったの」

 

「予知が見えていたのか?」

 

「ええ。

でも()()()()()()()()()()

……だから信じてみたくなったの。

私の予知(未来)を変えてくれるかもしれない、あの子を……」

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

「……何が会ったのかしら?」

 

「知るねぇ。でもスクアーロがイキイキしてるぜ」

 

 

 

それから僕を迎えに来たスクアーロさんにガッツリと叱られた後、地獄の訓練が始まったのだが嫌ではなかった。

 

短命の呪いを消すためにはきっと表だけではダメだ。

表がダメなら裏にいくしかない。

だけど力がないとダメだってことは知っている。

だから、今は力をつけないといけないのだ。

 

 

それからスクアーロさんや、ベルフェゴールさん、ルッスリーアさん、バイパーさん、極めつけにXANXUSさんにも色々教えてもらいあっという間に時間は過ぎた。

 

 

 

あっ、レヴィさん?

……生理的に無理です。


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