二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
『迎撃しろ!』
『弾が足りねえんだよ!て言うかとっとと封じろよ!』
『無茶言うな!防衛特化艦に攻撃を求めるんじゃない!』
『私が前に出る。攻撃を集中させるから集中防御を。その間に他が攻撃』
「りょーかいっと」
直ぐ様端末を操作して、旗艦の周囲に弾幕を張る。防衛特化の本領発揮、してる間に、味方が敵旗艦に集中砲火。撃沈に追い込み、勝利表示が出た。
「今日も勝利。さすが司令だな」
ミッションに出るか迷ったが、時間的にそろそろ不味いので、ゲーム機の電源を落とし、鞄に放り込む。朝のSHRまではまだ30分ほどあるが、この時間帯から、教室の人口が増える。と、この時間帯の一番乗り常連の女子が入ってくる。自分の勘の良さに感謝しつつ、イヤホンを耳にねじ込んで机に突っ伏した。
基本的にクラス内ではボッチの俺にとってはこれが一番楽なのだ。もう一人ボッチ……というか同じポジショニングしてるのは居るが、女子だしベクトルが違うので、基本的に現実では関わることはない。俺は一人が好きだからこんなポジショニングなわけだが、彼女はどうなんだろうか。どちらかと言うと不可抗力だろう。何と言うか、近付きがたい?
本人の物腰は親しみやすいタイプで通してるのになぁ。
多分大抵の男子はその外見だけで惚れるのではなかろうか、それで内面も良い(ように装っている)のだから尚更だ。
俺?あいつの内面を知ってるからな、逆に近付きがたいわ。
30分後、鐘の音と共に、先生が慌ただしく入ってきた。いつものことでは有るのだが、もう少し早く来ようとか思わないのだろうか?まあ中学校の一時期まで遅刻魔だった俺が言えることではないかもしれないが。
そんなボッチかつ元遅刻魔な俺の名前は、
……お願いだからそんな痛い人を見る目で見ないで下さいお願いします。いやマジで勇者だったんだ。今は元だけど。
中学二年生だったある日、俺は帰宅するとき、とある交差点で、同じところで信号待ちしていた人達と共に、足元に突然出た模様(後に魔方陣と判明)から出た光に包まれて、気付いたらなんか祭壇っぽいところに居たんだよ。
一緒に召喚されたのは、当時俺と同じクラスで、今も同じクラスの内山さくら、大学生だった国崎春馬さん、高田陽菜乃さんの3名だった。それぞれ順に<聖女><防衛者><支援者>だ。そして俺は<勇者>だったというわけ。んでまあ色々あって、魔王の"無力化"には成功して、日本へ送還された。大変だったよはっはっは。
え?聞き慣れない役目が混じってる?気にするな。多分すぐわかる。
で何で今更俺がそんな話をしているのかというと、
「おい!なんだこれ?!」
「え?なに?光ってる?!」
今現在俺達──俺を含む二年四組のメンバーの足元全体を覆うほどの大きさの魔方陣が発生して、光っている、つまり発動直前であるからだ。見覚えがあるなんてもんじゃない。大きさを考えなければ、3年前に見た召喚術式そのままだ。
咄嗟に内山の方を見る。
内山も驚いたような、だが一方で納得あるいは安堵したような表情で此方を見て頷いた。俺も頷き返す。
同時に魔方陣が輝きを増した。発動だ。そう思った直後、俺の意識は遠のいた。
「……知らない天井だ」
取り敢えず目覚めたところでお馴染みの台詞を呟いてみる。
「呑気なものね<勇者>」
「言葉遣いが崩れてるぞ。驚かすな<聖女>」
声をかけてきたのは内山さくら。さっき述べた元<聖女>。そう、元だが聖女だ。俺としては正直それに異議を唱えたい。外見はその通りだが、性格が悪すぎる。誰だこいつを聖女にしたの。趣味悪いにも程がある。
「今すごく失礼な事を言われた気がしたけど気のせいかしら?」
「気のせいだろう。それより<聖女>」
「今私<聖女>じゃないわよ?貴方も<勇者>じゃないし」
は?
慌ててステータスを確認する。
「<ステータスオープン>」
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ステータス
神崎 啓斗 Lv.1
種族 異世界人
職業 防衛者or勇者
年齢 17
性別 男
HP 100/100
MP 100/100
物防 300
魔防 300
物攻 5
魔攻 5
称号 <勇者><竜王の友><封印せし者><超越者><再び喚ばれし者><舞い戻りし勇者><防衛者>
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「は?」
以上です。さて、次回もまだ説明になります。
批評感想、お待ちしております。