二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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2日遅れてしまいました!

もしかしたら居たかもしれない待ってた人へ、申し訳ありません!

帰省やら何やらのどたばたで何か忘れてる気はしてました。

というわけで遅れましたが第六十五話です!
どうぞ!




第六十五話  2個目の

 

 

 

さて、村に帰還した俺達は、そのまま翌日、日の出と同時に村を出て、王都へ今回の戦闘について報告することになった。途中で篠原の要望もあり、例の祠的な何かにも寄る予定である。

 

多分また聖剣強化系、下手すれば同じアンデッド系の可能性もあるが、その場合攻略は楽だろう。それにアンデッドはその性質上、人族の生存領域に良く湧くので、アンデッド特攻は持ってて損はしない。

 

違ったら違ったで対応できる幅が大きくなるだけなので良い事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<聖剣>の導き的な案内で、たどり着いたそこは、洞窟の入り口であった。一度<周辺警戒(レーダーマップ)>を重ね掛けしたら結構な数の赤点が見えた。

 

 

 

期待していた二個目の祠的何かであったが、廃神殿同様の対アンデッド戦だった。こちらは廃神殿と異なり、単体で強い相手はそこまで多くは無かったが、数が多かったのと、バラバラで襲い掛かってきたのが逆にきつかった。何せ最初の辺りは毎回何も考えず()()()応戦しようとするのだ。相手がスケルトンシリーズで良かった。

 

 

 

良く考えればこいつらが今までやってきたのは、俺が知る限りでは少数対少数もしくは少数対多数の戦闘。その上、相手は一波のみ。少数グループによる対多数・波状戦闘はしたことがない可能性が高い。

 

多分ここはそれの補填のためか。いずれ魔王軍本体と事を構える時や魔物暴走が起きた時に備えて、波状攻撃への危機感を抱かせ、対応策を学習させるのが狙いか。全くもって至れり尽くせりである。

 

というわけでここは俺も<管理者>先代<勇者><防衛者>として助言くらいはしようじゃないか。助言くらいは大丈夫って最初の頃に言ったしな。

 

 

 

「<賢者>」

 

「高山です」

 

「……高山。話がある」

 

「分かっています、さっきのでしょう?」

 

 

 

分かってたらしい。ちゃんと<賢者>してるようで何より。

 

 

 

「そうだ、分かってるなら話は早いな。アレは見本だ」

 

「見本?」

 

「ゲームで言うところのチュートリアルだ。ああいう攻撃がありますよっていう」

 

「……だから低級のスケルトンしか居なかったのですか」

 

「まあ、物の例えだ。実際のところ、此処は俺と篠原、白井が行ったところより歴史が浅い。入り口付近にスケルトンシリーズしかいなかったのは単純に存在する魔力量の問題だろうな。とはいえ、知っての通り、こういう場所は奥に行けばいくほど魔物は強くなる」

 

 

 

入り口付近は、外との魔力循環があるので魔力が溜まりにくい。そのため低位の魔物・アンデッドが進化しにくい。

奥に往けばいくほど魔力の流れは奥へ向かう一方通行になるため魔力が溜まりやすく、進化もしやすい。つーかアンデッドって死んでるのになんで進化するんだろうな……

 

 

 

「という事は」

 

 

 

「もっと先に進めば、より強い魔物が……いや、アンデッドか。より強いアンデッドが、さっきみたいに波状攻撃してくるだろう。篠原は多分大丈夫だ。だが他のメンバーは、あの様子では連戦は無理だろう。スケルトンシリーズで辛勝だからな、より強い奴相手だと厳しい」

 

「勿論さっきみたいに俺が足止めして篠原に倒してもらう、あるいは足止めしてる間に魔法を叩き込んでもらう手もある。だがそのやり方ではどうしても不安が残る。何よりどちらの戦術も俺の存在が前提だ。俺の存在は現状で不確定要素に近い。戦闘で不確定要素を当てにしてはならない。俺抜きで対処できるようになっておいてもらう必要がある」

 

「具体的な方法はいくつかあるが、まあ、思いついてるだろ、その様子だと」

 

 

 

「ええ、まあ。ただそれが上手くいくか分からないので……」

 

 

 

「構わない。俺はそういうときの保険にもなれる。それに、こういう時の対処はある程度限られてくるからな。それで、何をするつもりだ?」

 

 

 

相手が波状攻撃してくるならこちらも同じことをすれば良いだけの話なのである。特に今回は、相手に個の質で勝っているのだから、一番簡単な方法は一波ごとに一人で対応し、個人個人の高火力範囲攻撃で迎え撃つ事。

 

死霊系はおらず、肉体保持系アンデッドのみなら、聖属性・光属性の攻撃を当てる必要は無い。魔力の依り代となっている死体を魔力で補修しきれないほど破壊してしまえば無力化は出来る。身体はあるが動けない状況に持ち込めればそれで良い。長時間放置すればいずれ自然回復するがまあその前に終わるだろうし。

 

ただしこれは相手がスケルトンシリーズアンデッドでかつこちらよりレベルが低いという条件が達成されているから取れる戦い方。だから今回やる事は。

 

 

 

「全体を前衛後衛組み合わせた三チームに分けます。敵の一波ごとに交替しながら戦います。確認しますが帰り道で敵の数が回復したりはしませんか?」

 

 

 

ダンジョンで例えたのが悪かったか?

 

 

 

「多分無い、依り代を滅ぼされた肉体保持系アンデッドは基本的には消滅するだけだ。死霊系アンデッドになるとしても時間が足りない。発生するとしてまあ堆積魔力量的に<亡霊(ゴースト)>くらいだろう。正規ダンジョンではないから再発生も自然発生でしか起こらない、それには短くて年単位かかるからな」

 

 

 

しかもそれは、この洞窟に、何かしらの未練を現世に残した魂が存在する場合のみだ。この世界の魂は死後、大抵はすぐ<システム>の管理下に入り、生まれ変わる。つまり新規発生の可能性としては、この洞窟内で未練を残して死んだ人間がいるか未練を残した魂がここに辿り着くかのどちらかに限られる。

 

つまりよほどの奇跡でも起こらない限り再発生は無いはず。まあ<勇者>いるのでそんな奇跡が起こってもおかしくないけれども。

 

 

 

「まあ、備えておくに越したことはないと思うが、そこまで気にする必要は無いはずだ」

 

「じゃあ帰りはすんなり帰れるんですね。なら大丈夫か。ありがとうございました。おい勇人、みんな、ちょっと良いか?」

 

「……<周辺警戒><絶対障壁(バリア)><迎撃(インターセプト)><神楯(イージス)>」

 

 

 

集めるのは良いんだが、ちゃんと穴埋めも指示しろよ。

 

 

 

さて、確か今ここに居るのは、前衛職が、勇者・剣聖・槍・拳・騎士・暗殺×2・探索・狩人の9人。後衛は結界・傀儡・魔導×3・賢者×2・回復・聖女の9人。

 

防衛が万が一の備えとしてどう組ませるか。まあ今回はそこまで細かく考える必要は無かったりするんだが。だって相手骨だし。

 

 

 

前衛として挙げた内、タンクに向いているのは<勇者>、<剣聖>、<騎士>。いずれも防御が平均以上か、防御系スキルに補正が掛かる職業だ。尤も現段階の<剣聖>がタンクに向いているかと言われると正直微妙なのだが。

 

純粋なアタッカーは<槍術師><拳闘士>、単発高火力で<暗殺者>、次点で<探索者><狩人>である。

 

後衛戦闘職は<魔導士><魔導師><賢者><傀儡術師>の6人。支援職は<結界術師><回復術師><聖女>の3人。となると……

 

前衛は<勇者><探索者><狩人>、<剣聖><槍術師><暗殺者>、<騎士><拳闘士><暗殺者>かな。後衛は各チームに<魔導師><魔導士>放り込んで、<剣聖>のところに楯役補助として<傀儡術師>を入れる。<賢者>はどっちに入れても大丈夫なはず。

 

支援職は<聖女>は治癒系目的で入れたのだろうから、<回復術師>と共に必要な時だけ働く感じで、<結界術師>は俺と組んで、回復役二人と非番チームの最後の楯となる。

 

俺が考えるベストな編成はこれ。ただ、これには問題点がある。それは人間関係や性格を完全に無視している事。俺が考えた編制は、職業の特性とステータス、能力などから理屈のみで考えた編制なので、連携に難があるかもしれない。

 

さて、俺の予想どこまで当たるかな。

 

 

 

「……代わります」

 

「ん?」

 

「障壁です」

 

 

 

障壁……ああ、<結界術師>の何某さんか……誰だっけ?

 

 

 

「<結界術師>の戸谷(とたに)です。交代します。魔力量大丈夫ですか?」

 

「ああ、一応大丈夫だ。ありがとう。頼む」

 

 

 

ああ、そうだ。戸谷健一君だった。クラスメイトの名前を憶えていない俺は大丈夫なのだろうか。いや『国崎啓』を演じる分には楽なんで良いんだけど。

 

 




以上です。

今まではいくらかのグループに分かれて別々に同数程度の敵と戦うのが常だった、つまりだれかがやってくれるさと人任せには出来なかったわけです。だから却って波状攻撃みたいな形で来られると全員が、やらなきゃ、ってなって総攻撃。
篠原以外はアンデッド特攻なの<聖女>だけですし、斬撃・刺突系武器はスケルトンシリーズ相手では不利です。結果としてスキルや魔法を使わざるを得なくなり……って感じです。


それでは感想批評質問等お待ちしております!

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