二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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遅れに遅れました、二週間ちょいぶりの更新です。

投稿する前に寝落ちしたのが3回……別に寝不足って訳でもないのに……



前回の閑話はどうだったでしょうか。本編の流れには関わりません。いくつかの設定の背景に近い感じです。


そんなこんなで第六十七話です。どうぞ!


第六十七話  実戦訓練①

 

 

「良し、そうと決まれば次へ行こう。高山、チーム分けは?」

 

 

 

「まず、桐崎さんと荒山さん、それに戸谷君と国崎君は、ローテーションのチームに組み込まないで、四人で一つのグループとします。理由は、桐崎さんと荒山さんは、回復役として常に必要だからです。あと国崎君と戸谷君はさっき言った通り万が一のための楯を出してもらう役、そして桐崎さんと荒山さんを確実に守ってもらう役です」

 

「ローテーションを回すチームですが、篠原君、白井君、平井君、川島君、僕で一チーム、水山君、田中君、鳴川君、下原さん、加藤さんで一チーム、太刀山君、桑原君、皆本君、中谷さん、前原さんで一チームとします」

 

「申し訳ありませんが、人間関係は一切考慮してません。性別と職業の相性だけで編成し、同じ職業は名前順で割り振ってます。理由は、この状況で元の世界での関係を全て気にしていては万が一何かに響いてくる可能性がある事、実戦で一々そのような事を気にして連携する余裕はない事、何より連携に失敗しても大怪我をしたり死んだりする可能性が無い事です」

 

「元の世界に戻るためにはまず生き延びる事が必要です。生き延びるためには、個人としてあるいは集団として強くなる事が必要です。そのためには人間関係を考慮する必要は無いと考えます。本来ならだれとでも即興である程度連携できるのが最善です。ですがまずは相性の良い職業、人から始めていきましょう」

 

 

 

誰とでも即興連携は鬼です(真顔)。まあ戯言はさておき。

 

 

素晴らしい。流石は<賢者>。俺が考えた編制と全く一緒な上に理由付きで人間関係無視宣言してる。本当は性別も考慮しない方が良いだろうけどまあ年齢と向こうでの一般常識を考えれば当然か。ただなんかこう……言い方が……いやまあ別に良いか。不味い時は篠原がフォローしてくれるだろうし。

 

 

 

俺知ってるぞ。あれだろ、後で仲間との友情・絆の美しきかなっていうエピソードになるんだろ。時に仲違いしたりして、でも最終的にはうまく連携出来るようになって、みたいな。良いね楽しそうだね。大人数勇者系物語の王道だね。

 

 

 

「交代の基準は決めてませんが、撃破した敵の数で交代しようと思っています。ただし、ある程度の時間制限も設け、それを過ぎたら規定数に達していなくても交代してもらいます」

 

 

 

戦闘が無くとも、敵襲に備えた状態というのは準戦闘状態なので実は結構疲労する。何なら精神的疲労は戦ってる時より大きい。探索系統の職業は特に。

 

あ、探索系統と言えば。

 

 

 

「高山。質問、良いか?」

 

「何か?」

 

「<周辺警戒(レーダーマップ)>は使うのか?」

 

 

 

あれ使うんならちょっと面倒。

 

 

 

「いや、使わない」

 

「その心は?」

 

「今回の敵は低級アンデッドだ。探索スキルを抜くことが出来るとは思えない。もし抜かれたら抜かれたで丁度いい訓練になる。もし気になるなら国崎君が独自に展開してもらっても良い。ただ僕達はその情報を使わない」

 

「了解した」

 

 

 

成程ね。となると<防衛者>としては展開しておくべきか。うん、前衛の様子探るならそれが良い。

 

 

 

「<周辺警戒>」

 

 

 

そろそろ動くだろうしついでに地雷も回収しておくか。

 

 

 

「<撤収(リムーヴァル)>」

 

 

 

障壁の前に展開した地雷が全て解除されて、魔力が回復する。おお、何か気持ちいいな。

 

 

 

「よし、じゃあ最初は篠原君のチーム、お願いします。というか僕もだけど」

 

 

 

<勇者><探索者><狩人><賢者><魔導師>だったか。同レベル帯の相手を想定するなら前衛火力にやや不安が残るって感じか。低レベル相手なら前中後そろったそれなりにバランスのいい編制のはずだ。相手が骨なので探索系二人が武装の相性から戦闘面であまり寄与出来ないのが勿体ないがまあそれは仕方ないだろう。こればっかりはどうしようもない。

 

その分探索に力を発揮してもらおう。さてさて、お手並み拝見。

 

 

 

あ、そう言えばナチュラルに外してたけど後方警戒しなくていいんだろうか?いやしなくて良いんだけど。わかってて外してるのかな? まあ良いか。後でアイツが非番になった時にでも聞けば良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり専門職は専門分野だけは強い。後衛と斥候役という位置の違いはあれど、方向を絞れば、レベル5<周辺警戒>より探知範囲は広い。流石にレベル10重ね掛けには負けるだろうが、まああれは戦場全体俯瞰とか大都市戦闘用だからな。

 

 

 

「次、さっきと同じ数」

 

「「『光よ、闇を照らし悪しき者を祓え』<光槍(ライトスピア)>」」

 

 

 

今回の詠唱は結構あれだな、シンプルだな。てかちょっと待て。まさか、低級魔法は全部同じだったりするのか? 

槍系だったのに槍を示す文言なかったぞ。

 

光属性の魔力を持つ槍が二本、やって来た骸骨三体のうち二体の頭を貫いた。有利属性+弱点部位+<勇者>ステのおかげでワンパン。ふむ、腕は上がってるみたいだな。すべて頭に直撃か。

 

槍系は基本直進性と速度に優れることを考慮しても、いやだからこそか、技術の向上が見られる。撃ったら軌道変更できないからな。

 

ただまあ数の問題から一体討ち漏らした。まあ全滅させてしまうと前衛の仕事が無くなるので構わない事なのだが。

残った一体がこちらへ向かってくるその左右から、おそらく短詠唱のみで属性付与を行った白井・平井が短剣で襲い掛かり、両腕を斬り落とした。そして真正面から篠原が叩き潰した。

 

 

 

連携はまあまあ上出来。俺がいなかった間に何してたのか知らないけどまあただ呑気に過ごしていたわけでは無かったのだろう。無言で連携できるくらいには互いの出来る事とやる事を知っていて、配分もできる、と。

 

……構わないんだけどちょっと引っかかるんだよな。まあ後でいいか。

 

 

 

 

 

無言で連携するのは別にいい。相手が知能あるならなおさらそれは強い。例えばそれこそ魔族や<魔王>なんか相手にするときは、目くばせすら致命的な情報源になりうる。

俺達はそれらを通信石やら<念話>やらで対策した。尤も、使わない時もあった。俺とさくらなら役割が綺麗に分かれているうえに二人とも<賢者>持ちだから。まあそれは今代には厳しいだろう。前衛も後衛も複数いるからその中での役割分担もある。

 

 

 

それはさておき、無言で連携が成り立つというのはつまり連携する相手が何をするかわかっているという事。

 

 

 

それは逆に言えば、連携することを前提とするなら、新しいことを試せないという事でもある。大抵の人間は、予想と違う事をされるとパニックになる。今は俺や戸谷がいるからいいものの、実戦ではそれが致命的な隙になる。だから決められた事しかできない。

 

声を出し合えばとりあえず心の準備ができるから、新しい事も試せたりする。

 

 

 

今の状況で考えるなら、例えば<賢者><魔導師>が篠原と同レベル程度であるなら<三叉槍(トライデント)>を使えば三体まとめて一掃できたはずだ。それをしなかったのは、両側に<狩人><探索者>が予め張ってたから。洞窟はあまり横幅が無い。現実なのでフレンドリーファイア判定あるから、それを避けて撃つなら<(スピア)>一択だったってわけだ。

 

もったいない。色々と。魔法の経験値とか手間とか。現実のことなので効率に寄せすぎるのはよくないとわかってはいるのだが、しかし相手は低級アンデッドだ。

 

 

 

油断はよくないけどな。

 




まあ何だかんだ言って主人公は一ヶ月以上離れていたわけですが、その間に何もしていないわけはありませんね。ちなみに今回作った組み合わせ以外でも共闘した事はあります、連携と言えるほどの事はしてませんが……


ハロウィン短編とか欲しかったりしますか?


それでは感想批評質問などなど、お待ちしております。

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