二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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間に合った、か
今日まで学校の試験があった上にスランプが重なり更新できずすみませんでした!



最新話というか短編ですがどうぞ!


特別短編  バレンタイン

 

 

 

バレンタインデーとは、恋人達が愛を誓う日、である。婚姻を禁止されたローマ帝国兵士達の結婚を秘密裏に行い、それを罪に問われ処刑された聖ウァレンティヌスにちなんだ祝日であるとされている。

 

まあ色々宗教争い的な異説はあるらしいが詳細は覚えていない。

 

ちなみに現在ではカトリックの正式な祝日ではない、とは春馬さんの言葉。いや本当何で知ってるの。

 

 

 

さて、つまりバレンタインデーとは、どちらかというと宗教色がかなり強い祝日である。何かこの日に実際的なイベントが起こるわけでは無いのだ。

 

よって女神教という宗教が一貫して昔から存在し、イベントがほとんど現実的な物に集約されるこの世界──フィンランディアにはバレンタインデーという祝日は存在しない。

 

まあ、現地人はそんな祝日は知らないよってだけで行事関係は出来るだけ地球に寄せた俺達は、俺達の間だけでやっているのだけど。

 

 

 

「はい、本命チョコ」

 

「毎年ありがとうな、うん本当に」

 

 

 

少し離れたところで形成される桃色空間。別にリア充爆発しろとは言わない、知り合いだし見慣れた光景になりつつあるし。

 

 

 

「砂糖吐きそう」

 

「吐けば? いや待て止めろそんな事で魔法使うんじゃねえ」

 

 

 

 

 

砂糖の代わりにため息を吐いた。

 

 

 

気候や植生、文化が地球に酷似した異世界だが、チョコも存在した。既に甘い嗜好品の形を取っていたが飲み物だった。まあ、材料があって作り方分かってるなら作るよね、固形チョコ。本来なら色々機械使うんだろうが、そこは魔法を使える異世界。魔法で全部解決してしまった。結局何やらされたのか最後まで分からないままだったが気付いたらチョコになっていた。

 

 

 

魔法かよ……魔法だったわ。

 

 

 

手伝わされました。いや毎年の恒例になりつつあるし給料?として義理チョコ貰ったので多分win-winのはずだけど。

 

毎年手伝ってるのに何やってるのかわからないままなんだよな。粉砕までは意識せずに出来るようになったんだけどその後は指示貰わないと出来ないし。というか何で工程知ってるんだろうあの二人。まあ二人そろって雑学ため込んでるので正直何知っててもおかしくない気がするが。

 

 

 

「あ、そうそう」

 

「ん?」

 

「毎度のことながらコレ」

 

 

 

包みが差し出される。

 

 

 

「おう、サンキュ」

 

「お返し期待してるわ」

 

「はいよ」

 

 

 

義理チョコである。一度固形チョコにするまでは一括で俺がやるのだが、その後は個人に分配する。さくらはその分を使って毎年律儀にも俺にも義理チョコをくれる。ありがたい事だ。ちなみに義理チョコ配ってるのは俺と春馬さんだけじゃなくてシュレスタ、ザイドル、王様、宰相、キースにで、友チョコを皇女様に渡しているらしい。まあおそらく後世に伝わる事はないだろう。

 

 

 

しかしお返しか、何にしようかね。去年はマシュマロだった。その前はクッキーだった。今年は何にしようか。春馬さんと要相談だな。

 

 

 

 

 

 

 

会話が途切れた沈黙に耐え切れなくなった。折角なのでもらったチョコを食べることにする。包みを開けると、一口サイズのハート型のチョコが出てきた。義理と分かっていても心が躍るな。

 

 

色はおおよそピンクだが微妙に少しずつ違う。失敗ではなくわざとだろう。魔法使えばこの程度の調整は可能だ。

一つ口の中に放り込む。美味しい。

 

 

 

「どう?」

 

「いつも通り美味い、ありがとう」

 

 

 

いや異世界でしかも女子手作りのチョコレート貰えるとは思わなかった。向こうじゃ親以外からだと小学校以来貰ってなかったからな。

 

 

 

「なら良かった」

 

「……そろそろ桃色終わるかな」

 

「そうね」

 

 

 

再び会話が途切れる。いつだったか春馬さんに言われたことを思い出し、暇なので横目でさくらの様子をうかがう。

 

 

 

……うん、普通に綺麗だし、体形も良いと思う。いわゆる出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでるってヤツだな、うん。結構な美少女です。

 

 

 

……ダメだな、客観的な評価は思い浮かぶがそういう系の気持ちが湧いてこない。春馬さんやっぱ無理です。

 

 

 

諦めて桃色空間の方を見つめた。視線に気づいて早く解除してくれることを願って。

 

別に桃色空間形成自体は構わないのだが場合によってはというかほぼ毎回俺とさくらだけで取り残されるのはものすごく気まずい。

 

結局解除されたのは五分程経ってからだった。

 

 

 

「待たせて悪いな」

 

「そう思うんなら全部……というか一日が終わりかけてからにしてください。はい義理チョコです」

 

「おうありがとう」

 

「お返しよろしくお願いします」

 

「……去年より進化してるなコレ。お返しも考えなきゃな」

 

「はいこれ、啓斗に」

 

「ああ、毎年ありがとうございます。別に全部春馬さんのに使い切っても構わないのに……」

 

「それは啓斗に悪いでしょ」

 

「そうですかねぇ……ありがたくいただきます」

 

「うん、どうぞ」

 

 

 

陽菜乃さんからの義理チョコもゲットしたところでイベント終了。テント等道具を片付け<空間収納>に放り込む。出発の準備は完了。

 

何気に魔族との戦争は続行中なのだ。というか今いる場所は魔族領である。正月からわずか二か月、まさか既に敵地に侵入していようとは。

 

 

 

バリバリ敵地である。油断はしていないが、息抜きは必要だろうという配慮……というか完全にこれ春馬さんの我がままだよな。役割果たしてくれてるし実際良い気分転換にはなるから良いんだけどさ。

 

 

 

 

 

平和から一転戦場へ。そういえばなんだっけ、血のバレンタインとかあったな。俺は異世界版血のバレンタインの下手人になるのだろうか。

 

 

 

 

 

ふとそんな事を思って笑った。連中にはもちろんバレンタインデーなんてそんな概念は存在しない。ただいつも通りの対<勇者>戦闘の一環として記録されておしまいだ。

 

 

 

「行きましょう、可能な限り一か所にはとどまりたくないです」

 

「ああ」

 

 




以上です、短いですが勘弁願います!

試験はほぼ終了したので投稿ペースも元に戻せるはずです。

感想批評などお待ちしております。

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