二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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お久しぶりです。学祭からの本格的な新学期のコンボはだいぶキツかったです。ベッドではなく座椅子で崩れ落ちた時もありました。

ようようして生活リズム安定し始めました。


というわけで、第二十九話です!どうぞ!


第二十九話  選択

翌日の朝。

 

予定通り、皇国とさらに南にある国──シルド王国との国境に到着していた。ほぼ夜を徹して走らせた甲斐があった。徹夜運転など、徹夜山中走破に比べれば大したことは無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうするんだレイシアさんよ」

 

「私達に付いて来るか、それともシルドで穏やかに暮らすのか」

 

「……私は……付いて行く」

 

「それで良いのか?誘っておいてなんだが、だいぶ面倒だぞこの世界」

 

「私は話し相手が増えるから異議はないけれど……」

 

「……生まれてからずっと、何か違和感があったの。一応二度目の人生は、前世よりマシな人生だったと思うんだけど……」

 

「……まあ前世庶民が今世貴族令嬢とか戸惑うよなあ……」

 

「それに、こっちだと、ネットも無いから、同年代の人と、気楽に話せる機会が少なくて。一応伯爵令嬢だったから」

 

「……まあ、理由が何であれ、選択は選択だしな。良いだろう、君の意思を尊重する」

 

「やった、話し相手二人目ゲット!」

 

 

 

 

「……それで、取り敢えず新しい呼び名を考えなきゃいけないわけだが」

 

「じゃあリサでお願い」

 

「即決したな」

 

「前世の名前。有馬(ありま)理沙(りさ)。理科の理に沙羅双樹の沙」

 

「ああ、なるほどね、じゃあこれからよろしく、理沙」

 

「うん、よろしく」

 

「じゃあ、行きますか。こっから南端まで下る。流石にそろそろ赤道だし、そこから一週間くらいで南端には付けるはずだ。その間は……まあ野宿が多くなると思うけど、<勇者>時代の便利な遺物があるから大丈夫だとは思う」

 

「長旅になりそうね」

 

「そうだな────お」

 

 

 

目標捕捉、機関砲射撃開始。

 

 

 

ちょうど森から出てきたゴブリンの群れを、車外からの遠隔操作で一掃。やっぱりタブレット操作はチートだと思う。

 

 

「……流石兵器……」

 

「ゴブリンの群れならそこまででもないわよ、この前火竜(サラマンダー)粉砕してたから」

 

「……現代兵器怖い」

 

 

ゴブリンはランクもレベルも獲得経験値も低い雑魚だが、チリも積もれば山となる原理で、見つけた魔物は全て狩ることにしている。

 

あと今気づいたが、どうも燃料・弾薬は無制限ではないようだ。定期的にゆっくりと魔力が減っている。かなりゆっくりとではあるが。

 

魔力を弾薬と燃料に変換しているのか。しかしこの消費量だともの凄く変換効率が良いなおい。

 

 

 

 

 

《レベルアップしました》

 

 

 

 

今のレベルは……22か。現代兵器でかなりパワーレベリングっぽくなってるな。

 

 

 

《<防衛魔法>がレベル6になりました》

 

《スキル<神楯(イージス)>レベル1を獲得しました》

 

《スキル<絶対防壁(バリア)迎撃(インターセプト)>が<神楯>に統合されました》

 

……ここにも来るか現代兵器。<絶対防壁・迎撃>が統合されたということは、まず確実にイージス・システム的スキルなんだろうな。確認してみるか。

 

 

 

 

 

 

 

<神楯>……自分に対し放たれた全ての攻撃を無属性魔力弾によって迎撃する。同時に迎撃できる目標は20。迎撃可能な目標数は、レベルが上がるごとに増加。

 

 

 

 

 

 

 

確か、<魔王>が最終時に一度に放てた魔法攻撃は……数優先なら1000ちょいだっけ?どっちが良いんだろうなあ……<迎撃>なら、少しタイミングずらせば多分全部迎撃できる、ただし最初の一撃は喰らう必要がある。初手全力だったら<防衛者>のガチガチ防御でも厳しい。

 

 

一方で、<神楯>の場合は、最初から迎撃を行えるが、途中で処理能力を超過する可能性がある。しかし、数が多い攻撃の場合、単体の攻撃力は下がる。いくつか、比較的ダメージの低い攻撃を見逃し、致命的箇所への被弾のみを重点的に迎撃すれば、あるいは耐えうるかもしれない。

 

 

……ふむ、やはり<神楯>の方が生存確率が高そうだな。

後発のスキルなだけのことはあるか。

 

「で、ケイ、理沙はどうする?」

 

「ん?どうするって?」

 

「いつまでもEじゃちょっとアレじゃない?」

 

 

 

確かにCランクパーティーの中で一人だけEと言うのは少々目立つ。

 

 

 

「でも街に寄りすぎてもなあ……」

 

「討伐系一個受けて、あとは無補給で移動すれば良くない?」

 

「それやったら一週間以上野宿になるぞ、クラウとお前はともかく……」

 

 

 

恐らく貴族令嬢、とはいえ元騎士なセレスはともかく、前世病院暮らし今世貴族令嬢の理沙には厳しいのではないだろうか?

 

 

 

「……前回の遺物あるって言ってたじゃない」

 

「ガチ目な野宿よりはマシってだけで、貴族の邸宅とか宿には劣るだろ」

 

「……あの、私はそれでも」

 

「良いのか?正直言って大分きついぞ?」

 

「……大丈夫、命を助けてもらって、さらにそんな贅沢な事を言うような事はしないよ」

 

「……なら良いか。セレス、さくら、こっから一番近い町は?」

 

「あそこに見えるシルド北端の街、ベルヴァストね」

 

「じゃあそこで討伐系やってから発つってことで」

 

 

 

 

 

だいぶ当初の予定から遅れているが、どうせやることは同じだしな。

 

合流は可能な限り早く済ませるべき。だが、こうも不測の事態が多発するとな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

依頼完了。ゴブリン掃討してきた。もちろん理沙本人にやってもらったよ。引き金を引くのは。

 

説明簡略化しすぎ?だって掃討はほら、35ミリ機関砲で根こそぎミンチするだけだから、詳しい描写とかグロいだけでしょ?

 

 

 

 

功績は全て理沙の物に。俺達はB以上に上がったら困るからね。B以上の冒険者は、スタンピードの時に、討伐に駆り出されるからね。今の俺達が駆り出されちゃったら、魔物とか瞬殺しちゃうから、スタンピードの意味がなくなってしまう。

 

 

 

え?そんなの<勇者>じゃないって?

 

 

 

おいおい、それはどんな空想世界だ。人族だけを護る<勇者>なんて、現実世界に、そんな甘い(面白い)話、あるわけがないだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<勇者>の第一の目的は、人族を守ること()()()()

 

 

 

世界を救うことだ。<魔王>を倒すのは、その世界での<魔王>が世界を滅ぼす方向に向かわせるから、それを防ぐためだ。

 

 

 

つまり、<魔王>討伐は、()()であって目的じゃない。

 

 

 

え?何でそれを伝えなかったのかって?伝える隙が無かったんだよね、はっはっは。肝心な事全部あの国に邪魔されてんだよね、もう滅ぼしに行こうかな(暴論)

 

 

 

あの国の腐敗した首脳と軍部消したくらいなら、むしろ<システム>にとってはありがたいくらいだろうしな。うん、本気で検討するか。

 




以上です。

それでは感想批評質問等お待ちしております。

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